薬学教育学会での学びから浮かんだ問い
たいぞーさんは、先週末に日本薬学教育学会の学術大会に参加してきたと話します。
大会では、薬学部の大学教育の中で、どのように学生を指導し教育を届けていくのかが、様々なセッションで議論されていました。
たいぞーさん自身も、実務実習の指導薬剤師として学生に関わっている立場です。新しいカリキュラムの中で学生とどう関わり、成長してもらうかを、2日間みっちりと考えてきたといいます。
そして翌週、通常業務に戻って実習生と関わる中で、そもそも自分たちが届ける教育とは何だったのかを、改めて考えたそうです。
「教育」という言葉にある様々な意味
たいぞーさんは、教育という言葉には様々なイメージがあると整理します。
たとえば、教育を受ける人が知らないことを教えるのも教育です。成長の機会につながるのも教育であり、何か気づきや学びが得られるのも教育だといいます。
教育という言葉一つをとっても、様々なものがあると話されています。
研修で教わった「教育とは機会提供」という視点
指導薬剤師になるには資格が必要で、その資格を取るための研修を受講します。たいぞーさんは、その研修の中で教わった「教育とは」という考え方が、自分の中でとてもしっくりきたと振り返ります。
研修で教わったのは、教育とはこちらの知っていることや経験していることを教え伝えることではなく、学生にとにかく機会を提供することだ、という視点でした。
教育とは、学生にこちらの知っていることや経験していることを教える、伝えるということではなくて、学生にとにかく機会を提供すること、これが教育なんだと教わりました。
教育の現場では、学生に下地となる知識がない、勉強していない、やる気や意欲がない、こちらの話を聞かないといった課題が挙げられることがあります。
こうした課題は、指導者の立場から「教育を受ける側の課題」として語られることが多いといいます。
一方で、教育者の役割は機会提供をすることだと捉えると、見え方が変わるとたいぞーさんは指摘します。受け手側がその機会をどう受け取るか、何を学び何に気づくかは、すべて受け手側の問題だと考えるのです。
このように課題を切り分けると、教育を施すことのハードルが下がり、こちら側がやるべきことが明確になると話されています。
どんな学生にも、ひたむきに機会を提供する
実習生を受け入れていると、本当に様々な学生が来るとたいぞーさんは言います。
その学生が何を学ぶか、あるいは学ばないかは、すべて学生側の課題です。何がはまるかは学生によって本当に様々だからこそ、とにかくあらゆる機会を提供することが大切だといいます。
学生がその中から一つでも学んだり、気づいたり、思考や視点が変わるきっかけを得られれば、教育としては成功だと考えられます。
だからこそ、粛々とひたむきに学生へ機会を提供し、少しでも多くのものを得てもらうための教育機会を、指導者としてこれからも届けていきたいと話されています。
知識不足ややる気のなさなど、教育を受ける側の課題として語られやすい
受け手がどうであれ、機会を提供することが教育者の役割だと捉え直す
患者との関わりにも通じる「機会を届ける」姿勢
たいぞーさんは、この視点が学生だけでなく、新人や若手に関わる際にも同じかもしれないと話します。教える側がやるべきことは、機会を提供する環境を与えることだといいます。
さらに、薬剤師は患者との関わりの場面も多くあります。
患者がどうであれ、健康や体のことを見直し、それと向き合って何かを考える。そんな機会を提供するのも薬剤師の一つの役割ではないかと、話しながら気づいたと付け加えています。
学ぶ機会を届けるイベントの告知
最後に、学生の学ぶ機会の提供として、Triconというオンラインイベントが告知されました。9月26日の土曜日、15時から17時の2時間の開催です。
このイベントでは、現場の薬剤師と一緒に学生が症例を検討します。大学で学ぶ専門知識が現場でどう使われるのかを知り、学ぶ意義を理解してもらう機会になればという狙いです。
たいぞーさんは、症例検討を通じて学生が将来のイメージをつかみ、知識をただの知識ではなく患者を見るために掛け合わせて使う視点を持つことに期待を寄せます。
薬学教育学会でも、横断的に知識を統合することで記憶の定着が図りやすくなるという話を聞いたといいます。
勉強でつまずいている、そんな学生こそ、この症例検討を通して学ぶことの意義、そして知識の使い方を学ぶことで、今まで学んできた大学での勉強が有機的につながっていくのではないかと期待しています。
もう一つの告知として、10月25日の日曜日に兵庫県姫路市で、日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会を開催することも紹介されました。
薬剤師として専門性を活かしたいのに、自分の知識や経験を生かせている気がしないというモヤモヤを抱えている方に向けて、そのモヤモヤを晴らすきっかけになればと呼びかけています。
まとめ
教育とは、知っていることを教えることではなく、機会を提供することだ。この視点に立つと、受け手がどうであれ、教育者はひたむきに機会を届けることに集中できます。それは学生への指導にとどまらず、患者との関わりにも通じる姿勢だとたいぞーさんは語ります。
- 教育とは、何かを教えることではなく、機会を提供することだと捉える視点
- 受け手が何を学ぶかは受け手の課題であり、教育者の役割は機会を届け続けること
- この考え方は、学生や新人だけでなく患者との関わりにも通じる
- 9月26日にオンラインイベントTricon、10月25日に姫路市でバイタルサイン講習会を開催
