薬剤師が思考プロセスまで文書に書く理由
たいぞーさんは「薬学で患者を語る」ことを日々の業務で意識し、医師への情報提供を行う場面が業務の一つになっていると話します。
その際に大切にしているのが、薬学的に考えたロジックをきちんと言語化して伝えることだといいます。
ただ結論だけを伝えるのではなく、なぜそう思ったのか、なぜそう考えたのかまで含めて文書に書くようにしていると説明されています。
結論だけでなく思考も伝えようとすると、どうしても文章は長くなってしまう側面があると、たいぞーさんは認めています。
「長くないですか?」と言われ続けた現場での経験
たいぞーさんは前職で採用活動にも関わっており、自分の情報提供書を採用希望者に見せる機会があったといいます。
そこで度々返ってきたのが「長くないですか?」という言葉でした。
医師も忙しい業務の中で働いているので、長い文章を書いていると、これは読んでもらえないと思うんです。
採用の場面だけでなく、実際に働き始めた人へ情報提供書についてアドバイスをした時にも、同じような反応が肌感で結構あったと振り返ります。
短く簡潔に伝えることの大切さを、その都度教わってきたともいいます。
一方で、たいぞーさんはその指摘が部分的には正しいと考えています。単なる情報を伝えるだけなら簡潔さが最適解かもしれない、という整理です。
ただし、薬剤師が見立てを立てたうえでの処方提案は事情が違うといいます。思考プロセスを伝えないと、なぜその提案なのかがわからず、医師も承諾しづらいのではないかという見立てです。
長い文書で情報提供した結果、どうなったか
たいぞーさんは、実際に「長い」「読んでもらえない」と言われる文書で情報提供を続けてみたと話します。
前職の中川調剤薬局で以前データを取った際、その情報提供による処方提案の6割程度が処方に反映されていたといいます。
この結果から、読まれない理由は長さではないのではないか、という考えにつながっていきます。
医師同士の診療情報提供書から見える「長さ」の真実
たいぞーさんは、医師同士がやりとりする診療情報提供書を例に挙げます。
在宅訪問にあたって退院患者の診療情報提供書を見る機会があり、それらは決して短い文章では書かれていないケースが多いといいます。
治療経過や見立てを書くと文章はどうしても長くなりますが、医師はその長い文書を保管するだけでなく、きっちり読み込んで患者の状態を把握し診療に臨んでいるのではないか、とたいぞーさんは考えます。
つまり医師は「長い文章を読まない」のではなく、必要な長い文章は読み、必要でない長い文章は読まない、というのが正しい理解ではないかと整理します。
内容が医師にとって必要だと思える文書。長くても読み込まれる
内容が読むに値しない文書。長くても短くても読まれない
むしろ長くても読むべきだと思ってもらえる文章が書けていることは、医師に対して適切な情報提供が行えている一つの証でもあるのではないか、と話されています。
中身の質は「薬学で語る」ことで担保する
たいぞーさんは、短い文章でも読むに値しないものは読まれないだろうとし、長い短いではなく中身の質が問題だと述べます。
では中身の質はどう高めるのか。たいぞーさんが挙げるのは、専門的なロジックを持って語ること、つまり「薬学で語る」ことだといいます。
たいぞーさんは、長いと思われたとしても、これは伝えるべき情報であり、理論に基づいた見立てと処方提案なのだと伝わる文章を書くことを大切にしたいと語ります。
そうして医師とやりとりしながら、患者の処方が最適化されるよう関わっていきたいと締めくくります。
まとめ
「長い服薬情報提供書は読まれない」という言葉に対し、たいぞーさんは読まれない理由は長さではなく中身の質にあるのではないかと問い直しました。文章の長短ではなく、薬学的なロジックで語ることが情報提供書の価値を左右するという回です。
- 長さより「中身が読むに値するか」が読まれるかどうかを分ける
- 結論だけでなく、なぜそう考えたのかという思考プロセスを伝えることが処方提案の承諾につながる
- 前職では長い文書での処方提案の6割程度が処方に反映されていた
- 医師は必要な長い文章は読み込む。診療情報提供書がその例
- 中身の質は「薬学で語る」という専門的なロジックで担保する
