IPO市場は復活したのか?CircleとChimeが好調
6月のテックニュースで宮武さんが最初に挙げたのは、スタートアップのエコシステム全体にとって良いニュースとしての、IPOの復活です。前年はIPOがほとんどない年でしたが、今年は復活するのではないかと見られていました。
象徴的なのが、ステーブルコイン ── 米ドルなど法定通貨と価値が連動するように設計された暗号資産。価格変動が小さく、決済や送金での利用が期待されています企業のCircleの上場です。宮武さんによると、Circleの株価は初日から大きく上がり、収録時点でも約380%上昇しているといいます。アメリカではステーブルコイン全体に追い風が吹き、規制まわりの話も進んでいるそうです。
クリプト関連では、CoinDeskというメディアを持つ取引所のBullishや、映画『ソーシャル・ネットワーク』にも登場するウィンクルボス兄弟が立ち上げた取引所Geminiも、上場申請を出しています。
ネオバンクのChimeも上場を果たしました。Chimeは時価総額11ビリオンで上場し、初日には18ビリオンほどまで株価が上がったといいます。
ほかにも、出張管理サービスのNavan(旧TripActions)や宇宙企業のVoyagerが上場初日に株価を伸ばしました。韓国では『Baby Shark』のIPを持つPinkfongが上場申請をしています。
Pinkfongが韓国で上場する理由について、宮武さんは想定時価総額が500ミリオンほどで、アメリカ市場では規模が小さく見えてしまうからではないかと話しています。
宮武さんが特に注目するのは、CircleとChimeの2社です。Chimeについては、久しぶりに消費者向けプロダクトでここまでの時価総額を取れた点を評価しています。
一応言っときます。これ(Circleの話)は投資アドバイスではないので。
VCやLPにとっては、ようやく保有株を流動化できるという意味でも喜ばしい流れで、宮武さんは今後のFigmaの上場も楽しみだと話しています。
Liquid Deathは上場か、買収か
草野さんが続けて話題にしたのが、缶入りの水で人気のブランドLiquid Deathの上場の行方です。宮武さんによると、上場は来年になりそうだという話があり、現在は資金調達をしているようです。
Liquid Deathの今年の売上は330〜350ミリオンほどと想定されており、宮武さんはまだ大きな時価総額がつく規模ではないと見ています。このタイミングで上場するのか、売上500ミリオンほどを達成してからなのか、という論点があるといいます。
草野さん的にはLiquid Deathで上場すると思います?それとも買収されると思います?
草野さんの答えは「上場する」でした。理由として、買収する側がLiquid Deathの強いブランドを保ちながら自社ブランドを運営するのは難しく、コカ・コーラのような大手ではブランド同士がぶつかりそうだと話しています。
宮武さんも、大手飲料各社はすでに自社の水ブランドを持っているため、確かに買収先は多くないと応じました。ほぼ水と、お茶、炭酸水だけで、しかもほとんどアメリカ市場だけでここまで伸びたことに、二人とも驚いています。
D2Cブランドの上場は、でもちょっとしてほしい気持ちもあるから、ちょっと応援したいですけどね。
Anduril大型調達の陰にいる、もう一人の立役者
IPOに続いて宮武さんが挙げたのは、大型調達のニュースです。最初の例は防衛テック企業のAndurilで、時価総額30.5ビリオンで2.5ビリオンを調達しました。創業者は、Off Topicの別番組でもインタビューしたPalmer Luckeyさんです。
この2.5ビリオンのうち1ビリオンを出したのが、Founders Fund ── ピーター・ティールらが設立したシリコンバレーのベンチャーキャピタル。Andurilの立ち上げにも関わっていますです。宮武さんによると、これはFounders Fundの歴史上、過去最高のチェックサイズだといいます。
Founders Fundはいい会社に投資し続ける戦略をとっており、Andurilはそもそも彼らがインキュベーションした会社でもあります。Andurilは設立から8年で、この時価総額に到達しました。
宮武さんが強調したのは、Andurilの話題でいつも名前が挙がるPalmer LuckeyさんやFounders FundのTrae Stephensさんだけでなく、CEOのBrian Schimpfさんの存在です。元Palantirの人物で、創業メンバーでもあります。
彼(Brian Schimpfさん)が多分CEOじゃないと、この会社がこれだけうまく運営されてないはずなので。
草野さんは、Palmerさんの名前が大きすぎて、別にCEOがいることを多くの人が忘れていると指摘しました。宮武さんによると、Schimpfさんが前に出てこないのはおそらく意図的で、PalmerさんもStephensさんも「彼がいなければAndurilは成立していない」と話しているそうです。
Cursorの成長スピードはどれほど異常か?
大型調達のもう一つの例が、AIコーディングツール「Cursor」を運営するAnysphereです。300ミリオン、続いて600ミリオンを調達したうえで、6月には時価総額18〜20ビリオンほどでの追加出資のオファーを受けているといいます。
宮武さんは、このバリュエーションにAIのハイプサイクルが表れているとしつつも、Cursorの成長率そのものが猛烈だと話します。草野さんも、日本でも使っている人が多いと応じました。
宮武さんが紹介したCursorのARRの推移は次のとおりです。書き起こしでは金額の単位が「百万」と「ミリオン」で揺れており、正確な単位はARRの単位です。
最初の「百万」に12か月かかったのに対し、次の「百万」は3か月、その次は1か月半と、加速し続けている点がポイントです。デイリーアクティブユーザーが100万人に達しているとも話されています。
草野さんは、バイブスコーディング ── AIに自然言語で指示を出し、雰囲気でコードを書かせていく開発スタイルを指す言葉。2025年に広まりましたという言葉が広まったのは今年なのに、投資家はこの未来を見通していたのかと問いかけます。宮武さんによると、Cursorのチームは最初は別のプロダクトを作っていて、ピボットしてここにたどり着いたそうです。
宮武さんは、Cursorの裏側でAnthropicのモデルが使われている点にも触れています。コードに強いAnthropicのモデルにとって、バイブスコーディングの流れに乗れたことは追い風になったといいます。一方で、Anthropic自身はあくまで裏方で、むしろ同社のAPIを使ってCursorに対抗するサービスが出てくることは間違いなく起きると見ています。
何も出ていないのに10ビリオン、AIマネーの行き先
AI企業への巨額マネーの例として、宮武さんはxAIとThinking Machines Labを挙げました。xAIは4.3ビリオンほどのエクイティ調達と5ビリオンのデット調達をしようとしているという話があり、月1ビリオンほどのバーンレートがあるとも報じられています。ただし、イーロン・マスクさんはこれをフェイクニュースだと言っているそうです。
元OpenAIのCTOであるミラ・ムラティさんが立ち上げたThinking Machines Labは、時価総額10ビリオンで2ビリオンを調達しました。設立から半年ほどで、まだプロダクトは何も出ていません。
まあ「みんなお金を出すんだな」っていうところですね。
草野さんに「すごい冷静な」と言われた宮武さんは、出資側の論理も説明しています。巨額の資金を持つVCはどこかにお金を出さなければならず、AIモデルを作る会社はわかりやすい投資先です。
さらに、Thinking Machines Labには元OpenAIの人材が多く集まっています。宮武さんは、そこにアクセスしておけば、メンバーが辞めて起業したときに投資できるという計算もあるのではないかと見ています。
とはいえ「高いかと言われると高い」とも宮武さんは話します。OpenAIが300ビリオンほどの時価総額だとすると、10ビリオンから30倍ほど大きくなれる可能性はあるものの、どんなアプローチをとるのか何もわからない、というのが宮武さんの評価です。
防衛テックはもっと盛り上がるのか?
草野さんは話をAndurilに戻し、大型調達には買収計画も含まれているとして、防衛テックはさらに盛り上がるのかと尋ねます。宮武さんは盛り上がると答えつつ、アメリカ政府が防衛予算をコントロールしているため、いいスタートアップが必ずいい結果を出せるわけではないと指摘しました。
宮武さんによると、Andurilは製造をアメリカに移すことを考えており、技術や施設を目的としたスタートアップの買収に積極的になりそうだといいます。
背景にあるのが、防衛業界の構造です。アメリカの大手防衛企業は、ボーイングやレイセオンなど何社かありますが、基本的にどれもコンソリデーション、つまり買収を重ねて大きくなってきました。
大手防衛企業が買収で大型化し、新しい会社が出にくく勝負しにくい
ここ2〜3年でAndurilのような会社が育ち、若い起業家の防衛テック企業にも大型投資が入る
宮武さんは、Andurilにも買収オファーは多く来ているはずだが、Palmerさんは上場したいと明言しているため、今後はAndurilが買収する側に回るだろうと見ています。19歳の起業家が立ち上げたMach Industriesにセコイアが100ミリオンを投資した例も挙げ、明らかに環境が変わったと話しました。
MetaはどうやってAIチームを作っているのか?
人材の話題につなげて、宮武さんが取り上げたのはMetaによるAIチームづくりです。Metaは50人規模のスーパーインテリジェンスチームを作ろうとしており、さまざまな買収や採用のオファーを出しています。
最も有名なのが、Scale AIの株式49%を取得する代わりに、CEOのアレクサンダー・ワンさんがこのチームに入るという取引です。ほかにもPerplexityにオファーを出したといいます。
イリヤ・サツケバーさんの会社Safe Superintelligenceにもオファーを出しましたが、断られました。そこでMetaは、同社CEOのダニエル・グロスさんと、元GitHub CEOのナット・フリードマンさんが運営するAIファンドを一部買収し、二人をチームに引き抜けないか交渉しているそうです。
ファンドを一部買収して、そのチームに入れるっていうことできるんですね。なんか初めて知りました。
(アメリカだと)なんか契約に落とせば何でもありなんじゃないですかね。
宮武さんによると、グロスさんとフリードマンさんのファンドは評判が非常に高く、自ら大量のGPUを買ってクラスター化し、投資先に提供しているほどです。この二人やワンさんに加え、GoogleやDeepMindの研究者もすでに採用したという話があり、Metaは最強チームを作ろうとしていると二人は話しています。
100ミリオンのオファーという話もあります。宮武さんは、この金額は単体で聞くと高く見えても、Metaにとっては理屈が合うと説明しました。
時価総額
Metaの時価総額は1.5〜1.7トリリオンほど
AIのリスク
AI戦争に負けると、約半分の1トリリオン分ほどが失われうると仮定
防衛コスト
その5%ほど、5〜10ビリオンをかけて守るのは理屈に合う
結論
100ミリオンのオファーもMetaにとってはそれほど高くない
AI研究所はスポーツチーム化している
宮武さんが面白いと紹介したのが、セコイアの人物による「AI研究所はどんどんスポーツチームっぽくなっている」という見方です。
| 要素 | スポーツチーム | AI研究所 |
|---|---|---|
| オーナー | ビリオネア | ビリオネア |
| トップ人材 | 選手に超大型契約 | 研究者に超大型契約 |
| 新人 | 毎年ドラフトで登場 | 毎年大学から登場 |
宮武さんによると、優秀な若手は実はそれほど多くなく、大学生の段階からできるだけ早く取りに行く争奪戦が起きているそうです。起業した若手の会社を後から買うより、先に採用するほうが安いという面もあります。
ただし宮武さんは、どちらも起きると見ています。10人以下の小さなチームの買収、ScaleAIのような超大型の取引、大学生からの囲い込みを、すべて積極的に進めるだろうといいます。
これによってビッグテックが「あ、これだけ出していいんだ」っていう許可が下りたっていう感じなので。
Metaの100ミリオンという金額がリークされたことで、それまで株主に怒られると考えられていた水準が許容され、人材の希少価値が市場で可視化されたと宮武さんは話します。GoogleやMicrosoftも同じことをするだろうと見ています。
草野さんは、会社ごと買収するより上の人材だけを引っ張ってチームを作るのは、独占禁止法にも触れにくい、お金があるからこそできる戦略だと評価しました。宮武さんも、リード・ホフマンさんがこれを「抜け道」と言っていたことを紹介しています。
50人というチームの規模についても話が広がりました。宮武さんは、Appleの初代マッキントッシュやテスラのオートパイロットも約50人のチームだったとして、意外とよく見る数字だと指摘します。
なんか上限なのかもしれないですよね。変に政治とか、レイヤー化される前の組織図かもしれないですよね。
A24の競合MUBIは何が違うのか?
草野さんが注目したニュースは、インディーズ映画の配信サービスMUBIがセコイアから100ミリオンを調達したことです。MUBIは独立系やアート系の作品が多いことから、A24とよく比べられます。
草野さんによると、どちらも制作をしていますが、MUBIはキュレーション色の強い配信プラットフォームを持ち、サブスクでもビジネスができる点が違います。作品もA24がアメリカ中心なのに対し、MUBIはさまざまな国の映画が多く、『アフターサン』や『ドライブ・マイ・カー』も扱っています。
サブスクの配信プラットフォームを持ち、制作も行う。いろいろな国の映画が多い
制作が中心でブランド力が強い。アメリカ中心の作品が多く、他社プラットフォームにも出す
宮武さんは、MUBIの国際性は創業者がトルコ出身であることや、創業者が日本である映画を見られなかった経験から始まった成り立ちにも関係していそうだと話します。ユーザーは2000万人ほどで、毎日新しい映画が追加され、30日間見られる仕組みだそうです。
アメリカでの基本プランは月15ドルです。月20ドルのプランでは、配信に加えて特定の映画館の無料チケットが毎週もらえるなど、インディーズ映画を広める施策をとっています。最近は制作やIPの買収にも乗り出しています。
A24・Neon・MUBIのどれが好きかと聞かれた草野さんは、ブランド力ではA24のイメージがあるとしつつ、最近は「A24っぽいと思ったらMUBIだった」という作品が多いと話しました。ニッチなホラーなどの人気が高まるなか、A24でなくても作って広めることができるのではないか、という見方です。
宮武さんは、ジャンルが似ているこれらの会社のうち、まずどこかが大手に買収されるだろうと予想しています。A24にはかつてAppleが買収を検討しているという話もあったといいます。
配信とスタジオを併せ持つMUBIはNetflixモデルか
草野さんは、制作会社が自社プラットフォームを充実させる戦略をどう見るかを宮武さんに尋ねました。A24はApple TV+など他社のプラットフォームに作品を出していく形をとっています。
宮武さんの答えは、VC視点ではMUBIのほうが投資しやすいというものです。ベースがサブスクで、その上にオリジナルコンテンツを作る、いわゆるNetflixモデルだからです。
一本毎回映画を作らないとアテンションが生まれないっていう話ではなくて、常にアテンションを引き寄せられる可能性があるっていうのは、すごい強い武器だなと思うので。
ただし、インディーズという市場がどこまで大きくなるかは課題だと宮武さんは見ています。
草野さんは、まずNetflixを契約し、次にもう1つ契約するならAmazon Primeは似ているので、他にはないニッチなものとしてMUBIを選ぶ、という心理はわかると話しました。宮武さんも、標準的なプラットフォームにないものを見たい映画好きにはいいサービスだろうと応じています。
セコイアは買収と上場のどちらのシナリオを見ているのか、という問いに対しては、宮武さんはどちらも見ているとしつつ、プラットフォームとスタジオ機能の掛け合わせで十分上場できる規模だと考えているだろうと話しました。
AIで映画の制作費はどう変わる?
草野さんは、3DやVFXの技術が向上しても映画の制作費は上がり続けてきたが、AIが出てくれば下がってインディー映画をもっと作れるようになるのかと問いかけます。
宮武さんの見立ては「両極端」です。AIで新しいものを作れる流れは確実に起きる一方で、超大型予算を投じるトップオブトップの作品も出てくるため、その中間の中途半端なゾーンがどれだけ残るかが気になるといいます。
これまで超低予算で大きなアップサイドがあるジャンルは基本的にホラーでした。宮武さんは、AIによってSFやアクションのように大量の予算が必要だったジャンルでも、低予算で大ヒットする作品が出てくる可能性が広がったと話しています。
草野さんは、クリストファー・ノーランのように実際に撮る表現も好きだとしたうえで、技術を使って最大限に自分の表現をする監督が出てきたら見てみたいと話しました。
次世代のクリストファー・ノーランって、絶対今のクリストファー・ノーランと同じようなことはやってないので。
Robloxの大ヒット作Grow a Gardenはなぜ強いのか?
時間が残り少ないなかで宮武さんが取り上げたのが、Robloxに登場した超大型ヒットゲーム「Grow a Garden」です。これまでもDress to ImpressやBlox Fruits、Adopt Meなどのヒットはありましたが、Grow a Gardenは圧倒的な人気だといいます。
宮武さんによると、Grow a Gardenは、Facebookが流行り始めたころのファームビル ── Facebook上で遊べた農場育成ゲーム。2009年に登場し、ソーシャルゲームブームの象徴となりましたのRoblox版で、自分の庭を育てるゲームです。ピーク時の同時アクセスは1200万人ほどに達したそうです。
人気の理由として宮武さんは、ゲームのメカニクスに加え、ログアウトしている間も庭が勝手に育ち、戻ってきたら変わっているという楽しさを挙げます。時間帯によって買えるものがローテーションする限定アイテムなど、エンゲージメントを引き出す設計になっているといいます。
その結果、Roblox外での二次流通も活発で、本来は禁止されているものの、eBayなどで白クマのキャラクターが200ドルで売られていたそうです。草野さんは「どうぶつの森みたい」と反応しました。
Grow a Gardenは、若い人が作ったゲームを、あるRobloxのゲーム開発者が早い段階で買収して伸ばしたものです。草野さんがソロプレイ系なのではと聞くと、宮武さんは、コアはシングルプレイヤーでも、育てた庭や限定アイテムを人に見せたいというソーシャルな要素があると説明しました。
ジョブズのスタンフォード演説から20年、明かされた裏話
宮武さんは小さなニュースとして、テイラー・スウィフトさんが自身の楽曲の権利を買い戻したことにも触れました。草野さんが言う「テイラーズバージョン」の取り組みが完結した形です。
テック業界で話題になったのは、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った「Stay hungry, stay foolish」のスピーチから20年が経ったことです。20周年に合わせて、いくつかの裏話が出てきたといいます。
宮武さんによると、ジョブズは登壇を引き受けた時点からかなり緊張していたそうです。また、スタンフォード側の第一候補はジョブズではなく、『デイリー・ショー』のジョン・スチュワートだったといいます。当時はテック業界の人がこうした場に出ることは少なく、ジョブズ自身も出たがらなかったため、レアな登壇だったようです。
さらに宮武さんが初めて知ったという話が、スタンフォードバンドのいたずらです。スピーチ中にビンゴカードを配り、ジョブズが「シリコンバレー」「iPod」「ピクサー」「フューチャー」などの言葉を言うと音を鳴らしていたそうで、スピーチをよく聞くと裏で音が鳴っている部分があるといいます。
草野さんは、ドラマ『セヴェランス』にも似たビンゴのシーンがあったと思い出しました。宮武さんがチャットで送ったWiredの記事にはビンゴカードのスキャンが載っており、草野さんは「ちゃんと印刷してるから本当に準備してたんですね」と驚いています。
ジョブズはなぜ今も伝説なのか?
草野さんは、20年経った今もジョブズのような人物は現れているのか、それとも生まれにくいのかと問いかけました。宮武さんはまず、亡くなると神格化される面があると指摘します。
宮武さんによると、ジョブズの性格的な難しさはある程度知られているものの、今のイーロン・マスクさんのようにスピーチで相手を侮辱するようなことはしておらず、SNSの時代を過ごしたわけでもありません。
本当かどうかはちょっとわからないけど、すごい人でやばい人だっていうのだけみんな知ってるっていう状態がすごいカリスマ感ありますよね。
宮武さんも、可視化されすぎないことが神格化を支えているという見方に同意します。ジョブズはプライベートな人でもあったため、わからない部分が多いことが「すごい人」というイメージにつながっているといいます。
草野さんが、手元に届くプロダクトが最高だからこそ素晴らしい人だと思える、と話すと、宮武さんは成果物の存在の大きさを強調しました。
宮武さんは、同じような神格化がビル・ゲイツには起きていない点も面白いと話します。ただ、ゲイツ本人がそれを求めているわけではないだろうとし、二人はどちらも相当すごい人物だという点で一致しました。
7月以降の予定とインタビューのラインナップ
締めくくりに、宮武さんは8月ごろにGoogleの独占禁止法をめぐる対応の話が出てくると見ており、特別回を組むかもしれないと話しました。
草野さんは、Off Topicで公開予定のインタビューも紹介しました。今週は、MrBeastのマネージャーなども務めたNight Mediaのリード・デュシェラーさんと宮武さんの対談が公開されています。
7月には、クリエイター向けファイナンスサービスKaratのエリックさん、メンタルヘルスをテーマにしたアパレルブランドMadhappyのペイマンさん、『Scaling People』の著者クレアさん、Figma CPOの山下祐樹さんへのインタビューが順次公開される予定です。
草野さんのおすすめは今週公開の対談で、ストリーマーや新しいクリエイター、日本市場、日本のグミの話まで聞けたといいます。宮武さんは、クレアさんへのインタビューが個人的にとても勉強になったこと、そして日本語のインタビューをめったに受けないFigmaの山下さんと動画で話せたことを楽しみにしていると話しました。
まとめ
6月のテックニュースは、IPO市場の復活とAIへの巨額マネーという大きな流れのなかで、人材争奪、映画配信、ゲームまでが動いた1か月でした。二人は個別のニュースを、お金と人材がどこに向かっているかという視点で読み解いています。
- CircleやChimeの好調な上場で、IPO市場の復活の兆しが見えた
- CursorやThinking Machines Labの評価額には、AIのハイプサイクルが続いていることが表れている
- Metaの巨額オファーは、AI研究所がスポーツチームのように人材を奪い合う時代を象徴している
- MUBIはサブスクとオリジナル制作を併せ持つNetflixモデルで、A24とは異なる強みを持つ
- ジョブズの伝説は、見えすぎないことと、今も手元に届くプロダクトによって支えられている




