2018年から続くTOP10は何を映してきたのか
Off Topicの年末恒例企画「テックニューストップ10」は、アメリカのテック業界で話題になった出来事を、草野さんと宮武さんが独断と偏見で順位づけするものです。2021年版の本題に入る前に、宮武さんは過去のランキングを振り返りました。
2018年はD2C、TikTok、フォートナイト、データプライバシーなどが入り、2019年は政府対GAFA、2年連続のTikTok、AirPodsと音声、ヘルスケアが並びました。2020年はクリエイターエコノミー、3年連続のTikTok、メタバース、政府対テック、Apple対その他、Clubhouseなどです。
宮武さんによれば、メタバースにつながるフォートナイトを追い始めたのは、フォートナイトがアメリカでピークを迎えた2018年でした。当時は、遊びすぎる子どもをキャンプに送るといった話が出ていたといいます。
なんかむしろゲームウェルカムな感じですよね、今は。
ゲームを巡る空気の変化を受けて、草野さんは「たまに振り返るのは大事」と話し、2021年のランキングの発表に移ります。
10位:サプライチェーン問題はなぜインフレと結びつくのか
10位はサプライチェーンの問題です。草野さんは、日本にいると体感しにくい一方で、アメリカではスーパーに行っても物がない、ホリデーシーズンのプレゼントが手に入らないといった状況が起きていたと振り返ります。
宮武さんは意外な影響として、多くのブランドがNFTに力を入れている理由の一部に在庫が入ってこない事情があると指摘します。リアルの商品がなければデジタルのものを提供する、という使われ方です。
宮武さんは、サプライチェーン問題と同じくらい大きな課題としてインフレを挙げました。お金が有り余って需要が上がる一方で、サプライチェーンや労働不足によって商品が足りないという構図です。
需要の増加
アメリカ政府が経済にお金を注入し、買いたい人が増えている
供給の不足
サプライチェーンの問題や労働不足で商品が足りない
インフレ
需要と供給の差から、さまざまな課題が今後出てくる
宮武さんは、サプライチェーン問題がアメリカのトラックドライバー市場や低収入の仕事の課題も浮き彫りにしたと話します。人が離れていく業界は、自動化されない限り業界自体が死んでいくのではないか、という見方です。
解決策として宮武さんが挙げたのは、テクノロジーと政府の両方です。テクノロジー面ではトラックの自動運転を含む自動化、政府の面では港のインフラの更新が必要だといいます。
そこ(港)のアップグレード用にアメリカ政府が17ビリオンぐらい用意したんですけど、ただそれって結構額が小さくて。
アメリカの港は意外と小さく古いため、宮武さんは日本のほうが港の設備は新しいかもしれないとしつつ、この課題は来年も続くとどの会社も言っていると紹介しました。
草野さんが「アメリカで物を作る動きは増えるのか」と尋ねると、宮武さんは増えると答えます。中国からのコンテナ船が高いため、中国に頼らないグローバルなエコシステムづくりが進み、日本で半導体工場が作られる動きもその一つだといいます。
9位:環境問題で起業家とVCは何を変えたのか
9位は環境問題です。宮武さんによると、2021年はクリーンテックへの投資が大きく増え、ある月の時点で30ビリオンを超えていました。
宮武さんは、国民が政治家や企業のCEOに環境への取り組みを求めるようになっていると見ています。核融合などの新しいエネルギー、アパレルの素材の見直し、カーボン税の提案、合成バイオなど、多くのテクノロジーがこの領域で動いているといいます。
草野さんは、ものづくりをしていないソフトウェア企業でも、マイクロソフトのように環境を意識する会社が増えたと話します。宮武さんは、マイクロソフトがカーボンニュートラルではなく「カーボンネガティブ」を掲げている点を評価しました。
一方で課題として、宮武さんは二酸化炭素排出量の把握の難しさを挙げます。スコープ1・2・3 ── 温室効果ガスの排出量を分類する枠組み。自社の直接排出、購入した電力などによる間接排出、取引先など供給網全体での排出に分けて考えますのような話が出てきている段階で、把握から目標設定、事業や株価への影響まで考える必要があるといいます。
宮武さんは、今はサステナブルな取り組みをしている会社に株価がつく傾向もあると話し、草野さんはBコープ認証を持つ企業や、環境に配慮したIPOの例も今年あったと振り返りました。
宮武さんはさらに、批判されがちなイーロン・マスクさんとジェフ・ベゾスさんほど環境に影響を与えた個人はいないと語ります。マスクさんはTeslaで電気自動車を普及させ、ベゾスさんは10ビリオン規模の環境問題解決のためのファンドを立ち上げたからです。
まあそもそも(宇宙ロケットの)燃料の排出量ってそこまで大したことないので、10ビリオン出してるわけなので、いいじゃないかと。
宮武さんは、起業家やVCのマインドセットも変わってきていると指摘します。特にヨーロッパのVCが、スタートアップとの投資契約にサステナビリティの目標を埋め込む例が報じられているといいます。草野さんも、採用の場面で企業の環境意識が見られるようになったと付け加えました。
8位:オフィスとリモートの半々で何が必要になるのか
8位は新しい働き方です。宮武さんは、コロナ明けに一部がオフィスに戻り一部がリモートという形が、新しいノーマルになるのかという議論が出ていると話します。
草野さんが驚いたのは、Nikeに買収されたRTFKT社が完全リモートで、別々の国から運営されていたことでした。時差のある環境でクリエイティブな仕事をしてNikeに買われる規模になったことを、草野さんは「本当に今の会社」と表現します。
宮武さんは、The Vergeの編集者クラスの人物が毎月Airbnbでアメリカ国内の別の町に移りながら仕事をしている例を紹介しました。Airbnbでは20〜25%の物件が1か月以上の滞在になっているといい、よりノマド的なリモートカルチャーになる可能性があると見ています。
草野さんは、コロナ禍で初めて働き始めた若い世代の価値観にも触れます。Googleの検索では、新しい仕事を見つける方法よりも「起業する」という言葉の検索順位が上がっていたそうです。
宮武さんは、完全リモートでも完全出社でもない半々の働き方には、新しいワークフローが必要になると話します。そのうえで、今後は「チーフ・ワークフロー・オフィサー」のような役職が必要になるかもしれないという議論を紹介しました。
そこ(オンラインとオフライン)のコミュニケーションの仕方とか、そこのワークフローの決め方とか、そのカルチャーの作り方とか、オンボーディングとか。
新しい働き方を象徴するツールとして、二人は非同期のビデオメッセージサービスLoom ── 画面や自分の映像を録画し、動画メッセージとして共有できるサービス。会議を開かずに説明を伝えられる非同期コミュニケーションのツールとして広まりましたを挙げます。宮武さん自身、投資の依頼を受けるときに、先にLoomでプロダクト説明の動画が送られてくるといいます。
Loom
まず非同期のビデオでプロダクトの説明を受け取る
Zoom
Zoomで電話会議をする
Room
うまくいけば、対面で同じ部屋で会う
草野さんは、一緒にやるべきことと一緒にやらなくてもいいことが見えてきたと話します。宮武さんも、時差がある場合に朝の定例を完全に同期でやる必要があるのかなど、2021年から新しいアイデアが生まれ始めたと振り返りました。
7位:クリエイターエコノミーで人気を集めたものは?
7位は、昨年に続いてランクインしたクリエイターエコノミーのブームです。宮武さんは「ちょっと飽きた」と冗談を言いつつ、今年特に人気になったのはクリエイター向けのツールだと話します。
宮武さんによれば、クリエイターエコノミー系のスタートアップは1月から10月にアメリカで3.7ビリオンほどを調達しました。ショッピング機能や店舗づくり、レビューなどのマネタイズ体験から、会計やファンディング、カードといったバックオフィス系まで幅広く出てきたといいます。
大手SNS企業がこぞってクリエイターファンドを作ったことも、2021年の特徴です。宮武さんは、どのテック企業も「クリエイターファースト」と言い始めたことに「今までそうでしたっけ?」と驚いたと話しています。
ClubhouseやPatreon、Masterclass、OpenSea、Whatnot、Cameoなど、この領域からユニコーン企業も出てきました。草野さんは、Cameoがユニコーンになったことに驚いています。
宮武さんは、クリエイターがAppleを批判したり既存プラットフォームの手数料を嫌ったりする声もちらほら見られたと話します。リンクインバイオ系サービスの影響もあり、複数のプラットフォームをまたいで活動する傾向が強まっているといいます。
6位:BNPLはクレジットカードを置き換えるのか
6位はフィンテックのトレンドです。草野さんがずっとフィンテックを取り上げたがり、宮武さんが他の話題を優先してきたという経緯から、宮武さんは「来年やります」と謝っています。
草野さんは、フィンテック企業の買収や大型投資が多かった年だったと振り返ります。宮武さんが中心に挙げたのは、後払いサービスBNPL ── Buy Now Pay Laterの略。商品を先に受け取り、代金を後から、または分割で支払う決済方法ですでした。
宮武さんによると、BNPLが注目された背景には、メディアが取り上げたことに加え、買収や調達の増加があります。Klarnaの評価額が46ビリオンほどになり、AmazonはAffirmと提携し、Afterpayは買収され、日本ではPaidyがPayPalに買収されました。
草野さんは、各社が後払いの機能そのものを買収していく流れだと受け止めています。宮武さんは、若い世代ほど後払いを使う傾向が強いと話し、6月時点の数字を挙げました。
宮武さんは、クレジットカードを持つ自分なら後払いは大きな買い物で使うイメージだったが、実際には普段の買い物でも使われていると驚きます。草野さんは、後払いをかっこよく見せる売り方への批判にも触れ、消費者の課題を解決する一方で長期的にはどうなのかと問いかけました。
今のままこのままいくと、そのZ世代、その次のアルファ世代の時代では、もしかしたらクレジットカード自体がリプレースされる。
宮武さんはBNPL以外にも、2021年に上場したRobinhood、10代向けカードのStepやCurrent、新しいファイナンス手法のPipe、法人カードのRampやBrexなどを挙げました。B2B決済では、小切手を使う文化がようやくデジタル化し始めているといいます。
宮武さんは、Z世代のVCも最も興味があるのはフィンテックだと言っていることから、この領域は今後も重要になると見ています。その中心地として挙げたのがニューヨークで、アンドリーセン・ホロウィッツもニューヨークに拠点を置いているといいます。
5位:IPOとEXITが過去最高だった年に、トップCEOは何をしたか
5位はIPO市場と流動性です。宮武さんは、直近ではインフレの影響でSaaS企業の株価が3〜4割ほど下がっていると前置きしつつ、市場全体ではIPOがとても多かったと話します。
10月初めの時点でアメリカのIPOは100社を超え、宮武さんは久しぶりの水準だと見ています。テックバブル期のピークは350社ほどで、そこまでは届かないし、届いてほしくないともいいます。
草野さんはSweetgreenの上場を「いい話」と挙げ、D2C系の老舗企業のIPOも多かったと振り返ります。Allbirds、Warby Parker、Rent the Runway、Rivianなどの名前が挙がりました。
一方で宮武さんは、世界のトップCEOたちが株を大量に売っていると指摘します。ジェフ・ベゾスさんやイーロン・マスクさん、マイクロソフトの経営トップも自社株を大きく売ったといいます。
宮武さんによれば、売却の理由には税制が変わるという噂や、株価が高いうちに売る判断、以前から予定されていた売却などがあります。ただ、それ以上に売っているのも確かだといいます。
これ投資アドバイスではないですけど、世界で一番賢い人たちが株は売ってますと。
草野さんはこのほか、Asanaなどが関わった長期経営をテーマにした証券取引所も今年のトピックだったと付け加えました。
4位:独占禁止法の加速と、Instagram買収をどう見るか
4位は独占禁止法の動きの加速です。宮武さんは、大手テック企業への批判が増え、アメリカ政府もようやく実質的に追いつき始め、法案が出たり、韓国では法律が実際に作られたりしたと話します。
草野さんは、テック企業のCEOが常に政府に呼ばれているような状態だったと振り返ります。宮武さんは、2021年に裁判が行われたApple対Epicも挙げ、世界中の政府がテックジャイアントの権力に疑問を持っていると説明しました。
宮武さんによると、Googleはアプリストアの手数料を15%に下げており、ヨーロッパと韓国が特に厳しい中でAppleがどうするかが注目されています。2000年代のマイクロソフトには、噂ではPMより弁護士のほうが多かった時期があったといい、規制によるペースダウンも起こりうると見ています。
草野さんは、StripeやBlockのように今後大きくなる企業にとっては、買収するなら今のうちではないかと話します。宮武さんも、Stripeが去年から今年にかけて買収を重ね、BlockがAfterpayを買収した理由の一部はタイミングかもしれないと応じました。
話題はFacebookによるInstagram買収に移ります。当時は小さな買収に見えたものが、数年後には独占に見えるという難しさを草野さんが指摘すると、宮武さんはマーク・ザッカーバーグさんの主張にも一理あると話しました。
Instagramが別々の会社だった場合に、同じ、今のInstagramになってるかって正直分かりづらくて。
宮武さんによれば、当時のInstagramは12〜13人ほどで売り上げのない会社で、1ビリオンの価値があるのかと多くの人が疑っていました。Facebookの広告システムを組み込めたことが重要だったとして、後から切り離すのは間違いではないかと考えています。
3位:VCの勢力図はどう変わったのか
3位は新しいVCの世界です。宮武さんは、2021年ほどVCが自分の立ち位置に危機感を持った年はないのではないかと話します。
草野さんは、クリエイターが投資家になる一方で、VCがクリエイター寄りになり、コンテンツを大量に出すようになったと指摘します。宮武さんは「みんなSubstackを作っていた」と話し、最近はユニットでYouTubeをやるVCも増えたといいます。
宮武さんは、VCの世界には下と上から新しいプレイヤーが入ってきたと説明します。下からはクリエイターや一人で運営するソロキャピタリスト、上からはヘッジファンドなどのクロスオーバーファンドです。
クリエイターやソロキャピタリスト。一人でやっているエンジェルが300億円規模のファンドを作る例もある
ヘッジファンドなどのクロスオーバーファンド。Tiger Globalは2日に1回のペースで投資し、6ビリオンのファンドが四半期でなくなるほど
宮武さんは、明らかに違う戦略を持つVCが出てきた中で、真ん中にいるVCが苦しんでいると話します。あわせて、来年Sequoiaで世代交代があるという噂も紹介しました。ファンド構成の変更を説明するブログを書いたのがトップのダグ・レオーネさんではなかったことや、来年が50周年であることが噂の背景だといいます。
クロスオーバーファンドの影響で、アンドリーセン・ホロウィッツやSequoiaもシード案件を増やしました。草野さんは、新しいファンドの投資スピードの速さと、どの案件にもアンドリーセンが入っていることに驚いています。
ニューヨーク出張で会ったNot Boringのパッキーさんは、一人でVCをしながらコンテンツを出し続け、宮武さんの見立てでは今年100社以上に投資しました。そのパッキーさんがアンドリーセンのアドバイザーになったことに、宮武さんは「アンドリーセンのリーチがすごすぎる」と話しています。
宮武さんは、アメリカでは1〜9月のファンド調達額が合計96ビリオンに達し、2021年だけで480社のユニコーンが生まれたと紹介します。1ビリオン以上のファンドを立ち上げたのは19社で、Tiger Globalも8.8ビリオンの新ファンドを作りました。
どういうバリューを提供してるかっていうのが、より明確にしないといけない時代になったのかなと思いますね。
宮武さんはシリコンバレーへの依存が下がったことも挙げます。2014年にはアメリカのシード〜アーリーステージの投資の4割がサンフランシスコのスタートアップに向かっていましたが、今は27%まで下がり、投資先がアメリカ中に分散し始めているといいます。
2014年: 約4割
現在: 27%
ベテランVCの引退と、取締役会で語られる不況の予感
3位の話題は、VCの引退と景気の見通しに続きます。宮武さんは、Lightspeedのジェレミーさんをはじめ、50歳前後のVCが一気に退いたことに触れました。
草野さんは、SequoiaとアンドリーセンがすごすぎてVCの話はこの2社に集中しがちだと話します。宮武さんは、アンドリーセンがそろそろSequoiaを追い越すかもしれないとしつつ、デカコーンの数ではSequoiaが上だと認めました。
では、Lightspeedのような会社はどう勝てばいいのか。宮武さんは、ジェレミーさんが次の世代に渡さないと勝てないと考えた可能性に加え、ピーター・ティールさんの仮説を紹介します。
最近ピーター・ティールさんも言ってたんですけど、やっぱり次の1、2年って結構ベンチャー業界って場合によっては結構きつくなるんですよ、経済状況が。
ティールさんの仮説では、過去10年の良い環境で評判を築いた人たちは、次の1〜2年で評判を落としたくないため、次の世代に渡してリスタートしてもらおうとする人もいるのではないかといいます。宮武さんはこの見方を間違っていないと受け止めました。
宮武さんは、自分も草野さんも含め、今のVCのほとんどは不況を経験していないと話します。そのうえで、アメリカのスタートアップの取締役会では来年・再来年のマクロ環境が話題になっていると明かしました。
宮武さんによれば、取締役会でマクロ環境が議論されること自体、過去にはほとんど起きていません。それだけみんなが不況が来ると感じているタイミングであり、流動性やEXIT、バリュエーションへの影響を見越して、今のうちに資金を集めるべきではないかという会話が交わされているといいます。
2位:Facebookの社名変更でメタバースはどう広まったか
2位はメタバースです。草野さんは、昨年もランクインしたテーマながら、FacebookがMetaに社名を変更したことは大きな転換だったと話します。
草野さんは、めざましテレビでメタバースが取り上げられるのを見て、大きな会社が動くことで起きる変化を実感したといいます。宮武さんも、日本の企業がFacebookほどの会社の動きに危機感を持ったのではないかと見ています。
一方で宮武さんは、メタバースには決まった定義がなく、変に伝わった点もあったと話します。インターネットが「情報スーパーハイウェイ」と呼ばれていた時期と同じ段階にあると考えているからです。
場合によっては10年後、メタバースという言葉がなくなっていて。
宮武さんは、Off Topicではメタバースを3Dの世界に限らず、2DやARのようにリアルな世界をベースにした機能まで含めて考えていると説明します。それが来年以降どう進むか、1位のトピックとどうつながるかに注目しているといいます。
草野さんは、リテールを追っていると、ファッション業界でもメタバースがずっと話題だったと話します。世界観を見せたいブランドのほうが、ソフトウェアのサービスよりも新しい場所への動きが速いと感じているそうです。
宮武さんは、新しいテクノロジーはカルチャーから始まってC向けに広がり、後からBに入るという、Off Topicが以前から話してきた流れがメタバースにも当てはまると見ています。
カルチャー
ファッションや音楽などから始まる
C向けサービス
一般の消費者向けサービスに広がる
B向けサービス
デジタルの時間がフィジカルを上回ると、仕事用の新しいSaaSが生まれる可能性がある
メタバースだけはオフィス環境をVRにする話もあるため例外かもしれない、と宮武さんは留保をつけています。それでも、最もわかりやすい体験はCから始まると話しました。
1位:Web3とNFTはどんな流れで盛り上がったのか
1位はWeb3とNFTです。草野さんは、アメリカで最もトレンドになったキーワードがNFTだったと言われていると紹介しました。
宮武さんは、2021年のNFTの流れを時系列で振り返ります。2月のNBA Top Shotから始まり、3月にBeepleさんの作品がオークションにかけられて大きく盛り上がりました。
宮武さんがOff TopicでNFTコレクタブルの記事を書いていたのは、Beepleさんの出品から3日目で、価格はまだ3ミリオンでした。10億円にいけばすごいと思っていた作品は、最終的に69ミリオンほどで落札されています。
7〜8月以降の新しいユースケースとして、宮武さんはPlay to Earn ── ゲームを遊ぶことで暗号資産やNFTを得て、収益につなげられる仕組み。Axie Infinityはその代表例として知られていますのAxie Infinityを挙げ、フィリピンを支えたサービスと表現しました。Bored Apesは、最初の1週間で1000個ほどしか売れず売り切れなかったといいます。
宮武さんは、2021年はWeb3の一般消費者向けアプリケーションが大きく増えたことが重要だったと見ています。アプリが広がった分、それを支えるインフラが必要になり、そこでプロダクトを作る起業家が増えるという見方です。
(夏の終わり頃から)どのVCと話しても、「これからクリプトの戦略を考えないと」って皆さん言ってて。
VCによっては来年ファンドの半分をクリプトに投資するところもあるといいます。ただ、草野さんが「クリプトファンドがいずれ普通のファンドになるのは来年か」と尋ねると、宮武さんは「まだだと思います」と答えています。
クリプトはやらないはずだったOff Topicに起きた変化
Web3とNFTの話は、Off Topic自身の変化にも及びました。番組を始めた当初、二人は「クリプトは絶対にやらない」と言っていたといいます。
それでも2021年は5つのエピソードをクリプトに寄せ、メインチャネルのコンテンツの10%がクリプトになりました。Web3を扱った第91回はOff Topic史上最も聴かれたエピソードになったと草野さんは振り返ります。
草野さんは、甥っ子がNFTアーティストとして「RonbieZooKeeper」の作品を出していることも紹介しました。本人も「ラッキーだった」と話しているそうですが、草野さんの姉が地道にコミュニティを作り、オンラインでミートアップを重ねているといいます。
結局そこ(コミュニティの作り方)が一番NFTだと重要になってくるので。
宮武さんは、アートのクオリティだけでなく、ファンでいる理由を作ってメンバーを保ち続けることが重要だと話します。クリプト業界は「10年進んだ」と言われるほどで、「全員老けた」と言われた年だったと振り返りました。
宮武さん自身も、底が見えないトピックに「入り込んでもう出れない」と話します。草野さんは難しすぎて心が折れそうになると言い、宮武さんもDeFiの話はわからないと認めたうえで、いろんな人と連携しながら教え合う形にシフトする必要があると語りました。
ゲスト回の予告と、Bytesシーズン2のお知らせ
最後に二人は今後の予定を告知しました。AtariAngelsで出会ったデビッド・フェリップさんをゲストに迎える企画が進んでおり、動画で公開される予定です。宮武さんは、Learn to Earnの考え方や、クリプトに入るときに見るべきリソースを教わった人物だと紹介しています。
12月で終わると話していたSpotifyオリジナルの番組「Bytes」は、12月22日にシーズン1の最終話を迎えたあと、1月中旬にシーズン2として再開します。草野さんは、Spotifyのまとめで多くの人が聴いていることを知って安心したと話し、リスナーへの感謝を伝えました。
まとめ
2021年のTOP10は、サプライチェーンとインフレ、環境、働き方、クリエイターエコノミー、フィンテック、IPO、独占禁止法、VC、メタバース、Web3とNFTと、テック業界が社会や経済と深く結びついた一年だったことを示しています。宮武さんは盛り上がりの一方で、来年以降の不況への警戒も強まっていると語っています。
- サプライチェーン問題はインフレとも結びつき、自動化と港などのインフラ投資が来年も課題になると見られています
- BNPLはZ世代の日常の買い物にまで広がり、宮武さんはクレジットカードを置き換える可能性に触れています
- VCは上下から新しいプレイヤーが入り、ミドル層が苦しむ構図になり、取締役会では不況への備えが話題になっています
- メタバースはFacebookのMetaへの社名変更で一般に広まり、カルチャーからC、Bへ広がる流れが想定されています
- 1位のWeb3とNFTでは、一般向けアプリの急増と、一発で終わらないコミュニティづくりの重要性が語られました





