初対面なのに「近い」と言われる3人の初コラボ
この回は、速水健朗さんの「これはニュースではない」と、三宅香帆さんと谷頭和希さんのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」による番組同士の初コラボ企画です。3人はこの収録が初対面で、Zoom越しの顔合わせから始まります。
谷頭さんは、出版社の人と打ち合わせをするとき「速水健朗さんみたいなことを書く人」と紹介されることがよくあるといいます。業界的に同じカテゴリーの書き手だと思われているようです。
速水さんは、自分がショッピングモール研究家でもあることを挙げ、確かに近いのではないかと応じます。三宅さんは、谷頭さんがゲンロン批評再生塾の出身で、いる界隈も書くものも似ているからではないか、という説を紹介しました。
一方で谷頭さん本人は、速水さんの著作をたくさん読んで影響も受けてきたと認めつつ、少しずつ違うとも感じています。ただ、その違いはまだ自分の中でうまく言語化できていないそうです。
速水さんは、ポッドキャストを始めてからずっと番組同士のコラボをやってみたかったといいます。単発でゲストを呼ぶこととコラボはまったく別物だと考えており、今回が自身にとって初めてのコラボです。三宅さんと谷頭さんにとっても初のコラボで、お互いの番組を代表しての対談になりました。
あのね、コラボとゲストって僕全然違うもんだと思っていて。
結婚式は「感想が1つしかない作品」なのか?
速水さんが最初に尋ねたのは、三宅さんと谷頭さんが2人でポッドキャストを始めた経緯です。2人は「こんな本、どうですか?」の前に、古典文学を語るポッドキャストをやっていました。
当時の谷頭さんは高校の国語の先生で、三宅さんも大学院で古典を専門にしていたことから始めた番組でした。ただ、こちらはほとんど続かなかったといいます。速水さんはこれを「最初のバンドが弾けずに解散したようなもの」とたとえています。
2人の組み合わせのきっかけは、書店B&Bでの三宅さんの新刊イベントでした。谷頭さんは言論系、三宅さんは宇野常寛さんのPLANETSから本を出しており、三宅さんには批評の世界を明るく再構築したいという「裏テーマ」もあったそうです。ただし、谷頭さんはその裏テーマに特に興味がないようだと三宅さんは笑います。
イベントで最も盛り上がったのは、結婚式についての話題でした。三宅さんは結婚式が大の苦手で、谷頭さんは人の結婚式に行くのが人生で一番の喜びだという、正反対の見解だったのです。
話を振られた速水さんは、行ったことのある結婚式への批判になりかねないと前置きしつつ、親戚が集まる場が自分の親戚でも他人の親戚でも苦手だと明かします。
顔を覚えられないので、覚えてないので。あのね、親戚の中で僕だけが遠くに住んでいるってケースが多くて。転勤族だし。
速水さんは母方が金沢、父方が秋田で、地元志向の強い親戚の中で、自分だけが東京で文化人のような仕事をしているとバカにされがちだと感じてきたそうです。
三宅さんの苦手の理由は違います。三宅さんは結婚していますが、結婚式は挙げませんでした。結婚式の感想は「おめでとう、よかったね」の1つしか出てこないのに、その作品のために膨大な気力とお金をかけるのか、と考えたからです。
これに対して谷頭さんは、大変な時代に、あの2時間だけは多くの人が幸せそうにしていて、式場の人も演出してくれる貴重な場だと反論します。料理の良し悪しなど裏で言う感想もあるので、感想が1つというのも違うといいます。谷頭さんにとって結婚式は、仮のものかもしれないけれど祭りのような晴れの場なのです。
感想が「おめでとう」の1つしか出てこない作品に、膨大な気力とお金をかける意味がわからない
辛いことの多い時代に、2時間だけみんなが幸せそうにしている晴れの場で、それ自体が貴重で楽しい
結婚式が定番化するのは「失敗できないから」?
2人の意見を聞いた速水さんは、意外にも谷頭さんの反論に「なるほど、そっちもありだな」と感じたといいます。三宅さんの「感想が1つ」という指摘にも納得したうえで、なぜそうなるのかを考えました。
あのね、結婚式、感想が1つであるってのもすごい納得するんだけど、なぜそうなるかって、今の話から聞くと絶対失敗できないんですよ。
速水さんの見立てでは、最初は変わった企画をやりたいと思っても、少しでもリスクがあるものは結婚式では難しく、だんだん定番になっていきます。子どもの頃に見たバブル時代のゴンドラ演出も廃れ、その時代ごとの別の演出に置き換わってきたといいます。
絶対に失敗できない
一生に一度の場なので、新郎新婦も式場もリスクを取りにくい
変わった企画は避けられる
少しでもリスクのあるアイデアは採用しにくい
定番化する
演出が型どおりになり、感想も「おめでとう」に収束する
速水さんは、結婚式をテレビの2時間ドラマにたとえます。2時間ドラマはつまらないものの代表とされがちですが、10年、20年に1回しか見ないなら、いい役者と熟練の作り手の結集だと思って楽しめるというのです。感想が1つしかないことは、むしろ作品としての特別さだという見方です。
三宅さんは「谷頭さんの口車に乗せられている」と抵抗し、人生が2時間に収まってたまるか、そんな場に承認を求めてはいけないと返します。谷頭さんは「あの2時間は仮だから、心の余裕を持とう」と応じました。
話は二次会にも広がります。三宅さんは、自分のコミュニティだけの内輪の飲み会なら楽しめるものの、結婚式の延長線上にある二次会は気が重いそうです。
速水さんはここで、結婚式は自分の知らないコミュニティとの出会いの場でもあると指摘します。出身地や家のカルチャーが違う相手と会えるのは異文化体験で、ヤンキーのコミュニティに出会い、走り屋の話で盛り上がると熱くなるといいます。
走り屋の話とかでちょっとあったりすると、お、そっち行けるんすか?みたいな。
三宅さんにも異文化体験はありました。京都大学出身の友人が慶應の幼稚舎出身の人と結婚し、豪華なホテルでの式に出たときは、京大のテーブルだけ空気が重く、今すぐ帰りたくなったそうです。速水さんと谷頭さんは「帰りたいより観察したい」と口をそろえ、三宅さんも「異文化を観察する場としての結婚式」という新しい視点を受け取りました。
ゴンドラの時代は本当に豪華だったのか?
谷頭さんは、ゴンドラや巨大なウェディングケーキのような豪華な結婚式に出席したことがあるのかと速水さんに尋ねます。速水さんの答えは「ゴンドラだけが豪華だった」というものでした。
速水さんによると、結婚式にかかる費用は現代のほうが圧倒的に高いといいます。現代は300万円ぐらいかけるのが基本で、昔はその3分の1ぐらいでした。ゴンドラにだけコストをかけ、全体としては「てんとう虫のサンバ」を歌うぐらいの、しょぼいものだったそうです。
費用は現代の3分の1ぐらい。ゴンドラにだけコストをかけ、全体は質素
300万円ぐらいかけるのが基本で、全体の費用は圧倒的に高い
速水さんの地元では、ゴンドラで結婚式をする会場といえば玉姫殿 ── 冠婚葬祭の互助会系企業が各地で展開していた結婚式場のブランド。昭和期に地方都市を中心に多くの式場がありましたでした。バブル時代は「一点豪華主義」で、若者たちは貧乏に暮らしていたというのが、10歳ぐらいだった速水さんの記憶です。
三宅さんは、消費社会で豊かというイメージの時代も、実は豪華なのは一点だけで、街全体はそうでもなかったという話に「言われてみれば」と驚きます。
続いて速水さんは、自分が20代を過ごした時代はむしろリッチだったと振り返り、2人にとっての時代のイメージを尋ねます。高知県の田舎で育った三宅さんにとって、子どもの頃は家族の中心がまだテレビで、ローソンに行くのが楽しみという空気感の時代でした。
池袋で生まれ育った谷頭さんには、当時の池袋の治安の悪さが記憶に残っています。幼稚園へ親の自転車で通う道が、北口の歓楽街のど真ん中にあるロマンス通りだったそうです。親から「池袋は深夜を過ぎたら銃の音が聞こえる街だから気をつけな」と言われたことを今も覚えているといいます。
速水さんは、池袋は場所によるものの、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」のイメージになるくらいにはヤンキーやカラーギャングがいた街だと補足します。谷頭さんは、池袋は数メートル単位で歓楽街、学生街、チャイナタウン、劇場街と雰囲気が変わる「モザイク状の街」で、そこが面白いと語りました。
噛み合わない2人のトークは、なぜ成立するのか?
話題が次々と展開する様子を見て、速水さんは、2人はテーマを設定しなくてもどんどん話が出てくるのだと感心します。谷頭さんは速水さんの計画を壊しているのではと恐縮しますが、速水さんは自分も乗っかりたいタイプなので大丈夫だと返しました。
三宅さんによると、この日の別の収録テーマは「移動」でした。谷頭さんは通勤から生まれた文化や、電車、空港という場所の話をし、三宅さんは少女漫画で移動から恋が始まる理由や、『電車男』『NANA』『あまちゃん』など、ゼロ年代に電車の物語が多かった理由といったフィクションの話ばかりしていたそうです。
同じテーマなのに全く別の話をしているという三宅さんに対し、速水さんは「むしろ噛み合っている」と受け止めます。
同じ話をしてしまうとね、逆にトークが成立しないっていう。
谷頭さんも、自分は三宅さんが考えていることがわからず、三宅さんも谷頭さんの考えがわからないからこそ、お互いに突っ込んで話が広がり、なあなあにならないと分析します。三宅さんは「意見を対立させてこその本どう」だと語り、速水さんは「断絶にはならないということだ」とまとめました。
一人喋りはなぜ難しいのか?
三宅さんは、2人でポッドキャストをやっていた時期を経て、今は一人で喋っている速水さんに「一人で喋り続けるのは大変ではないか」と尋ねます。速水さんの答えは、もともと一人で話すのが苦手だというものでした。
速水さんは3年ほど前、東京FMで一人のラジオ番組を担当していましたが、一人で喋るのがとても苦手だったといいます。インタビュアーとして話を聞くのがライターとしての主な仕事だったため、一人で喋る経験がなかったのです。そこで、トレーニングのつもりで一人のポッドキャストを始めました。
ただ、速水さんは昔、小倉さんと2人でポッドキャストをやっていました。いい大人なのに本当に喧嘩をして分裂し、望まずに一人になったという経緯があり、速水さんはこれを「バンドがソロになってしまった」とたとえます。
ソロ活動の感想を聞かれた速水さんは「なかなか厳しい」と答えます。理由は、自分の脳みそだけでは意外な話に展開しないことです。
自分から急に結婚式の話から移動の話、え?池袋?とかならないでしょ。
自分の脳みそだけなので、意外な方向に話が展開しにくい
相手が話題を振ってくれるので、結婚式から移動、池袋へと意外な展開が生まれる
ポッドキャストはどうすれば揉めずに続けられる?
谷頭さんは、他者がいる意外性の裏には、速水さんのように喧嘩に発展する危うさもあると指摘します。どうすれば喧嘩にならないのかを聞こうとしていたのに、逆に聞かれてしまったと笑い、三宅さんも「大きな議題」だと応じました。
速水さんから見ると2人は喧嘩になりそうにありませんが、三宅さんには一度だけ小競り合いの記憶があります。好きなお菓子の話で三宅さんが「たい焼きが好き」と言ったところ、谷頭さんが「マカロンとかじゃないんだ」と返し、イラッとした三宅さんがスルーしたら「なんでスルーしたんですか」と言われた、という出来事です。
谷頭さんは、三宅さんにはふんわりした雰囲気があるのでマカロンが好きかと思った、と説明しますが、三宅さんは「適当すぎる」と一蹴し、結論のない話として終わりました。
速水さんは、揉めごとが起きるとすれば番組内のトークではなく、テーマ決めや番組の方向性といった裏方の部分ではないかと考えています。
谷頭さんによると、2人の番組では放送作家がテーマを出してくれるため、どちらかが主導するのではなく、来たお題に2人で頑張って喋るという対等な立場です。そのため方向性で揉めることはないといいます。
三宅さんは、速水さんが箕輪厚介さんのゲスト回で語っていた「一方は拡大したいのに、一方はそうでもない」という音楽性の違いのような状況になれば衝突が起こるかもしれないが、自分たちはまだその段階にないと話します。速水さんはこれを「武道館に行きたい人」と「まずは地道に試そうという人」の違いにたとえました。
谷頭さんは、自分と三宅さんが分裂しない理由として、2人ともミーハーでポップなものが好きという共通点を挙げます。地上波に行けるなら楽しく拡大してもいい、という根本の部分が似ているのです。揉めない鍵は、意見の違いではなく根っこの志向の一致にあるといえそうです。
三宅さんも、2人とも批評界隈に片足を突っ込みながら物を書いているわりに明るいのが共通点だと話します。速水さんは、2人のトークは物書きのトークではなく、車でラジオをつけたときに聞こえてくるようなテンションだと評しました。
声質とテンションは、音声番組の何を決めるのか?
速水さんが2人の番組で面白いと感じているのは声質です。ポッドキャストやラジオの2人トークで、キャラクターと声質がはっきり分かれている番組はなかなかないといいます。
男性同士とかだと特にそうだけど、どっちが誰かわからなくなっちゃう。
速水さんは、顔の見えないポッドキャストではキャラを立たせることは当然としつつ、それ以外にも判別の手がかりが必要だと話します。この2人の場合、三宅さんのほうが声が低く、谷頭さんの声はノッてくると高いところから来るのが特徴です。
谷頭さんにとって、声は「由々しき問題」でもあります。MBSの放送局のいいマイクほど正確に音を拾うため、抑揚の大きい谷頭さんの声は、振り切ったときにキーンと鳴ってしまいます。声の調整が難しいとの苦情を受けたそうです。三宅さんも、興奮すると声が裏返るのを抑えるのを忘れてしまうといいます。
それでも速水さんは、テンションを伝えるほうが大事だと考えています。一人で淡々と喋り続ける番組は、聞いている側が寝てしまうからです。
一人で喋る速水さん自身は、あえて乗り突っ込みをするようなモードを作り、抑揚を出すことに気を使っているそうです。三宅さんと谷頭さんが「聞き直してテンションが上がったところを探そう」とからかうと、速水さんは「その意地悪コメントやめてください」と返しました。
ライターにとってポッドキャストは何の場になるのか?
三宅さんは、ポッドキャストを続けていると、思っていた以上に「聞いています」と言ってもらえることが増え、音声は聞かれやすいのだと驚くことがあるといいます。
速水さんは、ライターを基本的に「飛んできた球を打つ人」だと表現します。依頼されたテーマで書く仕事なので、自分から関心を発信していないと、昔のラーメンや携帯小説の話の書き手として依頼が来てしまい、「今はそっちのモードじゃない」というズレが起きるのです。
そこで速水さんは、自分が今何に関心があるかを常に発信する場としてポッドキャストを始めました。リスナーには同業者も想定していますが、一般のリスナーの声も欲しいといいます。ただ、Spotifyのコメント欄くらいしか直接の声が届く場がないのが悩みです。
三宅さんも、日常の場でふと「こういうこと言ってましたね」と言われる程度で、いつ聞かれているかはわからないそうです。それでも三宅さん自身、速水さんのポッドキャストを聞いて、今はアメリカの格差社会に関心があるのだと知りました。本やTwitterよりも、声だから人となりも含めて理解しやすいと感じています。
谷頭さんは、書いたものから見える人物像と実際の自分が乖離していることを課題に挙げます。ビジネス系メディアでは鋭く怖い人だと思われ、初対面の人に「怖いと思っていました」と言われるそうです。声なら人となりが伝わるので、ライターがポッドキャストをやるのはパーソナルな部分を見せられる点で良い、と話しました。
依頼に応じた仕事が中心で、硬く、ときに怖い人物像として読まれやすい
今の関心を自分から発信でき、人となりも含めて伝わりやすい
書くことと喋ることは一致させるべきか?
速水さんも、自分の書くものは硬く読まれることが多く、文体を喋り口調に寄せたほうがいいのではと迷っているといいます。この年に出した新刊は、ポッドキャストを書籍化したものでした。
速水さんは、本の部数が縮小していく時代に、ラジオやポッドキャスト、テレビなど複数のメディアに出ることはライターの生存戦略だと考えます。原稿を書くより自分のポッドキャストを編集している時間のほうが長いかもしれないほどで、喋ることと書くことが一致すれば、もっと本を書けるのではないかと2人に問いかけました。
谷頭さんの答えは「一致させたい」です。ポッドキャストで喋っているほうがしっくりきて、文章でも怖い人に思われたくないといいます。
三宅さんは、東洋経済オンラインのような媒体にはそれぞれのトンマナ ── トーン&マナーの略。文章やデザインの雰囲気や表現ルールを、媒体やブランドに合わせてそろえることを指しますがあり、企業の記事でふざけたことは書けないと反論します。谷頭さんもすり合わせは必要だと認めつつ、乖離しすぎていて気持ち悪いと話しました。
三宅さん自身も、東浩紀さんや宇野常寛さんのように、喋るように書ければ量産できると感じています。ただ今のところは書くほうが早く、喋りの技術がそこまで追いついていないため、どう練習すればいいのかと悩みを打ち明けました。
速水さんは、自分は喋ったほうが早いかもしれないと話します。ただしそれは、20分ほどの1回分を録るためにかなり準備して書いているからだと付け加えました。
| 話者 | スタンス | 理由 |
|---|---|---|
| 谷頭和希さん | 一致させたい | 書いたものが怖く読まれ、実際の人物像と乖離している |
| 三宅香帆さん | 一致させたいが難しい | 喋るように書ければ量産できるが、今は書くほうが早い |
| 速水健朗さん | 一致させる方向で迷い中 | 部数縮小の時代、複数メディアで発信するなら一致したほうが本を多く書ける |
切り貼りできる原稿は、物語性を失うのか?
速水さんは、Audibleで小説やノンフィクションを耳で聞く人もいるが、自分には読んで入ってくるものと聞いて入ってくるものは全く違い、読書体験は耳に置き換わらないと話します。谷頭さんも、講演を聞くのとその人の本を読むのは違うと同意しました。
谷頭さんの1冊目の本『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』は、編集者を相手にレジュメをもとに2時間ほど喋り、それを1章2万字ほどに自分で編集する「自分インタビュー」の形で作られました。とはいえ流れはかなり変えており、喋った内容がそのまま原稿になったわけではありません。
話しながらアイデアを出す段階。喋る中で新しい発想が浮かぶ
出てきたアイデアをまとめる段階。流れも大きく組み替える
速水さんは、自分の書き方は逆に、後から段落をコピペで入れ替えるなど構築的になりがちだと話します。喋りは冒頭の話を後ろに回すような編集ができないので、つながりが保たれます。一方で原稿は、切り貼りをしすぎて物語がずたずたになり、難しくなってしまうことがあるといいます。
昔手書きの時代ってそんなことはできなかったんだけど、やっぱり今はいくらでもテキストデータなので切り貼りできる。
速水さんは、喋ることと書くことを一致させたいと思った背景には、原稿に物語性を取り戻したいという考えの転換があったのではないかと振り返ります。
三宅さんは、今の大学生がゲーム実況をよく見ることを例に挙げます。下の世代は、構築されたものは短いものを好み、そうでないものはリアルタイム性や語りの物語性を求めるのではないか。そのため、喋るように物語っぽく書くほうが、これからの時代に合うという感覚がよくわかるといいます。
谷頭さんも、インタビューや対談の原稿では素材をかなり入れ替えてきたものの、最近はその場の雰囲気を再現することが大事ではないかと感じているそうです。ライター3人がそろった結果、職業的な話に行き着いたことを、速水さんは「やりたかった話ができた」と喜びました。
最後に、コラボの続きとして、速水さんが「こんな本、どうですか?」にゲスト出演する回も同日に配信されることが告知されました。番組はApple PodcastsやSpotifyで聞け、SNSは「#本どう」で探せるとのことです。
まとめ
結婚式の好き嫌いという噛み合わない話題から始まったこの回は、他者がいるからこそトークが意外な方向に広がること、そして揉めずに続けるには根っこの志向がそろっていることが大事だという話へつながりました。後半は、ライターとして書くことと喋ることをどう近づけるかという、3人それぞれの実感が語られています。
- 三宅さんと谷頭さんは結婚式の見方が正反対だが、意見の違いこそがトークを広げている
- 速水さんは一人喋りの難しさを、自分の頭だけでは意外な展開が生まれない点にあると語った
- 番組が揉めない理由として、放送作家がテーマを出す対等な立場と、ミーハーでポップ好きという共通点が挙がった
- 声質の違いとテンションの変化は、顔の見えない音声番組で話者を判別し、聞き続けてもらうための強みになる
- 切り貼りしやすい原稿は物語性を失いやすく、喋るように書くことが今の時代に合うのではという問題意識が共有された




