薬学の視点も医学の視点も「どっちが上」ではない
たいぞーさんは日々、薬学で患者を語ることを大切にしていると発信しています。
その中で、「薬学の視点も大事だけれど、病気を見る根幹に来るのは医学の視点だ」と教えてくれる人もいるそうです。
医学の視点と薬学の視点、どちらがいいのかが話題になることはよくあると言います。ただ、たいぞーさんの結論はシンプルです。
どっちがいい悪いというのは、実はあまりないのかなと思っていまして。
薬学の視点も医学の視点もどちらも大事で、どちらもないとダメだというのが、いつもの答えだと話されています。
腹痛から見えてくる「医学の視点」
医学の視点は、病気の視点で患者を見ていくものだとたいぞーさんは説明します。
たとえば患者がお腹が痛いと訴えたとします。
そのとき、解剖生理や病理、病態の知識を使って、体の構造や仕組みを考えます。
お腹が痛いということは、こういう病気が潜んでいるかもしれない。だからこういう薬でこう治療すれば良くなるだろう、という視点で患者を見ていくわけです。
これがまさに医学の視点だと語られています。
同じ腹痛を「薬学の視点」で見るとどうなるか
では薬学の視点だとどうなるのでしょうか。
患者がお腹が痛いと言ったら、まず「この人が飲んでいる薬は何だったか」を考えるとたいぞーさんは言います。
その薬の作用機序から、腹痛という症状が起こりうるかを検討します。
もし起こらないだろうと判断すれば、処方薬をそのまま服用して様子を見ましょう、という関わりになります。
薬局にファーストアクセスとして来た場合には、OTC薬品を販売したり、状況によっては早く受診するよう勧めたりすることもあると話されています。
逆に、その薬の作用機序なら腹痛が起こりうると気づいた場合は別です。
薬をどうするかは病気の視点も交えて考える必要があり、薬剤師の独断で飲む・やめるを決めることはできません。
そのため、可能性を踏まえた検討を医師とともに行い、薬物治療をより良くしていく。それが薬学の視点だとまとめられています。
体の構造や病態から、どんな病気が潜んでいるかを考え、治療の方向を探る
飲んでいる薬の作用機序から、その症状が薬で起きうるかを考え、医師と検討する
どちらの視点でも「100%の正解」にはたどり着けない
患者の体に起こっていることは、多くが体の中で起こっていることです。
そのため、実際に何が起こっているのかを正確に捉えるのは簡単ではありません。
医学的な視点でも薬学的な視点でも、どちらか一方だけで100%の正解にたどり着けることはない、とたいぞーさんは話します。
だからこそ、双方の視点から患者を見ることに意味があると言います。
両方の視点で結論が一致すれば、その人の体で起こっていることの確からしさが高いと考えられます。そのまま治療戦略を進めていけるわけです。
視点がずれたときこそ、ディスカッションが生きる
一方で、医学の視点と薬学の視点がずれることもあります。
そうしたとき、どちらの可能性がより高いかを、お互いの視点からディスカッションします。
その結果、こちらの方向で進もうと決めることができれば、一方の視点だけよりもきちんと吟味された判断になります。
目の前の患者の体で起こっていることを、より確かに捉えられる可能性が高まると考えられています。
視点が違うからダメ、同じだからいい、という話ではないとたいぞーさんは強調します。
どちらの視点からも見る。それぞれの視点からきちんと見立てを立てて、患者さんの体にとってより良い治療戦略を一緒に考えていく。
薬剤師と医師がしっかり協働して患者に関わること。それが最適な治療につながっていくとまとめられています。
まとめ
薬学の視点と医学の視点は、どちらが上かを競うものではありません。同じ症状でも見え方が違うからこそ、両方から見て一致すれば確からしさが高まり、ずれれば議論を通じてより良い判断に近づける、という考え方が語られた回でした。
- 医学の視点は病気から、薬学の視点は薬の作用機序から患者を見る
- どちらの視点でも一方だけでは100%の正解にはたどり着けない
- 双方の結論が一致すれば、その人の体で起こっていることの確からしさが高まる
- 視点がずれたときこそ、ディスカッションでより確かな判断に近づける
- 薬剤師と医師の協働が、患者への最適な治療につながる
