残薬調整には「もう一つの役割」がある
前回の放送では、残薬の調整を単なる数の調整で終わらせず、繰り返されないための問題解決として、薬学的な視点で総合的に介入していくことが薬剤師の役割ではないか、という話がされました。
今回は、その残薬調整にはもう一つ大きな役割があるとたいぞーさんは話します。
それは、残薬を通して患者さんの薬物治療をきちんと評価していくということです。
20日分の残薬が示す「治療が届いていない」可能性
たとえば残薬の調整を頼まれた薬があり、20日分の残薬があったとします。
このとき、日数を20日分減らして数を合わせ、無駄な薬代が使われずにOK、というわけではないとたいぞーさんは指摘します。
残薬が発生していること自体が、目の前の患者さんの薬物治療が正しく行われていない可能性を孕んでいる、という見方です。
そこで重要になるのが、その20日分がどれぐらいの期間で発生したのかという視点です。
仮に1ヶ月処方の中で20日分余っているなら、薬はほとんど飲まれておらず、患者さんの状態に対して薬がほとんど作用しないまま1ヶ月が過ぎていた可能性も十分にあり得ます。
このように短い期間で多くの日数が残薬として生じている場合は、薬が効いていない、この治療を続ける必要があるのかを改めて見直すことができます。
同じ「5日分の残薬」でも判断が変わるのはなぜか
では、1ヶ月で5日分という残薬だったらどうでしょうか。
5日分ぐらいならいいか、と思ってしまいそうになりますが、そう単純ではないとたいぞーさんは話します。
薬の特性によっては、5日分の残薬でも治療が滞る場合があります。短期間で作用して体に働くような薬がその例です。
一方で、半減期 ── 薬の血中濃度が半分になるまでの時間。半減期が長い薬は体内に長くとどまり、多少の飲み忘れがあっても効果が続きやすい。が長く、体に長い時間留まる薬であれば、5日分ならいいか、という判断にもなり得ます。
さらに、判断は薬の特性だけでなく、患者さんの状態も併せて見ていく必要があります。
飲み忘れはあっても薬が体に働いているため、日数を調整して無駄な医療費を削減する方向でよいと判断できる
状態が改善していればやめる、あるいは減量するという選択肢も頭に浮かんでくる
このように薬学的視点を持ちながら残薬を通して患者さんの状態を見ていくことで、この先の薬物治療をどうしていくかという薬剤師の視点が生まれてくる、とたいぞーさんは語ります。
報酬改定で評価されることに「合点がいく」理由
ここまで残薬に専門的に介入していくとなると、今回の報酬改定でプラスに評価されていることにも合点がいくのではないか、とたいぞーさんは話します。
今後、薬剤師は残薬に対して、単なる医療費の削減という視点だけでなく、より良い薬物治療を届けるために薬学的視点で向き合っていくことが求められます。
それが、今後求められる薬剤師の役割として調剤報酬でも評価されているのではないか、というのがたいぞーさんの見立てです。
まとめ
残薬は数を合わせて終わりではなく、患者さんの薬物治療がきちんと届いているかを評価する手がかりになる、という視点が語られた回でした。薬の特性と患者さんの状態を併せて見ることで、この先の治療をどうするかという判断につなげられます。
- 残薬調整には、数の調整だけでなく薬物治療を評価するという役割がある
- 同じ残薬日数でも、発生した期間によって「薬が届いていない」可能性が読み取れる
- 5日分の残薬でも、薬の特性(半減期など)と患者さんの状態で判断は変わる
- 薬学的視点での残薬への介入は、より良い薬物治療につなげ、調剤報酬でも評価されている


