フォローアップはなぜ「確認だけ」で終わるのか
薬剤師の仕事のなかで、患者のフォローアップは重要な役割になっています。
背景には薬剤師法の改正があります。薬局の中での関わりだけでなく、薬を飲んだ後、つまり家に帰って治療している間の経過にも、薬剤師が責任を持って関わることが法律上も明記されました。
令和8年の調剤報酬改定でも、このフォローアップを行うことが薬剤師の大きな役割の一つとして評価されるようになっています。
フォローアップの際には、たとえば「新しい薬を飲まれてどうでしたか」「変わりないですか」といった確認をします。これだけでも患者の経過に関する情報が得られ、一歩進んだ関わりになります。
ただし、この確認だけで終わってしまうと、情報を深く集めることはあまりできないのではないか、とたいぞーさんは話します。
その原因として考えられるのが「基準がないから」という点です。
薬を飲む前に「未来予測」を持つと質が変わる
そこで、時間軸を少し戻します。薬を飲む前の時点に立ち返る、という発想です。
薬を飲む前に、この薬を使うことで大体これぐらいのタイミングで症状に変化が出始めるはずだ、この作用が出るならこういった症状も同時に出てくるのではないか、といった患者の体で起こる変化の未来予測を持っておく。
この予測を持っておくだけで、フォローアップの質は一気に変わるとたいぞーさんは考えています。
同じように患者に確認するとしても、予測があると聞き方が具体的になります。「このタイミングでこういった変化はありませんでしたか」「そんな症状があるなら、同時にこんな症状も実は出ていませんか」といった確認ができるようになります。
予測と違ったとき、何を考えるのか
さらに重要なのは、その後にあるとたいぞーさんは言います。予測をしていることで、患者が予測通りに進んでいるのか、それとも予測が違ったのかが見えてきます。
予測通りに進んでいるなら、治療経過が良好ということで、良かったという話になります。
一方で、患者の状態が予測と違った変化をたどっているなら、なぜ違った結末にたどり着いているのかを考える必要があります。
その原因として、薬の影響なのか、疾患の進行が思ったより早いのか、服薬状況の問題なのか、別の薬剤同士の組み合わせなのか、あるいは見落としている視点があってそもそもの仮説が間違っていたのか、といった様々なことを考えられるようになります。
薬の影響
薬による作用や副作用が経過に影響していないか
疾患の進行
思っているより疾患が進行していないか
服薬状況
薬がきちんと使われているか
薬剤の組み合わせ
別の薬同士の組み合わせによる影響はないか
仮説の誤り
見落としがあり、そもそもの予測が間違っていなかったか
予測・確認・評価がつながる連鎖的な関わり
この考えを深めていくことで、学びの質も関わりの質も大きく変わっていくとたいぞーさんは話します。
予測との見比べをして原因を突き止めると、患者の評価ができるようになります。その評価を踏まえて、また次の予測を立てる。
こうして予測を立てる、確認をする、また次の予測を立てる、という関わりが連鎖的につながっていきます。
予測を立てる
薬を渡す前に、体で起こる変化を予測する
確認する
予測したタイミングや症状を患者に確認する
評価する
予測との違いから原因を突き止め、患者を評価する
次の予測へ
評価を踏まえて、また次の予測を立てる
このサイクルをぐるぐると回していくことで、薬学で患者を語る力は確実に高まっていくと考えられます。
何より、このサイクルを回すことで患者の治療がより良い方向に向かい、薬剤師の薬学的な視点で健康という価値を届ける仕事にもつながっていくのではないか、とたいぞーさんは話しています。
フォローアップは薬を渡す前から始まっている
予測がなければ、フォローアップはただの確認作業で終わってしまいかねません。
だからこそ、薬を渡す前の段階でどれだけの未来をイメージできるか、そこに薬学的な視点を持って考えられるかが勝負どころだといいます。
この視点を持つだけで、日々の患者への対応が大きく変わるとたいぞーさんは締めくくります。フォローアップを予測と検証のサイクルとして捉えるきっかけになれば、という言葉で放送を終えています。
まとめ
フォローアップを「確認だけ」で終わらせないためには、薬を渡す前に体で起こる変化を予測しておくことが鍵になります。予測・確認・評価のサイクルを回すことで、関わりの質も薬剤師自身の学びも高まっていく、という内容でした。
- 薬剤師法改正や令和8年の調剤報酬改定で、服薬フォローアップの役割が重視されている
- 「どうでしたか」の確認だけでは、基準がなく情報を深く集めにくい
- 薬を飲む前に変化の未来予測を持つと、確認が具体的になる
- 予測と実際のずれから原因を考え、評価し、次の予測へつなげる連鎖的な関わりが生まれる
- フォローアップは薬を渡した後ではなく、渡す前から始まっている


