ミトコンドリア商法の反響から始まったエネルギーの話
この回は、以前配信した「ミトコンドリア商法に気をつけましょう」という内容の反響がきっかけになっています。
そこで改めて、ミトコンドリアがどうやってエネルギーを作るのかを説明したところ、関心の高さが見えてきたと話されています。
慢性疲労や日々の疲れ、元気になりたいという悩みを持つ人は多く、その仕組みの部分を知りたい人も一定数いるといいます。
そんなんどうでもいいからって方は、別に知らなくてもいい話だと思うんですけど。でも、この放送を聞いてる方って、ある程度リテラシー高い方が多いなと思うんで、こういう題材に興味あるんだろうなと。
今回はその流れで、少し難しい「上級編」としてクエン酸回路を取り上げると宣言しています。
エネルギー代謝の全体像とクエン酸回路の位置づけ
まず、エネルギーが作られる大きな流れが示されます。
食べ物から糖質などを分解してグルコースになり、そこから解糖系に入ります。その後にクエン酸回路(TCA回路)があり、最後の電子伝達系で大量のエネルギーが作られる、という順番です。
前回の解糖系編に続き、今回はその中間地点にあたるクエン酸回路の解説だと位置づけられています。
解糖系
糖質を分解してグルコースからピルビン酸などを作る第1段階
クエン酸回路(TCA回路)
ミトコンドリア内で電子運搬体などを作り出す中間の段階
電子伝達系
運ばれた電子を使って大量のATPを生産する最終段階
クエン酸回路は、細胞内のミトコンドリアの最も内側にあるマトリックスミトコンドリアの内膜のさらに内側にある液状の空間で、クエン酸回路の反応が行われる場所とされています。と呼ばれる空間で行われる代謝経路だと説明されています。
クエン酸回路の入り口とクエン酸サプリの違い
解糖系を経て細胞質で作られたピルビン酸が、ミトコンドリア内に入ります。
そこでピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体という酵素によってアセチルCoAに変換されます。
このアセチルCoAとオキサロ酢酸が結びついてクエン酸が生成され、これがクエン酸回路の出発点になります。
ここで「クエン酸」と聞いて、元気になるサプリを思い浮かべる人もいるだろう、と触れられています。
クエン酸サプリが、そのままクエン酸回路を回すわけではないってことは覚えておいてください。ちょっと違うんですよね。同じクエン酸なんですけど、飲めばクエン酸回路が回るってわけではないんですよね。
口から入れたクエン酸も、いろいろな要素を経てエネルギーが作られるため、いきなり回路の入り口のクエン酸まで届くわけではないと整理されています。
ただし、クエン酸サプリ自体が元気になるサプリメントとしてあること自体は、悪いわけではないと補足されています。
8段階でぐるぐる回る回路のしくみ
クエン酸回路は全体で8段階の変化をする回路だと説明されています。前回の解糖系より段階は少ないものの、それでも多いといいます。
一回転する間に、二酸化炭素や、電子運搬体と呼ばれるNADHやFADH2が作られます。
さらに、高エネルギー化合物であるGTPも作り出します。GTPは酵素によってATPに変換できるため、エネルギーの元のようなものだと話されています。
1分子のグルコースから2分子のアセチルCoAが生成されるため、結果的にクエン酸回路を2回転できることになります。
主な酵素反応で起きていること
8段階すべてに酵素反応がありますが、概要がわかればよいとして、いくつかの段階に絞って説明されています。
このようにクエン酸回路では、複数の酸化脱炭酸反応が連続して、二酸化炭素や電子運搬体が生成されていくのが特徴だと整理されています。
直接エネルギーが作られる唯一のステップ
クエン酸回路の中で、直接エネルギーが生成される重要なステップがあると説明されます。
それがスクシニルCoAからコハク酸への変換反応です。この反応を触媒する酵素がスクシニルCoAシンセターゼです。
この過程で、GDPと無機リン酸からGTPが生成され、そのGTPはすぐにATPに変換されます。
このステップは「基質レベルのリン酸化」と呼ばれ、クエン酸回路内で直接ATP合成が行われる唯一の場所だとされています。
一方で、大量にATPが作られるのは電子伝達系です。クエン酸回路で作られたNADHやFADH2は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系へ電子を運びます。
糖質と脂質、エネルギー源の得意不得意
最後に、エネルギー作りは意外と大変だという視点から余談が語られます。
糖質はまだエネルギーに変えやすいほうで、回路もぐるぐる回しやすいといいます。
一方で脂質は、エネルギーに変えるまでの変化がもっと多いと説明されています。
脂質ってね、もっと変化が多いんですよ、エネルギーに変えていくのに。でもその分ケトン体っていうのが使われますよと。ケトン体はさらにエネルギーの効率が良かったりするんで、持久的なパワーとか、脳にもいいよって言われてるっていう。
さらに、糖質代謝と脂質代謝には人によって得意不得意があると話されています。
ナカハラさん自身もケトンに挑戦していた時期があり、糖質を減らしすぎると弱り気味になったため、今は「ハイブリッド作戦」を採っているといいます。
比較的スムーズにエネルギーに変わり、回路を回しやすい
変化が多いが、効率の良いケトン体が使われ持久力や脳に良いとされる
こうした得意不得意は、厳密には実験してデータを取りながら試していく必要があると話されています。
その際に役立つのが血液データで、約60項目の血液栄養解析から今の体の状態を「健康地図」として見える化する、というサービスも紹介されています。
まとめ
クエン酸回路は、解糖系と電子伝達系をつなぐエネルギー代謝の中間地点です。ミトコンドリアの中でぐるぐる回りながら、電子運搬体を作って次の段階へ電子を運ぶことが、疲れにくい体づくりの背景にあると整理された回でした。
- エネルギー代謝は「解糖系→クエン酸回路→電子伝達系」の順で進み、最後の電子伝達系で大量のATPが作られる。
- クエン酸回路はミトコンドリアのマトリックスで行われ、全8段階でNADHやFADH2、二酸化炭素、GTPを生み出す。
- クエン酸サプリを飲んでも、そのまま回路が回るわけではない点は分けて理解しておきたい。
- 回路内で直接ATPが作られるのはスクシニルCoAからコハク酸への1か所だけで、大量生産は電子伝達系が担う。
- 糖質と脂質では代謝の得意不得意が人によって異なり、血液データを取りながら自分に合う戦略を探すことがすすめられている。
