トリビアアワードとは?50件の応募と投票のルール
サイエントークの企画「トリビアアワード」は、1分以内で最も人の耳を奪う話を決める大会です。冒頭でレンさんは、SF作家アイザック・アシモフの「人間は無駄な知識が増えることで快感を感じることができる唯一の動物である」という言葉を紹介し、大会の開幕を宣言しました。
実行委員長のレンさんによると、応募は約2ヶ月前に始まり、音声部門32件、文章部門18件の計50件ほどが集まりました。審査委員長に任命されたエマさんは、事前に応募作をまったく見ていない状態で臨んでいます。
トリビアアワードの評価は二本立てです。リスナー投票で最も票を集めたトリビアにはAmazonギフト券3000円分、審査員の二人がそれぞれ独断と偏見で選んだ1本にはAmazonギフト券1000円分が贈られます。
面白い額な。
面白い額って何?面白い額って何?よくわかんない。まあ可愛い額です。
リスナー投票は11月中が投票期間で、1人3票まで投じられます。エマさんが点数の重みづけを尋ねると、レンさんは50個もあるので複雑にせず、1票ずつ均等にしたと説明しました。
で、一人3票でやったらまあいい感じにね、分散して人気あるやつは集まってくるんじゃないかなと、票が。
投票用にはGoogleフォームを用意し、全音源を聴き直せるnote記事も付ける予定です。エントリー番号は応募順ではなく、レンさんが好きな順番で振ったといいます。
協賛のタツさんとUJA、そして「忖度なし」の審査
トリビアアワードには、ポッドキャスト「奏でる細胞」と「電セカ」を配信するタツさんが協賛しています。タツさんからは、サイエントーク、サイエンマニア、サイエンスポットの発信を応援しているというコメントが届きました。
タツさんは、海外日本人研究者ネットワーク ── 海外で活動する日本人研究者をつなぐネットワーク組織。略称はUJAで、研究者同士の交流や情報発信を行っています(UJA)の委員も務めています。レンさんは、UJAがUJA論文賞と科学広報賞を募集していることを紹介し、研究者のリスナーに応募を呼びかけました。
開始前にエマさんは「耳を奪う話だから、ちょっと奪われたい」と期待を語りました。一方のレンさんは、面白い応募がたくさん来ているとしたうえで、審査コメントは忖度なしで言うと宣言しています。
知ってるやつは知ってるって言ってもいいしね、別に。
まああの、科学っぽくないやつも正直結構いっぱいあります。
月の出・月の入りはいつ?オープニングトリビア
エントリーナンバー1番は「科学トリビアクイズ」です。ポッドキャスト番組「工業高校農業部」の牛若さんと、農家のマスボウさんがクイズ番組風の掛け合いで出題しました。
このトリビアのポイントは、日の出・日の入りと、月の出・月の入りで基準が違うことです。日の出と日の入りは太陽の一番上のへりが地平線にかかった時ですが、月の出と月の入りは月の中心部分が地平線にかかった時だといいます。
一番上のへりが地平線にかかった時
中心部分が地平線にかかった時
月の基準が中心部分になっている理由は、月には満ち欠けがあり、常に真ん丸ではないからだと説明されています。レンさんによると、出典は国立天文台のホームページだそうです。
でも普通に月の入り月の出ってなったら、日の入りと同じかなと思ったけど違うんだ。
エマさんは、都市で暮らしていると地平線が見えず、月の出をあまり見たことがないと振り返りました。オープニングらしい高いテンションに、エマさんは「ちょっと目覚めた」と反応しています。
レンさんは、科学系ポッドキャストの日の11月のトークテーマも「トリビア」であることを紹介しました。各番組でもトリビアが配信されているため、気になったトリビアの番組を聴きに行けば深掘りが聞けるかもしれない、という連動企画になっています。
AIもサボりたがる?リワードハッキングの話
エントリーナンバー2番は「AIもサボりたがる」で、落ち着きAIラジオの支部長さんからの投稿です。テーマはリワードハッキング ── AIが報酬の設計の抜け道を突き、設計者が意図しないやり方で高い報酬を得てしまう現象と呼ばれる現象です。
強化学習 ── 成功すると報酬を与え、AIが報酬を最大化するように行動を学んでいく機械学習の手法では、AIは報酬をできるだけ多くもらおうと学習を進めます。ところがルールに抜け道があると、AIはそこを的確に突いてきます。
支部長さんが挙げた例は、50メートルをできるだけ速く走るロボットを考えさせる指示です。AIが出す答えは速く走るロボットではなく、身長50メートルのロボットを作って前に倒れる、というものになりうるといいます。
指示
50メートルをできるだけ速く走るロボットを考えさせる
報酬
速ければ速いほど報酬が大きい
抜け道
「走る」以外の方法が禁止されていない
結果
身長50メートルのロボットが前に倒れる
支部長さんは、AIを賢くするよりもズルできないルールを作るほうが難しいことがある、とトリビアを締めくくりました。
なんか思いつかないところを突いてくるのを予防しなきゃいけないでしょ。
いや、難しいよこれ。AIを超えなきゃいけないのかもしれないよね、ある意味。
レンさんは似た例として、テトリスを学習したAIがポーズボタンで落下を止め続け、一生負けない方法を使ってくる話を聞いたことがあると紹介しました。エマさんは、人が思いつかない発想に触れられるので、脳トレクイズのような学びにもなりそうだと話しています。
キャベツもブロッコリーも同じ植物?七つの野菜の正体
エントリーナンバー3番は「七つの野菜がなる植物」で、ポッドキャスト「英語でサイエンスしないと」のアサミさんからの投稿です。ブロッコリー、キャベツ、ケール、芽キャベツ、カリフラワー、ロマネスコ、コールラビは、すべて同じ植物の違うパーツから生まれた野菜だといいます。
アサミさんによると、7つの野菜の元はアブラナ科の野生カンランという野草です。茎や芽など、違う部分を選抜して品種改良を重ねた結果、別々の野菜になりました。
| 部分 | 野菜 |
|---|---|
| 花のつぼみ | ブロッコリー、カリフラワー、ロマネスコ |
| 葉を丸めた | キャベツ |
| 葉をそのまま(原種に最も近い) | ケール |
| 芽を増やした | 芽キャベツ |
| 茎 | コールラビ |
エマさんは最初、1つの植物を育てれば全部の野菜が取れるのかと受け取りました。レンさんは調べながら、元の植物が同じで、葉が大きくなるものを選び続けるとキャベツになるという意味ではないかと整理しています。
そのブラシカなんちゃらがなんかイーブイみたいな感じで、でキャベツとかが。
うん、まあイーブイほど変わってないけどな、きっと。
フグ毒の単位は「マウス」?残酷な物差し
エントリーナンバー4番は「フグ毒の単位」で、ポッドキャスト「ぶつざくネオ」を配信する、日の生物部のトヨさんとシロさんからの投稿です。貝やフグが持つ毒素の単位は、マウス単位で決まっているといいます。
トヨさんとシロさんの説明では、体重20グラムのマウスにフグ毒を投与し、30分で死ぬ量が1マウスユニットです。フグ組織1グラムあたり10マウスユニットを超えると食べてはいけないとされ、体重60キロの人の致死量はおよそ3000〜20000マウスユニットだそうです。
この測定方法は、現在はあまり使われていないと紹介されています。レンさんは、マウスがどれだけ死ぬかで測るやり方は倫理的にやばいと反応しました。
だってさ、どこでブレてるかわかんないけどさ、60キロの人間で3000から20000匹のマウスってブレすぎじゃない?だって。
エマさんは、その幅は人間の個体差ではないかと考えました。二人は、分析技術のない時代には、まずマウスで試してみることが毒性の目安として参考になったのだろうと話しています。
母乳の糖はなぜグルコースではなくラクトースなのか?
エントリーナンバー5番は、高校で化学を教えるゆずっこさんからの投稿です。テーマは、なぜ母乳に入っているのはブドウ糖(グルコース)ではなく乳糖(ラクトース)なのか、という問いです。
ゆずっこさんによると、二糖 ── 単糖が2つ結合した糖。ラクトースはグルコースとガラクトースが結合したものであるラクトースは、体内でグルコースとガラクトースに分解されて吸収されます。グルコースは栄養源に、ガラクトースは脳の神経系の発達に使われます。
大人はグルコースからガラクトースを作れますが、赤ちゃんはその機能が発達していないので、外からガラクトースを取る必要があります。では最初から2つの単糖で取ればよいかというと、そこにもラクトースである意味があるといいます。
吸収されずに残る
分解・吸収されなかった糖が腸管に溜まる
浸透圧が生じる
腸内と体内の濃度差で腸管に水が出る
粒子数が多いと
水の移動が増えて下痢につながる
二糖にする
粒子数を減らして浸透圧を抑える
エマさんは途中で難しいと戸惑い、レンさんが「分子の個数が2個になると下痢を起こしてしまう」と後半を噛み砕きました。有機化学の研究室にいたレンさんでも、浸透圧で下痢につながるという話はあまり知らなかったそうです。
いやでもそもそもその、この問いを立てたことなかった。
ゆずっこさんはこのトリビアを授業でも話しており、教えている生徒の中にはサイエントークのリスナーもいるそうです。レンさんは、先生と生徒が同じポッドキャストを聴いていることに驚いていました。
「メダカ」という魚はもういない?
エントリーナンバー6番は、タイトルを伏せて紹介されました。投稿したのは、毎日オタクな話を音声配信しているぴょんきちさんで、タイトルは「メダカという魚はいなくなりました」です。
ぴょんきちさんによると、2011年の研究で、日本の太平洋側と日本海側に生息するメダカは別の種だとわかりました。太平洋側はミナミメダカ、日本海側はキタノメダカと名付けられ、現在はメダカという単独の種は存在しないといいます。
日本では「メダカ」という1つの種として親しまれてきた
2011年の研究でミナミメダカ(太平洋側)とキタノメダカ(日本海側)の2種に
さらに、どちらのメダカもレッドデータブック ── 絶滅のおそれがある野生生物の種をまとめた資料。国や自治体、国際機関が作成していますに掲載される絶滅危惧種です。
え、しかもさ、メダカって結構馴染みがある魚だと思ってたけど、両方とも絶滅危惧種なんだって思った。
エマさんは、ぴょんきちさんの読み方を「一番プロっぽい」と評し、レンさんも「NHK並みの雰囲気」と反応しました。レンさんは、メダカは深掘りしたら面白そうだと話しています。
ノーベル賞メダルとマイケル・ジャクソン、インディアナからの2本
エントリーナンバー7番は、協賛者でもある奏でる細胞のタツさんによる「ジェームズ・ワトソンのノーベル賞メダル」です。タツさんは、DNAの二重螺旋を発見したジェームズ・ワトソンが、ノーベル賞のメダルをオークションで売ったと紹介しました。
タツさんの音源によると、ワトソンのメダルには約4億円の値がつき、しかも落札者が「あなたが持つべきだ」と言って本人に戻ってきたそうです。同じ頃、タツさんが勤めるインディアナの医学部では、ワトソンの業績を展示していた場所が跡形もなく消えてしまったといいます。
終わり方、怖い話。最後なに、「消えてしまいました」で終わりでした。
この続きは「奏でる細胞」で話されているだろうとレンさんは案内しました。レンさんは、売って4億円が入り、メダルが戻ってくるなら「永久機関じゃん」と冗談を言い、エマさんにあきれられています。
エントリーナンバー8番は、奏でる細胞の相方、ゆりかさんによる「マイケル・ジャクソンのトリビア」です。中身は、キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンはインディアナ州生まれ、という一言でした。
このトリビアに対して、エマさんは率直に、意外性があるのかどうかがよくわからなかったと答えました。
アメリカ人がアメリカのどこ出身っていうのはあんまり「へー」ってならなかったかも。すいません。送ってきていただいたのに。
レンさんは、ゆりかさんとタツさんがインディアナ州に住んでいて、音源もゆかりの地から送られてきたという背景を補足しました。エマさんは結果的に、インディアナ州の場所を知れて逆に記憶に残ったと話しています。
証明写真機からセガへ、ローゼンさんが輸入した機械
CMを挟み、ここから文章部門に入ります。文章部門はレンさんがすべて読み上げる形で進み、エントリーナンバー9番は新参者のエルデシュさんによる「ローゼンさんが輸入した機械」です。
エルデシュさんの文章によると、駅前の証明写真機は1953年にアメリカ人のローゼンさんが日本に輸入したのが始まりとされています。その後のローゼンさんの歩みが、日本のゲーム市場の幕開けにつながったといいます。
レンさんにソニックを知っているか聞かれたエマさんは「黒くてビンビンしている」と答え、レンさんに「ウニじゃん」と突っ込まれました。正解は青いハリネズミです。
エマさんは、イギリスの駅構内でも日本と似た証明写真機を見たと話しました。そこからレンさんが調べると、プリクラもアトラスとセガが共同で発売した「プリントクラブ」が由来だとわかります。
由来は日本だし、プリクラっていうものは多分そのセガが作ったってことは日本のものだと思うけど、その大元の大元はアメリカが作った証明写真機ってことだよね、多分。
漢字の成り立ちは怖い?逆さまにすると見える字
エントリーナンバー10番は、きなこもちこさんによる「漢字の成り立ちについて」です。きなこもちこさんは、学生時代に遺伝子関連の研究をし、今は岩石学の研究室で研究補助員をしながら、趣味で習字を習っているそうです。
きなこもちこさんの文章では、「真」の字を逆さまにすると「首」が見え、首が逆さまに下げられたという意味からできた漢字だと紹介されています。古代の人は、死後の世界こそが本当の世界と見なしていたようだといいます。
あんまりなんか逆さにしたことなかったかも、漢字を。
きなこもちこさんは、習字で漢字の成り立ちを知って恐ろしくなり、その気持ちを伝えたくて応募したそうです。レンさんはその動機を面白がり、エマさんは「怖い映画を人に見せたくなる」のと同じだと共感していました。
モモンガとムササビ、見分けるポイントは形とサイズ
エントリーナンバー11番は、ポッドキャスト「おばトーク」を配信するエリムスさんの文章です。普段は3人でトークしている番組から、エリムスさんが1人で抜け出して参加したため、あえて文字部門でエントリーしたそうです。
エリムスさんによると、モモンガとムササビはどちらもリスの仲間で、木から木へ滑空する哺乳類です。違いは多いものの、簡単に見分けられるポイントが2つあるといいます。
小さいハンカチサイズ。体を広げると四角形。ペットとして飼える
大きい座布団サイズ。体を広げると五角形
エマさんはムササビが座布団サイズもあることに驚き、レンさんが調べると体長約30〜50センチ、体重1〜1.5キロでした。二人は、手に飛んでくるモモンガの動画のようなことは、ムササビでは両手でないと無理だと話しています。
なんかさ、健気だなというかさ。こんなさ、両手足ぶわって開いてさ。こっけいじゃない?ちょっと。
言われてみたらそういう気もしなくもないけど、私はもうね、敬意を払ってるから。
あぶらとり紙は金箔作りの副産物だった
エントリーナンバー12番は、会社員のかたわら和紙を使った工芸作品を作っているビジネスいい人さんの文章です。京都土産の定番であるあぶらとり紙は、金箔作りの副産物として生まれたといいます。
ビジネスいい人さんによると、金箔を厚さ約0.0001ミリまで伸ばす際、金を和紙で挟み、約3万〜5万回叩いて仕上げます。この過程で紙の繊維がほぐれて密度が増し、毛細管現象 ── 細い隙間に液体が吸い込まれていく現象。紙やタオルが水を吸うのもこの働きによりますが強く働いて皮脂を素早く吸う紙になるそうです。
金沢で金箔を作る
日本の金箔の約99%は金沢で生産
和紙で挟んで叩く
約3万〜5万回叩き、紙が皮脂をよく吸うようになる
京都で消費
金箔の一大消費地・京都に使用後の紙が大量に残る
化粧直しに使う
舞妓や芸妓、歌舞伎役者が使い始めたのが起源
ただし、現在のあぶらとり紙の多くは金箔の副産物ではなく、紙だけを叩いて作ったものが主流のようだと補足されています。エマさんは、金箔入りのあぶらとり紙は知っていたものの、金箔を作る時の紙があぶらとり紙だったことは知らなかったと話しました。
話はさらに広がり、レンさんが調べると、金箔は古代エジプトで製造が始まったと考えられていることや、タイのあぶらとり紙はフィルムタイプが主流であることが出てきました。
赤ちゃんに握ったものを離させる「手のテノデーシスアクション」
エントリーナンバー13番は、味噌の国の翡翠さんによる、若干小説風の文章です。翡翠さんは、赤ちゃんがなかなか離してくれないものを簡単に離させる方法を、姪っ子ちゃんを実験台にして見つけたといいます。
翡翠さんの文章では、この現象を「手のデーシスアクション」と呼ぶそうです。デーシスアクション参考URLはリハビリ分野の資料で、赤ちゃん向けではありませんでした。
翡翠さんは、トリビア集めは好きでもソースを記録していないので、ソースが見つかりそうなネタを選ぶのが大変だったと書いています。レンさんは、姪っ子ちゃんの寝かしつけ中の発見がソースなら、ある意味で開発したと言えると受け止めました。
いや、でもこれあれじゃん。トリビアのさ、泉って昔あったけどさ、あれトリビアの種ってあったじゃん。
レンさんは、自分で見つけて実証したら「トリビアになる」タイプの投稿で、温度感があって良いと評価しました。Aブロックはここで一区切りとなり、レンさんは二人が喋りすぎていることを認めつつ、続きのブロックも聴いてほしいと呼びかけて締めくくっています。
まとめ
トリビアアワードのAブロックでは、天文、AI、植物、毒、栄養、生物分類、科学史から、セガの起源、漢字、あぶらとり紙、赤ちゃんの手まで、13本のトリビアが紹介されました。レンさんとエマさんの忖度なしのリアクションも含めて、1分の話が会話をどこまで広げるかを楽しめる回です。
- 応募は音声部門32件・文章部門18件の約50件で、リスナーは11月中に1人3票まで投票できる
- 月の出・月の入りは月の中心が地平線にかかった時が基準で、満ち欠けがあることが理由とされる
- リワードハッキングの例から、AIを賢くするよりズルできないルールを作るほうが難しい場合があると語られた
- メダカは2011年の研究でミナミメダカとキタノメダカに分かれ、どちらも絶滅危惧種とされている
- 証明写真機の輸入からセガが生まれ、プリクラのルーツにもつながるという話で二人は盛り上がった



