なぜ「一緒に行くだけ」では意味がないのか
この回のテーマは、6月に施行された調剤報酬改定で新たに評価されることになった「医師との同時訪問」です。
たいぞーさんは、この項目が薬剤師だけでなく医師の側にも評価として追加された点に注目しています。
同時に訪問することが、医師・薬剤師双方にとって患者の医療の質を上げることにつながる、その表れだと話されています。
ただし、効果的になるなら同時訪問をしたいと考える一方で、たいぞーさんは大事な前提を強調します。
同時訪問するっていうのは、ただ一緒に行けば効果的に関われるかというと、そういうことではないっていうのはもちろんのことなわけなんです。
だとすれば「行って何をするのか」を考えておかないと、なんとなく良かったで終わり、患者の治療が良くならないことにもなりかねないと指摘します。
残薬とポリファーマシーをどう解消するか
薬剤師が同時訪問で何を考えるべきか。たいぞーさんは、厚生労働省の説明資料にあった記載を一つのポイントに挙げます。
同時訪問によって、残薬の解消やポリファーマシーの解消に効果的に介入できるのではないか、という点です。
たとえば薬剤師が訪問して残薬を確認し、どのくらい飲めていないかを把握します。
そのうえで、飲めていない状況で今の患者の状態はどうなのかを、医師と一緒に見ていくことが重要だと話します。
たいぞーさんは、医師と薬剤師の役割をこう整理しています。
薬の体への影響を見る。残薬や副作用リスクなど薬学的な視点で患者を捉える
患者の体を見る。病状や体調をより正確に捉える専門知識を持つ
両者が見た情報を突き合わせることで、今の薬物治療がうまくいっているのか、あるいは減らせる薬があるのかを、より正確に確認できると考えられます。
数えるだけで終わらせない薬学的な視点
たいぞーさんが繰り返し強調するのは、薬剤師が薬学的な視点で患者を見ることです。
残薬をただ数える、薬の数を数えてポリファーマシー状態だと数のうえから伝えるだけでは足りないと話します。
薬の数が多く、体調も悪そうだという状況であれば、そこに薬学的な根拠を重ねて医師や患者と共有する必要があると説明します。
その根拠として、6剤以上の服用で薬剤の副作用リスクが上がると言われている点に触れています。
だからこそ、減らせる薬を検討した方がよいのではないかと、その場で医師や患者と共有しながら薬物治療を見直していく。
そういった関わりを、薬剤師が同時訪問の中でディスカッションして検討していくことが、薬物治療の質を上げることにつながるのではないかと話されています。
さらに、1回きりで終わらせない計画的な進め方も大切だとしています。
確認
薬剤師が残薬を確認し、医師とともに今の状態を見る
検討
薬物治療が適切か、減らせる薬がないかをその場で確認し合う
すり合わせ
次回まで何を見ていくかを医師と決める
継続
期間中はそれぞれ見て、次の同時訪問でまたディスカッションする
新しい評価が現場の意識をどう変えるか
たいぞーさんはこれまでも、訪問診療同行や在宅訪問を行ってきたと振り返ります。
そうした視点を持っていなかったわけではないものの、新しい算定の評価が付いたことで、より意識的に実践する必要を強く感じていると語ります。
そういった視点、持ってなかったわけではないんですけども、この新しい評価が付いたことによって、より意識的にそういったことを実践していかないとなということを今強く感じています。
そのうえで、薬学的な視点を大事にしながら、医師とともに患者の薬物治療をより良くしていく関わりを実践していきたいと話されています。
この回は、在宅訪問で医師と同時に訪問することで薬物治療の質を上げるために、薬剤師に何ができるかを考えるきっかけになればという言葉で締めくくられています。
まとめ
医師との同時訪問は、ただ一緒に行くだけでは意味がありません。薬剤師が薬学的な視点で患者を見て、医師と役割を分担しながら計画的にディスカッションしていくことが、薬物治療の質を上げる鍵だと語られた回でした。
- 令和8年の調剤報酬改定で、医師との同時訪問が薬剤師・医師双方に評価される項目として新設された
- 同時訪問のポイントは、残薬の解消とポリファーマシーの解消に効果的に介入すること
- 薬剤師は薬の体への影響を、医師は患者の体を見て、情報を突き合わせて薬物治療を確認する
- 残薬や薬の数を数えるだけでなく、副作用リスクなど薬学的な根拠を添えて医師や患者と共有することが求められる
- 1回で終わらせず、次回まで何を見るかをすり合わせて計画的に続けることが効果を高める



