吸入指導は「初回で終わり」ではない
じめっとした季節の変わり目は、喘息の症状が悪化する方が増える時期です。薬局では吸入指導加算という調剤報酬上の評価もあり、吸入手技を適切に行えるよう患者に指導している薬剤師も多いと話されています。
初回は、手技を学び、実際にやってもらいながら使い方を確認していく作業が重要な要素を占めます。
ただ、喘息治療で使う吸入薬は、そこから2ヶ月、3ヶ月と継続して使っていくケースが多いといいます。
そうなると2回目以降は「もうやり方はわかっているし、改めて何を指導すればいいのか」と戸惑う薬剤師もまだいるかもしれない、とたいぞーさんは指摘します。
2回目以降こそ介入する意義がある
たいぞーさんは前職で会社全体の店舗運営マネジメントを担っていた頃を振り返ります。吸入指導加算が新設され、2回目以降の吸入指導に取り組んでもらおうとした際、現場から戸惑いの声が上がったといいます。
2回目以降、改めて何を伝えたらいいのか、患者さんからすると知っている話をもう一度してどうするんだ、というような意見が出てきたのを今でも覚えています。
しかしたいぞーさんは、むしろ2回目以降にこそ薬剤師が介入する意義があると考えています。
2回目以降の指導は、吸入の仕方を覚え直す場ではなく、指導を受けた患者が実際にどう吸入しているのか、手技を適切に実行できているかという「実行度合い」を確認するフェーズだといいます。
ただし、手技の再確認だけでは片手落ちだとも話します。2回目以降には、その薬を使って症状がどうなっているのかという経過の情報も、必ずセットであるはずだからです。
手技と状態を掛け合わせる4つの象限
そこでたいぞーさんは、「手技が適切かどうか」と「状態が良くなっているかどうか」を掛け合わせて考えます。この2つの情報を集めることで、次にどう介入すべきかが見えてくるといいます。
1つ目は、手技もきちんとできていて状態も改善しているパターンです。薬がよく効いて治療効果良好であり、このまま続けて気管支の炎症を落ち着かせていけると判断できます。
2つ目は、状態は良くなっているのに手技がめちゃくちゃなパターンです。
薬が十分に作用していないのに症状が改善しているなら、「この薬はいらないのでは」という視点が生まれ、減薬の提案につながるといいます。
3つ目は、手技は適切に行えているのに状態が良くならないパターンです。
この場合は、吸入薬のグレードを上げる、吸入回数や容量を調整するなどの検討が必要になります。近年は2剤、3剤を混合した吸入剤も多く販売されており、より効果的な治療に向けた薬剤の変更提案につながるといいます。
4つ目は、手技もできておらず状態も良くなっていないパターンです。まずはちゃんと使えていないことが原因なので、できていないところを確認しながら再指導を行い、その後の経過を見ていく土台を固め直す作業が必要になります。
薬学的アセスメントとして医師につなぐ
たいぞーさんは、この一連の確認を薬学的なアセスメントそのものだと位置づけます。
こうして患者の状態をきちんと評価すると、吸入指導の結果を医師に報告する際にも、いまどんな状態で、どんな介入をしたのか、あるいはこのままでOKだと確認できたのかが、クリアに見えてくるといいます。
最初のファーストアクションとして行った手技指導と、その成果を2回目以降で見ていく。この連続性を持った介入が大切だと話します。
6ヶ月に1回の再確認で治療をつなぐ
吸入指導加算は、いまは6ヶ月に1回算定することが認められている評価です。
そのため6ヶ月に1回ほどは、吸入指導の成果を継続的に確認し、薬物治療が適正に行えているのか、変更の余地はないのかを見立てていくとよいと話されています。
患者がよりよい薬物治療を受けられるように、薬学で患者のことを語り、介入していく。それが吸入指導の中で求められる薬剤師の役割ではないかと締めくくられました。
まとめ
たいぞーさんは、吸入指導を初回で完結させず、2回目以降を薬剤師の介入のしどころと捉えます。手技と状態を掛け合わせて評価し、継続・減薬・変更・再指導のどれが必要かを見極めることが、薬学的アセスメントの実践になると語られました。
- 初回の吸入指導は手技の習得、2回目以降は手技の実行度合いと症状経過の確認が焦点になる
- 手技が適切かと状態が改善しているかを掛け合わせると、継続・減薬・変更・再指導の4つの方向性が見えてくる
- 手技も状態も良好ならこのまま継続、状態が良いのに手技がだめなら減薬提案につながる
- 手技は適切でも状態が良くならなければ薬剤の変更提案、どちらもだめなら再指導が必要になる
- 評価した内容を医師に報告し、6ヶ月に1回の再確認で薬物治療の適正さをつないでいく
