本物のポッドキャスターに見える画角とは?
Off Topicは数週間前からビデオポッドキャストを始めており、この雑談回は、宮武さんが草野さんの映り方を褒めるところから始まります。宮武さんによれば、ヘッドフォンを付けた草野さんの姿は、どんどん本物のポッドキャスターらしくなってきているそうです。
草野さんがどんどん、なんか本当のポッドキャスターみたいな。
偽物だったんですか?
一方で宮武さんは、パソコンにカメラを付けて収録しているため、自分の映像は「本当にZoom会議みたいな感じ」だと話します。草野さんも、PCの画面を見ながら話しているのでカメラ目線になっていない点を指摘しました。
草野さんの理想は、二人が別々の空間にいながら、向かい合って話しているように見える画角です。スマホを別のスタンドに立て、PCとは違う方向から撮れば実現できそうだという話になり、宮武さんは次回それを試すと約束しました。
チポトレはなぜフランチャイズをしないのか
話題は、宮武さんがこの収録の週末から出かけるLAとラスベガスへの出張に移ります。楽しみな食事を聞かれた宮武さんの答えは即答で、初日の夜はチポトレだといいます。
草野さんも以前LAでチポトレを食べたことがありますが、体調が万全でないときだったため、全力では楽しめなかったかもしれないと振り返ります。宮武さんは、タコスの街LAでわざわざチポトレを食べさせたことを少し申し訳なく思っているようです。
宮武さんがずっと気になっていたのは、チポトレ ── アメリカのメキシカン・ファストカジュアルチェーン「Chipotle Mexican Grill」。ブリトーやボウルを、具材を選んで注文するスタイルで知られていますがフランチャイズ型ではないという点です。マクドナルドや日本のセブンイレブンは、多くの店舗をフランチャイズのオーナーが出資して運営するモデルを取っていますが、チポトレはそうしていません。
宮武さんは、チポトレがフランチャイズをやるならOff Topicが日本でやりたいと以前から話していました。日本にはまだ店舗がなく、草野さんも東京や日本にないことを確認しています。
フランチャイズをしてこなかった理由について、宮武さんはTwitterなどで見かけた、創業者に直接聞いた人の話を紹介します。その背景には、チポトレが一時期マクドナルドの傘下にあったという歴史がありました。
マクドナルド傘下だった期間、チポトレは実際に3〜5店舗ほどフランチャイズを試しています。運営したのはマクドナルドのフランチャイズ経験者3人ほどでしたが、創業者は結果を「最悪だった」と振り返っているそうです。
宮武さんによれば、マクドナルドのオペレーションに慣れた人たちのやり方がチポトレには合わず、そもそもマクドナルドと連携できるポイントもほとんどなかったといいます。ただ、役に立った部分もありました。
マクドナルドの不動産データ分析、一部のサプライヤーへの紹介
普通のオペレーションのノウハウ、採用戦略、ブランド
現在のチポトレは、海外展開に限ってはフランチャイズ的な仕組みを検討せざるを得ず、中東では現地企業と提携して数店舗を運営しているそうです。草野さんが「日本の可能性もなくはない」と反応すると、宮武さんはすかさずOff Topicでやろうと持ちかけます。
誰かチポトレの創業者、リスナーの中で知っていれば、オフトピックが「フランチャイズしたいんですよ」って。
草野さんは宮武さんの愛情の強さに驚きつつも、チポトレは日本でも正直売れると思うと応じました。ノウハウは全くないという宮武さんの一言で、この話題は締めくくられます。
セラピストもセラピーに通う、米国版“読むセラピー”本
草野さんが紹介したのは、最近読んでいる本『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』です。原題は『Maybe You Should Talk to Someone』で、一昨年のアメリカ出張中に書店で平積みされているのを見かけ、日本語版を探したといいます。
草野さんによると、この本はセラピーに通うセラピスト自身の体験を描いたエッセイです。セラピストだからこそ「こんなことを言ったらこう思われる」と考えてしまったり、セラピーの部屋でどの椅子に座るべきか悩んだりする姿が、赤裸々に書かれているそうです。
自分がセラピストなので、自分もそういう分析を多分してるんですよね、そもそも。
草野さんはその姿を「愛らしい」と表現し、セラピストも人間なんだなと感じられる点に面白さがあると話します。日本で売れている『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』の著者、東畑開人さんの本が好きな人には刺さるはずだ、とも話していました。なお番組内では東畑さんを精神科医と紹介していましたが、エピソード説明で臨床心理士と訂正されています。
著者の女性は、もともとテレビの脚本家として働き、30代ごろにセラピストになった経歴の持ち主だそうです。患者と外でばったり会ったときには、お互いのために気づかないふりをする、といったセラピストならではのエピソードも語られています。
本は物語としても進んでいきます。著者が担当する4人ほどの患者の話と並行して、パートナーと別れて深く落ち込んだ著者自身が、知人の紹介で自分とは関わりのないセラピストのもとへ通う様子が描かれます。
草野さんが特に面白いと感じたのは、自分の心理状態は頭ではわかっているのにどうにもできない、というくだりです。避けている話題があると自覚しながら言いたくない、でもそれは相手に見抜かれているのではないか、というプロ同士のやり取りが描かれているといいます。
宮武さんが「メタっぽいですよね」と返すと、草野さんはApple TV+のドラマ『Shrinking』も似ていると挙げます。ハリソン・フォードが出演し、妻を亡くしたセラピストが主人公の作品で、患者の物語と主人公自身の物語が並行して進む点が共通しているそうです。
好きな本の傾向を聞かれた草野さんは、心理や人文学っぽいもの、エッセイに加えて、小説ではマルチバースやメタ的なものが好きだと答えます。選ばなかった選択の先にある世界のような作品として、『ストレンジャー・シングス』や村上春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』作品名を挙げていました。
ゴッドファーザー誕生の裏側を描く『The Offer』の面白さ
一方の宮武さんは、最近あまりフィクションを読んでおらず、物語はドラマや映画など映像で楽しむことが多いそうです。そこで草野さんは、去年観て面白かったドラマを紹介します。
映画『ゴッドファーザー』を観たことがない宮武さんに、草野さんが勧めたのは、そのプロデューサーを主人公にした連続ドラマ『The Offer』です。実話に着想を得て脚色した作品で、草野さんは事実にこだわる宮武さんに向けて、完全な実話ではないことを先に断っています。
草野さんは飛行機で1話だけ英語で観たものの理解しきれず、U-NEXTで日本語版が出てから観直したそうです。主演は映画『セッション』の主人公を演じた俳優で、仕事を必死に頑張る役がとても似合うといいます。
物語は、小説『ゴッドファーザー』がベストセラーになり、パラマウントが映像化を決めるところから始まります。もともと映画制作とは無関係の仕事をしていた主人公が突然プロデューサーに抜擢され、数々のてんやわんやを経てアカデミー賞を受賞するまでが描かれます。
作中では、アル・パチーノが何度も役を降ろされそうになるのを止めたり、イタリアンマフィアとの約束事を守りながらプロジェクトを進めたりする様子が描かれます。落ち目と言われていたマーロン・ブランドの起用に周囲が反対するなか、説得していく場面もあるそうです。
お仕事系、プロデューサーやってる人はめっちゃ刺さるドラマだと思います。
宮武さんも、こうした裏方系の物語は面白いと共感します。全10話ほどのすべてが事実ではないものの、ファンが喜ぶ本当のエピソードもちょこちょこ盛り込まれているそうです。
ハリウッド予算の大河ドラマ『SHOGUN』はアメリカでどう受けているのか
今度は宮武さんが、アメリカで非常に人気になっているドラマ『SHOGUN』を紹介します。収録時点で配信されていた3話ほどを観た宮武さんは、その出来に驚いたといいます。
もしも大河ドラマが、アメリカのハリウッドの予算を持って作れたらどうなるかっていう。
宮武さんによれば、原作はアメリカ人が書いた本で、徳川家康をモデルにした人物の物語だといいます。宮武さんが注目したのはカメラワークで、日本の作品ではあまり使わないアングルのショットが多くあったそうです。
たとえば馬で街中を進む場面でも、エキストラを入れた背景のショットがふんだんに使われています。宮武さんは、日本ではカメラを多く使うことを予算的に抑えなければならないのに対し、『SHOGUN』にはある程度の予算があったからではないかと推測しています。
もう一つ宮武さんが驚いたのは、作中でかなり日本語が使われていることです。家系の関係性や話し方など、大河ドラマに慣れた日本人なら背景がわかる要素も、アメリカ人には難しいのではと思ったものの、評価は非常に高いといいます。
スコアの基準になっているのは、映画やドラマのレビューサイトRotten Tomatoes ── 映画やドラマの批評家レビューを集計するアメリカのサイト。肯定的なレビューの割合がスコアとして表示されますです。草野さんは、真田広之さんがプロデューサーも務め、キャスティングにも意見を言えた点を評価していました。ただ宮武さんによると、アメリカ人の感想には「日本人やばい奴らじゃん」という反応もちょこちょこあったそうです。
アメリカで日本が注目される理由は半導体?
話題は一変し、宮武さんはアメリカの人たちとの会話やVCのブログなどで、日本がとても注目されていると感じているそうです。理由はいくつかあるものの、そのうち重要なポイントは半導体だと宮武さんは考えています。
宮武さんの説明によると、これまで主要な半導体の多くは台湾のTSMC ── 台湾の半導体受託製造(ファウンドリ)大手。世界の先端半導体の多くを製造し、日本では熊本に工場を建設しましたの工場で作られてきました。アメリカは、台湾がいつ中国に乗っ取られるかを気にしており、それを大きなリスクと捉えているといいます。
そのため、アメリカと関係の良い日本に工場を置くことは、アメリカにとっても望ましいことです。アメリカ自身も何兆円という額を投じて国内生産を進めようとしていますが、まだ実現できていません。
草野さんが、イーロン・マスクは自国で車を作ってきたのに、なぜ半導体だけ作ってこなかったのかと問うと、宮武さんは業界の構造が変わったことを挙げます。
手作業が多い
かつての半導体製造はマニュアルな作業が多かった
労働コスト重視
人件費の安い場所で作るのがベストだった
生産の移転
人件費が上がったアメリカでは採算が合わず、他の場所へ移った
自動化の進展
製造工程に自動化が入りやすくなり、日本やアメリカでも作れる可能性が出てきた
ただし、アメリカの計画は遅れ続けています。宮武さんによれば、アリゾナで予定されている2つの施設のうち、今年稼働予定だったものは来年に延期され、2026年予定だった2つ目は2027年か2028年までずれ込む見込みだそうです。遅れの理由には、労働組合の問題や、政府の予算がまだ支払われていないことがあるといいます。
| 項目 | 日本(熊本) | アメリカ(アリゾナ) |
|---|---|---|
| 稼働状況 | すでに立ち上がった | 延期が続いている |
| 政府の支援 | お金をTSMCに渡し済み | 予算はあるが支払いがまだ |
| 作るチップ | アリゾナより高度ではない | より高度で複雑なチップの予定 |
宮武さんは、日本の工場も後々アップグレードできる可能性はあると見ています。アメリカでは作れず、台湾に頼り続けるのも怖いとなれば、生産を日本に寄せていってもおかしくないという見立てです。
さらに日本には、イビデンやユニマイクロンUMTC、そして味の素など、半導体製造に欠かせないパーツを作る企業がそろっています。宮武さんは、日本はすでに部品もそろい、製造の役割も担える国だと話します。
味の素って実は、半導体の結構重要なパーツとか作っているんですよ。
熊本が選ばれた理由について、宮武さんは詳しくはないと前置きしつつ、半導体製造には良い水が必要で、熊本はそこが強いらしいと話しました。半導体不足が起きる理由は、単純に需要の伸びに供給が追いついていないからだといいます。
宮武さんは、かつて日本が半導体生産で勢いを持ち、アメリカが日本を恐れていた時期があったことにも触れます。当時と同じにはならないものの、日本が再び盛り上がれる可能性は出てきたのではないか、と前向きに語っていました。
あらためての自己紹介回はアリかもしれない
締めくくりに草野さんは、雑談のトピックをリスナーから募集したいと提案します。最近聞き始めた人から、二人が以前一緒に働いていたことやVCで働いていたことを聞かれるたびに、自己紹介をあまりしてこなかったと気づいたそうです。
初めて聞く方に一話からっていうのはあんまりお勧めできないんで。
二人とも、初めての人に第1話から聴いてもらうのは避けたいという点で一致し、あらためて自己紹介をする回があってもいいかもしれない、という話で収録は終わりました。
まとめ
今回の雑談回は、チポトレへの偏愛から始まり、セラピストのエッセイや裏方を描くドラマ、日本の時代劇を描いた『SHOGUN』、そして半導体をめぐる日本の立ち位置まで、二人の関心が自由に広がっていく回でした。
- チポトレはマクドナルド傘下時代にフランチャイズを試したものの、創業者は「最悪だった」と振り返っている
- 『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』は、セラピーに通うセラピスト自身を描いたエッセイ
- 『The Offer』は『ゴッドファーザー』のプロデューサーの奮闘を描く、お仕事系に刺さるドラマ
- 『SHOGUN』はハリウッド予算の大河ドラマのような作品で、アメリカでも高く評価されている
- 製造の自動化と台湾リスクを背景に、部品企業もそろう日本が半導体のパートナーとして注目されている





