なぜ今、Web3の「アイデンティティ」なのか
テック番組Off Topicで、草野さんと宮武さんが久しぶりにWeb3を取り上げました。宮武さんによると、2022年に入って初めてのWeb3回で、前回の関連回は前年の11月から12月頭ごろだったといいます。
宮武さんは、Web3の内部ではここ3か月ほど「アイデンティティ」が最もホットなテーマになっていると話します。RabbitHoleやCeramicといった関連企業の資金調達も続いており、注目度の高い領域だという認識です。
今回のパートは、オフラインのアイデンティティとWeb2.0のアイデンティティと、Web3でよく言われてるウォレットの概念について話して。
2回目は、もう少しオンチェーンアイデンティティとか、具体的なところについて話せていけたらなと思ってます。
後編では、Web3系サービスStationを立ち上げたティナ・ヘイさんへのインタビュー内容も踏まえる予定だと紹介されています。草野さんは、ネットとリアルのアイデンティティという昔からの論点も気になると話し、質問役として話を引き出していきます。
仕事の「アイデンティティ」はなぜ面倒なのか
宮武さんはWeb3の前に、まずエンタープライズ、つまり仕事上でのアイデンティティから話を始めます。手がかりは、番組の過去のMicrosoft回で触れた「コンテクストスイッチング」の課題です。
コンテクストスイッチングの話とは、NotionやAsana、Airtableなどを行き来するのが面倒だという問題です。草野さんは、それぞれ良いサービスでも全部に対応するのはだるく、Microsoftでまとめて使えるほうが便利だという論点だったと振り返ります。
宮武さんは、その奥にもっと深い課題があると指摘します。従業員は多くの場所にサインインしたくないし、会社側も多数のサービスのセキュリティや管理を考えるのが負担になるという点です。
誰かを採用した時に、結構めんどくさいじゃないですか。例えばGoogle Suite、Slack、Dropbox、GitHub、Salesforce、全部登録させないといけなかったりとか。
この管理の手間を解決しようとしているのが、Okta ── 企業向けのID管理・認証サービスを提供するアメリカの企業。複数のサービスへのログインを一元化する仕組みで知られますやRippling ── 従業員の人事・IT・アカウント管理をまとめて扱えるアメリカのSaaS企業、日本ならSmartHRのような領域だと宮武さんは話します。そして、もともとそれを担ってきたのがMicrosoftだといいます。
MicrosoftはActive Directory ── Microsoftが提供するディレクトリサービス。組織内のユーザーや端末、アクセス権限を一元管理する仕組みですというサービスを、バンドルの一部として提供しています。どの従業員がどのアクセス権限を持つかの管理や、1つのIDで複数サービスに入れるシングルサインオン ── 一度の認証で複数のサービスやシステムにログインできる仕組み。SSOとも呼ばれますを担う仕組みです。
宮武さんが重視するのは、データがすべて1人の従業員を中心に整理されている点です。そのため、Active Directory自体が1つのアイデンティティのプラットフォームだと考えています。
MicrosoftはなぜLinkedInを買ったのか?宮武仮説
宮武さんは、Microsoftが2016年ごろにLinkedInを約26ビリオン、つまり260億ドルほどで買収したことに触れます。当時、宮武さん自身もなぜ買ったのかと疑問に思っていたそうです。
草野さんも、LinkedInはMicrosoftの主なサービスと領域が被らないように見えると応じます。ところが、今回アイデンティティについて調べるうちに、宮武さんは両者に「アイデンティティ」という大きな被りがあると気づいたといいます。
宮武さんの見立てでは、Microsoftはゲームなどでビジネス向けから個人向けへ寄せてきたのと同じことを、会社から従業員向けのアイデンティティビジネスでもやろうとしているのかもしれません。
これちょっと仮説でしかないんであれなんですけど、マイクロソフトがActive DirectoryをLinkedInとつなげた時、過去のユーザーのアクセス権が全部そこでわかる。
現状のActive Directoryからそこまで詳細な情報は得られないものの、理論上は可能だと宮武さんは補足します。そのデータをLinkedInに統合すれば、LinkedInがビジネス上のやり取りの情報が集まる場所になるという構想です。
しかも嘘をつけなくなりますね。本当にそこで働いてましたよ、この期間っていうのが連結するってことですよね。
宮武さんはさらに、過去の履歴が個人ベースで残り、それを個人が管理できれば、力が完全に個人へ寄ると話します。自分の社会人生活の情報がすべて詰まったものがLinkedIn上にある状態です。
Active Directory
会社側で従業員のアクセス権限やログインを管理する
LinkedInと連携
過去の勤務先やアクセス権の履歴がつながる
個人が管理
社会人生活の履歴を、信憑性のある形で個人が持てる
宮武さんは、これはあくまで自分の考えで、実際にMicrosoftがどう考えているかはわからないと断っています。そのうえで、アイデンティティという構造はすごく重要な要素だと位置づけ、話はコンシューマー向けへ移っていきます。
財布の中には、いくつのアイデンティティが入っているのか
コンシューマー向けのアイデンティティには、エンタープライズのような統一されたものがあまりなく、オンライン上ではばらついていると宮武さんは指摘します。アイデンティティは名前のような単純な言葉に見えて、実はレイヤー化されたニュアンスを持つといいます。
そこで宮武さんは、まずリアルな世界の財布の中身から考えます。財布に入っているものは、それぞれ違う種類のアイデンティティを表しているという見方です。
| 財布の中身 | 役割 | 宮武さんの説明 |
|---|---|---|
| 免許証 | 身分証明 | 1つのIDでバーなどに入れる、いわばシングルサインオン |
| クレジットカード・キャッシュ | 取引 | 誰と取引しているかを示す |
| メンバーシップカード | ステータス・自己表現 | どういうものが好きかが出る |
| 家族写真 | 関係性 | 家族や友達との関係を示す(アメリカでよく見られる) |
さらに、財布の外にも見た目や着る服、住む家といったアイデンティティがあると宮武さんは続けます。草野さんは、財布そのものにも意味があると付け加えます。
マネークリップの人とか、ちっちゃい財布か長財布使うかとか、ちょっと意味がありますよね。なんでそれ選ぶか。
宮武さんは、こうした細部に意味があることが重要だと強調します。多くの人はアイデンティティを考えるとき、ベースレイヤーのことしか考えていないという指摘です。
Web2.0でアイデンティティがばらばらになった理由
では、財布のようなアイデンティティをWeb2.0はどう再現したのか。宮武さんの答えは「正直あまりうまくやっていない」で、アイデンティティの各パーツがいろいろな場所に散らばっているといいます。
| 知りたいこと | 使われているサービス | 備考 |
|---|---|---|
| 自分が誰か | Facebook、Instagram、Twitter | 名前などのプロフィール |
| 仕事・キャリア | 勤務先の情報 | |
| 友達 | Instagram、Facebook、Twitter | つながりの情報 |
| 支援するクリエイター | TikTok、Spotify、YouTube | 好みや応援先 |
| 取引相手 | Venmo、Cash App、カード会社のアプリ | お金のやり取り |
| 投資先・ゲーム | Robinhood、Discord、Xbox、PlayStation | 趣味や資産 |
しかもこれらのサービスはそれぞれクローズドなので、統一されたアイデンティティがあまりない状態だと宮武さんは話します。
Web3の視点では、現在アイデンティティとして最も語られているのがウォレットです。特にシングルサインオンの用途では、MetaMask ── イーサリアム系のブロックチェーンで広く使われる暗号資産ウォレット。ブラウザ拡張やアプリとして提供されていますがとても便利だと宮武さんは評価します。
宮武さんは、MAUの3200万人もFacebookやTwitterと比べればまだ少ないとし、DAU÷MAUの約25%という数字は、アイデンティティのレイヤーとして考えるなら低いと見ています。
MetaMaskもまあ初期ウォレット全てなんですけど、アイデンティティ向けじゃないんですよ。取引用に作られてるんですよ。だからウォレットって呼ばれてるんですよ。
MetaMaskのUI・UXがまだ使いやすくない理由も、取引用に作られた点にあると宮武さんは説明します。MetaMaskで自分のNFTは見られるものの、ただ羅列されているだけで、それが本当にアイデンティティとつながるのかという課題があるといいます。
MetaMaskとかがなんか半年後とかにリブランディングしてIDとかっていう名前になったらちょっとウケますね。
「ウォレット2.0」は財布から部屋へ変わる?
宮武さんによると、最近は2代目のウォレット、いわゆる「ウォレット2.0」が出始めています。Web3のスピードは速く、すでにウォレット1.0の時代が終わったという言い方です。
例として挙がったのが、ウォレットアプリのRainbow ── イーサリアム系のモバイル向け暗号資産ウォレット。NFTの表示など見た目のよさで知られますが出していたモックアップです。登録時に、自分のドメイン名にあたるENS ── Ethereum Name Service。長いウォレットアドレスを「〇〇.eth」のような読みやすい名前に対応づける仕組みですをアプリ内で取れるようにするというもので、MetaMaskのように別サイトへ行く必要がありません。
宮武さんはさらに、NFTを羅列するだけのギャラリーではなく、部屋の中でのものの置き方を参考にすべきだと話します。引き出しにしまうもの、オブジェとして飾るもの、倉庫に入れるもので、それぞれ見せたい度合いが違うという考え方です。
例えばそのライトセーバーを引き出しに入れてたら、もしかしたら僕はそんなにスターウォーズのファンじゃないかもしれないじゃないですか。
隠れファンなのかなと思って。
リビング、寝室、玄関のどこに置くかでも意味は変わります。草野さんも、NFTの世界では本当に気に入って買ったものと、コミュニティでなんとなくもらったものが同列に並んでいると応じます。
取引用のウォレット。NFTはただ羅列され、何が大事かわからない
部屋のようなマルチレイヤーのウォレット。見せる範囲を友達・家族などで選べる
宮武さんの言う「マルチレイヤーのウォレット」は、見せたいものにも段階を作り、友達ならここまで、家族ならここまでと自分で選べるイメージです。草野さんは、今のウォレットにはソーシャル性があまりないと指摘し、宮武さんもそこを作ろうとするGROW、sudo、Bitskiといったサービスが出てきていると話します。
草野さんが「ブロックチェーンでは全部公開されてしまうのでは」と尋ねると、宮武さんは、情報自体はパブリックでも、誰がどのウォレットを持っているかはわからないと答えます。深いレイヤーほど匿名性を高め、取引をしているのが誰かをわかりにくくする、という考え方です。
アバターとアイデンティティは別物なのか?
ウォレットやWeb3のアイデンティティを語ると、どうしてもメタバースの話になると宮武さんは言います。そのうえで、アイデンティティとアバターは別々だという立場をとります。
(TwitterとFacebookでは)必ずしも統一した人格じゃないじゃないですか。なので、1つのアバターで全て回るっていう概念はおかしくて、複数のアバターで多分いろんな世界に行くと思うんですよ。
宮武さんの整理では、アバターはプロフィールにすぎません。その裏に1つのアイデンティティのレイヤーがあり、そこから世界ごとにどのアバターで入るかを選べる、という構造です。
草野さんが「アイデンティティは1つで、いろいろな自分がアバターなのか」と確認すると、宮武さんはそうだと答えます。エンタープライズの話と同じく、アイデンティティが複数あると管理が面倒なので、統一したほうがよいという理由です。
アバターの部分はGenieなど多くの企業が取り組んでおり、裏側のアイデンティティのレイヤーはウォレットが解決しようとしていると宮武さんは見ています。
Coinbaseが狙う「一番下のレイヤー」
裏側のアイデンティティのレイヤーを狙う企業として、宮武さんが最も知られた例に挙げるのがCoinbase ── アメリカ最大級の暗号資産取引所。ウォレットなどの関連サービスも提供していますです。Coinbaseは、メタバースの中に複数の世界が存在する「マルチバースなメタバース」をはっきり掲げているといいます。
複数の世界を行き来するには、1つのアイデンティティを持ったまま移動する必要があり、そのためには認証やものの売買を担うベースのプラットフォームが要る、と宮武さんは説明します。そのプラットフォームになろうとしているのがCoinbaseだという見立てです。
宮武さんによると、CoinbaseはENSと提携しており、ユニークなIDの部分も視野に入れています。草野さんは「Coinbaseってそんなこと考えてたんですね」と驚きを見せます。
別の切り口として、宮武さんはウォレットとNFTコレクションのコラボも挙げます。2人が持つRTFKTのCloneXを例に、特定のNFTを持っているかがわかるウォレットなら、保有するNFTに応じてアプリのアイコンが変わるといった簡単なコラボが今後起きるべきだと話します。
NFTコミュニティは宗教に似ている?
宮武さんは、コミュニティという概念はNFTとよく似ていると考えています。例に挙げたのは、キリスト教徒であるというアイデンティティです。
キリスト教徒になるには洗礼というイニシエーションがあり、その後は毎週日曜日に教会へ行くという、コミュニティにいることを示す儀式があります。宮武さんは、この3つの要素が人を1つの概念に結びつけると説明します。
| 要素 | キリスト教の例 | NFTコミュニティの例 |
|---|---|---|
| アイデンティティ | キリスト教徒である | アーティファクトのコミュニティメンバーである |
| イニシエーション | 洗礼を受ける | CloneXをミントする |
| 儀式 | 毎週日曜日に教会へ行く | 毎日DiscordでGMやGNと言う |
草野さんも、DiscordのGMやGNはよく見かけると応じ、宗教と似ていると話します。宮武さんは、宗教は最も絆の強いコミュニティなので参考にすべきだとしつつ、やりすぎるのはよくないと付け加えます。
日本があんまり宗教のカルチャーがそこまで強くないので、なんかそこの意識の差はちょっとあるかなとはちょっと思います。
宮武さんは、日本ではクリスマス、正月、キリスト教式の結婚式、葬儀でのお坊さんなど、要所ごとに違う宗教の儀式を使い分けるのが面白いと話します。一方アメリカでは、宗教はアイデンティティの1つだという認識が示されています。
取引から浮かび上がるソーシャルグラフとは?
アイデンティティが及ぼす影響として、宮武さんは新しいソーシャルグラフが作れるチャンスを挙げます。Facebookのように誰をフォローしているかで作るグラフとは別に、取引から見える関係性があるという話です。
例として挙がったのは、取引が見えるVenmo、誰がどの上場株に投資したかがわかるソーシャル投資アプリのPublic、誰がギフティングしたかがわかるSnackPassです。
こいつ、あの人に奢ってるよってのがわかるっていう。
絶対好きだろみたいな。
Web3ではそもそも取引がすべて公開されていて、Etherscan ── イーサリアム上の取引やアドレスの履歴を誰でも閲覧できるブロックチェーンエクスプローラーで見ることができます。ただ宮武さんは、それはすべての取引を同じように並べたフラットな情報にすぎないと指摘します。
全取引をフラットに表示。何がいつ誰に送られたかだけの1データ
オピニオンが入り、何を重視するかを選んで関係性を描く
宮武さんの例は、ある種のソーシャルグラフが全ユーザーの最初の取引だけを見る、というものです。草野さんは「一番最初に買ったCDは何か」で人柄がわかるのと似ていると応じます。
Web2.0では、こうしたデータを集めるには自らプラットフォームを作る必要がありました。Web3では情報が基本的に公開されているため、より具体的なソーシャルグラフを誰でも作れるようになり、それを他のサービスに提供して売る形も出てくると宮武さんは見ています。
フォローが生む「信頼」はWeb3でも作れるか
宮武さんはさらに、Twitterにあるような「ソーシャルコンテキスト」もWeb3で作られるべきだと話します。誰が慕われていて、誰が信頼できるかが、フォロー関係から自然に浮かび上がる仕組みです。
別にこの人信頼してますって言ってるわけではなくて、なんとなくフォローしてると、この人がこの人からフォローされてるんだって見ると、ある程度信憑性があるじゃないですか。
まとめとして宮武さんは、こうしたさまざまな面から新しいウォレット体験が生まれると予想します。ウォレットをいろいろな人とつなげてウォッチパーティーができるといった、ソーシャルな体験もその一例として挙げています。
オンチェーンアイデンティティと「広すぎる言葉」の問題
後編で具体的に扱うのが、Web3でバズワードになっている「オンチェーンアイデンティティ」です。宮武さんは予告として、いくつかのサービスを紹介します。
Ceramicは、ユーザーがオンライン上で作った情報のオーナーシップを持ち、コントロールできるようにするサービスです。Ceramicを使うアプリ同士はユーザー情報を共有でき、RabbitHoleもCeramicを使っていると宮武さんは説明します。
もう1つのSismoは、ユーザーのクレデンシャルを集約し、その一部を非公開にすることもできるサービスとして紹介されています。
難しいのは、アイデンティティという単語自体が広すぎることだと宮武さんは話します。草野さんが日本語では「人格」のイメージだと尋ねると、宮武さんはアメリカではもう少し個人情報寄りに捉える人が多いと答えます。
宮武さんは、アイデンティティ領域は面白い一方で、一度分解して考える必要があると締めくくります。
DAOでの経歴は誰が証明するのか
最後のテーマは、DAO ── 分散型自律組織。ブロックチェーン上のルールやトークンで運営される、中央の管理者を持たないコミュニティ型の組織ですのような匿名性が前提の世界での信頼です。宮武さんは採用の場面を例に、「FWB ── Friends With Benefits。トークン保有者が参加できるクリエイター中心の会員制DAOですのコントリビューターでした」と言われても確認しようがないと指摘します。
草野さんは、LinkedInは自己申告のさじ加減で、紹介文の機能はあるものの、実績の見せ方もスキルの一部だと話します。そのうえで、オンチェーンになれば確かにいいと応じます。
ただ宮武さんは、オンチェーンでも課題は残ると続けます。FWBに参加していた事実がわかっても、コントリビューターなのか、コアメンバーなのか、参加していただけなのかはわからないからです。
宮武さんは、今できる唯一の確認方法は創業メンバーに連絡するリファレンスチェックのような手段だと話します。さらに、ミシチフが冗談で作った、消滅したスタートアップのリストも紹介します。解散した会社では在籍を確認しづらいため、履歴書をよく見せる材料になるという皮肉です。
例えばですけど、セラノスで働いてました。で、エリザベス・ホームズに多分今連絡取れる人って結構少ないじゃないですか。
それどころじゃないよね。
草野さんは、評判を測る難しさも指摘します。一緒に働いた人に聞いても、その人の好き嫌いで評価が割れることがあり、投票制にすれば少数の意見が消されてしまうという懸念です。
いい人になるのもなんか塩梅がめちゃ難しいなっていうのは思います。
宮武さんは、まさにそのバランスが後編の論点だと答えます。1つのメソッドが正しいわけではないので、複数の方法から何を選ぶかが問われ、そこがレピュテーションのニュアンスの部分だといいます。後編では、Stationのティナ・ヘイさんの考え方を紹介する予定です。
まとめ
今回の前編では、エンタープライズのID管理、財布の中身、Web2.0のサービス群を手がかりに、アイデンティティが何層にも重なったものであることが整理されました。宮武さんは、取引用に生まれたウォレットが、見せ方や関係性まで扱うアイデンティティの基盤へ変わっていく可能性を語っています。
- MicrosoftがActive DirectoryとLinkedInをつなげれば、個人が信憑性のある職歴を持てるという宮武さんの仮説が示された
- 財布の中身のように、アイデンティティは身分証明・取引・自己表現・関係性など複数のレイヤーからなり、Web2.0ではそれが分散している
- MetaMaskなど初期ウォレットは取引用で、ウォレット2.0は見せる範囲を選べる部屋のような存在に向かう可能性がある
- アイデンティティは1つで、アバターは世界ごとに選ぶものと整理され、その土台をCoinbaseなどが狙っている
- 公開された取引データから新しいソーシャルグラフや信頼の仕組みが生まれうる一方、DAOでの貢献や評判の測り方は後編の課題として残された




