赤ちゃんの名前も「オギャー」で決める?水野さんのまっすぐさ
ホストの高木新平さんは、収録を終えて、ライフイズテック代表の水野雄介さんを「めっちゃシンプル」な人だと評します。高木さんによれば、そのシンプルさこそが他の起業家との違いだといいます。
この教育っていう、ある意味一番重たくて、まあある意味エモーショナルがあって、ウエットなビジネスっていう世界のロジックだけでは通用しない世界を切り開いてるのは、やっぱりそこのある種のまっすぐさがあるからだなと思うんですよ。
高木さんは、水野さんのまっすぐさを示すエピソードとして、二人で旅をしたときの会話を紹介します。教育で大事なことを尋ねると、水野さんは「自分で決めること」だと答えたそうです。
子育ての話をしていた高木さんが、子どもにはどこから自分で決めさせるのかと聞くと、水野さんの答えは「名前から」でした。名前は自分では決められないのではと返すと、水野さんは候補を3つほど呼びかけ、泣き声が一番大きかった名前にすると話したといいます。
頭おかしいんですけど。でもなんかそれぐらいもうそっから全部決めさせるみたいな。
高木さんは、この「外れ値」のような発想が水野さんの魅力であり、だからこそ教育業界にまっすぐにアップデートを仕掛けられているのではないかと受け止めています。
教育の成果は「幸せかどうか」で測れるのか
本編に収めきれなかったやりとりで、水野さんは、子どもが学校に通っていて幸せなのかどうかをデータ化する考えを示します。
学校行ってて幸せなの?っていう、そこに行ってて、その子供は幸せなのかどうかっていうところのデータ化し、そのウェルビーイング的な指標を作れるといいんじゃないかなと思っていて。
水野さんの言う指標は、成績のような結果だけではなく、子どものウェルビーイング ── 身体的・精神的・社会的に良好で満たされた状態を指す概念。近年は教育や企業経営でも重視される指標になっていますをとらえようとするものです。
これを受けて高木さんは、自身が手がけるブランディングの仕事との共通点を挙げます。高木さんはブランドの効果をデータで可視化したいと考えていて、教育と同じく時間軸が長いことが難しさだといいます。
結果指標だけ追いかけると、じゃあ10年後測りますかみたいになっちゃうから、どう先行指標を持つかっていうのがすごい大事なんだなと思ってて。
高木さんは教育の例として、厳しい先生にそのときは腹を立てても、あとで「厳しくされてよかった」と思うことや、わからなかったことの意味が5年後にわかることを挙げます。
だからこそ、長い時間軸の成果をどう測るかという設計そのものが肝だと高木さんは話します。そのうえで、「わからない」「属人的なもの」として片づけてしまうのはよくないとも付け加えています。
10年後など、成果が出てから測る。時間軸が長いと待つしかなくなる
途中の状態を測る仕組みを設計する。教育ではウェルビーイング的な指標が候補になる
品川女子学院が調べたアントレプレナーシップの相関
水野さんは、中期的な成長を測る試みとして、品川女子学院(品女)で行った実験的な取り組みを紹介します。水野さんによると、子どもがどんな活動をしてどう成長したかについては、まずデータがない状態だといいます。
水野さんの説明では、この学校は「10年後、28歳で活躍できる女の子を育てる」ことを掲げ、さまざまな起業家プログラムを実施しています。
実際にじゃあアントレプレナーシップがどれぐらいあるのかっていうのを、あと何が相関があるのかっていうのを調べたんですよ。
調査の対象は25歳から28歳ぐらいの卒業生で、起業家を含む一定の仕事に就いている人をアントレプレナーシップ ── 起業家精神。新しい事業や価値を自ら生み出そうとする姿勢や能力を指し、起業以外の仕事でも発揮されるものとされますが高いと位置づけたそうです。
そのうえで、部活動の内容、プログラムの受講量、学業成績などとの相関をとり、どんな性格の子がどんなプログラムを受けるとどう育つのかをデータ化したといいます。
目標を置く
「28歳で活躍できる」ことをアントレプレナーシップで定義する
卒業生を調べる
25〜28歳の卒業生の仕事を確認する
相関をとる
部活動、プログラム受講、学業成績などとの関係を分析する
次に生かす
性格とプログラムと成長の関係を、次の子たちの教育に生かす
水野さんは、この流れを企業のブランドづくりにも重ねます。独自の指標をAI化して次に生かすという点で、企業がブランドの指標を扱うのと同じ話だと話しています。
「127歳まで働きたい」100年かけて教育を変える覚悟
高木さんは、アントレプレナーシップのように目標を置けば測れると納得しつつ、教育ならではの難しさも指摘します。企業には長期利益という分かりやすい指標がありますが、教育は成功の定義自体が難しいといいます。
水野さんは教育の出口として、こうした指標のほか、受験と新卒採用を挙げています。
さらに高木さんは、教育は誰もが語れてしまうためにまとまりづらく、変えにくい面もあるのではと問いかけ、それでも水野さんのキャラクターがあれば進められるのかもしれないと口にします。
情熱を持ってね、あの、やっぱ継続的にできれば127まで働きたいと思ってるんで。
高木さんが「127」の理由を尋ねると、水野さんは27歳で起業したので100年間働きたいのだと答えます。
教育の成果が何年も後にしか見えないのと同じように、水野さんの挑戦もまた、100年という長い時間軸で構えられているようです。
まとめ
このB面では、水野雄介さんのまっすぐな人柄と、教育の成果を長い時間軸の中でどう測るかという問いが語られました。高木新平さんは、それを企業のブランドづくりと重なる課題として受け止めています。
- 高木さんは、水野さんの「まっすぐさ」こそが、ロジックだけでは通用しない教育の世界を切り開く力だと評している
- 水野さんは、子どもが学校で幸せかどうかを測るウェルビーイング的な指標をつくりたいと考えている
- 教育もブランドも時間軸が長く、結果指標だけでなく先行指標の設計が肝になる
- 品川女子学院では、卒業生のアントレプレナーシップと在学中の活動との相関をデータ化し、次の世代に生かそうとしている
- 水野さんは27歳で起業してから100年、127歳まで働き、多くの子を幸せにすることを諦めずに続けたいと語った





