モスの鶏竜田バーガーに見る「企業努力」
本題の前に、桜林さんは収録前に食べたモスバーガーの新商品の話をします。和風旨だれの鶏竜田バーガーで、くし切りのレモンが添えられ、自分で絞って味を変えられるのが新鮮だったといいます。
桜林さんが惹かれたのは味だけではなく、商品開発の工夫です。鶏肉はヘルシー志向や筋トレをする人にも喜ばれる定番ですが、その定番で新しい商品を作り、レモンのコストやオペレーションも議論されたのだろうと想像しながら食べたそうです。
中里さんも、モスではテリヤキチキンばかり食べると明かし、甘くてふかふかしたバンズが好きだと話します。桜林さんは、働く人たちのことを思うと、ファストフードを体に悪いとは簡単に言えないと語りました。
話はさらにフレッシュネスバーガーのポテトへ移ります。注文が入ってから1人分ずつ揚げる「揚げたて宣言」をしていて、太いポテトと細いポテトを選べるといいます。
ロッテリアでアルバイトをしていた中里さんは、ポテトを置いておける時間が決まっていたことを思い出し、毎回揚げるオペレーションの手間に驚きます。それでもその手間を取って勝負する姿勢に、二人とも感心していました。
通信制高校に通えない16歳の息子と、学費への焦り
今回の相談は、ラジオネーム・ニコニコまるさんからの「不登校の息子の将来の不安、金銭的な不安や焦り」という「のろい」です。お便りは桜林さんが読み上げました。
長男、16歳、[[通信制高校::通学日数が少なく、レポート提出やスクーリング、試験で単位を取る高校。不登校経験のある生徒の進学先として選ばれることも多い学校です]]学年年生について相談させてください。長男は中学校で不登校になり、その後通信制高校に入学しましたが、現在は学校に通えていません。課題も提出せず、行く、やる、学校は続けると口では言うものの、行動にはつながらず、毎日ゲーム、YouTube、睡眠、食事の繰り返しです。
週末は友達と遊びに行き、平日は週2回居酒屋、私の知り合いのお店でバイトをしています。家族仲も悪くはなく、野球観戦を一緒にしたり、他愛ない話はよくします。決して安くはない学費をパート代から支払っているため、仕事から疲れて帰った時に部屋から笑い声が聞こえると思わずうんざりしてしまうことがあります。
1年生の頃は多少遅れつつも課題を提出し、テストも受けていました。しかし、2年生になってから徐々に行かなくなりました。本人によると、学校のアプリを間違って消してしまって行きづらい、課題だけ出しに行った時に授業も受けていけばと言われ、断るのが面倒とのことでした。正直そんなことでと思ってしまう気持ちもあります。
親としてどっしり見守りたい気持ちはあるものの、息子の将来の不安、金銭的な不安や焦りから、つい小言が出てしまいます。心を軽くして見守るためのアドバイスや心構えがあればぜひ伺いたいです。
相談者は、本やYouTube、ポッドキャストで不登校の気持ちを理解しようと努め、寄り添う姿勢を示してきたものの、時々我慢できずに爆発してしまうとも書いています。
本当の理由は「アプリを消した」なのか?
桜林さんの第一印象は、これは母親側の言い分であり、息子本人の言い分はわからないというものでした。アプリを消してしまった、授業を断るのが面倒といった理由が、本当の理由かどうかはわからないと指摘します。
そのうえで桜林さんは、息子が本当は課題も出して卒業もしたいのに、なぜかできずに困っているのか、それとも本当に面倒だからやらないだけなのかで話が変わると話します。そこが見えないため、なんとも言えないというのが率直な感想でした。
中里さんは、高校生の親としての立場と、Branch代表としての立場で、意見が2つに分かれると前置きします。
高校生の親としての中里さんは、息子が知り合いのお店でアルバイトをしてお金を稼げていて、家族とも和やかに話せている点に注目します。卒業できなくなる可能性など見通しを事実として伝えたら、あとは突き放すかもしれないと話し、育児としてはほぼ成功しているかもしれないとまで言います。
一方、不登校の子を育てる保護者を多く見てきたBranch代表としての中里さんは、アプリの話は嘘ではないにしても、「もう学校に行きたくない」という言外の意味があると見ます。小学6年生から担当してきた子が、高校で行けなくなって早めに転学を決めた例も挙げ、今の通信制高校が合っていない可能性に触れました。
仕事もでき家族とも話せている。卒業の見通しを事実として伝えたら、あとは本人に委ねてもよい
「行きづらい」の裏に本当の理由がありそう。転学なども含め、合う場所を一緒に探すまで見守る道もある
中里さんは、高校生は自己決定のほぼすべてを委ねてよい年齢でもあると考えつつ、転学などの情報をもう一度渡し、新しい未来を一緒に探すサポートもありうると、2つの考えの間で揺れていました。
選択肢は親が並べるか、子どもに探させるか
桜林さんは、前日に中学生や高校生の子を持つ友人と話した内容を紹介します。デジタルネイティブで何でもインターネットで調べられる子どもたちが、自分の進路の選択肢を探す「最初の1個目」は苦手ではないか、という話でした。
桜林さん自身は、子どもと一緒に調べ、いろいろな学校や道をトランプのように並べて見せる方だったといいます。どれに心が動くかを決めるのは子どもで、親は選択肢を出す手伝いをしたという考えです。
一方、桜林さんの友人は、親が選択肢を出すとその中からしか選ばなくなり、「親が言ったから」になるのが嫌なので、自分で探してこいと言っているそうです。
一緒に調べて選択肢を並べる。どれに心が動くかは子どもが決める
親が出すとその中しか選ばなくなるので、選択肢は自分で探させる
桜林さんは、興味のあることは深く調べられるのに、自分の選択肢を広げる入り口を見つけるのが苦手な子は多いのかもしれないと話します。入り口さえ見つかれば、そこからは早いともいいます。
ニコニコまるさんの息子についても、桜林さんは転学という道や、いっそ働くという道もあると並べて、どれを選んでもいいと示す手伝いはありうると考えます。ただし誘導にもなりかねないため、そこは悩むところだとも付け加えました。
漫画『シュリンク』が語るセルフケアと自己決定
中里さんはここで、精神科医を描く漫画シュリンク ── 精神科医を主人公に、さまざまな心の病と治療を描く日本の漫画作品。精神医療の現場を丁寧に描いた作品として知られていますの最新17巻を紹介します。あまりに良かったため、社内のSlackやXにしっかりまとめたそうです。
中里さんによると、17巻は統合失調症 ── 幻覚や妄想、意欲の低下などが現れる精神疾患。適切な治療と支援によって、症状を抑えながら生活を続けることができますの人の話で、平均余命が15年から20年短いとされる背景に、自分の不調に気づいて病院に行くといったセルフケアの難しさがあると描かれているといいます。
そして『シュリンク』では、セルフケアはオートノミー ── 自律性。自分のことを自分で考え、自分で決めて行動できる力を指します、つまり自分で決める力とつながっていると語られていたそうです。番組でも何度も出てきた自己決定の話と重なると、中里さんは感じました。
中里さんは桜林さんの話を受けて、自己決定の材料となる選択肢までは親が用意してよいのか、選択肢を探す作業まで子どもに任せるのは何歳ごろからなのかは、これまで議論したことがなかったと話します。
父の「大学行かなくてもいいんだぞ」が残したもの
桜林さんは、親が出せる選択肢が狭ければ、子どもはその中から選ぶことになると指摘します。桜林さん自身は、親のせいにされたくない気持ちが強く、選択肢を無限に出すタイプだといいます。
話しながら桜林さんが思い出したのは、進路についてほとんど何も言わなかった父親から、高校生のときに「大学に行かなくてもいいんだぞ」と言われたことでした。意図ははっきり覚えていないものの、そのセリフだけが残っているそうです。
大学に行かなくてもいいことは知っていたけれど、親に言われると「確かにそうだよね」と一段上がる感覚があったと桜林さんは振り返ります。だからこそ、親が選択肢を示すことが悪いとはあまり思えないといいます。
中里さんも、選ぶのは子どもなので悪いことではないと同意します。桜林さんは、「実はお母さんはこれをやってほしそうだった」と受け取られる可能性はあるものの、それは日頃の関係性次第だと話しました。
AIで選択肢の「入り口」を広げる
中里さんは、親が教えられるのは選択肢そのものだけでなく、「選択肢を広げるという作業がある」ということだと話します。子どもは興味のあることを深く掘る調べ方は得意でも、その手前に入り口が無限にあることにはあまり目を向けないからです。
そこで中里さんが挙げたのがAIの活用です。自分の性格や生きていきたい方向をAIに伝え、どんな選択肢があるかを聞けば、たくさんのパターンを出してくれるはずだといいます。
AIに伝える
自分の性格や、生きていきたい方向を覚えてもらう
選択肢を聞く
こういう場合にどんな選択肢があるかを尋ねる
家族と話す
「AIがこんなこと言ったよ」と軽く話題にする
自分で決める
続けるか変えるかを、改めて自分で選ぶ
家族で他愛ない話ができている家庭なら、息子のほうから「こんなに選択肢があって、自分はこれがいいと思う」と母親に相談してくれるのではないかと中里さんは期待します。桜林さんも、先生や誰かに言われたことよりAIの答えのほうが軽くネタにしやすいと応じました。
その結果、息子が「今はサボっているけれど、本当はこの学校を続けたい」と言うなら、それはそれでいいと二人は話します。桜林さんは、言ったならやりなさいということではなく、自分で決めるという部分が必要なのかもしれないとまとめました。
学費の不安は高校生にどう伝えればいいか?
最後に中里さんが伝えたかったのは、相談文にある「金銭的な不安や焦り」についてです。高校生であれば、親のお金の話をしてよいと中里さんは考えています。
中里さんの例では、たとえば学費が50万円なら、50万円がどんなことに使えるお金なのかを伝え、それを息子に使っているから自分は不安なのだと話す形です。桜林さんも、親のお金は無限ではないと伝えるのは構わないと同意します。
二人とも、大事なのは言い方だと強調します。お金の話をきっかけに、息子が選択しなければと考えたり、仕事をもっと頑張ろうと思えたりするなら、それはとてもいいことだと桜林さんは話しました。
桜林さんは、学校に行くか行かないかだけでなく、もう一歩先のコミュニケーションに目を向けられるといいのかもしれないと語ります。中里さんは改めて、アルバイトができて家族とも話せている時点で、ニコニコまるさんはすごいことをしていると伝えて相談を締めくくりました。
まとめ
通信制高校に通えなくなった息子と学費の不安に揺れる母親に対し、二人は「学校に行くかどうか」から少し視点を広げ、選択肢を示して本人に決めてもらうこと、お金の不安は自分の気持ちとして率直に伝えることを提案しました。
- アルバイトができ、家族とも話せている16歳は、育児としてほぼ成功しているかもしれないと中里さんは見ている
- 「アプリを消した」などの理由の裏に、今の学校が合わないという本当の理由がある可能性もある
- 選択肢を探す入り口が苦手な子には、親が並べたりAIを使ったりして選択肢を広げる手伝いをしてもよい
- 続けるか変えるかは、改めて本人が自分で決めることが大切
- 学費の話は、登校を迫る材料ではなく「だから私は不安なんだ」と気持ちとして伝える



