なぜ副作用を伝えることが難しいのか
たいぞーさんは、服薬指導で薬の副作用を伝えることはとても大事なことだと考えています。多くの薬剤師も、同じ認識で患者さんに副作用を伝えていると話します。
ただし副作用の情報は、薬を使う上でのネガティブな情報にもなります。伝え方によっては、患者さんが薬を飲むことに不安を感じたり、治療を敬遠したりする恐れがあります。
体調を改善するために医師が組み立てた治療戦略の第一歩は、薬を飲むことです。そこがつまずくと、治療が最初から大きくずれてしまうと指摘します。
そこの一丁目一番地である薬を飲むというところ、これが達成できないというのは、治療が最初から大ボケするというようなふうに言っても過言ではないのかなと思います。
発生率を伝えるという定番の伝え方
不安を解消するために、薬剤師は副作用を伝えるときに工夫をしています。その一つとして、副作用の発生率を持ち出して伝える薬剤師の姿をよく見かける、とたいぞーさんは言います。
たとえば「この副作用は何パーセント未満の報告で、頻度は多くないので、まず起こることはないと思います。治療を優先して飲んでください」といったやりとりです。
こうした伝え方には狙いがあります。副作用は万人に起こる怖いものではないと理解してもらい、安心して薬を服用してもらうためです。割合を伝えることは、患者さんへの大事な伝え方の一つだと考えられています。
その数字は本当に不安を解消しているのか
一方でたいぞーさんは、患者さんが確率を聞いて本当に不安が解消されているのか、と疑問を投げかけます。
確率は多くの人を見たときにどれくらい起こるかを示す数字です。しかし副作用は、少なからず誰かには起こる可能性があるものでもあります。
つまり、くじ引きのように「自分は引き当てない」という確証はありません。引き当ててしまえば、それが1パーセントでも0.1パーセントでも、自分にとっては副作用が生じる薬であることに変わりはないのです。
引き当ててしまうと、それはもう1パーセントのものであれ、0.1パーセントのものであれ、10パーセントのものであれ、自分にとっては副作用が生じる薬ということには変わりないわけなんです。
自分に起こるか起こらないかわからない状況では、確率を聞いてもネガティブな部分は解消されていないのではないか、とたいぞーさんは考えます。
パーセンテージの数字が抱える限界
さらに、何パーセントという数字は、どれくらいの人数に対して調査を行ったかによって大小が変動します。
すべての人に薬を飲んでもらったときには、実はもっと高い確率で副作用が起こる可能性もあります。副作用の発現を調べる限界点として、そうした事実が数字の裏に隠れている場合もあると指摘します。
こうした点から、パーセンテージを伝えることは、副作用の不安の解消にあまりつながっていない可能性がある、と話します。
数字は「薬の特徴を捉えるもの」として使う
では、どう扱えばよいのか。たいぞーさんは、発生率の数字は薬のおおまかな特徴を捉えるための数字として考える方が適切だと提案します。
発生率が高い副作用は、薬効の発現の延長線上で多くの人に起こるものであることが多いと言います。逆に、体質やアレルギーのような個人差で起こる副作用は、万人には起こらないため発現率は下がります。
また、報告されている副作用の中には、類似薬で起こったものが同じ系統の薬として記載されている場合や、薬とは関連なく服用中に起こった体調不良まで含めて報告されている場合もあります。
ただただその薬を飲んでいる時に起こった体調不良も含めて副作用として、記載報告がされているものもあります。
薬効の発現の延長線上で、多くの人に起こりやすいタイプ
体質やアレルギーなど個人差によって起こるタイプ
こうした背景を見極めながら、目の前の患者さんに何が起こりうるかを見据えることが大切だと言います。継続的に経過を診て、副作用が起きたときに適切に対処するための情報を共有し合うために、発生率を使うのです。
不安に応える薬局の相談体制
患者さんにとっては、体調の変化が副作用かどうか自分では分からないこと自体が、大きな不安になります。
そこでたいぞーさんは、副作用が起きたときにいつでも相談に乗れるという薬局の相談体制も、副作用と向き合うための大切な要素だと話します。これは薬剤師にできる関わり方の一つです。
今日の放送が、患者さんと副作用に関わる際に薬局や薬剤師にできることを改めて考えるきっかけになればうれしい、と締めくくりました。
まとめ
副作用の発生率を伝えることは定番の伝え方ですが、自分に起こるかどうか分からない患者さんの不安をそのまま解消するとは限りません。数字を薬の特徴を捉える手がかりとして使い、経過を診ながら相談できる体制を整えることが、薬剤師にできる関わり方だと語られました。
- 薬を飲む第一歩でつまずかせないために、副作用の伝え方には配慮が必要
- 発生率は「自分に起こるか」への確証にはならず、不安をそのまま解消しない
- パーセンテージは調査人数などで変動し、実際の頻度と一致するとは限らない
- 発生率は薬のおおまかな特徴を捉える手がかりとして使うのが適切
- いつでも相談できる薬局の体制づくりも、副作用と向き合う大切な要素
