お便りが読み切れない?番組の新しい進め方
番組の冒頭で中里さんは、最近リスナーからのお便りがたくさん届き、1回の放送では読み切れない量になっていると報告します。
とても嬉しいんですけれども、この本編というか、この中でちょっと読み切れない量の(お便りをいただいております)。
そこで中里さんは、読み切れなかった「呪い」のお便りをnoteにまとめる案を検討していると話します。形式についてはリスナーからの意見も募りたいとしています。
さらに今回からは、届いた感想を最初に読み、中盤から「呪い」の相談に入る構成を試すことになりました。桜林さんも「いいね、試行錯誤」と受け止め、サイズ感などは様子を見ながら変えていく方針です。
単身赴任家庭のリスナーから届いた工夫
最初に桜林さんが読み上げたのは、第8回「親が我慢すればうまくいくの呪い」を聴いたリスナーからの感想です。投稿者自身も夫が単身赴任中で、小さな子どもと暮らしているといいます。
私も夫が単身赴任で小さい子供と暮らしており、お気持ちがよく分かります。毎日本当にお疲れ様です。自分の気持ちより子供を優先するとストレスが溜まりますよね。私は以前、夫に大変なことを伝えるのが苦手でしたが、夫が余裕のある時に読めるようにLINEで具体的に伝えました。夫は初めて現状を理解してくれ、今では連休の際に私の自由時間をくれるようになりました。
この感想には、ほのかさんが実際に試している工夫がいくつも書かれていました。
- 夫が余裕のある時に読めるよう、LINEで具体的に大変さを伝える
- 「お母さん疲れたから休むね」と子どもに宣言して休む
- イライラした後は子どもに謝り、理由を話す
- 子どもが遊んでいる間にワイヤレスイヤホンでラジオや音楽を聴く
親も人間、ある程度自然体でいる方が、子供にとっても人間理解の勉強になると思っています。
中里さんは、イヤホンで外の音を少し遮って自分だけの時間を作っている親御さんは多いと応じます。桜林さんの反応は短く、実感のこもったものでした。
使えるものは全部使いたいよね。
「どうしてうちの子だけ」集団行動が苦手な息子を持つ母の相談
今回取り上げる呪いは「みんなと同じようにできないといけない」です。二人とも開口一番「あるあるですね」と口をそろえます。
私の息子は、幼稚園での遊戯や小学校に入ってからの集団行動がどうしてもうまくできません。体育の時間にみんなで一斉に準備運動をする時も、一人だけ違う動きをしていたり、給食の時間にみんながきちんと座って食べているのに、席を立ってウロウロしてしまったりします。
先生からはみんなと同じようにできませんとやんわり注意されることが多く、私もついちゃんとしなきゃダメだよと言ってしまうのですが、本人は頑張っているのにできないようで、最近は自信をなくしてしまっているようです。
公園で他の子たちがみんなで鬼ごっこをしている中、一人で砂場で遊んでいる姿を見ると、どうしてうちの子だけみんなと同じようにできないんだろうと胸が苦しくなります。周りの親御さんからはどうしたらいいの?と聞かれるのが怖くて、つい嘘をついてしまうこともあります。
みんなと同じようにできないといけないという呪いからどうすれば解放されるのでしょうか。そして、この子にどう接してあげればいいのか教えていただきたいです。
相談を聞いた中里さんは「つらいですね」と受け止めます。桜林さんも、何ができないかは人それぞれでも、同じ悩みを持つ親はきっとたくさんいるだろうと話します。
砂場で一人遊ぶ子は、本当に困っているのか?
中里さんがまず注目したのは、相談の中の「公園で一人、砂場で遊んでいる」という場面です。子どもが自分で選んでそうしているのかどうかで、意味がまったく変わると指摘します。
そのお子さんが自分で選んで砂場で遊んでいるのであれば、そのお子さん的には何も問題ないですよね。単純にお母様がなんで他の子と遊ばないんだろうって不安になってるだけで。
一方で、本当は鬼ごっこに加わりたいのに加われず砂場に行っているのなら、何か手を貸してあげたいとも中里さんは話しています。
子ども本人には問題がなく、不安を感じているのは親のほう
子どもが困っているので、何かしてあげたい状況
桜林さんは、相談者が一番つらいのは、給食や準備運動のように「みんな一斉に同じことをしなければならない場面」でできないことだろうと整理します。そのうえで、みんなと違うけれど好きなことをしている状態とは分けて考えたほうがいいと話します。
中里さんは、Branchに来る家庭の例を挙げます。たとえばADHD ── 注意欠如・多動症。不注意、多動性、衝動性といった特性がみられる発達障害の一つで、特性の現れ方や程度には個人差がありますの診断がある子が、授業で手を挙げる前に答えてしまうのは「よくあるある」だといいます。
そうした場合、Branchではその子が答えやすい工夫をしたり、興奮したときにカームダウン ── 気持ちが高ぶったときに、静かな場所などで落ち着きを取り戻すこと。学校などでは専用のスペースを設ける取り組みもありますできる空間を用意したりと、環境調整をしていくそうです。
お子さんが集団行動ができないということがなんかダメなんだっていう風にお子さんに植え付けない方がいいかなとは。
そもそも学校は無理なことをしている?過渡期の教育現場
桜林さんは、学校という仕組みそのものに目を向けます。全員が同じ時間に登校し、同じ時間に勉強し、同じ時間に食事をすること自体に無理があると考えたほうがいいと話します。
学校はしょうがないんだよ、それで一人ずつできないから。だけど、そもそも無理なことしてるから、そこからちょっと外れたりできないことがあるぐらいでダメだって思ったら、ほとんどの子がダメになっちゃうよね。
桜林さんは、今の時代でも「みんなと同じようにしなさい」という指導が続いているのかと疑問を投げかけます。中里さんによると、日本の教育はもともと集団生活を強いる傾向が強かったものの、今はそれが変わりつつあり、かなりの過渡期だといいます。
校長先生の方針で、子どもが自由にしてもいい雰囲気に変えている
みんなで集団行動しようという、軍隊寄りのやり方を続けている
地域や学校だけでなく、最終的には先生個人によっても違うという点で二人の見方は一致しています。だからこそ中里さんは、この相談の場合、子どもも母親も悪くないと繰り返します。
桜林さんは、相談文には子ども本人がどう感じているかが書かれていないと指摘します。困っているのか、悲しんでいるのか、へっちゃらなのかが何より大事だと話します。
桜林さんは、自分の娘の例も紹介します。娘はいつも砂場で一人遊んでいる側の子で、流行りの遊びや歌にも興味がなく、我が道を行くタイプでしたが、本人はまったく気にしていなかったそうです。
集団行動すっごい頑張って、本当はみんなと同じふうにやりたいんだけど、どうしてもできないんだ僕はっていう話はきっちり分けた方がいいっていうのが一番思うかもしれない。
母親の呪いはどこから来て、なぜ嘘をついてしまうのか
中里さんは、相談者自身が「みんなと同じようにできないといけない」という呪いを持っていると自覚している点に触れます。相談の文面からは、そう考えているらしい先生の影響が大きそうだと見ています。
桜林さんも「先生にご迷惑をかけたくない」という気持ちがあるのかもしれないと応じます。中里さんは、ママ友や相談者の両親・親族からのプレッシャーの可能性にも触れつつ、呪いの出どころは文面からはわからないとしています。
みんなと同じようにできてなくてもいいじゃないかって思ってる親御さんたちだったりとか、そういうご友人だったりとか、そういう人たちの環境に身を置くっていうのが一番大きいから。
桜林さんが一番気になったのは、周りの親に「どうしたらいいの?」と聞かれるのが怖くて嘘をついてしまう、というくだりでした。周りの目を優先してしまう親の様子は、子どもに伝わっていると考えたほうがいいと話します。
お子さんって見てないようで、こういう小さなのって全部見てるし、全部わかってると思った方がいいって思ってて。
桜林さんは、子どもがのびのびした結果みんなと違うことよりも、子どもが萎縮したり母親の顔色をうかがうようになったりするほうが良くないのではないかと語ります。
中里さんは、相談者はまだ他の親から実際には何も言われていない段階なのではと推測します。たとえばママ友が20人いれば、気にする人が10人いても、残りの10人は「子どもなんて自由でいい」と思っているかもしれないといいます。
そのうえで中里さんは、事実はわからないとしつつ、仲のいいママ友やパパ友がいるなら勇気を出して聞いてみてもいいかもしれないと提案します。桜林さんも、近すぎて自分では思えないことを、周りが「そんなの気にしなくていいよ」と言ってくれるかもしれないと続けます。
同じ周りの声気にするんだったら、そうやっていい風に言ってくれる人の声も気にしたらいいんじゃないかなとは思うね。
SNSの声より、隣の人に聞いてみる
中里さんは話を広げ、SNSの問題点にも触れます。フィルターバブル ── 検索やSNSのアルゴリズムによって、自分の好みや考えに合う情報ばかりが表示され、異なる意見が見えにくくなる状態のように、自分と似た考えや気になる情報ばかりが流れてくる状況があるといいます。
桜林さんが「エコーチェンバー ── 閉じたコミュニティの中で似た意見ばかりが反響し合い、その考えが正しい、多数派だと思い込みやすくなる現象的な」と補うと、中里さんは、同調圧力を気にする人が世の中にたくさんいると思い込まされ、今のSNSがそれを煽っていると話します。
でもなんか実際一歩踏み出してみて、現実の人間に隣の人に聞いてみたら、全然違うこと考えてたみたいな。
桜林さんは、打ち明けることのもう一つの効果を挙げます。解決はしなくても「困ってたんだね」とわかってもらえることがあり、それは子どもではなく母親自身が困っているという話だといいます。
こう隠したり嘘をついてると、もしお母さんが本当は困ってる、本当に自分がどうしたらいいかわかんないっていう時に言いづらくなっちゃうから。
中里さんは、近くても遠くてもいいので「みんなと同じでなくても、自由でもいい」と思える味方が見つかるといいと話します。桜林さんは、先生には集団をまとめて前に進める役割があるため、その味方は先生ではないほうがいいかもしれないとしています。
親同士の会話も、子どもは全部聞いている
桜林さんは「うちの子、なんでできないのかしら」と恥ずかしく思う母親はたくさんいるだろうと話します。中里さんは、そうした母親同士で集まってその話を続けると、かえって囚われていくような気がすると応じます。
お母さん僕できないって思ってんだって思っちゃうから。マジ全部聞いてると思った方がいいよ。子供。で、わかんないふりしてくれてるけどわかってるからね。
桜林さんは、自分自身も子どもの頃にそう思っていたと振り返ります。だから自分の子育てでは、子どもがどこで何を聞いていてもいいと思って話していたそうです。
中里さんは、意識を変えるのは難しいかもしれないとしつつ、母親が少なくとも気にしていないという態度を子どもに見せるほうが本来はいいと話します。
桜林さんはその手前の一歩として、そう思える環境に足を運んだり覗いてみたりすることを勧めます。いろいろな考え方をまず仕入れることはできることで、どれを選ぶかはその先の話だといいます。
子どもが困っているかどうかで、打ち手は変わる
中里さんは、Branchのコミュニティには集団生活ができない子の親が集まっていて、子どもはそのままでいいと考える保護者が多いと紹介します。ここまで凝縮された場所は多くないかもしれないが、探せばきっとあると話します。
桜林さんは、そうした場所に出会うには、隠さずにある程度勇気を出して開示する必要もあるかもしれないと付け加えます。そして話は、子ども本人がどう感じているかという原点に戻ります。
いや、もう全然一人でいっすだとしたらなんかかっこいいよね。それで。それだったらそれでいいよね。
その方がお母さんも困る必要ないんだけどね。
子どもが困っていないとわかれば、「気にしているのは私だけか」と問題を捉え直せると二人は話します。子どもが実際に困っているなら、プロに話を聞いてもらったり、療育 ── 発達に特性のある子どもに対して、その子の困りごとを減らし自立や社会参加を支える支援。医療と教育の両面からのアプローチを含みますの場で見てもらったりする打ち手もあるといいます。
子どもの気持ちを確かめる
一人で楽しんでいるのか、本当は一緒に遊びたいのかを見る
困っていない場合
気にしているのは親自身だと捉え直し、親が安心できる環境を探す
困っている場合
療育やプロに相談し、子どものための手立てを考える
中里さんは最後に、今回の相談は呪いを解きたいという話なので、子どもをどうするかより、母親が子どもをそのまま認められるように環境を整えることが大切だとまとめます。桜林さんも、いい場所や一人の味方でも見つかるといいと応じました。
番組の次回は「子どもに友達がいないのでは、人間関係がうまく構築できないのでは」という呪いを扱う予定です。
まとめ
この回は、集団行動がうまくできない息子を持つ母親の相談から、子どもが困っているかどうかを分けて考えることと、親自身が安心できる味方や環境を見つけることの大切さが語られました。
- 一人で砂場にいる子が自分で選んでいるのか、本当は加わりたいのかで、必要な対応は大きく変わる
- 学校が全員に同じ行動を求めること自体に無理があり、指導の姿勢は学校や先生によって違う過渡期にある
- 周りの目を気にして隠したり嘘をついたりする親の様子は、子どもに伝わっていると考えたほうがいい
- SNSの声より身近な人に打ち明けてみると、気にしているのは自分だけだとわかることもある
- 子どもが困っていれば療育やプロに相談し、困っていなければ親が子どもをそのまま認められる環境を探す






