逆風のD2Cを、なぜまだ信じるのか?
Off Topicでは過去にAwayやCasperを取り上げてきましたが、D2Cの業界そのものを正面から扱うのは久しぶりです。草野さんも宮武さんもD2Cの話が好きで、ずっと「やろう」と言いながら実現していなかったテーマだといいます。
宮武さんは、この回で話す内容をアメリカのVCなどの情報からまとめ、noteでも公開する予定だと話しています。きっかけは、アメリカのD2C業界にネガティブなニュースが続いていることです。
宮武さんが挙げたのは、Casper ── オンライン直販で知られるアメリカのマットレスブランド。2020年2月に上場しましたが、株価や評価額の低さが話題になりましたの上場、Outdoor Voicesをめぐる報道、そしてBrandlessのシャットダウンです。こうした状況で今どんなトレンドが起きていて、今の時代にD2Cを立ち上げるなら何をすべきかを考えるのが、この回のテーマです。
それでも宮武さん自身は、D2Cやリテールの可能性を強く信じていると言います。根拠として持ち出したのが、映画館を通さずにユーザーへ直接つながったNetflixの例です。
(Netflixは)いわゆる映画館とかを通さずに、ダイレクトにユーザーにつながったサービスで。そこのストリーミングが今主流にアメリカになっている中で、今後ECも同じように主流になると思っていて。
宮武さんの記憶では、アメリカ人の約6割が何かしらNetflixの番組を見たことがある一方、アメリカのEC率は11%ほどにとどまります。ストリーミングと同じようにオンラインで買うことが主流になれば、D2C企業にとって大きなチャンスになるという見立てです。
草野さんも、新型コロナウイルスの影響で、コミュニティを持ち、オンラインとスムーズにつながる小売の強みが際立っていると話します。宮武さんも、オンラインの購入率が大きく上がる今は、D2Cにとってむしろ好機の面があると応じています。
VCがD2Cに資金を投じてきた理由
草野さんがまず投げかけたのは、そもそもなぜD2CがVCに好まれてきたのかという問いです。宮武さんはリテール全体を見渡すと、小さなブランドが大手のシェアを取り始めていると説明します。
代表例はカミソリの市場です。Dollar Shave Club ── 月額制でカミソリの替え刃を届けるアメリカのD2Cブランド。2016年にユニリーバに買収されましたやHarry'sが、P&Gのシェアを奪っているという報道もあるといいます。
宮武さんが理由の1つに挙げるのは、大手ブランドのお金の使い方の変化です。かつて研究開発、つまりイノベーションにかけていた投資が徐々に減り、マーケティングに費やすケースが増えているといいます。
テック企業と比べると、その差はわかりやすいと宮武さんは話します。AmazonやGoogleは13%や15%をR&Dに使っているのに対し、P&G、ペプシ、ネスレはおおむね1〜3%ほどしか使っていないといいます。
AmazonやGoogleは13〜15%程度をR&Dに投じている
P&G、ペプシ、ネスレは1〜3%程度で、マーケティングへの支出が中心
イノベーションに投資してこなかったレガシーの大手は動きが鈍くなりつつあります。一方で、マットレスやスーツケースのような市場自体は非常に大きく、商品によってはマージンも高いといいます。
宮武さんは、VCから見たD2Cの魅力を、ひとつの式のような形で整理しています。
この流れのなかでリーダー的な存在になったのが、Glossierなどに出資しているForerunner Ventures ── サンフランシスコを拠点とするVC。消費者向けブランドへの投資で知られ、GlossierやDollar Shave Clubなどに出資してきましたです。VCからD2Cへの出資額は、毎年のように増えていったといいます。
テックVCが見誤ったD2Cの時価総額
宮武さんが課題として指摘するのは、D2Cに出資してきたのがほとんどテック系のVCだったことです。テックVCは、ソフトウェア企業に投資するのと同じ考え方でD2C企業にも投資してしまった部分があるといいます。
1つ目のずれは、時価総額のつけ方です。ソフトウェア、特にSaaSでは売上の10倍といった評価がつきますが、リテールではそうはなりません。Amazonですら売上の4倍、ECの平均は2.2倍ほどだと宮武さんは話します。
2つ目のずれは、市場を独占できるかどうかの前提です。ソフトウェア業界では市場の50%以上を取る会社が出てきますが、リテールで独占するのはかなり難しいといいます。
独占するっていう前提を置いてしまうと、今時価総額が高くても独占できればもっとでかくなるっていう想定になるんで。
宮武さんは、独占を前提にした「計算間違い」によって、D2C企業の時価総額が高くつきすぎた部分があったと見ています。草野さんも、テック企業でありながら小売企業でもあるD2Cの正しいバリュエーションは難しいと応じています。
Casperはその典型例です。直近のラウンドでは評価額が1000億円を超えていたのに、上場後は350億円ほど、おそらく400億円には届いていないと宮武さんは話します。VCの評価と一般投資家の評価にはそれだけの差があり、VC側にもミスがあったのかもしれないという見方です。
1000億円の壁と、D2Cの「いい売り時」
草野さんが確認したところ、D2Cで公式な形で上場した企業はCasperだけです。宮武さんはPurpleも挙げつつ、上場と言えるかはわからないとしています。
宮武さんが注目するのは、評価額1000億円という一線です。Allbirds、Warby Parker、Glossier、Awayのように1000億円を超えたD2C企業は、買収してくれる会社がほとんどなくなり、M&Aという出口を失ってしまうといいます。
そうするともうIPOしかない。(Warby Parkerは)なんかずっと今年やるんじゃないかみたいな話ありましたけど。
しかもその一線は下がってきていると宮武さんは見ています。以前はウォルマートがD2Cブランドを買収していましたが、そのウォルマートも買収しないと言い始めています。草野さんは、ウォルマートが買収したBonobosもいろいろと大変だったようだと触れています。
そこで宮武さんが個人的な考えとして示すのが、アメリカのD2Cのいい売り時は評価額50億〜100億円くらいではないかという見方です。その規模でP&Gやユニリーバに売れば、結果的にうまくいくのではないかといいます。
2人は実際の例を挙げていきます。Harry'sは1000億円で売られる予定が覆され、Dollar Shave Clubは1000億円で売却されました。後者は、大型調達をして成功した唯一のD2Cオンリーの消費財企業だったのではないかと宮武さんは話します。
一方、50億〜100億円のレンジに近い例として、FlamingoやBillie、時計のMVMT、NATIVE、草野さんが本を読んだHonest Teaが挙がりました。宮武さんは、このレンジで大手に売るのは理にかなっていると説明します。
P&Gって多分十億から五十億の売上を百億、一千億に多分伸ばすのがめちゃくちゃうまい会社だと思うんですよ。マーケティングもうまいですし、アセットもちゃんと持ってる会社なんで。
広告頼みが通用しなくなった獲得コストの壁
宮武さんによれば、D2Cを自社だけで抱え続けると広告頼りになりがちで、それが今の市場では厳しくなっています。記事などでよく取り上げられているように、CAC ── Customer Acquisition Costの略で、顧客1人を獲得するためにかかるコストのこと。広告費の高騰で上がりやすくなります、つまりユーザー獲得コストが大きく上がっているからです。
特にFacebookやGoogleの広告費が上がり、効率よくユーザーを獲得できなくなっています。草野さんがInstagramも大変そうだと言うと、宮武さんはインフルエンサーのコストも上がり続けていると付け加えました。CasperのS-1でもリスクとして記載されていたことが、まさに現実になっているといいます。
この変化を受けて、VCがD2C企業に求めることも変わってきました。これまではトップライン、つまり売上をひたすら伸ばすことが目的でしたが、今は「ちゃんと利益を見ろ」とよく言われているそうです。
宮武さんは、スタートアップが売上ばかりを追っていたのはVC側にも責任があると話します。VCから大きく調達し、高い時価総額をつけられると、売上を伸ばすしかなくなるからです。
お互い様、結構悪かった部分があるなと思っていて。ただ今は結構シフトしてて、ちゃんと利益ベースでちゃんと見ようっていう会社が結構増えてますね。
VCから大きく調達し、高い時価総額に見合うよう売上(トップライン)をひたすら伸ばす
広告費や獲得コストの上昇を受け、利益の効率を重視する
草野さんは、Glossier、Warby Parker、Awayが出てきた頃はInstagramが登場したばかりで、背景がまったく違うと指摘します。宮武さんの整理では、Bonobosなどが第1世代、Glossierなどが第2世代にあたります。
宮武さんによると、2017年ごろまでは顧客を非常に安く獲得できましたが、そこから徐々にコストが上がってきました。今からGlossierのような売上を作りたいと言っても厳しいかもしれない、という見方です。
だからこそ、今立ち上がるD2C企業は、オーガニックにユーザーを獲得し、コミュニティを作ることで獲得コストを下げようとしています。宮武さんは、まだ新しい会社であるHausの売上の95%がオーガニック経由で、広告経由は5%にすぎないという例を挙げています。
大型調達は成功の必須条件なのか?
宮武さんは、大きな調達をしなくても成功しているD2C企業は数多くあると話します。先に挙がったNATIVEやMVMT、そしてCasperの競合であるTuft & Needleがその例です。
Tuft & Needleは、メンバーが初期に入れた資金と借り入れの5000万円ほど、調達としてはおそらく2億円ほどで、売上を170億円まで伸ばしたと宮武さんは説明します。
それ(調達)がマストではないっていうのを見せつけていると思っていて。
宮武さんは、ソフトウェア企業とD2C企業ではお金の使い道が違うと指摘します。ソフトウェア企業では、エンジニアの給料が高いため調達が必要になります。
一方、D2C企業の多くは自社で製品を作らず、アウトソーシングしています。Casperも自社では作っていないといい、自社で作る場合でも、職人の給料はエンジニアほど高くありません。
大型調達
VCから多額の資金を集める
使い道が限られる
製造はアウトソーシングが多く、エンジニアほど人件費もかからない
マーケティングに投下
資金の多くが広告などに流れる
悪循環
獲得コストが上がる中で、広告頼みが続く
宮武さんは、この結果がどう転ぶかは、Allbirds、Warby Parker、GlossierがどんなEXITをするかで大きく変わると見ています。大成功すればVCからの調達がさらに増える可能性があり、うまくいかなければ一旦VCからの出資が大きく減るかもしれないといいます。
「商品は大したことない」で勝ってきたD2C
次に宮武さんが取り上げたのは、プロダクトの重要性です。D2Cでは「いい商品を作る」ことがよく語られますが、ニューヨークやLAのD2C企業を視察した人が商品を手に取って口にするのは、たいてい「商品あんま大したことないじゃん」という感想だといいます。
プレミアムプロダクトかって言われるとそうじゃないんですよ。ほとんどのケースは。
象徴的なのがDollar Shave Clubです。ローンチ時に公開した動画がバイラルで広まり、それを見たP&Gのジレットの人たちが実際に商品を購入して試したといいます。
草野さんの説明では、その動画は工場のような場所でミュージカル風に撮られた一発撮りの映像です。宮武さんは、社長が「この商品めちゃくちゃいいよ」とスラング風に語る面白動画で、業界でも一般の人にも大きくバズったと補足しています。
ところが、ジレット社内でのDollar Shave Clubの評価は散々でした。2011年にローンチしたDollar Shave Clubの商品は、その13年前にジレットが出したMach3 ── ジレットが1998年に発売した3枚刃のカミソリ。同社の代表的な製品の1つですよりひどい、と社内でかなりバカにされていたといいます。
Casperのローンチ時にも、シーメンスなどのマットレス企業がCasperのマットレスを試し、「そんなにすごくない」と話していたそうです。宮武さんは、これはよく起きることだと言います。
(D2Cは)そこ(商品の性能)で勝負してないんですよ。
ジレットはミリ単位で刃を研究していましたが、ユーザーはそこまで気にしていませんでした。ユーザーが求めていたのは「グッドイナフ」、つまり十分なクオリティで、Dollar Shave Clubはその水準に達していたというのが宮武さんの説明です。
そのうえでD2Cは、流通の仕方、プライシング、パッケージングや開封体験、ブランドといった、商品以外の部分でイノベーションを起こしてきたといいます。宮武さんは、プロダクトのイノベーションは商品単体ではなく全体で考えるべきだと話します。
ただし宮武さんは、長期的には商品そのもののイノベーションも欠かせないと付け加えます。最終的に勝つのはいいプロダクトだからで、初期は全体を見つつ、自社プロダクトを改善していい商品を出していくことが大切だといいます。
D2Cは「1つのチャネル」にすぎない
宮武さんは、自社プロダクトを改善し続けられることこそがD2C本来の強みだと考えています。そのうえで、D2Cそのものは1つのチャネルにすぎないと話します。
D2Cがバズワードになるなかで、オンラインの直販しかしない、自社店舗でしか売らないと決めている会社も多いといいます。宮武さんは、それが果たして正解かといえばそうでもないと見ています。
例として挙がったのがHarry'sです。宮武さんによると、Harry'sの売上の8割は自社チャネルではなく、TargetやJ.Crewなどの小売経由で、最近はWalgreensとも提携しています。Casperもオフラインの売上が6割といわれ、自社のオンライン販売は意外に少ないそうです。
D2Cっていうのは、ユーザーとすぐつながる方法で、それによってプロダクトの改善がしやすくなるっていうふうに見るのが正しい見方だと思っていて。
草野さんは、自社で直販していることよりも、カスタマーと直接つながっていることが強みなのだと整理しました。宮武さんは、D2Cの語られ方が変わってきた経緯を説明しています。
第1・第2世代のころは、中間業者をカットしてマージンを良くすることが強みとされた
アメリカでは2014年ごろを境に、ユーザーとコミュニケーションできることで何ができるかが問われるようになった
宮武さんは、D2Cだけで勝負する時代は終わり始めていると見ています。実際、Forerunnerのカーステン・グリーンさんのようなトップティアのD2C投資家は、今はD2Cオンリーの会社にはほとんど投資していないといいます。
草野さんは、Forerunnerが投資する小売向けの卸マーケットプレイス、Faireに触れます。宮武さんによれば、投資先はオフラインの販売や卸を一部取り入れている会社が中心です。
宮武さんの言うD2Cオンリーの会社とは、例えばGlossierのような会社です。ところがそのGlossierも変わってきていて、自社のポップアップではなく、百貨店のNordstromの中にポップアップを出すといいます。
確かにポップアップ、自社のポップアップは結構よく出してるイメージありましたけど。へー。
宮武さんは、オンラインには限界があるため、D2Cブランドは結局オフラインに出て、TargetやWalmart、Nordstromのような他社と組む流れがアメリカで起きていると説明します。Glossierでさえチャネル戦略を変えているという事実に、草野さんは驚いていました。
ミレニアル世代を追い続けるForerunnerの投資眼
草野さんは、Forerunnerがインフラ寄りのサービスにも投資していることに触れます。宮武さんによると、アクセル出身とみられるブライアン・マリーさんが、もっとBtoBに投資したいとしてForerunnerに加わり、消費者向け、特にD2C中心だった投資先がB向けにも広がり始めたといいます。
宮武さんがForerunnerの面白さとして挙げるのは、創業者のカーステン・グリーンさんがミレニアル世代をひたすら分析している人物だという点です。もともとVCではなく、金融系で小売を専門にしていた人だといいます。
カーステン・グリーンさんは小売のアドバイスをするなかで、自らエンジェル投資を始めます。そこで出会ったのが、Dollar Shave ClubのMichael Dubinさんでした。
マイケルさんの話を聞いて、この人は今のミレニアル世代の男性の行動をちゃんと理解してるって思って投資したらしいです。商品も見てなくて、実はあの動画も見てなくて。
グリーンさんはカミソリの市場をまったく理解していなかったものの、創業者の話からミレニアル世代の行動への理解を感じ取って投資を決めたといいます。宮武さんは、Forerunnerの投資にはミレニアル世代がどう動くかを丁寧に見る姿勢が表れていると話します。
現在のForerunnerは、不動産系やガーデニング系など、家にまつわるサービスにも少しずつ投資しているそうです。理由は、ミレニアル世代が30代中盤から後半になり、家を買い始めているからだと宮武さんは説明しています。
GlossierはZ世代に届いていない?
宮武さんが個人的に気になっているのは、ForerunnerがZ世代(Gen Z)をどう見ているのかです。投資先のGlossierを見ると、Z世代向けとみられるGlossier Playがシャットダウンするという話が出ました。
グロシエってGenZをなかなかリーチできてないと思っていて。
草野さんも同じ考えで、学生などの若い層を集める「Glossier Club」というアカウントを紹介します。運営の中心はおそらくGlossierの店員で、ミートアップを開いたり、店舗への集合をストーリーで呼びかけたり、限定バッグを配ったり、Glossierをよく使うインフルエンサーに会える機会を作ったりしているそうです。
宮武さんは、HausやHarry'sも始めているように、最近はメンバーシッププログラムが増えていると話します。Glossierがミレニアル世代より下の層にリーチしたいことは、そうした取り組みからも伝わってくるといいます。
2人の感覚では、Glossierの中心ユーザーは20代後半から30代で、10代が使っているイメージはあまりありません。宮武さんは、Glossierでさえ若い世代の獲得には苦労しているのだろうと見ています。
さらにGlossier Playは、パッケージがリサイクルできないとして一部のZ世代から批判を受けました。草野さんはラメのグリッターが環境に良くないとされた件を挙げ、宮武さんはジップロック型の袋にも批判があったと付け加えます。草野さんによれば、トレードマークのピンクの袋は、今は選べるようになっています。
宮武さんは、ミレニアル世代とZ世代では、D2Cに対する態度が大きく違うと考えています。
大手ブランドを気に入っている人がまだ多い
大手ブランドよりD2Cに強い興味を持ち、オンラインでもすぐ買う
だからこそ、D2CがZ世代をきちんと捉えられれば大きなチャンスになると宮武さんは話します。ForerunnerやGlossierがこの世代をどう見ていくのかは、期待を込めて注目している点だといいます。
ピアスのStudsが映す、大手が見落とす変化
草野さんが個人的に気になっているのは、Lerer Hippeau ── ニューヨークを拠点とするVC。消費者向けブランドやメディアなどへの投資で知られていますが投資しているピアスのブランド、Studsです。宮武さんも「あれいいですよね」と反応しています。
草野さんによると、アメリカでは初めてピアスを開けるときはクレアーズに行くという定番がありました。そのクレアーズはすでに破産しており、Studsはその役割を置き換えようとしているのではないかといいます。日本ではアクセサリーショップでピアスを開けられないため、日本では展開していないとみられます。
宮武さんは、アメリカではピアスを1か所だけでなく何か所も開ける人が増えていると話します。草野さんは、アジアでも増えていると思うと応じました。
日本では開けられる場所が少なく、自分で開けるか病院に行くことになるうえ、校則の厳しさもあって主流になっていないのではないかと草野さんは推測します。一方、韓国のアイドルや中国のファッショントレンドを見ると、ピアスを開ける人はどんどん増えているといいます。
宮武さんは、アメリカのファッショントレンドは日本やアジアから取り入れることが多いと話します。服装はシンプルでも、ピアスで自分を表現する人がアメリカで増えている気がするといい、この情報はRie Eharaさんから得たものだと紹介しています。
宮武さんは、Studsは新しいビジネスというより、既存の役割を置き換えているだけだと見ています。だからこそ、大手の側に問われるものがあるといいます。
クレアーズとか、トラディショナルなところが今の世代をちゃんと読み取っていれば、もしかしたら変わってるかもしれないですし、スタッズっていうのが出てこなかったかもしれないですし。
話が長くなりそうだったため、この回はここで区切られました。次回は、どんな点に気をつけるべきかを、より具体的なD2Cの事例とともに話す予定だとしています。
まとめ
この回では、ネガティブな話題が続くD2C業界を、VCの投資の仕方、獲得コストの高騰、チャネルの捉え方、Z世代という切り口から見直しました。宮武さんはECが主流になる流れを踏まえてD2Cの可能性を信じつつ、ユーザーと直接つながり、プロダクトを改善し続けることが本来の強みだと話しています。
- テックVCがソフトウェアと同じ物差しでD2Cを評価したことで、時価総額が高くつきすぎた面があったと宮武さんは見ている
- 広告費やインフルエンサーのコストが上がり、売上重視から利益重視、オーガニックな獲得やコミュニティづくりへと重心が移っている
- D2Cはチャネルの1つにすぎず、Harry'sやCasper、さらにはGlossierも小売との協業を進めている
- 大型調達は必須ではなく、評価額50億〜100億円で大手に売るのも有力な出口だという見方が示された
- Z世代はD2Cへの関心が高く、GlossierやStudsの事例から、若い世代の変化を読み取れるかどうかが鍵になる


