AIエージェントは、チャットボットと何が違う?
この回のテーマは「AIエージェントの未来とシミュレーションのサービス化」です。宮武さんは、AIエージェントが来ること自体は多くの人が話しているため、その影響と未来へのつながりを考えたいと切り出します。
宮武さんによれば、これまでのAIはChatGPTのように、質問すると回答が返ってくるチャットボット型が中心でした。それに対してAIエージェントは、実際に動いてタスクを成し遂げ、場合によっては確認も取ってくれる存在です。
宮武さんは、AIエージェントという言葉は「agency」から来ており、自ら判断して行動できる点が特徴だと説明します。去年あたりからテック業界で言われ始め、今年はかなり導入が進むと見られているそうです。
質問に回答を返す。旅行なら計画を立てるところまで
自ら行動してタスクを完了する。旅行ならブッキングまで全部行う
具体例として挙げられたのは、カスタマーサービスやカスタマーサポート、そして旅行の手配です。草野さんは「便利ですね。それは本当に」と率直に反応します。
秘書か、友達か。AIエージェントは「性格」で選ばれる?
宮武さんが気になっているのは、多くの人がAIエージェントを秘書のようなアシスタントとして想像している点です。いろいろな企業がAIエージェントを作るなかで、持っているデータに大きな違いがなければ、性能はあまり変わらないと宮武さんは見ています。
そうなった場合、なんかより自分を知ってくれてるとか、場合によってはその性格とかの方が重要視される可能性ってあるのかなと思ったんですよね。
宮武さんは、AIエージェントを選ぶことは、人を選ぶこととあまり変わらなくなるかもしれないと話します。草野さんは、使ううちに自分好みに研ぎ澄まされていくのでは、と問い返しました。
宮武さんはそれに対し、最初がアシスタント的だとハードルが高いと答えます。最初から相性のいい友達のような感覚で話せるAIなら、そちらが選ばれるかもしれないという見立てです。
ここで例に出たのが、ChatGPTの流行以前からあるReplika ── AIの友達や話し相手を作れる対話型AIサービス。ユーザーと継続的に会話し、AI側に個性や記憶を持たせる設計が特徴ですです。友達感覚で接する人もいれば、恋愛する人もいるサービスで、AI側が日記を書き、ユーザーとの会話をどう思ったかを読めるといいます。
確かになんかその戦略って一つありだなと思ったのが、なんか最初から信頼を取れてるので。
宮武さんによると、Replikaの次のフェーズは友達にとどまらず、タスクまで実行する方向です。先に信頼を得ているので、エージェント機能を出しても任せてもらいやすいのでは、という考えです。
草野さんは「実行までやってもらうのは怖さがないか」と尋ねます。宮武さんは、怖さはあっても人はだんだん慣れていくと答えつつ、ミスをすれば信頼を失い、別のエージェントに乗り換える動きも出てくるだろうと付け加えました。
「AIのミスでした」が通用する世界線
草野さんは話を少し変え、ある記事で読んだ動きを紹介します。内向的な人が増え、突然予定をキャンセルすることを良しとしよう、という流れで、ドタキャンとは別の名前まで付けられていたそうです。
草野さんは、これまでならダメとされたことが許容される世界もあるのだと感じたといいます。そこから、AIの実行で誤ったことをしても「すいません、これAIのミスでした」で済む世界線もあるのでは、と考えました。
宮武さんは「全然ありますよね」と同意し、それを悪用する人も出てくると指摘します。とりあえず「AIが送ったんです」と言い訳する人です。
でもあれありますもんね。なんかSNS乗っ取られちゃったんですよっていう。
宮武さんは、AIエージェントの普及でまさにその言い訳が加速すると応じます。草野さんも、実際に起こりうるから嘘とは言い切れない、と怖さと面白さが混ざった反応を見せました。
エージェント同士が話すと、ニュアンスは誰が決める?
宮武さんは、AIエージェントが人間とだけでなくエージェント同士でも話すようになると、ニュアンスの伝え方が大きく変わると話します。たとえば宮武さんのAIエージェントが、今後Off Topicでやりたいことを草野さんのAIエージェントに伝えたとします。
それを草野さんのAIエージェントがどう草野さんにそれを反映するのかっていうのが、僕は見えないので。
草野さんは「変な伝言ゲームみたいになりそう」と表現します。宮武さんは、個人用のAIエージェントなら、宮武さんの言い方が強すぎたときに柔らかくして伝えることもありうると話しました。
草野さんは、以前番組で話した「メッセージの翻訳」、つまりびっくりマークや絵文字を付けて編集して届けてほしいというニーズはかなりありそうだと応じます。
(それは)その人とのコミュニケーションの仕方を全く覚えずに進められるっていう話でもあるじゃないですか。
宮武さんは、対面で会ったときに「全然違うじゃん、この人」となりかねない点を問題として挙げます。草野さんは、AIが勝手に変換するより、相手の文章のトーンを自分に直接教えてほしいと話しました。絵文字の定義や、丸に特に意味はないこと、びっくりマークは2つまでにしていることなどです。
一方で宮武さんは、送る側にも「草野さんならこう受け取るかもしれない」と伝えるべきかを問います。草野さんは考えた末、やりすぎると嫌かもしれないと意見を引っ込め、相手の絵文字の量に合わせる人がいるように、そもそも対人によって変わるものだと気づきます。
宮武さんが気にしているのは、受け取る側でメッセージがどこまで変わるのかと、送る側がそれを理解しているのかの2点です。毎回許可を求めるのは面倒なので、一番シンプルなのはそのまま伝えることかもしれず、「やっぱり直接話した方がいい」という結論になる可能性もあると笑い合いました。
マーク・ベニオフが語る「デジタル労働者」とは
宮武さんは、AIエージェントが次の流れだと最も強く語っている人物として、Salesforceのマーク・ベニオフ ── 米Salesforceの共同創業者兼CEO。顧客管理ソフトをクラウドで提供するSaaSの先駆けとして同社を育てましたを挙げます。ベニオフさんはAIエージェントを「デジタル労働者」と呼んでおり、宮武さんはこの呼び方を高く評価しています。
ベニオフさん自身は、自社サービスのエージェントフォースを加速させたい立場でもあります。それでも宮武さんは、テクノロジーが人間の使うツールから、デジタル領域の労働そのものを一部置き換える存在に変わる点が大きいと見ています。
宮武さんの説明では、人間のインプットなしにエージェントが情報を分析・判断し、独自に動きながら学んで改善できるようになれば、デジタル労働者の数は一気に増えます。100人規模の会社でも、何百万体ものAIエージェントが存在するかもしれず、組織の採用のあり方も見直しが必要になるといいます。
草野さんが相性のよい領域を尋ねると、宮武さんはまずカスタマーサポートセンターを挙げ、さらにマーケター、エンジニア、SNS担当者などデジタル上で働く職種全般に広がると答えました。1人の人間に対して10人、100人、場合によっては1000人のAIエージェントが付く可能性もあるそうです。
人間がやる作業を加速させる。作業の主体は人間のまま
「この案件を全部対応して」と任せられる。部分的に任せることもできる
草野さんは、10人分のデジタル労働者を見るマネージャーは大変そうだと尋ねます。宮武さんはそうだと認め、労働は任せて重要な判断を人間がする形になるため、判断を素早くできる人が重要になると話しました。
場合によってはワンオンワンはしてるかもしれないですよ、AIエージェントと。君はもうちょっと頑張ってほしいって。
宮武さんの見立てでは、ミーティングを設定するというより、その場で非同期にフィードバックを返し、AIがそれを読み取って動くという形になるそうです。
AIへの指示が雑になると、人間関係にも響く?
草野さんは、AIへのフィードバックでは英語の方が相性がいいと感じているそうです。日本語では「〜してください」と打つと長く、「〜して」だと乱暴な感じがして抵抗がある一方、英語ならAIにも人間にも同じ話し方ができると考えていました。
宮武さんは「(英語でも)ちょっと変わりますよ」と答えます。AIにはもう少しカジュアルに、あるいはアグレッシブに、命令っぽく書くことは十分ありうるといいます。
あとそれがちゃんと切り分けられるかどうかですよね。人間とコミュニケーションしてる時と、AIエージェントと話してる時と。
草野さんは「優しそうなのに、AIへの文章を見るとすごく乱暴だな」という場面を想像し、宮武さんも、AIエージェント向けのつもりの怒鳴るような文章を人間に送ってしまう問題が起きそうだと話しました。組織内でAIエージェントの扱いが乱暴になるかどうかは、宮武さんにとって気になるポイントです。
労働がデジタル化すると何が起きるか。Uberにみるヒント
宮武さんは、1社あたり1体なのか、1万体なのか、100万体なのかは会社によるとしつつ、デジタル労働者の世界は当たり前になると見ています。そのうえで、労働のデジタル化が何を意味するかを考える必要があると話します。
宮武さんは、これはコストやスケールの話だけではないと強調します。草野さんの「データになるってことですか」という問いに対し、宮武さんが一番わかりやすい事例として挙げたのがUberでした。
宮武さんによれば、配車アプリのアイデア自体はインターネット初期からありました。車にGPSを付けて追跡することは誰でもできた一方、エンドユーザーを追跡するのは非常に難しかったのです。パソコンは持ち歩かれず、GPSやWi-Fiにつながっている必要もありました。
車の追跡
GPSを付ければ以前から可能だった
利用者の追跡
パソコンでは持ち歩けず、ずっと難しかった
スマホの登場
エンドユーザー全員の物理的な位置をデータ化できた
マッチングの成立
配車サービスとしてのUberが可能になった
宮武さんは、同じことがAIエージェントでも起きると考えています。今のビジネスには追跡できないデータがあまりに多く、一部がデータ化されても誰も見ない状態だからです。
記録されても誰も見ない、会議やメールのデータ
草野さんが例を求めると、宮武さんはZoomにAIツールを入れて議事録を取る場面を挙げます。議事録はまだ見るかもしれませんが、録画した会議動画を振り返る人はほとんどいないと宮武さんは話します。
草野さんは「分析ツールがあるのでは」と返しますが、宮武さんは分析結果を見るのも基本的に会議の参加者だけで、その人たちが辞めたら誰も見なくなると指摘しました。
仕事の効率化のデータって優先順位やっぱ低いんですよね。
宮武さんはさらに、従業員が辞めたときのメールを例に挙げます。メールはアーカイブされて引き継がれますが、過去のやりとりを見る人はほぼいません。そこにクライアントとの重要な話があるかもしれないのに、わからないままです。
ローカルに保存したファイルが消されたり、Messengerなどでの会話が残っていなかったり、残っていても使われていなかったりします。宮武さんは、データが存在しないのではなく、量が多すぎて人間には追いきれず、どこに重要な情報があるかもわからないため活用されないのだと説明します。
AIエージェントが実際に労働を担うと、メールのやりとりも含めてまず全部がデジタル化され、エージェントのメモリに保存されます。会社のデータベースにつながっていれば、新しいAIエージェントも同じ記憶を持ち、情報にアクセスしやすくなる点が大きな違いだと宮武さんは話しました。
会社の内部を知り尽くした「AIの社内Wiki」
草野さんは、ウォルマートが過去の従業員のデータを使ってAIで対応方法を整えているという話を思い出します。大企業の過去のメールを全部使えば、クライアントへの返信やコンサルまでできそうだと話しました。
宮武さんは、今の組織は職種ごとに分かれていると指摘します。リテール企業のカスタマーサポート部門が持つデータは、販売チームや卸チームのデータとは異なります。
カスタマーサポートのデータだけで解決できることもありますが、プロダクトチームなどと連携すると見え方が大きく変わると宮武さんは言います。たとえばプロダクト開発に時間がかかっているとわかれば、AIエージェントがそれに合わせたサポート対応をすることもできます。
これ聞いたらこの人、これ聞くならこの人みたいなのがもう全部一つのAIになったって感じですよね。
宮武さんは、そうした存在が社内に大量にいるイメージだと応じます。今はZendeskやKlaviyoなど、リテール向けのサービスが細分化して連携していないため、会社全体で何が起きているかを理解している人は少ないそうです。
宮武さんは、1つのWikiのようなデータベースを作れば大きく変わると話し、KlarnaやMetaがこうした取り組みをしているとの見方を示しました。こうして社内Wikiが強化されると、AIエージェントはさらに使われるようになります。
AIエージェント同士が交渉を始めたら
宮武さんは、AIエージェントが広く使われると、冒頭で話したようにエージェント同士が話し出すと見ています。営業の最初のリーチアウトがAIになれば、問い合わせが大量に届き、それに対応するのが面倒になって受け手側もAIエージェントに任せるようになるという流れです。
営業のAI化
各社がAIエージェントで大量にリーチアウトする
問い合わせの急増
受け手側の対応が追いつかなくなる
受付のAI化
問い合わせ対応もAIエージェントに任せる
AI同士の交渉
価格調整やミーティング設定までAI同士が行う
草野さんは「仕事依頼していいですか?」「ちょっと検討します」をAIがどちらもやるのかと笑います。宮武さんは、価格を下げる代わりにミーティングを提案したり、即導入を求めたりと、権限次第で交渉まで進むかもしれないと話しました。
宮武さんは、ここで重要になるのが今回の大きなテーマであるシミュレーションだと続けます。ルールを付けて動かすだけではどこかで改善が足りなくなり、AIエージェントを強化するためのシミュレーションをたくさん作る必要が出てくるという見立てです。
2週間前の回では物理領域のシミュレーションを話しましたが、今回はデジタル領域が中心です。他のエージェントとの会話そのものが新しいデータになり、そのデータで再びトレーニングできるようになると宮武さんは話しました。
AIの幻覚はシミュレーションの武器になる?
宮武さんは今後考えるべき点として、幻覚現象とマルチエージェント型のシミュレーションの2つを挙げます。幻覚現象の背景として持ち出したのが、AIにおけるラストマイル問題 ── 物流で、最終拠点から利用者の手元に届ける最後の区間に、コストや手間が集中する問題を指す言葉ですです。
宮武さんによれば、配送の最後は家ごとにルールが違い、オートロックの有無や宅配ボックスの有無、ボックスが埋まっていたらどうするかなど、多様な状況に備える必要があります。人間なら当たり前にできても、AIにはすぐには当たり前になりません。
そのためターゲットやウォルマートは店舗での受け取りを勧めており、宮武さんによると配送コストが9割ほど下がるという話もあるそうです。草野さんは「コンビニ受け取りみたいな感じ」と例えました。
宮武さんは、AIでこの問題が一番わかりやすいのが自動運転だと言います。ほとんどのシナリオはコードに書けても、最後の2〜5パーセントは想定できない例外中の例外で、急にビルが倒れたときなど、AIが操作の仕方がわからず止まってしまうケースもあるそうです。
そこで宮武さんが紹介したのが、自動運転技術を開発するWaveという会社です。この会社は幻覚現象をあえて使い、生成AIで周囲の物や人がどう動くかを想定しながらシミュレーションしているといいます。
宮武さんは、幻覚現象はある意味でクリエイティビティを入れられるものだと捉えています。新しいシナリオを創造してシミュレーションを打ったり、そこからクリエイティブな解決策を出したりできるという考えです。
医療でも、製薬会社やバイオテック企業が幻覚現象を使い、想定していなかった遺伝子の組み合わせやタンパク質の形を想像して新薬づくりに生かしているそうです。宮武さんは、それによって去年10月に化学のノーベル賞を受賞した人もいたと触れました。
なんか新しいことをやることに対してAIは恐れてないので、ある意味何でも試せるっていう話ではありますね。
マッチングアプリにみる、レコメンドからシミュレーションへの進化
もう1つの論点がマルチエージェントのシミュレーションです。宮武さんは、2週間前に話したSimCityのように1人で街を作るのがシングルプレイヤー型、複数人で遊ぶのがマルチプレイヤー型だとしたうえで、今後は複数のエージェントが同時にシミュレーションし合う世界が来ると話します。
宮武さんが一番わかりやすい例として挙げたのがマッチングアプリです。AIがどう進化していくかを、Tinderなどの機能を例に段階的に説明しました。
宮武さんは、最初の写真選びやメッセージ提案はシミュレーションというよりレコメンデーションエンジンに近いと整理します。コンサル型はAIエージェントに近づくものの、まだシミュレーションの領域には入っていないそうです。
そして「レベル5」にあたるのがシミュレーションで、このアイデアはBumbleの創業者が最初に出したものだと宮武さんは紹介します。宮武さん自身、聞いて「こういう世界が来てもおかしくない」と感じたといいます。
自分の分身AIが、他のユーザーとデートを試す
宮武さんは、マッチングアプリの一番難しい点として、ユーザーが大量にいるためディスカバリーとマッチングのプロセスが大変なことを挙げます。例として出したのがFacebook Datingの数字です。
宮武さんの構想では、プロフィールや過去のメッセージ、許可を得た第三者の情報をもとに、自分になりきったAIエージェントをアプリ内に作ります。宮武さんなら「テツローAI」です。TinderならSpotifyとの連携情報なども含まれうるそうです。
デートをシミュレーションした中で、この人がいいんじゃないかっていうのをお勧めしてくれるっていう。
草野さんはアプリをまたいでなのかと確認しますが、宮武さんは、おそらく1つのアプリ内になるだろうと答えます。候補が地域に1万人いても1万件のプロフィールを全部見る人はほぼいないので、リアルでやっているデートをデジタル上で試せないか、という発想です。
草野さんは、AIが仲介するデートアプリは最近もあると返しますが、宮武さんは、それもレコメンドに近く、シミュレーションまでいけば完全にパーソナライズされる点が違うと話しました。
マッチングアプリを使ったことがある草野さんは、情報を全部書いている人がいいとは限らないと、うまくいくかに疑問を示しつつ、より合いそうな人は見つかりそうだとも話します。宮武さんは、個人用AIエージェントが本人に代わってデータを出せば、書くのが面倒でも話すと面白い人も拾えると答えました。
でもなんか完璧じゃなくていいんですよ。ここで完璧を求めるのは間違いだと思うので。
引っ越しやロゴ制作も、AIが交渉まで試算する時代へ
宮武さんは、恋愛のようなC向けは難しい面があるとし、TaskRabbit ── 家事や組み立て、引っ越しの手伝いなどの単発の作業を、近くの請負人に依頼できる米国のマーケットプレイスですのようなマーケットプレイスの方が向いていると話します。引っ越し業者探しなら、見積もりにとどまらず交渉までシミュレーションして薦めてくれる、という形です。
草野さんは人材系サービスや家探しでも当たり前になりそうだと応じます。宮武さんは、クラウドワークスのようなサービスでのデザイン依頼を例に、さらに具体的に描きました。
草野さんは、依頼せずにAIで「その人らしいデザイン」を作って済ませてしまう人が出ないかと懸念します。宮武さんはそのリスクを認めたうえで、サービス側が案をどこまで見せるかで調整できるだろうと答えました。
宮武さんは、Shopify内などでもこうした仕組みは増え、シミュレーションはAIエージェント、最終判断は人間という形にたどり着くかもしれないと話しました。
3〜5年でどこまで来る?インターネットの作り替えという次の論点
草野さんが「その未来はいつ来るか」と尋ねると、宮武さんは思った以上に早く、3〜5年以内に出始めてもおかしくないと答えました。
宮武さんは次の論点として、AIエージェントが普及するとインターネットの根本的なインフラも変わる必要があるのでは、と投げかけます。これまでスパム扱いしてきたボットを全部スパム扱いすべきではなくなるからです。
宮武さんによれば、CAPTCHA ── ウェブサイトで、アクセスしているのが人間かボットかを判別するための認証の仕組み。歪んだ文字の入力や画像選択などが知られていますのようなセキュリティは必要か、人間だけがアクセスできるサイトやAIエージェントだけがアクセスするサイトは出てくるか、といった問いが生まれます。検索のエコシステムやサイト構成も変える必要があるかもしれないそうです。
宮武さんは、AIが要約を出してくれてユーザーがサイトに行かなくなれば、注目を引くためのUIや動画は不要になり、テキストだけでいいと判断する人も出てくると話します。「それがいいかどうかは別として」と前置きしたうえでの例えです。
でもデザインの素敵な、なんかいいじゃないですか。UXがなんか音したり、映像が出たりみたいな。かっこよくないですか?
宮武さんもデザインにこだわったサイトはなくならないと認めます。草野さんは、サム・アルトマンのブログのようにテック系起業家のブログはシンプルで、iPhoneのリーディングモードを使うこともあると話し、シンプルに戻る流れもあると応じました。
宮武さんは、そもそもサム・アルトマンのブログにたどり着かず、ChatGPT上で読めれば十分な人もいると指摘します。ブラウザのArcのように、コンテンツに合わせて表示側でデザインを変えることもできます。
草野さんは、ここ数年でダークモードとライトモードが当たり前になり、アプリごとに両方を作るようになったことに驚いたと振り返ります。宮武さんは、変化がコンテンツ側、ブラウザ側、OS側、アプリ側のどこで起きるかは、人がどのインターフェースに接するかで決まると話して回を締めくくりました。
まとめ
この回は、AIエージェントを便利なアシスタントとしてではなく、労働そのものを担う「デジタル労働者」として捉えたときの変化を追いました。宮武さんは、労働のデジタル化によってこれまで眠っていたデータが活用され、やがてAIエージェント同士がシミュレーションし合う世界が来ると見ています。
- AIエージェントの性能差が小さくなると、性格や信頼関係が選ばれる理由になるかもしれない
- エージェント同士の会話では、ニュアンスの変換と「AIのミス」という言い訳が新たな課題になる
- 労働が完全にデジタル上で追跡できることが、Uberにおけるスマホのような転換点になりうる
- 幻覚現象は例外シナリオや新しい解決策を生むシミュレーションの武器にもなる
- マッチングアプリやマーケットプレイスでは、レコメンドから交渉・デートのシミュレーションへの移行が3〜5年以内に始まる可能性がある





