アメリカのVCが探す「次のSNS」と、いまの顔ぶれ
今回のOff Topicは、リモート収録で次世代SNSを取り上げた回です。草野さんによると、Twitter、Facebook、Instagramの次に来るSNSは何かを、アメリカのVCが探しているフェーズにあるといいます。
まず草野さんと宮武さんは、現状の主要SNSを確認します。草野さんがInstagram、Twitter、Facebook、Snapchatを挙げると、宮武さんはTikTokもすでにその域に入ったと付け加えました。
日本だとスナチャ(Snapchat)は多分全然トラクションないと思うんですけど、アメリカだとめちゃくちゃ使われてるんで、一応アメリカだと入ります。
ストーリー機能に限れば、アメリカでも圧倒的にInstagramのほうが使われているそうです。宮武さんは、Instagramがストーリー ── 24時間で消える写真や動画を投稿できる機能。もともとSnapchatが広めた形式で、Instagramが2016年に同様の機能を導入しましたを「本当にうまくパクった」と評しつつ、Snapchatは友達との毎日のやりとりという、別のコミュニケーションレイヤーにあると説明します。
日本の話題では、草野さんが位置情報共有アプリのZenly ── 友達同士で現在地を地図上に共有できるスマートフォンアプリ。フランス発で、のちにSnapchatの運営会社が買収しましたを挙げます。宮武さんは、Zenlyがコロナ禍に「何パーセントの人が家にいるか」をランキングで見せる施策を出したことに触れ、日本でZenlyが使われていることに驚いていました。
一方、日本でSnapchatはあまり聞かないという点で2人の意見は一致します。宮武さんは、3〜4年前に一時的に出てきたものの、顔のフィルター機能では韓国発のSNOWなどが流行り、Snapchatは定着しなかったと振り返っています。
アメリカの事情について宮武さんは、Facebookはみんなアカウントを持っているものの実際にはあまり使われておらず、メッセージは普通のSMSと、若い層ではSnapchatが中心だと話します。LINEのようなメッセージアプリはアメリカではあまり流行っておらず、全体で見ていちばんホットで大きいのはInstagramだろうという見立てです。
Instagramはなぜ「映え」に向かい、TikTokは何が違うのか
草野さんは、Instagramはもともと写真版Twitterのようなサービスだったのに、ユーザーが増えるにつれて使われ方が変わってきたと指摘します。
宮武さんは、最近出たInstagram創業者の本にも触れながら、Instagramのコミュニティの作り方はFacebookとまったく違って面白いと話します。Instagramには人の手によるキュレーションが入っていて、いわゆる「インスタ映え」する写真をコミュニティチームが取りまとめ、フィーチャーしていたといいます。
なんかあえて(インスタ映えの)そういう方向性に持っていったんだろうなっていうふうに思いますね。
そのうえで宮武さんは、アメリカで全体の規模が最も大きいのはInstagramでも、いちばん急成長しているのはTikTokだと続けます。草野さんも、コロナの影響で急上昇したキーワードに「TikTokライト」が入っていたことを挙げ、家で暇になったZ世代がTikTokを始めているのではないかと話しました。
宮武さんによると、TikTokには親世代も入り始めています。子どもと親が一緒に出演し、ステイホームしていることを見せる動画や、親がダンスする動画も混ざるようになったそうです。
宮武さんがTikTokの特徴として強調するのは、何がバズるかが他のプラットフォームより読みにくいことです。フォロワー数ではなく、コンテンツがヒットするかどうかで決まるため、一度ヒットしても連続では再現できないケースが多いといいます。
だから逆にいいんですよね。(TikTokは)フォロワー数ベースじゃないんで。
草野さんは、インスタントコーヒーと水と砂糖をホイップ状にするダルゴナコーヒー ── インスタントコーヒー、砂糖、お湯を泡立てたクリームを牛乳に載せた飲み物。2020年春に韓国発で世界的に流行しましたのレシピが、韓国、日本、アメリカで同時に流行ったことを例に挙げます。TikTok上だからこそ一気に世界中に広まるバズレシピがあるという見方に、宮武さんも「他のプラットフォーム以上にグローバル化している」と応じました。
宮武さんが面白いと感じているのは、TikTokに入ってきたミレニアル世代の多くが「なんでこれがバズっているのかわからない」と口にすることです。
5年前とか考えると、親の世代とかが「なんでスナチャ(Snapchat)ってみんな使ってるんだろう」っていう話と同じことがミレニアル世代に今起きてるんだなって思いましたね。
Vineの後継アプリ「Byte」はなぜ伸びなかったのか
草野さんが次に話題にしたのは、Vine ── 6秒のループ動画を投稿できたSNS。2013年に始まり、Twitterに買収されたのち2017年にサービスを終えましたの創業者が出した短尺動画アプリ「Byte」です。TikTokに似ているのではないかという草野さんの問いに、宮武さんは仕様が違うと答えます。
宮武さんによれば、Byteは完全にVineを意識したアプリで、Vineが好きだった人が集まった印象だったといいます。動画は15秒ほどで、アップされるのもVineっぽい面白系が中心でした。
なんか新しいものがなかったんですよね、結局。
面白系の動画はすでにTikTokに大量に上がっていたため、宮武さんは違う切り口が見えなかったと話します。Byteは最初の1週間でもトップ10に入らず、すぐに順位を落とし、いまはおそらくトップ100にも入っていないだろうという見立てでした。
宮武さんは敗因をタイミングにも見ています。Musical.ly ── 口パクやダンスの短尺動画アプリ。中国のByteDanceが買収し、2018年にTikTokへ統合されましたがTikTokになる前に出していれば、まだチャンスがあったかもしれないといいます。
話はTikTokに参入するブランドへと移ります。宮武さんは、いまブランドがTikTokに入ろうとしている状況は、かつてのInstagramとよく似ていると指摘します。
草野さんが高級ファッションブランドやAppleもTikTokに入っていると挙げると、宮武さんはiPhone 11の新機能「スローフィー」もTikTok用に作ったのではないかと感じたと応じました。草野さんは、水しぶきを浴びながら撮るその映像を「いい意味でAppleっぽくない」と評しています。
宮武さんは、かつてAppleのイベントでInstagramが前面に出ていたように、いまはTikTokが一番前にあるのだろうと見ています。
Z世代の「インスタ疲れ」と、エバン・スピーゲルのSNSピラミッド
Z世代にいちばん人気のSNSを草野さんが尋ねると、宮武さんはInstagram、Snapchat、TikTokがトップ3だと答えます。そのうえで、Z世代は今後どんどんTikTokに寄っていくだろうと予想しました。
理由として宮武さんが挙げるのが、日本でもいわれる「インスタ疲れ」です。インスタ映えの写真を撮りたくない人が増えており、Z世代のトレンドは、作り上げたライフスタイルではなく、今日の本来の自分を前に出すことにあるといいます。
ちょっと変な自分の方が逆にTikTokだとバズりやすいっていうのもあって。
草野さんも、TikTokにはキラキラした部分とリアルとの対比が、Instagramよりも表現されている感覚があると同意します。
ここで宮武さんは、Snapchat ── 消える写真や動画で知られるアメリカのメッセージアプリ。運営会社はSnap Inc.で、エバン・スピーゲルは共同創業者兼CEOですのエバン・スピーゲルさんが1月のイベントで示した考え方を紹介します。エバン・スピーゲルさんは、SNSがピラミッド型になっていると捉えているそうです。
ピラミッドは上に行くほど投稿のハードルが上がる、と宮武さんは説明します。例に挙げたのが、今年の初めにバズった「レネゲード」というダンスです。NBAオールスターゲームのハーフタイムショーでもフィーチャーされるほど人気になりましたが、振りが複雑で、覚えるのに少なくとも数時間かかるといいます。
宮武さんによると、みんながInstagramのステータス周りのコンテンツに飽き始めているのが現状です。インスタ映えの写真はどうしても似てくるからです。
宮武さんは同じ変化をD2C ── Direct to Consumerの略。メーカーが小売店を介さず、自社サイトなどで消費者に直接商品を売るビジネスモデルブランドの見せ方にも見ています。
数年前はホットピンクの背景に商品をポンと置き、サンセリフのフォントを入れるような、似たシンプルな見せ方が多かった
いまは実際の利用シーンの中で、少し汚くても現実味のある写真をフィーチャーするようになっている
草野さんがYouTubeはピラミッドのどこに入るのかを尋ねると、宮武さんは、もともとはステータスの文脈だったが直近で変わり始めていると答えます。アメリカのYouTuberが家ですっぴんで話すなど、インフルエンサーではなく友達の立場で話そうとしているのが見えるといいます。
宮武さんは、エバン・スピーゲルさんの仮説として、ステータスのコンテンツとTikTokのコンテンツを比べると、おそらくTikTokのほうが面白いという話も紹介します。何時間もかけて習得した難しいものを出したほうが面白く、だからそちらに寄りがちになるという考え方です。
あ、なんかこういう考え方したことないなというふうに思って。(エバン・スピーゲルの図は)本当になんか斬新で面白かったですね。
日本のTikTokに足りないものと、レネゲードが広まるまで
草野さんと宮武さんは、エバン・スピーゲルさんのピラミッドを日本に当てはめます。いちばん下に入るのはLINEで、真ん中はInstagramなどほとんどのSNSだろうという点で、2人の見方は一致しました。
宮武さんが気になっているのは一番上の層です。日本のTikTokを最近よく見ているものの、難しいダンスや凝ったお笑いネタのような、本格的なスキルベースのコンテンツはまだあまりないと話します。日本ではチャレンジ動画が少ないことも理由に挙げました。
草野さんが最近はダンスチャレンジも見かけると返すと、宮武さんは嵐が取り組んでいた例を挙げつつ、それでは一般化されにくいと指摘します。
嵐のファンは多分やるんですよ。で、まあある程度ダンス好きな人はやると思うんですけど、僕はやんないじゃないですか。
でも、過去アメリカのやつ(ダンスチャレンジ)は一回練習したことあるんですよ。
撮影はしなかったものの、宮武さんはアメリカにいた頃、振られたときに踊れるよう練習したそうです。TikTokではハッシュタグでチャレンジが見え、誰かを指名する仕組みがなくても「面白いから自分もやろう」と徐々に広がっていくといいます。
国の違いではないかという草野さんの問いに、宮武さんは、黒人の文化を白人が取り入れている面があるかもしれないと答えます。TikTokで流行るダンスの多くはヒップホップ系ですが、そのほとんどはTikTokで生まれたものではないといいます。
宮武さんの説明では、レネゲードも口パク動画アプリのDubsmash ── 口パクやダンスの短尺動画アプリ。ドイツ発で、アメリカの若い黒人クリエイターの間でダンス発信の場として人気を集めましたで生まれたダンスです。DubsmashやLotomotiveといったアプリでは、若い黒人の人たちがダンスを作り、InstagramやTwitterにも流しているそうです。
誕生
若い黒人の作者がDubsmashなどの場でダンスを作った
TikTokへ
作者本人ではなく、別の白人ユーザーがTikTokに投稿してバズる
爆発
人気TikTokerのチャーリー・ダミリオさんが踊り、一気に広まる
作者に光
ニューヨーク・タイムズが作者を取材し、NBAオールスターのハーフタイムで披露。のちにダミリオさんとコラボ動画も作った
宮武さんは、Dubsmashではコメント欄に「このダンスはこの人が作った」と書く文化があるのに、TikTokには作者を示す文化があまりないと指摘します。TikTokは白人が多い場で、白人が黒人の文化を一般化しようとしている構図があるといいます。
それでもダンスが一般化したこと自体は面白い、と宮武さんは話します。いまのアメリカの中高大学生は、一般のレベルの子でもどの世代よりもダンスが上手い世代だといいます。
もうそれ(ダンス)を、TikTokに出すしかないんで、今は。
TikTokが変える稼ぎ方と音楽ヒットの作り方
宮武さんは、TikTokが加速させた変化として、14〜15歳でTikTokerになり、インフルエンサーとしてお金を稼ぐ新しい起業家が生まれていることを挙げます。Instagramでも見られた流れが、TikTokでさらに進んでいるといいます。
音楽の分野でも変化が起きています。リル・ナズ・X ── アメリカのラッパー。2019年に楽曲「Old Town Road」がTikTokで拡散され、世界的なヒットになりましたなどがTikTokから有名になった影響で、アメリカの大手アーティストが未公開曲の一部をTikTokに送り、踊ってもらってバズらせる手法を取っているそうです。
宮武さんによると、実際にドレイクもこの手法を使い、ダンスが人気になったあとでストリーミングサービスに曲を公開してバズったといいます。ドレイクがダンサーにお金を払っているかはわからないとしながらも、そうしたビジネスが生まれるという見方です。
草野さんは逆方向の例として、TikTok発でバズった「ILY」という曲を紹介します。歌詞では「I love you」と歌っているのに、「ILY」で検索する人がいなかったため、タイトルに「(I love you)」を加えたところ、検索する人が3倍ほどに増えたといいます。
タイトルをもはや変えるというか、わかりやすいようにするっていう。なんかそれはなんか今っぽいなって。
宮武さんは、TikTokはリミックス文化だとも話します。コロナ禍にラッパーのカーディ・Bがコロナについての感想をただ喋った動画を投稿したところ、動画を曲に変える「リミクサー」のTikTokerがそれを歌にしてTikTokで大きくバズらせたそうです。
その後、カーディ・B本人とリミクサーの公式コラボが出て、宮武さんの記憶ではビルボードにも入ったといいます。草野さんは、カーディ・Bはミーム化されやすく、ソーシャルメディアの使い方がうまい歌手だと付け加えました。
逆に想定してなかったコンテンツが音楽になったりするんで、面白いですよね。
シリコンバレーが注目する音声SNS「Clubhouse」とは?
ここから話題は、Z世代や、その次のジェネレーション・アルファ ── おおむね2010年代以降に生まれた世代を指す呼び方。Z世代の次の世代で、生まれたときからスマートフォンがある環境で育っていますがどんなSNSを求めるのかへと移ります。宮武さんは、シリコンバレーがいま注目しているのは「Clubhouse」というアプリだと答えました。
ただし宮武さんは、Clubhouseは少し種類の違うSNSだと考えています。SNSには、Facebook、Snapchat、Instagram、TikTokのように若い層から生まれたものと、Twitterのようにそうでないものがあるといいます。
例えばTwitterとかって、別に若手がそんな使ってなかったんですよね。
Twitterは初期、有名人やシリコンバレーの人たちが中心だったという草野さんの補足に宮武さんも同意し、Clubhouseもそちら側のアプリだろうと話しています。
宮武さんによると、Clubhouseはまだ公式リリースされておらず、サイトも存在しません。4月19〜20日頃からアメリカのVC業界で一気にバズったアプリで、いちばんわかりやすい説明は「音声版のTwitter」だといいます。
Clubhouseのアプリにはいろいろな部屋があり、部屋は自分でも作れます。部屋の中ではライブ配信のように会話ができ、自由に参加する人、招待される人、聞くだけの人がいます。
宮武さんがとくに評価するのは、Clubhouseに録画や記録の機能がなく、その場でしか聞けないことです。録画機能がないことが、その場に来る理由になるという考え方です。
結局録画機能あればPodcastと同じなんで。後で聞こうってなっちゃうんですよね。
実際、宮武さんが話を聞いたVCの間では行動の変化が起きているそうです。朝起きたらすぐClubhouseをチェックし、ミーティングの合間にも、いまどんな会話が起きているかを見に行くという人が多いといいます。
宮武さんは、ClubhouseをHouseparty ── 友達同士で気軽にグループビデオ通話ができるアプリ。2020年のステイホーム期間に利用が急増しましたやZoom、Podcastを組み合わせたようなものと捉え、最終的にはイベントの代わりにもなるのではないかと考えています。
草野さんも、Zoom飲み会は日にちを決めてパソコンを用意する必要があり、偶然の話題や出会い、いわゆるセレンディピティ ── 思いがけない偶然から、価値ある発見や出会いを得ること。また、その偶然に気づく力を指す言葉ですがないと指摘します。いきなり話題が上がったり、人と話したりできるClubhouseは、いまの状況に合うサービスだという見方です。
宮武さんは象徴的な場面も紹介します。Clubhouse上で何人かがShopifyについて話していたところ、そこへ急にShopifyの社長が入ってきたそうです。
もう最高じゃないですか。
参加者はおおむね著名人ですが、その会話を一般の人が聞けることはなかなかない、と宮武さんは話します。人がなぜそこに集まるかというユースケースで見ると、ClubhouseはFacebookやInstagramとはまったく違う、Twitterに近い文脈にあるといいます。
草野さんは日本の例としてstand.fm ── 日本の音声配信アプリ。収録配信に加えてライブ配信もでき、配信者が他のユーザーと通話しながら話すこともできますを挙げます。ライブで他の人と通話でき、VCや起業家も使っていたことから、最初に聞いたときClubhouseに似ていると感じたそうです。
TTYLが苦戦し、Clubhouseが伸びる理由
宮武さんは、2人が気に入っていた音声アプリとしてTTYLを挙げます。ただ、TTYLはいま不調だと聞いているそうです。
草野さんの説明によると、TTYLはAirPodsなどのイヤホンを着けているときにしか使えないアプリです。聞いている音楽をシェアしたり、利用中の友達とそのまま通話につながったりでき、イヤホン着用を前提にした音声通話サービスだといいます。
宮武さんは、TTYLも音声SNSに近く、パスを音楽版にしたようなものだと表現します。そのうえで、TTYLの不調とClubhouseの伸びを分けた点を比べています。
まず友達をアプリに誘う必要があり、友達がオンラインでなければ使えない。機能させるには40〜50人ほど友達を集める必要がある
知っている著名人がいれば、その会話を聞きに行きたくなる。友達を追加しなくても、常に何かが起きている
知ってる著名人とかがClubhouseにいると、やっぱその人との会話聞きに行きたいってなるんで、アプリに行く意味ができますよね。
ただし宮武さんは、Clubhouseがうまくいくかは正直わからないとも話します。プロダクトマーケットフィット ── 製品が市場のニーズにしっかり合い、顧客に求められている状態。スタートアップが成長する前提とされる概念ですはできていると見ているものの、親密感を保ちながらどうスケールさせるかが課題だといいます。
草野さんも、ユーザーが増えて知らない人ばかりになると話が進まなくなるのではないかと懸念します。宮武さんは、その中で著名人を見つけられるのか、また部屋にトピックを設定できないため何の話をしているかわからない、といった改善点を挙げました。
それでも宮武さんは、Clubhouseの運営会社が2人体制で、毎日2〜3回はバグを直してアップデートしているスピード感を高く評価しています。
草野さんによると、Clubhouseの創業者はもともと音声サービスを手がけていた人たちです。宮武さんは、数カ月前まで運営していた「トークショー」も音声版のライブ配信のようなサービスで、Clubhouseはそこからピボットした形だろうと話しています。
ゲームとNetflixパーティーに見る「何かをしながら」の会話
草野さんは、音声の話はメタバースの話とも切り離せないと切り出します。Zoom会議より、ゲームをしながら友達と話すほうが絶対に楽しいという実感からです。
草野さんが例に挙げたのはNetflixパーティー ── Netflixを複数人で同時に再生し、チャットしながら一緒に見られるブラウザ拡張機能。Netflix公式ではないサードパーティー製のツールですです。同じシーンを同時に見ながらチャットできるように、何かをしながらコミュニケーションするのはいい、と草野さんは話します。
宮武さんは、そこには2つのステップがあると整理します。まず人を集める軸があり、その後にどう残すかの軸があるという考え方です。
宮武さんは、フォートナイトの中で新しい動画サービスのQuibiの映像が一部見られたことや、トラヴィス・スコットのコンサートが開かれたことを例に挙げます。ゲーム以外の体験、つまりそこに残る意味をつくるのが非常に重要で、フォートナイトはそれがうまくできているといいます。草野さんが「どうぶつの森もそうですよね」と挙げると、宮武さんも「まさに」と応じました。
宮武さんは、ゲームは今後のSNSにとても発展しやすいと見ています。似た流れとして挙げたのが、ボイスチャットから始まったDiscord ── ゲーマー向けに広まったボイス・テキストチャットのサービス。サーバーと呼ばれるコミュニティを作り、チャンネルごとに会話できますです。草野さんは「ゲーム版Slack」と表現し、宮武さんもSlackっぽさがあり、コミュニティも作れると話しました。
一方で宮武さんは、Z世代やジェネレーション・アルファ向けにどんなアプリが生まれるかは、まったく想像できないとも認めています。
「今日の自分」を見せ、明日は変えられるSNSへ
草野さんは、これからのSNSでは音声や、コミュニティになるようなものが重要になるかもしれないとまとめます。
宮武さんが重要だと考えるのは、今日の自己表現ができ、そのうえで明日の自己表現は変えられるようにすることです。例として、若い層のInstagramの使い方を紹介しています。
インスタとかもあの若手層だとよくやってるんですけど、ほとんどの写真アーカイブしてるんですよね。
宮武さんによると、若い層はほとんどの写真をアーカイブして見えないようにし、表示しているのは5〜6枚ほどだといいます。その数枚が「今の自分」を表していて、過去の自分は見なくていいという感覚です。
さらに宮武さんは、いまの若い世代は、自分がいろいろな方向性に向かう姿を見せてもInstagramではバズらないと知っていると話します。1つのテーマに絞ったほうが、そのアカウントを見に行く理由が明確になるため、そこを徹底しているといいます。
草野さんは「そんなことは考えたことなかった」と驚き、宮武さんも新しい行動を見るたびに面白いと話していました。収録の最後には、Off Topicとしてライブ配信も試してみたいという話も出ています。
まとめ
今回のOff Topicでは、Instagramの「映え」への疲れと、変な自分やスキルを見せられるTikTokの台頭を手がかりに、次のSNSの条件が語られました。録画のないClubhouseや、ゲームを入り口にしたフォートナイトの例からは、人を集める理由と、その場に残る理由の両方が求められていることが見えてきます。
- Z世代は作り込んだインスタ映えより、今日の本来の自分を見せることを好み、TikTokへ寄りつつあると宮武さんは見ている
- エバン・スピーゲルさんはSNSをコミュニケーション・ステータス・タレントのピラミッドで捉え、TikTokを最上位のタレント層に位置づけている
- TikTokはフォロワー数よりコンテンツで広まり、ダンスや音楽のヒットの仕方まで変えている
- 音声SNSのClubhouseは、録画がないことと著名人の会話を聞けることで、その場に来る理由をつくっている
- 新しいSNSには、人を集める軸と、ゲーム以外の体験のようにその場に残る意味をつくる軸の両方が必要だと語られた




