僕らはすでに、かなりコントロールされている
AIに人生をコントロールされる時代が来るんじゃないか、と最近よく考えています。
ただ、その前提として、僕らはもうかなり人生をコントロールできなくなっているんですよね。
身近な例で言うと、『TikTok』やSNSです。触っていると、ある意味脳の報酬系を操作されて、やめられなくなったり、ついダラダラ見てしまったりします。
パッと見た瞬間、0.1秒とかで脳が「これは知った方がいい情報だ」「もうちょっと見たい」と反応する。SNS企業は、そうやってどんどん時間を使わせるようにしてくる訳です。
コンビニに行けば、カロリーの高そうなポテトチップスがパッと目に入って「食べたいな」と欲求を刺激される。
自由意志だけではコントロールできないことが、どんどん増えている気がするんです。
これは資本主義的というか、企業が利益を上げるために、みんなが反応しやすいものを追求し続けている結果なんじゃないかと思います。
SNSならデータを見て「こうやったら滞在時間が延びた」というのを少しでも伸ばそうと頑張っている。『YouTube』なら、サムネイルで面白そうと思わせて、冒頭にダイジェストを置いて飽きさせない。
脳が飽きないようにコントロールして、時間を使わせているという状態ですね。
大衆のコントロールは、昔からあった
もちろん、こういうことは昔からあったと思います。
多分1900年代に入ってから、脳の仕組みが解明されたり、ノウハウが溜まったりしたんじゃないでしょうか。
たとえばナチス・ドイツは、当時最先端だったラジオを使って国民を熱狂させました。プロパガンダで「こうやったら大衆をコントロールできるじゃん」という形で、支持を得てしまった訳です。
マスメディアが戦争に突入するための推進力として機能したこともありました。党が機関紙を作るとか、政治家が新聞社を持つとかいうことも、1950年ぐらいまでは割と普通にあったんですよね。
それが今は、SNSを通じてIT企業がやり始めている状況だと思っています。
AIが24時間、最適化し続ける未来
この役割をAIが担うようになったら、もっと効率的になるんだろうなと思っています。
自分でサービスを作っているとわかるんですが、冒頭のメッセージを3パターンぐらい試して、一番数字がいいものを残しつつずっとA/Bテストをする。それを自動でやって、と言うだけで、そういうシステムが作れてしまうんです。
つまり、自律的に改善し続けることができてしまう。
これをAIがバリバリ24時間やり続けて、しかもAIの性能自体も上がっていくとなると、脳を刺激するものや見たくなるものが最適化され続けると思うんですよ。
朝起きてすぐSNSを見たくなる。見始めたら5分、10分見てしまう。そこに出てきた『Uber Eats』の広告がめちゃくちゃ食べたいものだから、つい注文してしまう。
そういうことがずっと起こり続けるのは、割とありえる未来かなと思っています。
そうなると、今度はそれに課題感を覚えた別の会社が、自分の人生を取り戻すためのAIツールを作るんじゃないでしょうか。
朝起きたら『Apple Watch』が「まずは深呼吸を3回すると気分が良くなりますよ」と教えてくれる、みたいな感じで、AIが人生をマネジメントしてくれるようになる。
健康になりたい人はそれを使うし、もっと快楽的に生きたい人は、AIのおすすめする楽しいコンテンツをどんどん摂取していく。
どちらにしても、人生の大部分をAIの指示通りに動くということは、1年、2年で相当増えていくんじゃないかと思っています。
実際、僕はもうAIの指示で動いている
これは未来の話というより、僕自身はもうかなりそうなっています。
ChatGPTの『Dot』という機能があるんですが、たとえば「本日15時までに、とある会社の株主総会の委任状があるので返信しておいてくださいね」と来るんです。
「今日のミーティング、これと被ってますけど大丈夫ですか?」「13時からのミーティングがカレンダーに未登録ですけど大丈夫ですか?」みたいなことも言ってくれる。
そして、僕はその通りに動いているんですよね。
朝起きれば、睡眠スコアが92点だったので今日はこうしてくださいね、と言われる。
Google ヘルスの画面を開けば「今日はレディネスの数値が悪いので、朝に15分ぐらい、傾斜はこのくらい、心拍数はこのくらいでウォーキングしてください」と言われて、その通りにやっています。
だから、だいぶコントロールされていく時代になるんだろうなと思っていて。
まだそこまでコントロールされていない、一応頭のいい人間たちがデータをもとにコントロールしようとしているぐらいの状態の2026年を覚えておくといいんじゃないかと思ったんです。
幸せなまま、自由意志があるように感じさせられる
じゃあそれは不幸なのかというと、結構幸せなはずなんです。
健康的になったり、楽しい気持ちになったりすることが最大化されるはずなので、多分不幸だと思う人は少ないと思うんですよね。
ただ、かなりコントロールされていて、自由意志をあまり持たないのに、自由意志で行動しているかのような気持ちにさせられる。そういう時代になっていくんじゃないかと思っています。
ちなみに、AIが人類を滅亡させるという話については、人間が主体ならあり得ると思っています。敵を攻撃するのにAIを使って核戦争になる、とかですね。
でも、AIがいろんなものをコントロールできるようになったら、人類滅亡なんて意味のないことは絶対しないと思うんです。
僕らも、アリを滅亡させてやろうとは別に思わないじゃないですか。自然界の一部で何か機能してるんだろうなぐらいに思って、全人類がリソースをかけて滅ぼすなんてことはしない。
それよりは、うまい具合に人間をコントロールして、AIのためや世界のために動かす方が効率的なので、そんな感じになるんじゃないかなと思っています。
そもそも、自分の欲求と人によって喚起された欲求の区別は、もうついていないんじゃないかと僕は思っています。昔の中国の王朝で役職ごとに違う帽子の色にどうしてもなりたい、という欲求は、今の僕らにはないですよね。
今の欲求も、インターネットや資本主義社会や現代の日本に形作られたものなので、AIによって欲求が増えても、あんまり変わらないと思っています。
車に乗るときも、もうカーナビにコントロールされているので、精度の悪い自動運転を技術的にできないから人間にやらせているだけ、みたいな感じもありますしね。
まとめ
僕らはSNSや企業の工夫によって、すでにかなりコントロールされています。それをAIが24時間最適化し続けるようになると、人生の大部分をAIの指示通りに動く時代が、1〜2年で一気に近づくと僕は考えています。
- SNSやコンビニの商品など、自由意志だけでは抗えない仕組みはすでに身の回りにある
- AIがA/Bテストを自律的に回し続ければ、刺激はさらに最適化されていく
- 僕自身もChatGPTの『Dot』やヘルスアプリの指示どおりに動いている
- 不幸とは感じにくいまま、自由意志があるかのように感じさせられる時代になりそう







