ラルフローレンの「時間を遅めた」は何を意味するのか?
この回の出発点は、ラルフローレンがニュースレターの書き手からブランド成功の理由を聞かれた際に「時間を遅められた」と答えた、というエピソードです。2週間前の回の続きとして、宮武さんがこの言葉を改めて振り返ります。
ラルフローレン本人はその言葉の意味を説明しておらず、ニュースレターの書き手も独自の解釈を示していました。宮武さんはその解釈に納得しきれず、2〜3年ほど頭の片隅で考え続けてきたといいます。
常に考えてるわけではないですけど、すごい引っかかって。ちょっとモヤモヤしながら2年ぐらい経って、ようやく、もしかしたらこれが答えかもっていうのを。
宮武さんの場合、答えはたいてい別のコンテンツを読んでいるときに「あの話に関係するかも」と降ってくるそうです。今回もリサーチの途中で、ひとつの手がかりに行き当たりました。
宮武さんは前提として、物理的に時間を遅めることは基本的に不可能だと整理します。日本からアメリカへの飛行機移動で1日増えたように感じる例はあっても、ラルフローレンの話はそれではなく、感覚的な時間の話だろうと考えています。
死にそうな瞬間はなぜスローモーションになるのか
宮武さんが手がかりにしたのは、時間の感覚を研究しているデイビッド・イーグルマン ── 時間知覚や意識を研究するアメリカの神経科学者。一般向けの著書や講演でも知られていますの動画です。宮武さんはスタンフォードの研究者として紹介しています。
イーグルマンが多くの人から聞いたのは、交通事故に遭ったときや自宅の屋根から落ちたときなど、死ぬと思った瞬間が、後で振り返るとスローモーションのように感じられるという話でした。
草野さんはここで、日本語の「走馬灯」を紹介します。宮武さんによれば英語に専用の言葉はないものの、「your life flashes before your eyes」という似た言い回しがあり、死にそうな場面で使われるそうです。
宮武さんが面白いと感じたのは、実際には1秒だった落下の瞬間が、振り返ると3秒に感じられるという、時間の感覚のずれでした。
イーグルマンの仮説では、脳は常に世の中のワールドモデル ── 世界がどういうルールで動くかを頭の中で表したもの。近年はAI研究でも、環境を予測する内部モデルを指す言葉として使われますを作り、「熱いものを触ると火傷する」といったルールを覚えて生存確率を高めようとしています。
そのパターンを書く時に、やっぱりそこの書く詳細は、新しい記憶ほど、より書くものが多いんですよね。
死にかけるという体験はほとんど誰にとっても初めてで、脳が書き込む詳細が多くなります。宮武さんの理解では、思い出すときにその詳細の多さが、時間の長さとして感じられるのではないかということです。
新しい体験
死にかけるなど、脳が知らない状況に出会う
詳細を書き込む
脳がワールドモデルを更新するため多くの情報を記録する
振り返る
記憶に詳細が多く含まれている
長く感じる
実際は1秒でも、3秒のように感じられる
子どもの頃の夏休みはなぜ長く感じたのか?
草野さんは、身近な人の死や災害の記憶も長めに感じると問いかけます。宮武さんは、死ぬ間際に限らず、新しい体験であれば脳が書き込む量は増えるはずだと答えます。
草野さんが「初めてパソコンを触った記憶はあまり残っていない」と返すと、宮武さんは、論点は記憶が残るかどうかではなく、振り返ったときに長く感じるかどうかだと整理します。
宮武さんが挙げたのは子どもの頃の夏休みです。大人が去年の夏を振り返ると一瞬で終わったように感じるのに、子どもの頃の夏はもっと長かった気がする、という感覚を持つ人は多いと宮武さんは見ています。
より密度の高い記憶を作ってたからこそ、後々振り返るとそれが長く感じる。まあ、これ1つは仮説でしかないので。
新しい記憶、密度の高い記憶をたくさん作っていたので長く感じる
新しい記憶が少なく、一瞬で終わったように感じる
宮武さんは、自分で確認したわけではないと断りつつ、季節性の乏しいサンフランシスコと四季のはっきりした日本を比べます。四季がある場所のほうが、9月と1月の違いを認識しやすいのではないかという見立てです。
草野さんは、新しさに加えて「興味」や「衝撃度」という軸もあるのではないかと指摘します。新しくても興味のないことは覚えておらず、興味があって新しいことは強く残るのではないか、という問いかけです。
匂いやディズニーの馬の蹄はなぜ記憶に効くのか
宮武さんは、より濃い記憶をつくることが、いい体験につながる重要な過程だと考えています。体験づくりで匂いが大事だと言われるのも、場所と組み合わさった匂いが新しい情報になり、脳が書き込む量を増やすからではないかといいます。
この「濃さ」はいい体験にも悪い体験にも当てはまる、と宮武さんは話します。1時間の説教が3時間に感じられた記憶も、とても楽しかった体験が実際より長く思い出されるのも、同じ情報量の差だという見方です。
宮武さんがわかりやすい例として挙げたのが、ディズニーです。馬車を引く馬の蹄にポリウレタンのコーティングをして、音がより鳴るようにしているといいます。
情報量のインプット量が多分ディズニーとかに行くと結構多いと思うんですよ。密の濃さが多分普通の他の体験よりも違うと思っていて。
草野さんが「新しい音や匂いや見た目が全部混じると記憶に残りやすいのか」と尋ねると、宮武さんは、全部が新しくなくても組み合わせが新しければよいのかもしれないと答えます。
草野さんは、大人になると一人旅で訪れた街も「こういう感じだろう」とわかってしまうけれど、誰かと一緒に行くと体験が変わると話します。宮武さんはこれを、体験にソーシャルな要素が加わることだと受け止めています。
草野さんは、ソフトウェアでこうした体験をつくるのはとても難しそうだと話します。宮武さんは、デジタルで使いやすい要素として、リファレンスやイースターエッグ ── 作品やソフトウェアに隠された遊び心のある仕掛けや小ネタ。気づいた人だけが楽しめる要素ですを挙げました。
あ、このリファレンスだっていうのを頭の中で考えないといけなくて、そこの記憶に何か追記される。
古き良きインターネットへのノスタルジーも、インターネット自体が新しかったから記憶が濃いのだろう、と宮武さんは見ています。だからこそノスタルジーマーケティングはうまく機能するとも話しています。
話は、何かに時間をかけたことを示したい欲求にも広がります。宮武さんは、テイラー・スウィフトを誰よりも聴いたと見せたい人のように、時間の使い方が自己表現になっていると指摘します。
長くゆっくりした人間関係はなぜ評価されるのか?
草野さんは、長くゆっくりしたものほどいいものの代表として人間関係を挙げます。浅いつながりの良さもある一方で、長くゆっくりつながっていてマイナスに働くことはあまりない、という見方です。
宮武さんは、人間関係のやり取りが速くなりすぎると機械と話しているのと同じになり、よりトランザクショナルになってしまうと話します。それは人間味が失われることだという整理です。
そもそもある程度好きじゃないと、多分あまり、そこまで無意味な時間って過ごさないので。
宮武さんの考えでは、長くゆっくりした関係には無意味な時間が多く含まれ、その無意味さこそが人間味であり、相手と一緒にいる良さにつながるのかもしれません。
草野さんは、大人になると家族や仕事が増え、無意味な時間や新しい友達づくりが難しくなることを「しょうがないのか」と尋ねます。宮武さんは、本来は良くない話かもしれないとしつつ、年齢とともにリスクテイクを減らしてしまう話にもつながると答えます。
宮武さんは、アメリカで宗教に入る人が減る一方で、そうしたつながりを求める人がいるという過去の話題に触れます。宗教やコミュニティの良さは、意味がある中に無意味さもあり、一緒にいる時間が長いことだといいます。
ふざけた話を、ひたすらするのをやっぱり、やっぱ恋しく思う。
宮武さんが恋しく思うのは、大学時代に友達と朝まで、未来の話やゲーム、ふざけた話をしていた時間です。草野さんは、効率重視のイメージがあった宮武さんが無駄を愛すると語ったことに驚いていました。
ミヤタケさん、人間になりましたね。
ようやく、ようやく人間になりました。
書いたエッセイは本当に無駄だったのか
宮武さんは、学生のエッセイを例に無駄の意味を考えます。エッセイは先生が一度評価したら、学生は二度と読まないかもしれません。それでも、書いたこと自体は無駄ではなかったというのが宮武さんの考えです。
そのアウトプット自体は、正直無駄かもしれないんですけど、誰ももう一回読まないって意味合いでの無駄。
宮武さんは、AI生成技術でエッセイを置き換えること自体は問題ないとしつつ、教育では、どう考えさせ、どう時間と努力をかけてもらうかへと焦点がシフトするのではないかと見ています。
草野さんは、無駄だったことに意味を見出したいという人間の欲について問いかけます。本当に無駄ではなかったのか、そう思いたいからそう思っているのか、鶏と卵のような話だという問いです。
宮武さんは無駄ではなかったと答え、スティーブ・ジョブズ ── Appleの共同創業者。大学時代に受けたカリグラフィーの授業が、のちのMacの美しいフォントにつながったと語ったスピーチで知られますがカリグラフィーを学び、後に点と点がつながってMacに反映された話を挙げます。
難しいのはその将来的な話になってくるので、何が無駄かっていうのは正直誰もわかんないっていう部分ですよね。
草野さんは、忘れていた過去の学びが似た状況で急に思い出される体験をもっと欲しいと話します。そうした記憶は、一人でウェブサービスを使っているときより、対面で人と話しているときや、旅行先で相手の視点から「こういうことあったよね」と言われたときに掘り起こされるといいます。
宮武さんは、同じ時間を過ごす組織や家族は共通認識を持つぶん世界観が制限されるので、外からの意見とつながることも必要だと付け加えます。二人は、同じ時間を過ごす相手と外の視点のバランスが大事だという点で一致しました。
Palantirはなぜ1日5回もブートキャンプを開くのか?
宮武さんは、密度の高い記憶をつくる動きを実際にしている例として、BtoBのPalantir ── ピーター・ティールらが共同創業したアメリカのデータ分析企業。政府機関や防衛分野との取引で知られますを挙げます。去年株価が大きく伸びた防衛テック系の会社だと紹介しています。
2週間前の回で触れたSuperhumanが、オンボーディングをあえて30分の1対1のミーティングで行っていた話と似たことを、PalantirがBtoB版でやっているという見立てです。
Palantirは、企業や政府機関のワークフローに合わせてAIによる自動化プロセスを導入できる「Palantir AIP」を販売しています。かつてCEOが営業マンを一切抱えないと話していたことで知られる会社ですが、現在は営業担当もいるそうです。
Palantirが見つけたAIPの売り方は、営業担当が1対1で売り込むのではなく、ソフトウェアのブートキャンプを開き、そこでリードを獲得するというものでした。宮武さんによると、これがAIPの売上成長で最も重要な要素になっているといいます。
「AIPブートキャンプ」は、一部ハッカソン、一部カンファレンス、一部パーティーのようなイベントで、期間は1日から最大5日ほどです。内容は大きく3つあるそうです。
- Palantirのエンジニアによる新機能・既存機能のデモ
- 顧客自身のデータを使って触ってみるワークセッション
- 既存顧客によるツールの使い方のプレゼン
イベントは毎回満席になるといい、新規顧客と既存顧客の両方が参加するため、コミュニティづくりも兼ねています。エンジニアがその場でインテグレーションまで行うのも特徴です。
通常の営業なら連絡、フォローアップのミーティングを経て導入を決めるまでに1〜3か月かかるところを、Palantirは5日以内に収めています。
連絡し、フォローアップのミーティングを重ねて導入を決める。1〜3か月かかる
ブートキャンプで、デモ、自社データでの試用、導入までを一気に行う。5日以内
これを時間を遅めたって言うのか、早めたっていうのか、若干難しいところではあるんですけど、個人的には遅めたっていうふうに思っていて。
宮武さんがこれを「遅めた」と捉えるのは、イベント期間中、Palantirが長い時間クライアントと一緒にいて濃い記憶をつくり、それが導入しやすさを生んでいると考えるからです。
CEOはブートキャンプを「ロックコンサートのようだ」と表現しているそうです。宮武さんはCEOの言葉なのでだいぶプラスに見ていると断りつつ、導入まで進めて同時に飲みにも行ける半分パーティーの場は、クライアントにも喜ばれるだろうと話しています。
FDEとは何者で、なぜ日本風なのか
ブートキャンプを実現するため、Palantirはコードを書くだけでなく、クライアントと話して導入までこなせるエンジニアを採用しています。Palantirはこの職種を「Forward Deployed Engineer(FDE)」と呼んでいます。
企業ごとのワークフローや細かい事情に合わせるインテグレーションは、とても手間のかかる作業です。草野さんは、そうした人材はあまりいなそうだと反応しました。
これってちょっと日本風だなっていうのを思いました。
宮武さんが日本風と感じたのは、エンジニアそのものより、ハンズオンでの導入の仕方です。半分コンサル、半分ソフトウェアという形は、日本のSaaS業界でよく見られるパターンだといいます。
草野さんは、AppleのGenius Barのスタッフのように、製品知識とプレゼンテーションの両方に長けたプロの姿を重ねます。宮武さんは、クライアントのニーズを理解したうえで解決案を示せる人材は誰にでもできるわけではないので、外注するケースも多いと補足します。
AI時代のソフトウェアは「売り込み方」で差がつくのか?
宮武さんは、AIの発展でソフトウェアがコピーされやすくなると、組織に合わせてどこまでカスタマイズできるかが重要になると考えています。ただ現状では、機能があってもカスタマイズの方法が複雑なソフトウェアが多いといいます。
宮武さんは、カスタマイズを実現するパターンとしていくつかの企業を挙げます。
| モデル | 仕組み | 例 |
|---|---|---|
| 第三者アプリエコシステム | 基盤ソフトに外部アプリを連携させる | Shopify(サブスク管理や返品管理) |
| 外部コンサルとの連携 | 導入と同時にコンサルがカスタマイズする | Salesforceとアクセンチュアなど |
| 社内ツール | 自社で社内ツールを作り込む | Stripe |
| 社内コンサル機能 | 導入支援まで自社で担う | PalantirのFDE |
宮武さんはさらに、将来はクライアント側がカスタマイズ機能を持つことや、それをAIにどこまで任せられるかが論点になると見ています。
草野さんが「大きな会社がより強くなりそうか」と尋ねると、宮武さんは、オンボーディングの体験づくりがうまい会社にも勝てる可能性があると答えます。草野さんはそこで、日本のクラフトマンシップをデジタルに昇華できるかが鍵ではないかと話しました。
クラフトマンシップの1つのすごい良さって、そこに対してめちゃくちゃこだわってるとか、時間をかけてるっていうのがすごい重要だったりするので。
AIに1か月考えてもらう「遅いAI」とは?
宮武さんが2週間前の回と今回を通じて伝えたかったのは、時間をかけることは悪いことではないという考えです。エピソードタイトルにある「遅いAI」も、そこから出てきた問いです。
ChatGPTに質問するとすぐに回答が返ってきますが、宮武さんは、今すぐの答えは必要なく、ちゃんと考えてほしい場面もあると話します。
1ヶ月後でもいいので、1ヶ月間ひたすらちゃんとこれについて考えてくださいと。
草野さんはこれを「AIに長期目線を持ってもらう」ことだと受け止め、AIはまとめや推論はしてくれるものの、もっと考えてほしいと感じることがあると共感します。
5分以内で長文レポートできますよっていうのって、5分以内で欲しいのか。
宮武さんは、1時間でも1日でもかけていいので、とても質の高いレポートを作ってほしいと話し、そちらのほうが需要は高いと見ています。
推論モデルは「インターン」レベルなのか
宮武さんは、今の推論モデルには危険性もあると考えています。そのトピックのエキスパートなら活用すべきですが、エキスパートでない場合は、何が間違っているのかがわからなくなるからです。
たとえばAIが図を作った場合、そのソース元や図が示している内容を把握するだけでも大変で、実際に使っていてミスがあると感じるそうです。宮武さんは、まず自分の専門領域で一度使ってみることを勧めています。
人間のインターンなら「これは間違っている」「こう考えるべきだ」と指示できます。宮武さんによれば、推論モデルにはその指示に限界があり、次の推論で同じことを覚えていないことも多いといいます。
間違いを指摘し、考え方を指示すれば次回にも生かせる
指示できる範囲に限界があり、次の推論では同じことを覚えていないことが多い
情報ソースの見方や、どれを信頼すべきかまで教え込めないことが大きな課題だ、と宮武さんは話します。その解決策としても、1か月かけてひたすらリサーチしてほしいという要望につながっています。
返信を待つ時間はワクワクかタスクか
宮武さんは、スピードアップとは待ち時間を限りなくゼロにすることだとしたうえで、待ち時間そのものを良さにする方法はないかと問いかけます。
草野さんは「返信が来るかな」と待つ時間が楽しいこともあると話します。一方で仕事のメールがすぐ返ってくると「また打ち返さなきゃ」と感じ、ゆっくりラリーしたほうが楽な場面もあるといいます。
コミュニケーションが即時にできるようになっちゃったからこそ、重要じゃないメッセージを送れるようになって。
宮武さんの整理では、メッセージを気軽に送れる環境では、返信しなければならない責任が受け手に移ります。重要なメッセージしか送れない環境なら、その責任は送り手にあります。
重要でないメッセージも送れるため、返信する責任が受け手に生じる
送り手がよく考えるようになり、責任が送り手側に残る
宮武さんによると、経営者の中には連絡手段を電話に限る人もいます。チャットやメールでは社長の返信待ちが溜まりますが、電話ベースにすると、よほど重要なことでなければ連絡しなくなるからです。
面白いですね。その責任の話は考えたことなかったです。
待ち時間そのものを目的にできるか?
宮武さんは、待ち時間を重要な体験にできないかと考えます。草野さんはコインランドリーとカフェの併設を例に挙げ、宮武さんは、ネット接続が切れたときにGoogle Chromeで遊べる恐竜のジャンプゲームを「すごくいい体験」だと評価します。
そんなに複雑な体験じゃなくてもいいかもしれないんですよ。
宮武さんはさらに、あるアーティストが2005年にスペインの小さな町で行ったアート作品を紹介します。周辺の町に新聞広告で参加を呼びかけ、集まった人たちがT字路に車を停めて渋滞をつくり、上から写真を撮るという作品です。
参加者は4時間ほど駐車したまま過ごし、その間にアーティストとスタッフが食べ物を用意して、みんなで集まって話したそうです。友達ができることもあったといいます。
宮武さんは、このアート作品は作品そのものより、人を集めて待っている間に楽しく過ごす体験づくりが目的の一部だったのではないかと見ています。
デジタルでの待機について、草野さんはTwitterが落ちたときにみんながインスタに集まって盛り上がる様子を挙げます。宮武さんは、Among Usのようなゲームで最初にロビーに集まる時間や、リーダーボードも、人を集める仕掛けになると話しています。
宮武さんの締めくくりは、特定の体験づくりを勧めることではありませんでした。時間の操作によって密度の高い記憶をつくることで、より印象的で楽しく思えるプロダクトやサービスができるのではないか、という問題提起です。
最後に草野さんは、長めになったこの回のリスナーも時間を遅く感じているかもしれないと笑います。二人は、ビデオポッドキャストやイベントのように要素を増やすことも、記憶に残る体験につながるかもしれないと話していました。
まとめ
この回では、ラルフローレンの「時間を遅めた」という言葉を、記憶の密度を高めることだと読み解く仮説から出発し、人間関係、Palantirの営業手法、遅いAI、待ち時間の価値までが語られました。効率化とは反対に、あえて時間をかけることに価値があるのではないか、という視点が全体を通しています。
- イーグルマンの仮説では、新しい体験ほど脳が詳細を書き込むため、振り返ったときに長く感じられる
- 匂いや音、同行者などの組み合わせで、体験の記憶はより濃くなる
- PalantirはAIPブートキャンプで顧客と長い時間を過ごし、導入までを5日以内に収めている
- 宮武さんは、推論モデルは今はインターンのレベルで、1か月かけて考える「遅いAI」にも需要があると考えている
- 待ち時間を目的にしたアート作品のように、待つ時間そのものを体験として設計できる可能性がある





