未見だった宮武さんは、なぜ2〜3週間で全シーズンを見終えたのか
夏の雑談回のテーマは、草野さんが大好きなNetflixドラマ『ストレンジャー・シングス』です。この作品を、宮武さんが草野さんのすすめで見てくれたところから話が始まります。
すごいビンジウォッチしましたね。
宮武さんは、もともと『ストレンジャー・シングス』をまったく見ていませんでした。80年代や90年代のものがたくさん出てくる作品だという評判や、サウスパーク ── アメリカの長寿大人向けアニメ。時事ネタや人気作品のパロディで知られ、話題作をたびたび風刺してきましたでのパロディは目にしていたものの、本編には触れていなかったといいます。
草野さんは、シーズン1から4までを見るのは相当時間がかかるのではないかと尋ねます。宮武さんによれば、エピソード数はそれほど多くないそうです。
この分量なら意外と見られるということで、宮武さんは週末に3〜4エピソードを連続で見るなどして、2〜3週間ほどで全シーズンを見終えました。
ポップとホラーのあいだ、そして80年代の音楽
見終えた宮武さんの感想は「すごい良かった」というものでした。草野さんがスター・ウォーズを引き合いに出しかけて「ちょっと違う」と言い直す場面もありつつ、宮武さんは作品のトーンをこう表現します。
でもなんかすごいダークなものでもないじゃないですか。
ちょっとポップ系の要素がありながら、ちょっとホラー要素とか、まあ、ホラーっていうほどでもないですけど。
宮武さんは、80年代のリファレンスや、どんな曲を使うかという選曲の面白さも挙げています。草野さんも「曲がいいですよね」と応じ、シーズン4でマックスが聴いている曲がTikTokで大きくバズったことに触れました。
宮武さんもそのエピソードのあと、一度は曲を聴かないとと思ったそうです。さらに宮武さんが印象に残ったのが、シーズン3の終わりに流れる、映画『ネバーエンディング・ストーリー ── 1984年公開のファンタジー映画。同名の主題歌も広く知られています』のテーマ曲でした。
多分一回、子供の時見たことある気がするんですけど。なんかそれ(ネバーエンディング・ストーリー)がやっぱり懐かしくて。
草野さんは、ダスティンが彼女と一緒にその曲を歌う場面を「今歌うの?」というタイミングだったと振り返り、可愛いシーンだったと話しています。なお草野さんは、この回にはネタバレが含まれる可能性があると断りを入れています。
終わってほしい? 続いてほしい? シーズン5で完結することへの思い
宮武さんは『ストレンジャー・シングス』の物語全体も面白いとしたうえで、シーズン5で終わってしまうのは「すごい悲しい」と話します。草野さんはシーズン1が始まった2016年ごろからリアルタイムで見てきたファンで、次のシーズンが最後と言われています。
草野さんに「終わるのはどうか」と聞かれた宮武さんは、続いてほしい気持ちはあると認めつつ、作品としての完結を重んじる考えを示します。
「とりあえず続編」のハリウッド続編文化をどう見るか
宮武さんが一個での完結を望む背景には、特にアメリカで強まっている続編文化への違和感があります。
なんかとりあえずリブートとか続編とかスピンオフとか作ってればいいじゃんっていう感覚がすごいあって。
草野さんは、基本のプロットは同じまま作り直されるゴーストバスターズや『IT』を例に挙げます。宮武さんはマトリックスやマーベル作品も同じ流れにあるとし、そうした映画がヒットしやすいからこそ多く作られていると見ています。
宮武さん自身は「ちょっと飽きた感はある」と話しますが、草野さんは「結局みんな好きなんですよね」と返します。宮武さんもそれを認め、続編のおもしろい特徴を指摘しました。
なんか、でも例えば批判されたとしても見られるじゃないですか。
宮武さんの見立てでは、オリジナル性が必要かはわからないものの、シリーズものの方が商業的・金銭的に有利なので、作り手はそちらを選んでいるのではないかということです。
ヒットしやすい
シリーズものの映画は特にヒットしやすい
批判されても見られる
話題になり、結局みんな見てしまう
商業的に有利
金銭的に考えるとシリーズものが選ばれる
さらに作られる
リブート・続編・スピンオフが増え続ける
映画『ジョーカー』はリブートか、スピンオフか
草野さんは、映画『ジョーカー』も続編文化に当てはまるのかと尋ねます。宮武さんは、ジョーカーはスピンオフに近く、DCコミックスのシネマティック・ユニバース ── 複数の映画作品が同じ世界観を共有し、キャラクターや物語がつながっていく映画シリーズの作り方。マーベル作品が代表例ですの中の一本だと説明します。
草野さんは、『ダークナイト』とは違うのではないかと疑問を返します。宮武さんによれば、ダークナイトはダークナイトとして一度シリーズが終わり、その後DCコミックスがマーベルを意識してユニバースを立ち上げたといいます。
宮武さんは、今のバットマンはダークナイトのバットマンとは違うとしたうえで、ジョーカーを「スピンオフ」と呼ぶのがベストかはわからないとも述べています。結局は一本の大きなシリーズの中に入っている作品、という整理です。
『ストレンジャー・シングス』に続編やスピンオフは必要か
宮武さんは草野さんに、『ストレンジャー・シングス』にシーズン6や7があってほしいかを聞き返します。草野さんは「どちらかというとなくてもいい」と答えました。
一方で草野さんは、再結成型の企画には前向きです。フレンズや、最近のハリー・ポッターのように、10年後にみんなで集まるスペシャル番組なら「めちゃくちゃあり」だと話します。
続編を作ろうと思って、ちょっとダレるみたいな瞬間あるじゃないですか。
草野さんは、続けるために新たな敵を作るような展開が『ストレンジャー・シングス』には今のところあまりないと感じており、だからこそきれいに完結してほしいと考えています。
宮武さんは、やるならキャラクター1人にフォーカスするスピンオフ型だろうと予想します。草野さんによれば、スピンオフの制作はすでに言われているものの、誰が主役になるかはまだわからないそうで、それは見てみたいと話しました。
スピンオフの成功は何で測るのか
宮武さんは、フレンズにもジョーイを中心にしたスピンオフ番組があったものの、大成功とは言えなかったと紹介します。草野さんはハリー・ポッターのスピンオフシリーズは成功していると見ますが、宮武さんの評価は慎重です。
映画収入としては成功してるかもしれないですよね。それが、まあ、何を成功かっていうかですよね、多分。
草野さんも、元の作品のインパクトが強すぎるため、メインに代わるほどの人気を得るのは難しいと同意しています。
宮武さんはスピンオフ系の多さの例として、Amazonが手がけるロード・オブ・ザ・リングのシリーズ、ジュラシック・パーク、そして公開されたばかりのミニオンズを挙げました。
ミニオンズについて宮武さんは、前作のミニオンズ映画の続編でありつつ、『怪盗グルー ── 英語タイトルは「Despicable Me」。悪党グルーと手下のミニオンたちを描くアニメ映画シリーズです』シリーズより前、グルーが子供の頃の話だと説明します。草野さんがWikipediaで確認し、怪盗グルーシリーズに出てきたミニオンが人気になりすぎてスピンオフが生まれた経緯を補足しました。
企業コラボの多さは「日本っぽい」?
草野さんは、『ストレンジャー・シングス』もミニオンズも企業コラボがとてもうまいと話します。日本でもカフェを開いたり、ファミマで靴下を売ったりしていたことを例に挙げました。
宮武さんは、日本では特にミニオンズが目立つと言われているそうで、日本に旅行に来たYouTuberが広告や商品コラボの多さに驚いていたと紹介します。
なんか日本人本当にミニオン好きだねっていうのを言ってましたね。ちょっと異常すぎるって言ってましたね。
これに対して草野さんは、ミニオンが好きというより、その時のトレンドのキャラクターを一斉に押し出す日本の傾向があるのではないかと見ています。
なんか鬼滅が流行った時、鬼滅しかないじゃないですか。あの商品コラボが。今アーニャのコラボしかないじゃないですか。
草野さんは、トレンドのキャラクターが有名チェーンやブランドと片っ端からコラボする状況をなんか日本っぽいと表現しました。宮武さんも、そのYouTuberが来たのがたまたまミニオンズの時期だったのかもしれないと納得し、ワンピース一色の時期もあったと振り返っています。
シーズン3の異質さと、ヒット作を複数生む難しさ
宮武さんは、シーズン4まで見終えて、シーズン3だけは悪役の描き方や雰囲気が少し違ったという印象を持ったと話します。草野さんは、シーズン3にはショッピングモールができ、エルとマイクが付き合う展開があったと振り返りました。
話題は『ストレンジャー・シングス』の作り手である兄弟に移ります。草野さんは、日本のカルチャーにもインスパイアされていると聞いていると話し、兄弟は別の作品も作っているらしいと紹介しました。
草野さんは、クリエイターが続編を作り続けるのも素敵だが、新しい何かを生み出すのも見てみたいと話します。宮武さんは、大ヒット作品を複数作った人は珍しいと指摘しました。
宮武さんの例は、ハリー・ポッターを書いたJ・K・ローリングです。次に出した本は、恋愛ものだった気がするとしつつ、ハリー・ポッターほどは売れていないだろうと話し、元の作品がヒットしすぎたことがクリエイターにとっての大変さだと見ています。
一方で漫画家には例外もいるとして、草野さんは『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』の作者を、宮武さんは『スラムダンク』と『バガボンド』の作者を挙げました。宮武さんは、これを起業にも重ねます。
宮武さんによれば、連続起業家の中でも、1兆円規模の会社を複数つくった人は少ないということです。
役のイメージに染まらないための降板という選択
草野さんは、シーズン制ドラマで人気が出すぎた俳優が、そのキャラクターの印象を付けたくないために降板するケースがアメリカではよくあると話します。日本では連続ドラマが長く続くことが少ないためか、あまり見ない現象だと感じているそうです。
まあリスクですよね、その役者からすると。でもまあその残るリスクもあれば、やめるリスクもあるので。
宮武さんが最も印象的だったという例は、『ザ・オフィス』でマイケル・スコット役を演じた俳優です。その俳優はもっとシリアスな役をやりたいと考え、続けたらこういう役しか来ないだろうと思ったといいます。
宮武さんによれば、その俳優は怪盗グルーで主人公グルーの声を担当し、『マネー・ショート』にも出演しています。
このまま続けると、同じタイプの役しか来なくなる
人気の役を手放すことになる
草野さんは、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフも役のイメージから抜け出すために、ユニークな役を選んできたと紹介します。宮武さんはスター・ウォーズのルーク役の俳優を挙げ、顔だけで「ルークだ」となってしまうため声優業を多く手がけ、バットマンのアニメシリーズでジョーカーの声を務めたと話しました。
SNS時代の俳優は自己PRと役のバランスが難しい
草野さんは、俳優が私生活をあえて見せないことで、観客は役のキャラクターを通して見てくれていたと話します。ところが今は、自分自身をアピールすることも重要になってきていると感じているそうです。
なんか自己PRもしつつ、キャラの差も出さないといけないみたいなのって大変だなと思います。
宮武さんは、自分のパーソナルな部分を出したくない人の方が多いと思うとしながらも、今は出さないと親近感が生まれにくいと話します。Z世代に人気のセレブは俳優や女優よりも、毎日自分の人生について投稿できるような人だと見ており、両方を出すバランスが難しくなっていると指摘しました。
アメリカっぽい不気味な家と、D&Dがつなぐ物語の構造
作品の話に戻ると、草野さんは最新シーズンに出てくる黒幕の家に触れます。誰もいなくなった家の怖さは「アメリカのホラー」らしく、行ったことのない自分には怖さの実感が湧きにくいと話しました。宮武さんは「ハロウィンに出てきそうな」家だと応じています。
宮武さんが好きだと語るのは、子供たちが遊ぶダンジョンズ&ドラゴンズ ── 1970年代にアメリカで生まれたテーブルトークRPG。プレイヤーが役を演じながら冒険を進めるゲームで、作中では子供たちの遊びとして登場しますの伝説を使って悪者を説明する演出です。
シーズンワンの一番最初のシーンとシーズンワンの一番最後のシーンが、なんかいわゆるその同じような形に戻ったりとか。
なんかそういう系の、なんかもう一回繋がったっていう感覚とかはすごい好きですね。
エミー賞と、2019年のシーズン3の評価
草野さんは、9月ごろのエミー賞で『ストレンジャー・シングス』が何を取るのか気になると話します。宮武さんは前回の受賞状況を尋ねますが、シーズン3が2019年の配信だったこともあり、二人とも取っていたかははっきり覚えていませんでした。
宮武さんは、シーズン1から4の中ではシーズン3の評価が一番低いのではないかと見ています。草野さんによれば、2019年はゲーム・オブ・スローンズがとても人気でした。
宮武さんは、ゲーム・オブ・スローンズのエンディングはだいぶ批判されたと指摘します。草野さんは、それでもHBOの中で最も注目され、最も売れた作品だと応じました。
次の「アップデート」は1年半後、作業用BGMのすすめ
宮武さんは、シーズン5は1年半後のため、番組で『ストレンジャー・シングス』をレビューする次の機会はだいぶ先になりそうだと話します。宮武さんはオープニング曲の良さにも触れ、以前Off Topicのパロディ版を作ったことを振り返りました。
草野さんは、YouTubeで『ストレンジャー・シングス』のオープニングに近い曲を集めた作業BGMをときどき聴いているそうです。
なんかちょっと不穏だけど。なんかワクワクみたいな。
宮武さんは、その曲で仕事ができるのか、ドキドキしてしまうのではないかと半信半疑です。それでも草野さんは「集中できますよ」「心地がいい」と譲らず、再生リストを概要欄に貼っておくと話しました。宮武さんも試してみると応じ、ゆるい雑談回は締めくくられます。
まとめ
『ストレンジャー・シングス』を一気見した宮武さんの感想を入り口に、二人は完結の美しさと続編文化の功罪、ヒット作を複数生む難しさ、俳優と役のイメージの関係まで話を広げました。作品を楽しみつつ、エンタメ産業の構造にも目を向ける雑談回です。
- 宮武さんは全4シーズンを2〜3週間で見終え、ポップとホラーのバランスや80年代の選曲を高く評価した
- 二人とも、作品としてはシーズン5での完結を望みつつ、再結成やスピンオフには前向きだった
- 続編やリブートは批判されても見られ、商業的に有利だから増えていると宮武さんは見ている
- 大ヒット作を複数生む人は少なく、宮武さんは起業にも同じことが言えると指摘した
- 人気役を続けるか離れるかは、俳優にとってどちらにもリスクがあり、SNS時代はさらにバランスが難しい





