ゲストは茨城県近代美術館 主任学芸員の永松左知さん。学生時代に中西夏之の個展で衝撃を受け、思い余って本人へ手紙を書いたことから交流が始まり、卒業論文・修士論文、そして没後10年の回顧展へとつながっていきます。前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」での路上パフォーマンスから舞踏を経ての絵画回帰、「絵画と人は元々一体だった」「無限遠点」という独自の絵画論、そして長い柄の筆で遠く離れて描く理由まで。番組初登場となる茨城県近代美術館の紹介とあわせてお届けします。
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Guest Profile
永松 左知(ながまつ さち)
- 茨城県近代美術館 主任学芸員。専門は日本近現代美術。
- 大学の芸術学科在学中に中西夏之の個展(川村記念美術館)を見て衝撃を受け、本人に手紙を送ったことから交流が始まる。卒業論文・修士論文ともに中西夏之を研究テーマとした。
- 没後10年の回顧展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」を企画し、巡回全4会場の立ち上げに携わる。
Show Notes
茨城県近代美術館について
- 茨城県近代美術館:1988年開館。水戸駅の南側、千波湖のほとりに建つ県立美術館。番組初登場。
- 吉村順三:同館の設計者。皇居新宮殿にも携わった、日本のモダニズム建築を代表する建築家。建築目当ての来館者も多い。
- 横山大観:水戸出身。コレクションの筆頭で、菱田春草・下村観山・木村武山とともに重点的に収集されている。
- 岡倉天心:大観たち4人が日本画を革新していく、その中心にいた人物。
- 小川芋銭:河童を多く描いたことで知られる、茨城ゆかりの日本画家。
- 中村彝:水戸出身の洋画家。フランス美術から受けた影響の話も出てきます。
- 中村彝(つね)アトリエ:東京・下落合のアトリエを美術館の敷地内に復元したもの。中に置かれた遺品は本物。
- 新宿区立中村彝アトリエ記念館:とに〜が言及した、下落合に現存するほうのアトリエ。
中西夏之という画家
- 中西夏之:1935年東京生まれ、2016年没。東京藝術大学美術学部絵画科(油画専攻)卒、同大名誉教授。「絵はどのように生まれるのか、絵はどこに存在するのか」を問い続けた、戦後日本を代表する画家。
- ハイレッド・センター:1960年代前半に結成した前衛芸術グループ。「高(ハイ)」「赤(レッド)」「中(センター)」の頭文字から。実際にはこの3人以外にも多くの人が出入りしていた。
- 高松次郎:ハイレッド・センターの「高」。のちにコンセプチュアルな方向へ進む。
- 赤瀬川原平:ハイレッド・センターの「赤」。
- 《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》:東京都現代美術館蔵。キャンバスに洗濯バサミが群がるように取り付けられた作品。
舞踏との出会い
- 土方巽:舞踏の創始者。中西より5〜6歳上。中西は60年代の土方の舞台美術・宣伝美術を数多く手がけ、絵画へ立ち返るきっかけにもなった。
- 大野一雄:土方とともに舞踏を切り拓いた舞踏家。
- 田中泯:土方から派生した世代として名前が挙がった。
- 大駱駝艦:麿赤兒が主宰する舞踏集団。
- 山海塾:同じく舞踏から生まれたカンパニー。
永松さんと中西夏之
- DIC川村記念美術館:学生時代の永松さんが中西夏之の個展を見て衝撃を受けた美術館。手紙を送ったところ返事が届き、「遊びにいらっしゃい」と本人に会うことに。
- 2013年、東日本大震災をテーマにした企画で中西夏之にインスタレーションの制作を依頼。津波で流失した六角堂(茨城大学五浦美術文化研究所)をモチーフとする《着陸と着水 XIV 五浦海岸》を、本人が現場で制作した。六角堂は1905年に岡倉天心が建立し、2012年に再建された北茨城市のお堂。
- 《擦れ違い/S字型還元》(2011年):東日本大震災の数か月後に描かれた晩年の絵画。同館が収蔵した中西夏之作品の第1号。
- 《着陸と着水》:1995年、神奈川県立近代美術館 鎌倉館(現・鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム)の個展で初めて発表されたインスタレーション。以後、晩年まで絵画と並行して続く。
展覧会情報
トークに登場した過去回