「この薬で調子が悪くなった」という相談
薬局で服薬指導をしていると、日々多くの患者さんと会話を交わします。その中で「この薬を飲んだら調子が悪くなった」と伝えられる機会は少なくないといいます。
調子が悪いといっても内容はさまざまです。だるさを感じる場合もあれば、血圧の薬でいつもより血圧が下がってしんどくなった場合、気分が悪くなった、しびれたといった訴えもあります。
こうした話を聞いたとき、患者さん自身も「薬の影響かもしれない」と心配しています。薬剤師も「もしかしたら薬かもしれない」と考えながら、その人の話に耳を傾けています。
受け止めることと、判断を委ねることは違う
体調が悪くなったという事実がある以上、「この薬は自分に合わない」と強く思い込む患者さんもいます。
そのとき薬剤師は、患者さんの言葉を否定せず、きちんと受け止める必要があります。ただし、判断まで患者さんに委ねてしまってはいけない、とたいぞーさんは話します。
薬の副作用でこんな風に調子が悪くなったんだと患者さんが強く主張されたとしても、それはあくまで患者さんの体に起こった事実、出来事としてきちんと受け止めます。
そのうえで薬剤師はプロなので、それが本当に薬によって引き起こされたことなのかは、別の視点で見極めて判断しないといけません。
患者さんがそう言うからと同調してやめる、という選択が、必ずしも患者さんのプラスになるとは限りません。それがプロの仕事だとも思わない、と語られています。
詳しく聞き取り、薬の働きから見極める
では、どうすればよいのか。まずは患者さんからさらに詳しく情報を伺うことが必要になります。
薬が体内でいつ働き始め、いつ体の外へ出て働きを失うのか。その間に体へ起こす変化には、治療目的の効果もあれば、目的とは違う変化として起こる副作用もあります。
こうした薬の働きから見ていくと、「この変化は起こりうる」あるいは「これは考えにくい」ということも見えてきます。あわせて、病気の治療がうまくいっているかどうかも分かってくることがあります。
そうして分析した結果、薬の影響である可能性が高いか低いかを、プロ目線の意見として患者さんに伝えることができる。これが責任あるプロの仕事だとまとめられています。
体の中の変化を見立てるのが薬剤師のプロの目
患者さんは、体の中で起こっている薬による変化を直接見ることができません。だからこそ、不調の原因を薬に置いて考えてしまう傾向がある、とたいぞーさんは指摘します。
一方で、薬学の専門知識を持つ薬剤師は、体の中を直接見られなくても、薬が入ってどのように体を変化させ、どんな変化が起こっているのかを見極める目を持っています。
その目を使うことで患者さんの体に起こる変化が見えてくる。そうすると、患者さんの言葉を受け止めつつ、プロとして判断を行うということが実践できると思います。
患者さんに寄り添うことと、プロとして責任を持って関わること。この放送が、その両方を両立させる関わり方を考えるきっかけになればと語られています。
バイタルサイン講習会とTriconの告知
最後に2つの告知が紹介されました。1つは、10月25日の日曜日に兵庫県姫路市で開催されるバイタルサイン講習会です。
学んで身につけたはずの力を日頃の業務で活かせていない、やりがいを見出せないといったもやもやを抱える薬剤師に向けた講習会だといいます。参加枠は徐々に埋まってきているとのことです。
もう1つは、9月26日の土曜日15時からオンラインで行う学生向けのイベント「Tricon」です。学生が現場の薬剤師と一緒に症例検討を行う内容になっています。
大学で学ぶ薬学の専門知識を患者さんにどう使うのかを、学ぶのではなく体感するイベントだと説明されています。
近年の薬剤師国家試験では、知識として知っているかではなく、現場の患者さんに適用して使えるかを問う問題が増えていると、たいぞーさんは毎年感じているといいます。
そうした力は実習以外の大学の授業では得にくく、実習先によっても学べる程度に差があります。だからこそ、自ら積極的に学びに行く姿勢が大事だと語られています。
まとめ
患者さんの「調子が悪くなった」という言葉は事実として受け止めつつ、それが薬の影響かどうかはプロの目で見極める。寄り添うことと責任を持って判断することの両立が、薬剤師の仕事だと語られた回でした。
- 患者さんの体調が悪くなったという事実は、否定せずきちんと受け止める
- 薬の副作用かどうかの判断まで患者さんに委ねず、プロとして見極める
- 症状の状況や薬との時間関係を詳しく聞き取り、薬の働きと照らして判断する
- 体の中の変化を見立てる目を持つことが、薬剤師のプロの目線である
- 10月25日にバイタルサイン講習会、9月26日に学生向けイベントTriconを開催
