「この薬を飲み続けていいのか」という不安
患者が治療の中で抱える不安はさまざまですが、その一つに「この薬を飲み続けていてもいいのか」という思いがあると、たいぞーさんは話します。
多くの人が抱えている不安の一つではないか、という見立てです。
その不安を刺激するものとして、週刊誌の特集が挙げられています。「飲んではいけない薬10選」のような特集が、書店で度々組まれているのを見かけると言います。
そういった「この薬は飲んではいけない」みたいな特集をすると、結構雑誌が売れるらしいんですね。
出版社は雑誌をいかに売るかを考えているため、読者に届きやすい情報を扱うのは真っ当なことだ、とたいぞーさんは受け止めています。
週刊誌の情報は「嘘っぱち」ではない
たいぞーさん自身も、そうした特集を実際に手に取って中身を見ることがあると言います。
内容について、まったくの嘘を書いていることは少ない、という印象を持っています。
もちろん嘘は言ってはいけないと思うので、全くの嘘っぱちみたいなことを書いていることは少ないなと思って見るんですけども、まあちょっと偏った視点からの意見であったり、ちょっと誇張したような表現になっているというのは確かに見かけます。
だからこそ、その情報を見て患者が不安になり、治療をやめてしまったり、やめるかどうか悩んだりする場面があります。薬局でもそうした相談を受けることがあると言います。
患者がこうした情報に飛びついてしまう原因の一つは、「治療をこのまま続けていいのか」という不安を抱えたまま治療を続けていることの表れではないか、とたいぞーさんは考えています。
相談先が見つからないという状況
不安を抱えても、では誰に相談すればいいのか。まず思い浮かぶ相談先は、診察や処方をしてくれる医師です。
しかし、クリニックや基幹病院の外来では、待合室にたくさんの患者が待ち、医師も慌ただしく対応しています。
そうした様子を見ると、不安を感じていてもなかなか相談できない場面があるのではないか、とたいぞーさんは指摘します。
結果として、「先生が診断して薬を出してくれているのだから、これが必要なのだ」と信じて飲み続けている人も多いのではないか、と話します。
患者は毎日「判断」を繰り返している
たいぞーさんは、患者の不安がなぜ生じるのかをさらに深掘りします。
患者は、薬が効いているのか、副作用が出ているのかを、自宅で自分自身で見極めなければなりません。
1ヶ月分、2ヶ月分と処方された薬をもらって帰った後、自分の体の状態を自分で把握し、薬がどう働いているのかを分からないなりに判断しながら治療を続けています。
つまり患者は、毎日「決断」を繰り返しながら治療を続けている状態にあるのかもしれない、という見立てです。
何かを判断し、決断して実行することには精神力も体力も必要です。たいぞーさん自身、薬剤師として患者の状況を判断し介入し続けることは、しんどいと感じることがあると言います。
患者さんはこれを毎日繰り返して行い続けているとなると、やっぱりそれがストレスとして体の負担にもなってくるでしょうし、そういったストレスが積み重なると、このままでいいんかなという不安が湧き上がってくる要因にもなるのかなと思います。
自宅での自己判断
薬が効いているか、副作用が出ているかを患者自身が毎日見極める
判断の積み重ね
決断を繰り返すことが精神的・体力的なストレスになる
不安の発生
「このままでいいのか」という不安が湧き上がる
薬剤師が「見立ててフィードバックする」意味
だからこそ、薬剤師が薬学で患者を語ることが、患者をストレスから解放する手段になるのではないか、とたいぞーさんは考えています。
服薬指導では、薬の飲み方や注意点、効能効果を説明します。しかし説明して帰ってもらうだけでは、判断や決断の部分を患者に任せきりにしてしまう、と指摘します。
言葉を選ばずに言うと丸投げしてしまっているというような状態になってしまうのかなと思います。
そこで、薬剤師が患者からの情報を見立て、「これなら治療はうまくいっていますね」「薬の効果も出て順調ですね」ときちんとフィードバックすることが大切だと言います。
たいぞーさんが対応する中でも、そうしたフィードバックを受けた患者が安心した表情を見せ、自信を持って治療を続けていく姿を見ることが多いそうです。
薬局が「頼れる場所」になるとき
薬剤師がきちんと見立ててフィードバックしていると、薬局に電話がかかってくることもあると言います。
体で起こっていることについて、薬の影響がどうなっているのかを薬剤師に見立ててほしい、と患者が頼って連絡してくる場面です。
自分自身ではわからないので、薬剤師を頼って電話をしてきたという方が、これもまた、薬局が頼れる場所なんだということ、薬剤師は自分たちの体の状態を見て薬の影響を判断できる専門家なんだということを認識してもらうと、そういった連絡がかかってくることもよくあります。
必要なときには医師とも情報を共有し、医師とともに判断していくことも求められます。
患者が世の中の情報に踊らされ、一喜一憂しているのは、薬剤師が薬学的な見立てで患者の状態を判断するところに介入しきれていない表れかもしれない、とたいぞーさんは振り返ります。
そこに介入することで、患者が抱える不安を解消し、安心して治療を続けられるようにする。薬剤師にはまだ専門性を活かせる余地があるのではないか、というのがこの回の主張です。
告知:バイタルサイン講習会とTricon
放送の最後に、告知が2つ紹介されました。
1つ目は、10月25日に兵庫県姫路市で開催されるバイタルサイン講習会です。放送時点で残り3枠が空いているとのことです。
日々の現場で「このままでいいのか」「もっとできることはないか」とモヤモヤを抱えている薬剤師に向けて、気づきを届けたいと案内しています。
2つ目は、9月26日の土曜日に開催される学生向けの症例検討イベント「Tricon」です。参加費は無料です。
薬学生だけでなく現場の薬剤師も混ざって症例検討を行うことで、学生が薬剤師になった後の視点や将来設計、ロールモデルを見つける助けになるイベントだと紹介されました。
まとめ
この回は、患者が治療中に「この薬を飲み続けていいのか」という判断のストレスにさらされながら、相談先を見つけられずにいるという課題を取り上げました。薬剤師がきちんと見立ててフィードバックすることで、その不安を解消できる余地があると語られています。
- 患者は薬が効いているか、副作用が出ているかを自宅で毎日自分で判断し続けている
- 相談先として医師が浮かんでも、慌ただしい外来では相談しづらい場面がある
- 説明して帰すだけでは、判断や決断を患者に任せきりにしてしまう
- 薬剤師が見立ててフィードバックすると、患者は安心し、薬局が頼れる場所になる
- 患者が情報に踊らされるのは、薬剤師が判断に介入しきれていない表れかもしれない
