薬剤師に多い「完璧思考」という悩み
たいぞーさんは、パッションモンスター鈴木さんという薬剤師とインスタライブ配信を行った際に出てきた話題として、「完璧思考」を取り上げます。
薬剤師には「百点じゃないとダメ」という思考の人が少なからずいる、という話が対談の中で出たそうです。
たとえば「この領域はまだ学びきれていないので一歩踏み出せません」「まだ勉強中でして」という薬剤師を、たいぞーさんは現場で見かけることがあると言います。
ただし、それを単に消極的と捉えるのではなく、未熟な状態で患者に関わることのリスクを避けようとする、ある種の責任感の表れとも捉えられると話します。
この領域ではまだ完璧に学びきれていない、実践するだけの知識が足りないので一歩踏み出せません、という方は確かにお見受けします。
なぜ薬剤師は完璧思考に陥りやすいのか
たいぞーさんは、薬剤師にこの傾向が多いのは肌感覚として感じるところがあると言います。そして、その原因を薬剤師の業務そのものに関連づけて考察します。
薬剤師の大切な役割の一つが処方監査です。医師の処方内容が、その患者にとってリスクにならないかを見極める業務です。
たとえば薬と疾患の飲み合わせが悪い場合や、薬同士の組み合わせで効果が強くなりすぎる場合などを確認します。
不都合があれば医師に疑義照会を行い、処方の適正化を図ります。これは薬剤師のとても大切な役割だとたいぞーさんは強調します。
ただし、この業務は目の前の患者、過去から今に続く時点の患者を見て判断するため、マルかバツかという正解のような答えが出てくることが多いと言います。
そうした領域に従事しているからこそ、「完璧ではない」ことが一歩踏み出す足かせになってしまうのではないか、とたいぞーさんは考えます。
業務の特性
処方監査は過去から今の患者を見て判断する
答えの性質
マルかバツかという正解が出やすい
思考のクセ
完璧でないと踏み出せない足かせになる
完璧でなくても患者は良くなるという経験
一方でたいぞーさん自身は、完璧でなくても患者に関わってきた経験があると話します。
先日、在宅薬学会の学術大会で褥瘡の症例を発表したものの、褥瘡の知識を完璧に持っている自信はまったくない、と率直に語ります。
研修会などで学んだことを、自分の中で扱える範囲で出し切り、なんとかできる範疇で関わった結果を発表したそうです。
その中で、完璧ではなくても自分のできることで関わると、患者がより良くなっていくという経験をしたと言います。
ただし、こうした経験がないと、一歩踏み出す勇気が出ない人もいると理解を示します。
鍵は「患者を見る時間軸」を変えること
そこでたいぞーさんが最近の気づきとして挙げるのが、患者を見る「時間軸」を変えるという視点です。
処方監査は過去から今にかけて、すでに分かっているものに関わるため、完璧思考に陥りやすい。それならば目線を変えて、患者の未来に目を向けてみようという提案です。
患者さんを見るというのは変わりないんですけど、患者さんを見る時間軸を変えてみると、完璧思考から抜け出せるんじゃないかなと思います。
なぜ未来に視点を向けると完璧思考から抜け出せるのか。それは、未来はどうなるか分からないからだとたいぞーさんは説明します。
これをして良くなるか悪くなるかは、やってみないと分からない。だからこそ完璧を求めすぎずに一歩を踏み出せる、という理屈です。
ただし、それを博打のように行えば患者の不利益になるためダメだと釘を刺します。研修などで学んだことをインプットして使うのであれば、より良い治療につながると言います。
処方監査など。マルかバツかの答えが出やすく、完璧を求めがちになる
学んだことを還元し一手を打つ。未来は分からないからこそ踏み出せる
今と未来、両方の視点を持って関わる
たいぞーさんは、学んだことを少しでも現場で患者に還元し、分からない未来に向けて一手を打つことを勧めます。
その踏み出した一歩が患者のより良い未来を引き寄せる。そうした経験を重ねることで、だんだんと完璧思考から抜け出せると話します。
過去から今を見る役割が不要だとか、ダメだということではないとたいぞーさんは強調します。それはそれで大事な仕事です。
そこだけでなく、患者の未来にも目を向ける。今を見る視点と未来を見る視点の両方を持って関わることが、一歩踏み込んだ介入のきっかけになると締めくくります。
バイタルサイン講習会の告知
最後にたいぞーさんは告知を行います。10月25日日曜日に、日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会を兵庫県姫路市で開催します。
この講習会では、バイタルサインをとる手技だけでなく、薬剤師がなぜバイタルサインを学ぶ必要があるのか、その意義や目的も学びます。
とった情報を薬学的な視点で読み解き、患者や医師、看護師などの他職種に薬剤師としての見立てをフィードバックする。そうした実践への取り組み方も学べる5時間のセミナーだと言います。
限定10枠で、収録時点では4名が申し込み済み、残り6枠とのことです。もう一歩踏み込んだ介入をしたい人に向けて、参加を呼びかけています。
まとめ
薬剤師が陥りやすい完璧思考は、処方監査のように過去から今の患者を見て正解を出す業務の特性と関係しています。たいぞーさんは、患者を見る時間軸を未来へ広げることで、一歩を踏み出せると語ります。
- 薬剤師の「完璧じゃないと踏み出せない」思考は、責任感の表れとも捉えられる
- 処方監査は過去から今の患者を見るため、マルかバツかの答えが出やすく完璧を求めがちになる
- 学んだことを現場で還元し、分からない未来に一手を打つことで一歩を踏み出せる
- 今を見る視点と未来を見る視点、両方を持って患者に関わることが踏み込んだ介入のきっかけになる
- 10月25日に兵庫県姫路市でバイタルサイン講習会を開催(限定10枠、残り6枠)
