毎日の残薬調整、その先にある薬剤師の価値
薬局で働いていると、患者さんが残薬を持ってきて日数の調整を依頼される場面は日常的にあります。
たいぞーさんによれば、こうした依頼は毎日の業務の中で何度もあるといいます。
残っている数を確認して、その分だけ日数を調整し、薬の数を減らす。これによって患者さんは手元の薬を使いきることができ、無駄な医療費を抑えられます。
この効果は患者さんの懐事情にとどまりません。医療費は保険で賄われている部分が7割から9割あるため、薬の使用量を減らすことは国の財政にとってもプラスに働くと説明されています。
こうした残薬への介入は、調剤報酬改定で薬剤師に期待されている役割の一つになっています。
数を数えるだけなら薬剤師でなくてもできる
ただし、ここでたいぞーさんは一つの問いを投げかけます。
余ってる薬があるっていうのを、数を数えて日数を調整するというだけであれば、これは別に薬剤師じゃなくてもできるような仕事になってしまうのではないか
では、残薬調整に薬剤師が関わる価値は一体どこにあるのか。
その一つとして挙げられるのが、残薬が発生しているという状況そのものを解決することだと話されています。
そもそもなぜ薬を飲み忘れているのか。その原因をきちんと把握することが出発点になります。
飲み忘れが起きている、薬の飲み方がわからなくなっている、副作用を気にして自分で中断している、症状が改善してもう飲まなくなっている。残薬はこうしたさまざまな状況によって発生しています。
残薬が発生
飲み忘れ・自己中断など理由はさまざま
原因を把握
なぜ飲めていないのかを確認する
状況に応じて対応
繰り返さないための手を打つ
状況に応じて対応が変わるため、ただ数を数えて日数を調整するだけでは足りません。それが繰り返し起こらないように手を打っていくところに、薬剤師の介入の意味があるといいます。
用法変更に潜む、薬学的な判断の重み
一方で、理由を聞いてそれに応じて動くだけでは、薬の特性上うまくいかない場合もあります。
たとえば、朝の薬は飲み忘れが少ないのに、昼や夕方の薬は飲み忘れてしまう患者さんがいるとします。
この場合、夕方に1回服用する薬を朝に変更して対応するという解決策も考えられます。
ただし、ここで薬剤師の専門知識が問われます。その薬を夕方から朝に変更することが、薬の特性上そもそも可能なのかを検討する必要があるからです。
服用のタイミングを朝にずらすことで、治療上の問題が生じる可能性は薬の特性によっては十分にあると説明されています。
そのため、リスクや影響をきちんと評価したうえで、それでも朝に変更する必要があるのか、あるいは夕方のまま飲める方法を考えるべきなのかを判断していくことになります。
この判断は、薬の特性だけでなく、患者さんの状態や生活背景も踏まえて総合的に行う必要があります。
数の確認で終わらせない視点を持つために
残薬調整が調剤報酬で評価されるようになった背景には、こうした薬剤師の介入への期待があると考えられます。
残った数を数えて日数を調整する。薬剤師でなくてもできる作業にとどまる
発生原因を把握し、用法変更の可否や治療への影響まで評価して解決に導く
たいぞーさんは、残薬調整を単なる数の確認で終わらせないために、どのような視点で見ていけばよいかを考えるきっかけにしてほしいと締めくくっています。
まとめ
残薬調整は毎日の業務でありながら、数を合わせるだけの作業と、薬学的に介入する仕事とでは意味が大きく異なります。原因の把握から用法変更の可否まで踏み込むところに、薬剤師の価値があると語られました。
- 残薬の日数調整は医療費の無駄を減らし、国の財政にもプラスに働く
- 数を数えて調整するだけなら薬剤師でなくてもできる仕事になってしまう
- 残薬が発生する原因を把握し、繰り返さない手を打つことに介入の価値がある
- 用法変更は薬の特性上可能かを専門知識で検討する必要がある
- 薬の特性・患者の状態・生活背景を踏まえた総合的な判断が求められる


