散らばったアイデンティティをどう統合するのか
今回のOff Topicは、前回のアイデンティティ回の続編です。前回は、Web2.0のアイデンティティがプラットフォームごとに分散している点を話しました。
宮武さんの例では、音楽の好みはSpotifyに、レストランの好みはOpenTableに、仕事のアイデンティティはLinkedInにあります。各プラットフォームの制限に合わせて自分を載せるため、全体としてのアイデンティティが集約されていない、というのが前回の問題意識でした。
いろんな場所で、アイデンティティが取り残されてるっていうか。
今回の宮武さんは、そのアイデンティティをどう定義し、どう保管し、どう見せるべきかを掘り下げたいと話します。具体的にはクレデンシャルやレピュテーションの考え方が中心になります。
議論の土台になるのは、元VCで、Web3系の会社Stationを立ち上げたティナ・ヘさんへのインタビューです。宮武さんは、ティナさんとの会話を紹介しながら話を進めます。
サードカルチャーキッドが抱える居場所の感覚
ティナ・ヘさんは中国生まれで、高校・大学をアメリカで過ごし、今もアメリカで働いています。同じく高校・大学をアメリカで過ごした宮武さんは、ティナさんの経歴に強い親近感を覚えたといいます。
二人のように複数の国をまたいで育った人は、サードカルチャーキッド ── 親の文化圏とは異なる国で成長期を過ごした子どものこと。どちらの文化にも完全には属さない「第三の文化」を持つとされますと呼ばれます。宮武さんは、サードカルチャーキッドの立場を次のように表現します。
ブリッジ役になりやすいものの、同時にどっちの文化も合ってない。
草野さんは、映画『クレイジー・リッチ!』(Crazy Rich Asians)を挙げて共感します。主人公がアメリカではアジア人扱いされ、アジアではアメリカ人扱いされ、自分の居場所に悩む姿が近い話だと感じたそうです。
宮武さんの説明では、両方の文化で育っていても、それぞれの国で暮らした年数は現地の人より短くなります。たとえば日本とアメリカに15年ずつ住んだ人は、30年住んだ人と同じ深さで文化を理解しているとは限りません。
なんかいいようで悪いようでもあってっていう。まあどっちもどっちなんですけど。
街の「機能」と「意味」はインターネットでどう変わる?
ティナさんとの対話では、インターネットがアイデンティティに与えた影響も話題になりました。デジタルコミュニティは、人が自分の欲しいアイデンティティを選べる状況をもたらした、という見方です。
これまでのアイデンティティは、フィジカルな場所によって決まっていました。周りの仕事、家族、友達が自分を形づくっていたのに対し、インターネット上では誰とでも友達になれます。ティナさんの言葉を借りれば、グローバルが新しいローカルになっています。
場所の役割についても整理がありました。東京のような街には学校や映画館といった「機能」があり、インターネット上ではShopifyやStripeのようなデジタルインフラがその機能を担っています。
一方で、教会やクラブ、カフェのようなサードプレイス ── 家庭(第一の場)でも職場(第二の場)でもない、くつろげる第三の居場所。社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した概念ですは、機能のために行く場所ではありません。宮武さんは、そこが何を「意味」しているかもアイデンティティの一部だと話します。
学校や映画館など。ネット上ではShopifyやStripeなどのデジタルインフラが担う
教会、クラブ、カフェなどのサードプレイス。機能ではなく、何を意味するかで人が集まる
国のアイデンティティは薄まるのか、強まるのか
ティナさんとの話は、デジタルアイデンティティと国の関係にも及びました。インターネットやメタバース、Web3が広がると、日本人というアイデンティティを薄めたい人がそうしやすくなるのか、という問いです。
宮武さんは、この問いには2つの考え方があると説明します。1つは、メタバースで過ごす時間が増えるほどメタバースの住民になり、国との関係が薄まるという見方です。ビットコインを持っていれば、日本円やUSドルに頼らずに生きていける、という例が挙げられます。
もう1つは、国の側がその流れを理解しているからこそ、インドや中国、ロシアのように自国のインフラやサイバーセキュリティを整え、より集権的にローカライズしていくという見方です。宮武さんは、今後は日本もそうなるかもしれないと話しています。
メタバースで過ごすほど住民感覚が移り、クリプトで自国通貨に頼らず生きられる
国が自国インフラやサイバーセキュリティを整え、よりローカライズされる
宮武さんは、2つの流れが対照的であるため、最終的にクリプトは国と対立せざるを得ないかもしれないと見ています。
やっぱりそのローカルの経済からクリプトって抜け出せる、抜け出すことができるじゃないですか。
誰がアイデンティティを「持っている」のか
ティナさんは、アイデンティティという概念は広すぎるので、もっと細かく分けて見るべきだと考えています。どのプラットフォームにも、アカウント名や関連するメタデータなど、アイデンティティのパーツがあるからです。
ティナさんの分け方の1つが「ストレージ」、つまり誰がアイデンティティを保管し所有しているかという視点です。宮武さんは、Twitterのアカウントを作っても、アイデンティティを所有しているのはTwitterだと指摘します。
我々(ユーザーは)レンタルしてるだけなので。
その対案として紹介されたのがCeramicです。宮武さんの説明では、Ceramicはデータを1つのウォレットに集約し、そこからシングルサインオンできる仕組みを手がけています。
データはブロックチェーン上で分散して保管されるため、CeramicやFacebookのような一社がなくなっても、ユーザーはデータを失わないという考え方です。
アルゴリズムか、タスク履歴か、出席証明か
ストレージの次に宮武さんが取り上げたのは、オンライン上のアイデンティティをどう作るかという問題です。ここでクレデンシャル ── 資格や実績を証明するもの。Web3の文脈では、何に貢献したか、何を成し遂げたかを示す記録を指すことが多い言葉ですとレピュテーションの考え方が入ってきます。
1つ目はアルゴリズムベースの方法です。宮武さんは、クレジットスコアのDeFi版を手がけるArkXという会社を例に挙げます。
ただし宮武さんは、アルゴリズムで出る点数は誰かの意見に過ぎないと指摘します。アルゴリズムが変われば、同じ人の点数も変わるからです。
アルゴリズムイコール誰かの意見っていうことなので。
2つ目は、新しいWeb3ユーザーのオンボーディングを手がけるRabbitHoleのような方法です。RabbitHoleでは、タスクを成し遂げた履歴が履歴書のように残り、その記録を見て他の人がその人を判断できます。
3つ目として、宮武さんはPOAP ── Proof of Attendance Protocolの略。イベントへの参加などを証明するNFTを発行する仕組みですを紹介します。イベントへの参加をNFTとして発行するもので、宮武さん自身も記事を読んだ証としてNFTをミントしたことがあるそうです。
| 方式 | 例 | 特徴・課題 |
|---|---|---|
| アルゴリズムベース | ArkX(クレジットスコアのDeFi版) | 点数はアルゴリズム次第で変わる |
| タスク履歴 | RabbitHole | 成し遂げたタスクが履歴書になり、他人が判断する |
| 出席・体験の証明 | POAP | 参加や視聴をNFTで記録する |
ソウルバウンドトークンが持つ可能性と怖さ
POAPのような証明には、NFTが売買・移動できてしまうというリスクがあります。草野さんが言うように、「見ました」という証明を別の人に渡せてしまうのです。
僕がもらったそれ(記事を読んだNFT)を草野さんに渡すとか、草野さん読んでないのに読んだ風になっちゃうみたいな。
そこでイーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリンさんらが提唱しているのが、移管できないソウルバウンドトークン ── 譲渡できず、特定のウォレットに結びつけられるトークン。学歴や資格、所属などの証明に使うアイデアとして提案されていますです。草野さんは、魂に結びつくという名前を「ネーミングがいい」と評しています。
宮武さんと草野さんは、フィジカルな世界にも免許証やパスポート、マイナンバーのようなソウルバウンドな証明があると確認し合います。同じ概念をNFTで実現できないか、という発想です。
一方で、ソウルバウンドトークンにはフェアな批判も出ています。パブリックな場所に全部記録が残ってよいのか、そして移管できないものを勝手に人へ送れてしまうのではないか、という点です。
この人はクソだっていう、なんか移管できないNFTが急にエアドロップされてたら困るじゃないですか。
もう一生それを。
一生それがついたらそれは嫌じゃないですか。
宮武さんによれば、こうした課題に対して、NFTが答えではない、別の仕組みを作るべきだといった議論が今も続いています。
DAO向け人事ツールStationは何を証明するのか
ティナさんが立ち上げたStationは、宮武さんの言葉でいえばDAO向けの人事ツールです。主な機能は、採用の支援と貢献者の管理の2つで、最終的には採用につながる設計です。
背景にあるのは、DAOでの貢献をどう確かめるかという問題です。誰かが「元々FWBの貢献者だった」と言って採用を求めてきても、本当に所属し、本当に貢献したのかは、今は電話で確認するしかありません。
Stationでは、DAO内のメンバーを「endorse(支持)」することをNFTとして発行できます。宮武さんは、Twitterのフォローのようなシグナルだと説明します。たとえばFWBのコアメンバーが支持していれば、採用側は信頼の手がかりにできます。
ただし、現状のStationの支持トークンにはコンテキストがありません。いい投稿をしたからなのか、雰囲気がいい人だからなのか、実際に行動したからなのか、支持の理由が見えないのです。
今後のStationでは、支持する人がその理由を書き込めるようになる予定です。宮武さんは、LinkedInの推薦文に近いものを分散型でやるイメージだと話しています。
支持の水増しを防ぐ予算とdecay function
LinkedInの推薦でも、やたらと推薦を集める人や、内容が本当か怪しい推薦があります。Stationでも、採用されたいために推薦を頼んで回る人をどう防ぐかが課題です。
Stationの対策の1つは、一人あたりに予算を与え、発行できるトークン数を制限することです。もう1つは、すべてがトラッキングされているため、やたらと多くの人を支持している人がいれば見つかるという点です。
さらにStationが取り入れようとしているのが、ティナさんの言うdecay function ── 時間の経過とともに値が減っていく関数。ここでは、支持のトークンが年ごとに目減りしていく仕組みを指しますです。たとえば10トークン分の支持が、年ごとに1トークンずつ減っていくイメージです。
いわゆる常に貢献しないと、あの、次の仕事につながらない。
宮武さんは、decay functionをDAOのガバナンスにも入れるべきだと考えています。出資者が受け取るトークンを経済トークンとガバナンストークンに分け、貢献しないとガバナンストークンだけが減るようにする案です。
出資
お金を入れた人がその分のトークンを受け取る
分割
トークンを経済トークンとガバナンストークンに分ける
減衰
貢献しないとガバナンストークンが徐々に減る
効果
お金持ちだけがDAOの判断を左右する状態を防ぎ、貢献者が報われる
草野さんが「常に貢献していないといけないのか」と尋ねると、宮武さんは難しさを認めます。大きなプロジェクトなら減る率を下げるなどの調整は考えられますが、Stationは全部をアルゴリズムにせず、各DAOの文脈を知る人間が判断する方向に寄せているといいます。
Stationは実際にDAOへ組み込まれて使われています。宮武さんが参加する教育系DAO「Crypto Culture and Society」にもStationが導入されており、貢献者のクレデンシャルが採用につながる仕組みです。
データはお金ではなくクレデンシャルで見る
宮武さんは、データの考え方と使われ方が進化してきたと整理します。FacebookやTwitterはユーザーのデータをマネタイズできるからこそ、体験を無料にしてきました。昔は直接的なフィードバックが必要でしたが、Web2.0では行動そのものがデータ化されています。
Web3では、ユーザーがデータのオーナーシップを持つとよく言われます。しかし宮武さんは、データを所有することがお金儲けにつながる、と考えるべきではないと話します。
正直一人の個人データでお金儲けってほぼできないんですよ。あんま価値がないんで、正直なところ。
宮武さんによれば、個人ベースではドルや円ではなくクレデンシャルで見ることが重要です。クレデンシャルを受け取り所有できることが、新しいインセンティブ設計につながるからです。
例として挙がったのがRabbitHoleのLearn to Earn ── 学ぶことで報酬を得られる仕組み。教材を学んだりタスクをこなしたりすると、トークンなどがもらえますです。もらえる金額自体は少なくても、タスクをこなすことでクレデンシャルが高まり、採用やより高い給料につながります。
タスクをこなす
学習やタスクを完了する
クレデンシャルが高まる
成し遂げた記録が積み上がる
仕事につながる
採用され、より高い給料につながる
宮武さんは、こうした流れをWeb3が可能にするメリトクラシー ── 能力や実績に応じて地位や報酬が決まる考え方。日本語では「能力主義」「実力主義」と訳されます、そしてクレデンシャル経済と呼びます。
バズより「意味ある発信」が報われるのか
宮武さんは、これまでのレピュテーションが、Twitterでリツイートさせる力やフォロワー数に左右されてきたと振り返ります。Web3では、DAOのために実際に何をしたかがより可視化される、というのが宮武さんの期待です。
ちゃんと意味あるものを発言してる人がより報われる世界になるかもしれないっていうところで。
草野さんは「意味ある」とは何かを問い、宮武さんも定義は難しいと認めます。そのうえで、各プラットフォームでバズりやすいコンテンツが、必ずしも受け手にとって便利でよい情報とは限らないと指摘します。
いい情報をどう測るのかという草野さんの問いに、宮武さんはStationのように人が評価する方法を挙げます。評価をプラットフォームに任せるのか、よりオープンな環境に置くのかが、Web2.0とWeb3のアイデンティティの考え方の違いだと話しています。
「なぜ自分に対して匿名なのか」という新しい問い
宮武さんは、アイデンティティにレイヤーを置くべきかという論点に戻ります。リアルで初めて会う人の情報は見た目や服装くらいで、Web2.0では事前にその人の発信を調べられます。
ユーザーがデータの所有権を持てば、相手ごとに見せる自分を選べます。ある人には匿名、別の人には本名、また別の人にはニックネームで現れる、といった具合です。宮武さんは、こうしたプライバシーレベルを相手ごとに設定するサービスが重要になると見ています。
宮武さんは医療データを例に挙げます。ほとんどの人には見せたくなくても、医師や家族には見せてよい、という使い分けです。
そうしたサービスが実現すると、相手への疑問の形も変わると宮武さんは話します。
草野さんは、インスタグラムの「親しい友達」でストーリーを見られる人と見られない人が分かれる気まずさを挙げます。二人は、Twitterも同様の機能を作ろうとしている一方、Facebookでは明確にレイヤー機能を打ち出していないと話しています。
宮武さんは、この話はメタバースにもつながると考えています。匿名で出るかどうか、どのアバターで現れるかも、相手に応じて変えられるようになるからです。
宮武さんによれば、複数ユーザーが集まれる仮想空間を発明した人物も、その目的を「アイデンティティを探るための安全な場所」を作ることだと語っていたそうです。
答えのない問いの数々と、統合されたアイデンティティ
宮武さんは、ティナさんが言うようにアイデンティティは広い概念で、正しい答えはないと話します。だからこそ、いろいろな角度から問いを立てるべきだという立場です。
宮武さんが挙げた問いは多岐にわたります。ユーザーがアイデンティティをコントロールするとはどういう意味か、どの部分を流動的にし、どの部分をソウルバウンドにするのか、表現はアルゴリズムか人が選ぶものか、といった問いです。
さらに、全部を統合したウォレットのようなサービスが出てくるのか、それとも「ウォレットがあって、バックパックがあって、部屋があって、街がある」ように複数のものが出てくるのか、という問いも投げかけられます。
宮武さんの見立てでは、今のアイデンティティはフィジカルとデジタルの両方で分散し、別々になっています。それを統合することが、Web3の可能性の1つだといいます。
ザッカーバーグが描く「アプリから人へ」
宮武さんは、この統合をしっかり考えているのはマーク・ザッカーバーグさんだと話します。FacebookがMetaに社名を変えた際のスピーチで、ザッカーバーグさんは今の基盤がアプリであることを指摘していたそうです。
基盤がアプリ。体験はアプリごとに分かれている
基盤が人。アイデンティティ、デジタルグッズ、つながりを持ってデバイスや体験を行き来する
宮武さんは、ザッカーバーグさんが作りたいものを鉄道のネットワークにたとえます。
いわゆるいろんなプラットフォームがあって、そこを自分のアイデンティティでいろんな場所に行ける(ような)鉄道を作ろうとしてるんですよね。
統合されるのはDAOでの貢献だけではありません。宮武さんは、心拍数のようなバイオメトリクスなど、オフラインのアイデンティティも統合されていくだろうと見ています。
人がプラットフォームになる未来
ユーザーが自分のコンテンツとアイデンティティを持つことは、何をどこに出すかというディストリビューションを自分でコントロールできることを意味します。宮武さんは、そのときユーザー個人が中間層に入ると説明します。
宮武さんによれば、短期的にはオーナーシップやマネタイズの話になります。長期的には、個人のデータがこれほど一か所に、しかも自分が所有する形で集まったことはない、という点が重要です。
ここで宮武さんは、少しディストピア的な未来を描きます。自分の行動データをすべて所有できれば、ビジネスメールや投資のような行動を自動化できるかもしれない、という話です。
そうなると、オンライン上での役割はプレイヤーからキュレーターへと変わります。宮武さんの言葉では、「こういうことをやっていいですか?」に対して承認を押す係になるイメージです。
自分のAIを何人も作れたら楽しいのか
宮武さんはさらに究極の形として、自分のアイデンティティをAIとして作れるかという問いを出します。「鉄郎2、3、4、5」を作り、仕事を割り振るようなイメージです。
草野さんは、いい面もあるとしながら、それで人間は楽しいのかと疑問を示します。宮武さんが、面倒なデートにAIの別アイデンティティを送る例を出すと、草野さんは笑いながら突っ込みます。
一番最適な相手を見つけるために3人同時に行かせるみたいな。
もう効率厨やばい。それは本当に楽しいのかっていうところに行きそうですね。
宮武さんが面白そうだと感じるのは、AIのアイデンティティ同士が話し合ったらどうなるか、さらにそれがサブアイデンティティを作ったらどうなるか、という点です。
草野さんは、効率を求める世界では無駄が省かれ、個性がなくなるのではないかと懸念します。宮武さんもその可能性を認めつつ、仕事をしながら友達と遊べる、つまり「一生遊べる」かもしれないと返しています。
(AIが働いてくれて)遊ぶように働いたり、働くように遊べたら、まあそれは楽しいですよね。
データが個人に集まると何が生まれるのか
宮武さんは、実現できるかはわからないと前置きしつつ、データがプラットフォームではなく個人に集まることの意味を強調します。今でもTikTokは、集めたデータだけで好きな動画をずっと見られる体験を作っています。
草野さんは、そうした世界から逃げ出す人も増えるのではないかと指摘します。宮武さんは、全部出さない人も全部出す人もいて、ほとんどの人はその間になるだろうと答えます。
宮武さんが重要だと考えるのはクロスプラットフォーム化です。FacebookとGoogleが強いのは、インスタグラムとFacebookをまたいだり、さまざまなサイトをクローリングしたりして、データを横断的に取得できるからだといいます。
宮武さんは、データが1つのアプリに集約されなくなれば、今まで想像できなかったアプリが出てくる可能性があると話します。
宮武さんの結論は、アイデンティティをめぐる変化が、まずクレデンシャル経済を生み、そのうえで今まで見られなかったサービスが生まれる瞬間につながるかもしれない、というものです。
まとめ
ティナ・ヘさんとの対話を起点に、宮武さんはアイデンティティを「誰が保管するか」「どう作るか」「誰にどこまで見せるか」に分けて考えました。その先には、クレデンシャルが仕事につながる経済と、人そのものがプラットフォームになる未来が描かれています。
- Web2.0ではアイデンティティがプラットフォームごとに分散し、ユーザーはそれを「レンタル」しているに過ぎない
- POAPやソウルバウンドトークンは貢献や参加の証明になる一方、移管や勝手なエアドロップ、公開範囲に課題がある
- Stationは支持をNFTで発行し、予算やdecay functionで水増しを防ぎつつ、DAOの文脈を知る人間の判断を重視している
- 個人データはお金ではなくクレデンシャルで見るべきで、それがWeb3のメリトクラシーとクレデンシャル経済につながる
- データが個人に集まると人がプラットフォームになり、プライバシーの階層化や新しいアプリが生まれる可能性がある




