雑談が苦手な人は、なぜ自分の話をしないのか?
番組の冒頭で中里祐次さんは、桜林直子さんの著書『あなたはなぜ雑談が苦手なのか』(新潮新書)を紹介しました。読んだ感想として、中里さんはまず「内省力が高い」と驚いたと話しています。
中里さんが特に感心したのは、桜林さんが自分の心の中や人との実験的なやり取りを振り返り、他の人も使える言葉の枠組みに形作っていく過程です。桜林さんは、約2年にわたる月1回の連載をまとめた本だと明かしています。
言葉にするとね、しつこさが浮き出るんですよ。
中里さんは、この本の内容が今週の保護者面談で聞いた中学生の女の子の話とそっくりだったと話します。面談後に該当する10ページほどを撮影して、その子のお母さんに送ったそうです。
中里さんが重ねたのは、自分の話は相手の時間を奪うから申し訳ないと考え、聞き役に回り続けるうちに、自分の考えが自分でもわからなくなるという負のサイクルです。後日のやり取りで、お母さん自身も同じだったと打ち明けられたといいます。
桜林さんは、自分には関係ないと思いながら読んでも、話せないことだけでなく「いかに聞けていないか」など、どこかで引っかかる一冊ではないかと話しています。
「全てを把握したくなる」きなこママさんの呪い
本の紹介のあと、番組はリスナーからのお便りに移ります。今回の呪いは「過干渉になってしまう」というもので、桜林さんが読み上げました。
私の呪いは過干渉になってしまうことです。私には小学校4年生の息子がいて、一人っ子です。子供が多く、一人っ子が珍しい地域に暮らしているのもあり、お友達のご家庭に比べて過保護過干渉になってしまっていると感じています。学校のこと、お友達のこと、ゲームや遊びのこと、ついつい聞きすぎてしまい、特に困っている様子があると全てを把握したくなってしまいます。
夫には気にしすぎとよく言われるし。息子本人は好奇心旺盛で、自分のやりたいことをやりたいようにやるタイプなので、私は見守っていればいいだけなのだとは思います。大らかに子育てを楽しむママ友たちと比べて、子供を支配しているような気がしています。良かれと思ってがやめられない。この呪いを解くにはどうすればいいのでしょうか。
桜林さんは、つい心配しすぎる、手伝ってしまう、全部把握したくなるという悩みを「あるある」と受け止めました。
一方で中里さんは、お便りに夫やママ友の話は出てくるものの、息子さん自身が困っているのか、「やめてよ」と嫌がっているのかは書かれていない点に注目します。桜林さんも、お母さんが自分は過干渉ではないかと気にしている状態なのだろうと整理しました。
何のために知りたいのか、自覚はある?
桜林さんは、自分の子どもにはどちらかといえば放任だったものの、会社員時代のスタッフに対しては過干渉だったと振り返ります。先回りして「どこまでやったの?」「大丈夫?」と声をかけ続けていたそうです。
時間が経って振り返ると、やっぱりあれって信用してなかったんだな、みんなのことって。
桜林さんの会社員時代の世話焼きは、役に立ち感謝されることもあった一方で、よかれと思っての行動が裏目に出ることもあったといいます。
中里さんは、Branchでは発達障害のお子さんを育てる保護者が、周りから過干渉だと言われる相談がよくあると紹介します。困りごとの多い子には、実際にそれくらい手をかける必要がある場面もあるそうです。
中里さんは、本人が困っていて関わる必要があるとお母さんが判断しているなら、続けてもよいと伝えています。いつか自然に手離れするタイミングが来る、という考え方です。
桜林さんがこれを受けて強調したのが目的の違いです。何のために把握したいのかを親が自覚しているかで、子どもの受け止め方は大きく変わると桜林さんは考えています。
自分が安心したくて聞いていると自覚していれば、子どもはそれほど嫌な気持ちにならない
困っている状態から助けたい、困るパターンを先回りしたいという、それ自体が目的になっている
小4から始まる「親に言わない」世界
中里さんは、小学4年生は思春期の入り口で、親に知られずに友達とだけ共有する秘密を作りたくなる世代だと話します。息子さんにも、過干渉されたくないという自我が出てくるかもしれません。
桜林さんは自身の経験を語ります。桜林さんの母親は、どこにいたのか、誰と遊んでいたのかを把握したがる人だったそうです。
私、それこそ小学校4年生とかぐらいからは言わなくなったんだよね、それ。知りたがるの知ってて隠すようになって。
それがどんどん強くなって、大事なことをあんまり親に言わなくなったんだよね。
桜林さんは、必要なことは言いつつ一部を秘密にするならよいものの、何も言わなくなった自分の場合は親のやり方としてあまり良くなかったのだろうと振り返ります。お母さんが本当は知りたいなら、今のうちに聞きすぎないほうがよいかもしれない、という指摘です。
干渉していいかどうかの見極めは?
中里さんは、親の声かけで子どもが安心しているならまだよく、支配されている、入ってこられていると感じているならネガティブだと整理し、その見極めをどうするかを問いかけました。
桜林さんの答えは「子供による」です。聞かなくても今日の出来事を全部話したい子もいて、その場合は止める必要はありません。
言わせちゃってるなみたいになったら聞かないとかっていう、ちょっとした微調整が必要なのかもね。
中里さんは別の視点として、子どもの年齢が上がるほど、親から見えない範囲が広がっていく不安を挙げます。抱っこしていた頃は全部見えていたのが、だんだん見えなくなっていくからです。
抱っこしていた頃は、子どもの行動が全部見えていた
年齢が上がるほど、学校や友達との時間など見えない範囲が広がる
中里さんの提案は、子どもと一緒に遊べる範囲や一緒に見るものを増やして、知らない範囲を少し減らすことです。小4ならまだ「好きなことを教えてよ」と一緒に遊べる年齢だと話しています。
桜林さんはこれを、母と息子の2つの円にたとえました。息子の円が大きくなるほど共有しない部分が増えるので、共有部分を増やす、というイメージです。
同時に桜林さんは、お便りにある「自分と子供は別の人格」という視点にも触れます。子どもだけの世界が広がるのはいいことでしかないので、そこに慣れていく練習をするしかない、と語りました。
子どもの世界が広がるのは嬉しい?寂しい?
桜林さんは、娘さんが自分のいない世界で何をし、どう感じているかを知るたびに、嬉しかったと振り返ります。
私の知らないとこでそんなことをして、そんな風に思ってんだみたいなの増えれば増えるほど嬉しかったけどね。
中里さんは、お子さんを信用し、親が「自分のやりたいこと、好きなものは何だったか」に立ち返っていくタイミングだと話します。3年以内、中1ごろまでには確実に来る変化なので、今から練習しておいてもよいかもしれないといいます。
だってやめ時わかんなくない?中学生になってぴたりとやめるとかもさ、難しいからさ、ちょっとずつ練習した方がいいよね。
中里さんによれば、よくあるのは子どもが急に親離れして親がショックを受けるパターンです。桜林さんも、一人でできるようになるのは喜ばしいのに、すごく寂しいものだと認めています。
桜林さんは、母親が子どもの居場所を把握するのは自分の責任だと思っていたのだろう、と悪気がなかったことにも触れます。それでも、子ども扱いされて自由がないと感じる苦しさは成長の一部だと話しました。
中里さんは、男の子は母親に何でも話す時期が早く終わるかもしれないと推測し、最近読んだ『Z家族』にも似たことが書かれていたと紹介します。桜林さんは逆に、男の子は世話をしてもらうことには甘え続けるかもしれないと付け加えました。
「遠くで見ててほしい」という子どもの本音
桜林さんは、娘さんが4、5歳の頃の社員旅行のエピソードを紹介します。娘さんはずっと他の大人と遊び、夜寝る時だけ桜林さんのところに来ていたそうです。
なんか見てては欲しいけど、一緒にずっといるとかじゃなくて、遠くで見ててほしいって。
中里さんは、存在は感じたいけれど、ずっと近くで話したり遊んだりしたいわけではない、という距離感に共感しました。桜林さんは、急に子離れするのではなく遠くで見とく練習がよいのではないかと提案します。
中里さんは、信頼関係があれば小4ならまだ学校や友達の話をしてくれるはずなので、話してくれることは聞き、こちらから把握しに行く気持ちは抑え気味にするのがよいかもしれないと話しています。
上司と部下から、チームメイトへ
桜林さんは、ゲームの時間や遊びの内容を親が管理することからはそろそろ卒業し、自分で考えさせ、失敗もさせる練習をしたほうがよいと話します。
中里さんは、親が決めたルールに従わせるのではなく、子ども側に意見を言ってもらい、民主的に話し合ってルールを決めていく形を勧めました。
自分の決めたルールでさ、じゃあ好きなようにやってごらんって言ったら、寝不足になったみたいな時にさ、あ、それやるとこうなっちゃうんだね。じゃあちょっと変えていこうかみたいな。
親がルールを決めて従わせ、指導する
子どもの意見を聞いてルールを決め、失敗したら一緒に見直す
中里さんも、指導するよりも友達やメンターのような公平性のある距離感がよいと応じます。小4以降は話が本当に通じるようになるので、子ども扱いせず普通に話してよいと二人は話しています。
最後に中里さんは、小4はお母さんやお父さんが考え方を切り替えていくのにいいタイミングだと締めくくりました。桜林さんも、急にできなくても仕方ないので、ちょっとずつ練習していこうと呼びかけています。
まとめ
過干渉の悩みに対して、二人は「やめるべき」と断じるのではなく、何のために知りたいのかを自覚し、子どもの様子を見ながら少しずつ距離を練習することを提案しました。小学4年生は、親子が上司と部下からチームメイトへ移っていく入り口なのかもしれません。
- 把握したいのが「親の安心のため」か「子どもが困っているから」かを自覚すると、関わり方が変わる
- 聞きすぎると、大事なことまで隠されるようになることがある
- 見極めの基準は親の正解ではなく、子どものタイプと様子
- 急な子離れではなく、「遠くで見守る」練習を今から少しずつ始める
- ゲームなどのルールは話し合って決め、失敗も一緒に見直すチームメイトの関係を目指す






