残薬調整で薬剤師が問われる「本当の役割」とは
令和8年調剤報酬改定が施行され、残薬というキーワードがさまざまな場面で取り上げられました。
たいぞーさんは、この改定を踏まえて日々の業務のあり方を模索していると話します。そのなかで気づいた残薬への関わり方が、今回のテーマです。
今回の改定では、薬局が残薬に介入しやすくなるよう処方箋の様式まで見直されました。残薬問題への対応が、薬剤師だけでなく医療全体の課題として位置づけられているといいます。
残薬が「なぜ発生したのか」が示すもの
患者が残薬を持ってきたら、数を数えて処方日数を減らし、残薬を活用して医療費の削減に努める。もちろんこれは行っていく対応です。
ただ、たいぞーさんは、残薬が発生する背景には医療費だけではない問題があると指摘します。
残薬があるということは、医師が想定した薬物治療がそのとおりに実施されていないということでもあります。
つまりは医師の見立てが狂っているというか、思った通りにいっていないというところ、ここもとても大きな問題になるんじゃないかなと思います
だからこそ、残薬が発覚したときは数を数えるだけでなく、それがいつ頃から発生した残薬なのかを考えることが重要だと話します。
飲み忘れのパターンと薬の特性から治療を見極める
同じ残薬でも、発生のしかたによって意味が変わります。毎日飲み忘れて溜まったのか、なんとなくポツポツと飲み忘れたのかで、状況の解釈は異なります。
さらに薬には、長く作用するものと短く作用するものがあります。こうした違いを考慮することで、治療が実際どうなっているのかを薬剤師の視点で見極められると説明します。
飲み忘れはあるが、薬はちゃんと効いて今の状態になっている
飲み忘れによって薬が働かず、その結果として今の状態になっている
この見極めができると、今後の薬物治療をどうするかを医師と検討する段階へ進めます。
医師が体の中で薬がどうなっているかを一から考え直すのではなく、治療戦略を立てるスタートラインにすぐ立てるようになるといいます。
いたちごっこを止め、医療の質を上げる関わり
残薬が再び発生すれば、対応の繰り返し、いわゆるいたちごっこになってしまいます。
そこでたいぞーさんは、残薬が発生した原因を突き止め、対策を講じることが医療の質を上げると話します。
薬剤師は、薬の作用だけでなく、体の中でどの程度持続して効くのかを理論的に導き出せる。それが薬学の強みだといいます。
「数える作業」で終わらせないために
残薬調整に関わりやすくなったからこそ、医療費削減のために数を数えることに終始しないでほしいと、たいぞーさんは呼びかけます。
薬物治療をより良くするために、残薬調整のなかでも薬学で患者を見て、薬学で患者を語ることを実践する。それがこの改定で求められていることだと考えられます。
医療費の削減のために数を数えるというところに終始するのではなく、きちんと薬物治療をより良くしていく、そういったところに関わる
薬剤師が主体的に残薬調整に関わることで、医師と協働して薬物治療をより最適にしていく。その第一歩となる土台が、今回の改定で作られたともいえます。
まとめ
残薬調整は数を数えて医療費を削減するだけの作業ではなく、なぜ残薬が生まれたのかを読み解き、薬物治療そのものを見直す薬学的アセスメントの入口になり得ます。
- 残薬への介入は今回の改定で処方箋様式まで見直され、医療全体の課題として位置づけられた
- 残薬は医療費の問題だけでなく、医師の想定した治療が実施されていないサインでもある
- 飲み忘れのパターンと薬の特性から、薬が効いているのか効いていないのかを見極められる
- 薬剤師は薬が体内でどの程度持続して効くかを理論的に導き出せる点が強み
- 数を数えるだけで終わらせず、薬学で患者を見て医師と協働することが求められている



