医療従事者にとって当たり前の自己研鑽
番組冒頭で、たいぞーさんは薬剤師のキャリアアップ、レベルアップの方向性について話したいと切り出します。
医療現場の情報は日々アップデートされていくため、新しい情報を得に行ったり、自ら学びに行くという習慣は、医療従事者の中である種当たり前のように身につくものだと話します。
そのうえで、レベルアップには方向性があるのではないか、というのがこの回の出発点です。
1つ目の方向性は「今の仕事の質の追求」
1つ目の方向性として挙げられるのが、今の仕事の質を高めていくことです。
保険調剤業務でいえば、処方内容の適正性を確認して判断し、医師に疑義照会を行う処方監査の能力が挙げられます。
もう1つが服薬指導です。薬の内容や服用時の注意点、副作用などを伝えますが、ただ情報をそのまま伝えるのではないと説明します。
患者さんが理解しやすいように、そして今目の前の患者さんにとって必要な情報は何かを考えながら伝えることが求められる、と話します。
理解度も患者さんによって様々なので、理解度に応じた対応も考える必要があると補足します。
こうした処方監査の能力や服薬指導の対応力を極めることで、今の仕事の質を高めていく。これがまず1つのレベルアップの方向性です。
調剤業務も同様で、一包化のスピードや棚から薬を取るスピード、粉薬をワンストロークでぴったり測れるようになることなどが挙げられます。
調剤業務をずっと繰り返しやっていると、今日はなんかいけてるなというか、すごく上手に調剤ができるようになったなと思うような、そんな自分の成長を感じる場面というのは、やはり少なからずあったりします。
たいぞーさん自身も調剤を12年続けてきた中で、こうした成長を感じる場面があると話します。
自分のスキルアップを考えるとき、今の業務の延長線上にある先を目指す道が、最も多く選ばれる方向性ではないかとまとめます。
2つ目の方向性は「新しさ」という視点
一方で、レベルアップにはもう1つの方向性があると話が展開します。それが「新しさ」という視点です。
今の業務の中ではやっていないことだけれど、それを行うことで今の業務がガラッと転換し、新たな価値を生み出せるようになる。そうした方向のスキルを身につける道です。
専門領域と関係ない知識を学ぶことで新しさが生まれることもあると認めつつ、たいぞーさんが注目するのは別の部分です。
今の業務の延長線上に、まだ非常に薄い部分として存在するもの。それが「薬学で患者を語る」、薬学の専門知識を使って患者のことを思考し考えることだと話します。
情報を伝えるのではなく、患者の見えない変化を見抜く
服薬指導というと、患者さんに情報を伝える情報発信の場面が思い浮かびます。
しかしたいぞーさんは、患者さんから情報を得て、今目の前の患者さんがどうなっているのか、体の中で起こる見えない変化を専門知識で見抜くことができると考えています。
患者さん自身も、自分の体の中で見えない変化が起こっているため、このまま続けていいのか確証を持てないまま飲んでいる人が多いといいます。
医師が見立てて処方しているのだから信じて飲み続けるしかない、と思って飲んでいる人も多い一方で、信用しきれないと治療を続ける意欲が大幅に低下し、必要な治療が継続できない人も少なからずいるのではないかと話します。
これは薬の効果だけでなく副作用の面でも同じです。副作用が起きていないだろうか、大丈夫なはずと自分に言い聞かせて治療を続けている人も多いといいます。
その一例として、週刊誌で「飲んではいけない薬」といった記事が取り上げられると、必要以上に心配になって治療をやめてしまう患者さんが出てくる問題を挙げます。
これは以前から医療の大きな課題として言われていることですが、その背景には、自分の体の中で起こっている変化に安心と確証を持てていないという要因があるのではないか、と指摘します。
薬剤師が持つ「2つの変化を捉える力」
では、その確証をどう持てばいいのか。自分で理解するのは難しく、誰に相談すればわかるのかもわからず、誰にも相談できない。結局ネットやAIの情報を駆使して、わからないなりに判断するしかない人も多いといいます。
たいぞーさんは、薬剤師こそその問題を解決できる専門職になり得ると考えています。
薬が体に入ると、体をどのように変化させるのか。それを表面上に現れることだけでなく、体のメカニズムの仕組みの部分から理解しているのが薬剤師だと話します。
さらに、薬が体に入ってからどのくらいの時間で、どの程度の働きを発揮するのか。時間経過とともに見る薬の影響を捉えられることも薬剤師の強みだと説明します。
この2つの変化を捉える力こそが薬学だ、というのがたいぞーさんの考えです。
効果も副作用も、表面の現れだけでなく体のメカニズムの仕組みから理解する
薬が体に入ってから、どのくらいの時間でどの程度の働きを発揮するかを捉える
この強みを生かす力を鍛えることで、質の高さとともに新しさを生み出し、新たな次元の薬剤師が生まれてくる。それがたいぞーさんの考える「薬学で患者を語る薬剤師」のイメージ像だといいます。
4年制・6年制を問わず、すべての薬剤師の土台
こうした薬剤師が世の中に生まれることで、薬に漠然とした不安を抱えている患者さんが一人でも救われる医療を届けられるようになるのではないか、と話します。
この薬学の専門性は、6年間の教育でも4年間の専門教育でも同じく学ぶものだといいます。
6年制の薬剤師は追加の2年間で臨床的な能力を学び、4年制の薬剤師は少し早く現場に出た分、現場の中で臨床の力を身につけているはずだといいます。
薬剤師は4年制も6年制も、すべて共通の薬剤師という資格を持って仕事をしている。だからこそ、薬学の専門性を生かして患者に関わることは、すべての薬剤師が土台に持つ能力だと話します。
この専門性を活かすことは、地域で行われている薬物治療というのを大きく変える力になると思っています。
患者さんの治療をより良くするために、今の業務の延長線上だけでなく、そうではない新たな自分の力にもぜひ目を向けてほしいと呼びかけます。
バイタルサイン講習会とトライコンの告知
最後に、たいぞーさんは2つのイベントを告知します。
1つは10月25日に開催される日本在宅薬学会のバイタルサイン講習会です。薬剤師の新たな強みを見つけるきっかけになると話し、収録時点で残り参加枠は5枠だと案内しています。
もう1つは9月26日の土曜日に開催されるトライコンで、薬学生と現場の薬剤師が一緒に症例検討を行うオンラインイベントです。
薬学で患者を語るということを、症例検討を通して薬学生にも実感してほしいという思いで開催すると話します。
現場の薬剤師には、知り合いの薬学生や実習生にこのイベントを伝えてほしいと呼びかけて、放送を締めくくります。
まとめ
この回では、薬剤師のレベルアップには「今の仕事の質の追求」と「薬学で患者を語る新しさ」という2つの方向性があると整理されました。薬による体の変化と時間経過を読み解く力を生かすことが、新たな次元の薬剤師につながると語られています。
- レベルアップの1つ目の方向性は、処方監査や服薬指導、調剤など今の仕事の質を高めること
- 2つ目の方向性は「新しさ」で、薬学の知識で患者の見えない体の変化を見抜くこと
- 薬による体の変化と、時間経過に伴う影響を捉える力が薬剤師の大きな強み
- この専門性は4年制・6年制を問わず、すべての薬剤師が土台に持つ能力だと語られる
- 新たな強みを見つける場として、バイタルサイン講習会とトライコンが告知された
