川崎で結成され、川崎で終えたバンド
2026年6月、一つのバンドが活動を終了しました。その名はSHISHAMOです。
スリーピースのガールズバンドとして知られ、紅白歌合戦にも出場し、フェスの常連でもあったメジャーアーティストです。
ここで話されているのは「解散」ではなく「活動終了」という言葉です。その最後のステージが、神奈川県川崎市にある等々力陸上競技場でした。
彼女たちは川崎出身で、川崎で結成され、活動の果てに川崎で終えました。アーティストと地域の関係を見る上で、印象的なバンドだったとワタンドさんは話しています。
SHISHAMOは2010年、川崎の高校の軽音部で結成されたバンドです。
名前をSHISHAMOにした理由は、漢字で書くとかっこいいのに、読むと可愛いから、というものだったそうです。
結成後は徐々に地域で活動を広げ、高校卒業のタイミングにあたる2013年に、本格的にレコード会社と契約してデビューしていきます。
代表曲「明日も」と川崎フロンターレ
ワタンドさんが最初に印象に残っているのは「君と夏フェス」という曲です。夏フェスを作品の舞台に取り入れた曲として先駆け的で、フェスが爽やかな舞台として描かれることが眩しかったと振り返ります。
そして今回とくに話したいのが、彼女たちの代表曲になった2017年の「明日も」です。この曲で紅白歌合戦にも出場しました。
この曲のミュージックビデオを撮った場所が、等々力陸上競技場でした。
この競技場は、川崎フロンターレのホームグラウンドとしても使われている場所です。JR南武線の武蔵中原駅が比較的近く、多摩川にも近い立地だと説明されています。
「明日も」の歌詞自体もとても特徴的で、川崎フロンターレのサポーターに向けた歌になっています。
平日は月曜から金曜まで忙しく過ごすサポーターが、週末はサッカーの応援に行けると、疲れを吹き飛ばして楽しみにする気持ちを歌った曲です。
一番は社会人男性、二番は女子学生という構成で、いろんなサポーター層が感情移入できるようになっている点も特徴だと話されています。
サポーターを歌った歌、プレイヤーを応援する歌はあるかなと思うんだけど、サポーターに向けた歌っていうのも、熱くていいなということで、非常に川崎フロンターレに密着した歌でもありました。
彼女たち自身も川崎フロンターレのサポーターで、スタジアムに応援に行ったこともある中で生まれた歌だと考えられます。他のサポーターからすれば、仲間のバンドが自分たちに向けて作ってくれた歌だという嬉しさがあったのではないか、とワタンドさんは話します。
その後この曲は、サポーターやチームにも愛されていきます。応援歌に使われたり、試合の合間のミニステージでSHISHAMO自身が演奏することも何度も行われたそうです。
さらに、この曲がリリースされた2017年は、SHISHAMOが紅白に出場した年であり、フロンターレ自身も優勝した年でした。チームにとってもアーティストにとっても起爆剤になったかのような、運命的な一曲だったと語られています。
二度の中止と、三度目の正直
川崎生まれのバンドにとって、地元で一番大きい箱である等々力のスタジアムには、強い愛着があったと考えられます。サッカーを通じて人と繋がる場所を、音楽のためだけに使ってファンと過ごすことは、特別な意味を持っていたはずです。
そこで彼女たちはワンマンライブを企画しますが、なかなかうまくいきませんでした。等々力陸上競技場でのスタジアムライブは、二回中止になっています。
一回目は曲をリリースした翌年、2018年7月でした。台風が来てしまい、開催直前で中止になったそうです。
リベンジとして、その二年後の2020年8月にも開催を企画します。ですが、この年は新型コロナウイルスの影響で、二度目の中止となってしまいました。
そんな中、活動終了というタイミングで三度目の挑戦が行われます。それが活動終了を告げるライブになりました。
やっと約束を果たすと。計り知れない執念と悲願の果てに行われたラストライブというところになっていました。
凱旋ライブとも違う、特別な関係
自分の故郷でライブをするアーティストは多く、凱旋ライブや凱旋公演と呼ばれます。有名になったミュージシャンが、昔を知る地元のファンへ恩返しとして行うライブです。
一方で、ドームや国立競技場、武道館といった大きな箱を埋めたいという憧れもあります。地元でやりたいという思いと、大きな舞台への憧れは、どちらも多くのアーティストが夢見るものだと話されています。
SHISHAMOの等々力でのライブは、そのどちらでもあり、どちらとも少し違うと、ワタンドさんは感じています。地元への恩返しや、大きくてずっとできなかった場所でようやく実現するという思い、そして二度の失敗を越えてやっと到達できるという執念が、重なっているからです。
凱旋ライブは、駆け出しを支えてくれた顔なじみのいるホームのような場所だと思われがちです。しかしここには、自らの成長を証明する目標であり、挑戦の果てでもあるという別の見方が加わります。
こうした唯一無二の関係性を見せられて胸が熱くなり、アーティストと地域の関係をもっと知りたいと思うようになった、というのがこの話の着地点です。
タレコミ曲と、初台という場所
ここからは、SNSを通じて寄せられたタレコミ曲の紹介です。今回はNavyさんから二曲を紹介いただきました。
紹介されたのは、空想リアリティの「SHE-through」と、The Full Countの「めじるし」です。
「SHE-through」は、シンガーソングライターの小出翼がアイドルグループ空想リアリティに提供した曲です。小出翼と、元空想リアリティのメンバーである中込昂輝のバンドThe Full Countがセルフカバーしていると紹介されています。
「めじるし」の歌詞には「何も手につかなくて 雨の初台」というフレーズが入っていて、初台という場所が印象的だったそうです。
初台は新宿のすぐ隣の駅で、都会でありながら住宅地もある場所です。都会とふだんの暮らしのちょうど間の子のような、少ししっとりした場所設定が面白いと話されています。
人生を変えそうな公園、等々力緑地
最後に、歌の紹介では飛ばした話として、等々力陸上競技場がある等々力緑地について語られます。
等々力緑地はとても広い公園で、スタジアムのほか、バスケットコートのアリーナ、広い遊具や林などがあり、回りきれないほどだそうです。
ワタンドさんは、こうした大きな公園が近くにあると、子どもの遊び方も変わりそうだと話します。同じ公園でも「今日はどこで遊ぶ」「今日はここでサッカーしよう」「今日は川に行こう」と、まったく違う遊びができるからです。
そばにある公園によって、幼い頃のライフスタイルって変わるんじゃないかなと思わせるぐらい、人生を変えそうな公園だなと、等々力緑地を見ていて思いますね。
SHISHAMOがライブを行ったように、イベントも時々開かれるスタジアムなので、機会があれば寄ってみると面白いのではないか、と番組は締めくくられます。
まとめ
川崎で結成されたSHISHAMOが、代表曲「明日も」の舞台であり、二度の中止を越えてようやくたどり着いた等々力陸上競技場で活動を終えた回でした。アーティストと地域が切り離せなくなる、特別な関係の物語です。
- SHISHAMOは2010年に川崎の高校の軽音部で結成され、2026年6月に川崎で活動を終了した
- 代表曲「明日も」は川崎フロンターレのサポーターに向けた歌で、MVも等々力陸上競技場で撮影された
- 等々力でのワンマンライブは台風とコロナで二度中止になり、活動終了時に三度目の正直として実現した
- 凱旋でもあり大舞台への挑戦でもある、唯一無二のアーティストと地域の関係が語られた
- タレコミ曲として空想リアリティ「SHE-through」とThe Full Count「めじるし」も紹介された
