なぜ今「メタバース」が注目されるのか
今回のOff Topicのテーマは、宮武さんがnoteに公開した記事「フォートナイトの急成長、テックジャイアントが注目するインターネット2.0『メタバース』とはなにか」です。この記事は反響が大きく、さまざまな場所に転載されました。
草野さんは、メタバースという言葉をこれまで「ふわっとしか知らなかった」と話します。VRやAR、アバター型のゲームに詳しい人には知られた言葉でも、記事を読んで初めてEpic Gamesのすごさを知った人は多いはずだといいます。
宮武さんによると、ゲーム業界ではメタバースは以前から当たり前に考えられてきたビジョンです。国光さんが記事を書いていたり、スクウェア・エニックスの元社長の和田さんが詳しかったりと、業界内では共有されていた考え方でした。
(ゲーム業界では)そういうビジョンがあるっていうのは分かってたんですけど、多分そのテック業界に落ちてきたっていうのは割と最近なのかなと思います。
草野さんは、リモートが増えた今、一般の利用者としても注目度の高まりを感じるといいます。宮武さんも、あつ森などが広がるなかで、メタバース的なコンセプトが前に出てきていると応じています。
メタバースの定義が「わからない」と言われる理由
メタバースとは何かという問いに、宮武さんは「難しい」と前置きします。noteでは8つほどの項目を挙げたものの、定義は今も議論が続いているといいます。
ぶっちゃけ言うと、多分わからないっていうのが最終的な答えなんですよ。
ただそのメタバースという世界観が今後来るっていうのはみんな分かっているんですけど、これは過去に例えるとインターネットと同じことだと思っていて。
宮武さんの例えでは、1950年代から1990年代にかけて、インターネットが来ることは多くの人がわかっていました。ファイルの共有やリアルタイムのコミュニケーションは予想されていた未来です。
一方で、SNSやフェイクニュース、ポッドキャストのような音声メディアは、ここ10年ほどで出てきたものです。草野さんが「オンラインゲームの盛り上がりも当時は想像されていなかった」と重ねると、宮武さんはメタバースも同じだと答えます。
パソコンを通じて世界中の人が話せる、ファイルの共有、リアルタイムのコミュニケーション
SNS、フェイクニュース、ポッドキャストなどの音声メディア、オンラインゲームの盛り上がり
宮武さんは、メタバースのふわっとした定義として、終わらない、常にライブで同期されている、無制限にアクセスできる、人が経済に自由に参加できる、オフラインやオンラインの体験を超える、といった要素を挙げます。ただし、それが日常生活でどう使われるかは正直わからないとしています。
フォートナイトやあつ森、Roblox、Minecraftにはメタバース的な要素があるものの、宮武さんの見立てでは本当のメタバースは「はるかに遠い未来」です。
メタバースは一社では作れない?
メタバースの実現にはインフラが必要だ、と宮武さんは話します。そのうえで、現実のオフラインの世界を例に、メタバースの役割を説明します。
今のオフラインの世界っていう風に考えると、別に一社が世界をコントロールしているわけではないじゃないですか。
(現実の世界には)社会のルールとか組織のルールっていうのが存在していて、そのルールとかを作るのがメタバースなんですよ。
宮武さんは、そのルール作りは一社のプラットフォームではできないと考えています。一社で作ると、その会社がすべてをコントロールしてしまうからです。
宮武さんが比べるのは政府です。政府は一つの組織でありながら、いろいろな人が社会のルールを一緒に決めていきます。メタバース上では、いろいろな会社や人がその役割を担うことになるといいます。
多分FacebookとかMicrosoftとかAmazonとかもそういう世界をもしかしたら作りたいかもしれないんですけど、多分ユーザーにとっては結構危ない世界だと思うので。
宮武さんの結論は、いろんな会社が一緒に集まって作ることが大事だというものです。
マルチバースとメタバースはどう違う?
メタバースと並んでよく出てくる言葉に「マルチバース」があります。マルチは複数、バースはユニバースから取った言葉で、たくさんの世界という意味です。宮武さんは、アベンジャーズの『エンドゲーム』などのSF作品にも出てくるコンセプトだと紹介します。
宮武さんはマルチバースを、インターネットのブラウザに例えます。一つのブラウザからさまざまなサイトにアクセスでき、各サイトを一つの世界と見れば、並行する世界がたくさんあることになります。ブラウザやフォートナイト、Robloxは、それらの世界をつなぐツールかもしれないといいます。
(Robloxの)プラットフォームの中でゲームAに遊んで、その後ゲームBに行って、ゲームCに行けるっていう、そのいろんな世界を飛び越せるっていうのがそのマルチバースのコンセプトで。
草野さんが任天堂のスマブラを例に出すと、宮武さんはさらに整理します。あつ森もマリオカートもできるSwitchが世界同士をつなぐマルチバースで、それらがミックスされて全部合わさるとメタバースになる、というイメージです。
個々の世界
あつ森、マリオカートなど、一つひとつのゲームの世界
マルチバース
Switchのように、別々の世界をつなぎ、行き来できる状態
メタバース
世界同士がミックスされ、全部合わさった状態(スマブラ的なイメージ)
いつもの自分のキャラとか、自分の着てるどうぶつの森の服を着ながらスマブラするみたいなことができたら最高ですね。
宮武さんは、こうしたIPの混ぜ込みこそ、フォートナイトなどが実際にやっていることだと話します。
フォートナイトはなぜゲームらしくないのか
フォートナイトがメタバースに一番近いと言われる理由について、宮武さんはまず運営企業のEpic Gamesを挙げます。CEOが以前からメタバースを目指していると語っており、提供しているインフラや技術も、ゲーム会社というよりメタバース企業を作ろうとしている動きに見えるといいます。
宮武さんによれば、その点でRobloxやMinecraftとは動きが違います。フォートナイトはゲーム要素が強いものの、トラヴィス・スコット ── アメリカのラッパー。2020年4月にフォートナイト内でバーチャルライブ「Astronomical」を開催し、大きな話題を呼びましたのコンサートなど、ゲーム以外のこともたくさん手がけています。
最近公開された「パーティーロイヤル」モードもその一つです。フォートナイトは以前から、友達が集まる場になっていました。ただ、シューティングゲームを遊びたい人ばかりではないため、それ以外のスペースを作りたかったのだといいます。
パーティーロイヤルは、ミニゲームなどもありつつ、友達とハングアウトする場所として作られています。そこでコンサートやプロモーション企画、映画の公開などを行うそうです。
草野さんは、トラヴィス・スコットのライブは前年のマシュメロ ── アメリカのDJ・音楽プロデューサー。2019年2月にフォートナイト内でライブを行い、ゲーム内コンサートの先駆けとなりましたのライブより格段に体験が上がったと感じています。マシュメロのときはリアルのライブのようにステージと観客がある形でしたが、トラヴィス・スコットはフォートナイトの世界観のなかにライブ体験を組み込んだといいます。
宮武さんは、これを見たソニーが、イマーシブなコンサートのためのエンジニアやUXデザイナーの採用を始めたと紹介します。トラヴィス・スコットのライブは1200万人ほどが見たとされ、そのインパクトの大きさがうかがえます。
ネット上で見るライブって、そんなにやっぱリアルな体験には勝てなかったけど、ああいうリアルじゃできない面白さみたいなのはすごいな。
宮武さんは、このライブがコロナ禍でほとんどリモートで制作されたことにも驚いています。スタジオに集まらずにこれだけの品質を出せたことが、すごいと話しています。
Epic Gamesがディズニーランドを見ている理由
宮武さんの見立てでは、Epic Gamesが目指しているのは長期的な体験、つまりずっとハングアウトできる場所です。そのお手本として、ディズニーをかなり見ているはずだといいます。
宮武さんによれば、ディズニーランドの良さはアトラクションだけではありません。裏には病院やペットを預けられる場所、専門の警察があり、子どもから年配の人まで、一人やカップル、友達、家族と、来園者ごとに違う体験を用意しなければなりません。
1つのバージョンを収録して出し、それを毎回リピートする
ライブパフォーマンス、セットデザイン、音楽、エンジニアリングを完璧に同時に行い、大規模にスケールさせるライブのエンタメ
宮武さんは、ライブのエンタメを一番難しいエンタメだと考えています。そして、ライブパフォーマンスをやっているからこそユーザー体験が良くなり、ディズニーのIPが強くなっているといいます。
DCコミックスや『ロード・オブ・ザ・リング』、ドラゴンボールやワンピースと比べても、ディズニーのプリンセスやピクサー、スター・ウォーズには圧倒的な熱量の差がある、というのが宮武さんの見方です。その理由は、ディズニーランドという自社の世界のなかでファンとやり取りしていることにあるとしています。
例えばハリー・ポッターって聞くと、多分ワーナー・ブラザーズって出てこないんですよ。ユニバーサルって出てくるじゃないですか。
ユニバーサル・スタジオにハリー・ポッターのお城があるからだ、と宮武さんは説明します。IPがどの世界と結びつくかは、その世界を誰が運営しているかで決まり、Epic Gamesはそういう世界をいろいろな場所で作りたいのだといいます。
さらに宮武さんは、フォートナイトでアイアンマンのコスチュームを着ても、アイアンマンそのものにはならず、あくまで自分のアバターのままだと指摘します。ディズニーランドでカチューシャを付けるのと同じく、キャラクターになるのではなく自己表現をする場になっている点が共通しているといいます。
オンラインはリアルの体験に負けるのか
草野さんは、ディズニーランドは物理的にリアルな体験だからこそ満足度が高いのではないか、完全オンラインのフォートナイトはリアルに負けてしまうのではないか、と問いかけます。
宮武さんは、オフラインが圧倒的に勝る部分は確かにあると認めます。その代表がディズニーランドのキャラクターとのハグです。
でもそれって普通に考えると変じゃないですか。知らない人が、いわゆるそのキャラクターの中に入ってるわけなので。
でもそれをスケールさせてそれをOKにしたのがディズニーランドなんですよ。
一方で宮武さんは、オンラインでしかできない体験もあると話します。例えば、全員にライトセーバーを配ってみんなでスター・ウォーズを祝うことは、ディズニーランドではなかなかできません。
草野さんも、人混みや行列といった大変な部分がないのはオンラインの良さだと応じています。
Roblox・Minecraftは子どもの半数が遊ぶ世界?
フォートナイト以外で注目しているものを聞かれた宮武さんは、RobloxとMinecraft、そして『グランド・セフト・オート・オンライン』(GTAオンライン)を挙げます。
宮武さんによると、子どもたちはMinecraftかRobloxのどちらか片方を遊ぶことが多く、年齢が上がっても遊び続ける傾向があります。その理由として、世界観が好きなこと、友達がいること、コンテンツが良いことを挙げます。
宮武さんはさらに、自分のクリエイティビティを生かしてゲームを簡単に作れる点も大きいと話します。自己表現のツールを提供している点で、TikTokに似ているといいます。
草野さんは、任天堂のゲームとの違いを挙げます。任天堂はハードの会社なので、DSからWiiのように機種が変わるとソフトが使えなくなります。中高生のころに買ったどうぶつの森を今も続けられたら遊びたいものの、Switchとソフトを買い直すのはコストがかかる印象があるといいます。
ハードが変わるとソフトが使えなくなる。ゲーム自体も毎年新しいバージョンが出る
RobloxやフォートナイトはオンラインでアップデートされるのでTo、10年前のキャラも今のまま使える
草野さんは、昔から遊んでいた人が報われる循環になっている点を評価しています。また、フォートナイト上で好きな映画の予告編を先に見られたり、無料で映画を見られたりするキャンペーンにも触れ、友達と会話しながら楽しむ場としての魅力を語っています。
1200万人が集まったライブの裏にある「人数の上限」
宮武さんは、フォートナイトは今後こうした体験をどんどん足していくと見ています。ただし、評判だったトラヴィス・スコットのライブも、メタバース的な要素で見るとまだまだだといいます。
宮武さんによれば、これまでで一番複雑だったフォートナイトのライブイベントはスター・ウォーズのイベントです。J・J・エイブラムスのインタビューをオフラインからリアルタイムで配信しており、技術的なリスクがかなり大きかったといいます。
トラヴィス・スコットのライブは1200万人が同時に集まったと言われますが、宮武さんは「実態は違う」と話します。実際には部屋ごとに人数の上限があり、たくさんの部屋が同じものを見ている形でした。
フォートナイトのシューティングゲーム自体って、100人が集まって、そこで最終的に一人になるっていうゲームじゃないですか。それって100人っていうのは意味合いがあって、100人がギリギリのラインだからなんですよ。
宮武さんの説明では、100人を超えるとリアルタイムでの処理ができなくなります。100人分の端末に同時に同じものを見せること自体がとても負荷の大きい処理で、200人や500人にするのは今のところかなり難しいといいます。
1部屋100人まで
より高度な技術を使うため、全員がいい体験をできるよう1部屋50人まで
宮武さんはさらに、スマホ、iPad、プレイステーションでは映像の画素数が違い、自動で調整されていると話します。遠くの木の画素数をわざと減らし、近づくにつれて読み込むといった工夫も、ゲームではよく行われているそうです。
宮武さんは、こうした新しい体験づくりをディズニーにも重ねます。ウォルト・ディズニーはワールドフェア ── 万国博覧会のこと。1964〜65年のニューヨーク万国博覧会では、ディズニーが制作した「イッツ・ア・スモールワールド」などのアトラクションが披露されましたで「イッツ・ア・スモールワールド」などの体験を見せており、フォートナイトも同じようなテストをしているのではないか、という見方です。
Epic Gamesはなぜ手数料を低くするのか
宮武さんは、Epic GamesがRobloxやMinecraftと一番違う点を、フォートナイトだけで囲い込んでいないことだと話します。RobloxやMinecraftでは、ゲームはプラットフォームの中でしか作れません。
Epic Gamesの場合、作ったゲームはプレイステーションなどほかのプラットフォームでも出せます。Unreal Engine ── Epic Gamesが開発・提供するゲームエンジン。高精細な3D表現に強く、ゲームのほか映像制作などにも使われていますを使ってフォートナイトの外で自由に公開してもよく、逆にUnityで作ってEpic Gamesのインフラだけを使うこともできます。宮武さんは、完全ではないもののオープンソースに近いと見ています。
最初に「ゲーム事業っぽくない」と言った理由の一つが、手数料の取り方です。宮武さんは各プラットフォームの手数料を比べて説明します。
| プラットフォーム | 手数料 | 備考 |
|---|---|---|
| App Store / Google | 30% | アプリストアの基本的な水準 |
| Steam | 25〜30% | ゲームの配信プラットフォーム |
| Epic Games | 最高で12% | Unreal Engineを使わなければ7% |
本当にそのいろんなゲームをEpic Gamesのプラットフォーム上で作ってほしい。それによってメタバースっていう世界がどんどん加速できて、いろんなものを試すことができて。
宮武さんによると、Unreal Engineはゲーム以外にも使われています。スター・ウォーズのドラマ『マンダロリアン』の制作やコンサートのほか、医療機関でも使われていたといいます。
フォートナイトは「巨大なテスト環境」にすぎない?
宮武さんは、Epic Gamesの野望を、ゲームから離れてオープンにし、さまざまな選択肢を開きながら、フォートナイトという大きなプラットフォームも活用することだと見ています。その鍵の一つがアカウントの共有です。
フォートナイトのアカウントを使えば、Epic Gamesと一緒に作った別のゲームにも同じアカウントでログインでき、一つのアバターとして使えます。例えばトラヴィス・スコットがフォートナイトの外でコンサートを開いても、フォートナイトの全ユーザーに告知でき、ユーザーはログインや決済情報を入れ直す必要がありません。
草野さんは、ユーザーには便利で、Epic Gamesにとっては入り口がたくさんある仕組みだと応じます。
フォートナイト
大規模なユーザーを抱える強いプラットフォーム
アカウント・アバター
別のゲームや体験でも同じアカウントとアバターを使える
Unreal Engine
ゲーム、映画、コンサートなどの体験を作る基盤
テストと買収
体験を試し、それをきっかけに会社を買収する
宮武さんは、そのテストをきっかけに会社を買収しているとも話し、Houseparty ── グループでビデオ通話をしながらゲームなどを楽しめるアプリ。2019年にEpic Gamesが買収しましたもその一つだと見ています。草野さんは、コロナ禍で利用が急上昇したことから、いい買収だったと評価しています。
宮武さんによれば、Epic GamesのTim Sweeneyさんは、すべてを自社で一から作るのではなく、オンラインの世界を全部つなげたいと語っています。インフラやスタンダードを一部管理しつつ、ほかの会社と一緒に作り上げたいという考えです。
宮武さんは、一社がメタバースを独占しないという考えがEpic Gamesの中核にあり、社長自身がそれを信じているので、今後もそうした展開をしていくだろうと見ています。
Unreal Engineは映画づくりまで変えるのか
宮武さんは、Unreal Engine 5のトレーラーを見てすごいと感じたといいます。特に、映画の背景などのアセットを、そのままゲームの世界に入れられる点に驚いたそうです。
草野さんが「それはディズニーランドではできない」と言うと、宮武さんは同意しつつ、ディズニーランドを映画などで撮影すれば、そのアセットをフォートナイトに落とし込めるかもしれないと話します。
(Unreal Engineでは)このシーンはちょっと夕焼けのシーンにしようとか、太陽が左からじゃなくて右から来てほしいとか、ここに光が欲しいとかっていうのを全部自由自在にコントロールできるんですよ。
宮武さんは、今後は映画撮影も、グリーンスクリーンのスタジオ1つでUnreal Engineを使ってすべてできるようになると見ています。実際に『マンダロリアン』でも使われており、映画会社が自社で行うことも十分できるといいます。
さらに宮武さんは、そうして作った映画の世界をゲームに落とし込み、フォートナイトで一時期遊べるような体験がどんどん出てくるだろうと話しています。
Epic Gamesに勝てる会社はあるのか
草野さんは、noteでも挙げられていたFacebookやMicrosoftなどを念頭に、Epic Gamesに勝てる会社はあるのかと尋ねます。
宮武さんは、Epic Games側から見れば、これらの会社は競合ではなくコラボしたいパートナーだろうといいます。ただし、相手側がどう思っているかは別だと前置きしたうえで、Microsoftは強そうだと答えます。
WordやPowerPointで個人アカウントを獲得でき、Minecraftも持つ。クラウドやXboxのハードもあり、技術的にいろいろ揃っている
アカウントとクラウドを持ち、最近は自社でゲームも出している。ジェフ・ベゾスの性格上、インフラ周りの手伝いを目指すかもしれない
草野さんが「Amazonもアカウントとクラウドを持っている」と指摘すると、宮武さんは「わからない」としつつ、Amazonは周辺のインフラを担いたいのではないかと話します。
彼らもその一社が全部その独占するわけではないと理解してるかもしれないので、インフラ周りのお手伝いをする会社として、いろんなことをやってるかもしれないですね。
あつ森はメタバースになれるか?
草野さんは、コロナの影響で売上を大きく伸ばしたあつ森を取り上げます。女性や、ゲームが任天堂で止まっていた人など、フォートナイトが届かなかった層に刺さったのではないかと見ています。
草野さんによれば、あつ森はキャラクターがかわいく、できることが逆に少ない分、自然と戯れながら虫を捕ったり魚を釣ったりする面白さが、今の時期に合ったといいます。
宮武さんは、あつ森にもメタバース的な要素が出てきていると指摘します。スター・ウォーズ『ローグ・ワン』の制作者や『ロード・オブ・ザ・リング』の関係者がトーク番組を開いたり、GLAYがパーカーを出したりしています。
草野さんはさらに、Netflixの『クィア・アイ』に出演するインテリアの専門家が、あつ森の部屋のスクリーンショットにアドバイスするキャンペーンを紹介します。
どうぶつの森の面白いところは、フォートナイトみたいにみんなで集まる場っていうよりは、自分の島があって、友達を呼んだりみたいなところが。
宮武さんはこれを「自分の家」というコンセプトだと整理し、Clubhouse的な要素も入っているのかもしれないと話します。フォートナイトでも家を作ってデザインできればマネタイズできそうだ、とも提案します。
ただ、草野さんは、フォートナイトではできることが多すぎて、友達の家に行っても「かわいい家だね」とはなりにくいのではないかと指摘します。宮武さんも、あつ森は家がメインだからこそそうなりやすい、と認めています。
宮武さんは、ここ1年ほどでメタバースという単語が飛び交い始め、多くの人がバーチャル世界を作っていると感じています。そのため、この流れはどんどん加速すると見ています。
Unreal Engineの上に生まれる「インフラの中のインフラ」
最後に宮武さんは、『ファイナルファンタジーVII リメイク』もUnreal Engineで作られていると紹介します。有名なゲームでも使われていることに、改めてすごさを感じているそうです。
草野さんが使用料について尋ねると、宮武さんは、どういう提携かはわからないものの、一部の使用料は払っているのではないかと答えます。
さらに宮武さんは、Unreal Engineをより使いやすくしたゲームエンジン「Core」を紹介します。裏側はすべてUnreal Engineで、それを作る会社はBenchmarkなどのリードで40億ほどを調達したといいます。
そういうなんかインフラの中のインフラが出てくるみたいな世界も出てきてるんで、本当なんか面白い図になってるなと思いますね。
草野さんは、フォートナイトだけでなくいろいろな会社が関わるようになれば、それにまつわる会社もたくさん出てくるとまとめ、今後に注目したいと話しています。
まとめ
今回のOff Topicでは、まだ誰も正確に定義できないメタバースを、インターネットの歴史やディズニーランドと重ねながら読み解きました。宮武さんは、フォートナイトをメタバースのテスト環境とするEpic Gamesのオープン戦略に、その未来の一端を見ています。
- メタバースは、インターネット黎明期と同じく「来ることはわかっても、どんな形になるかは誰にもわからない」ものとして語られた
- 宮武さんは、メタバースは一社ではなく、多くの会社が集まって作るべきだと考えている
- Epic Gamesは低い手数料、アカウント共有、Unreal Engineを組み合わせ、フォートナイトを巨大なテスト環境として使っていると見られている
- ディズニーランドのように、自社の世界でファンとつながることがIPの熱量を生み、オンラインにはオンラインならではの体験が求められる
- あつ森の「自分の家」というコンセプトは、フォートナイトとは違う形のメタバース的な交流として注目された



