CMOではなくCBO? Awayが「ブランド責任者」を置いた理由
米国のテック企業には、CEOやCTO、COOのほかにも「チーフ◯◯オフィサー」という肩書きがいろいろあります。草野さんがその話を振ると、宮武さんは日本ではあまり見かけない例として、チーフブランドオフィサー(CBO)を挙げました。
CBOの代表例として宮武さんが挙げたのは、スーツケースを売るD2C ── Direct to Consumerの略。メーカーが小売店を通さず、自社サイトなどで消費者に直接商品を販売するビジネスモデル企業のAway ── 2015年創業の米国のスーツケースブランド。デザイン性とブランディングで急成長したD2Cの代表的企業の一つですです。Awayでは創業者の一人がCBOという職種で働いています。
(Awayは)元ワービーパーカーの人たちが立ち上げた会社なんですけど、そのブランド、まあストーリーテリングの重要さっていうのをめちゃくちゃ感じてまして。
それで、まあ創業者側がCMOではなくCBOになるっていう判断をしたらしく。
宮武さんによると、Awayでは創業の初期からCBOがいたそうです。CBOはCMO(チーフマーケティングオフィサー)に近い役職ですが、見ている範囲が違うと宮武さんは説明します。
宮武さんの見立てでは、CMOは一般には広告や、営業のパイプラインを作るためのコンテンツ制作を担う人だと認識されがちです。一方のCBOは、ロゴのデザインなども仕事の一部ではあるものの、中心は「ユーザーがブランドをどう見ているか」を起点にした戦略づくりにあります。
広告や、営業のパイプラインを作るためのコンテンツ制作を担う役職として認識されやすい
ユーザーがブランドをどう認知しているかを踏まえ、ストーリーの見せ方、ブランドの性格やトーンまで設計する
宮武さんが挙げたCBOの仕事は、ユーザーのフィードバックをもとに会社としてのストーリーテリングを決めることと、それをどう世に出すかを考えることの2つです。出し方にはブログ、LP、マガジン、ポッドキャストなどがあり、どんなトーンで会話するか、ブランドとしてどんな性格を持つかまで考えます。
(CBOは)普通に喋ってると、なんかよくわかんない職種に聞こえるんですけど、それをめちゃくちゃうまくやれる人が、まあ例えばそのAwayの、あの共同創業者の方だったりするんですけど。
宮武さんは、CBOの仕事をうまくやれば会社としても成果が出ることはAwayの実績を見ればわかると話します。草野さんも、Awayではブランドが経営の要になっている感じがすると応じました。
GlossierのDMは本当に返ってくる? パタゴニアの無料修理に見るブランド価値
ここで草野さんは、以前の回で話した「Glossier ── 米国のコスメブランド。SNSを中心にユーザーとの距離の近さで支持を集めたD2Cブランドとして知られていますのDMは必ず返ってくる」という話を実際に確かめたエピソードを披露します。収録で話したその日に、草野さんはGlossierにDMを送ったそうです。
(新しいブランドの)グロシエプレイがリリースされて、いいブランドだね、可愛いって送ったらハートのスタンプだけ返ってきて。えーと思って。
さらに草野さんが「また新しくブランドをリリースするのか」と質問すると、「リリースしたばかりなので考えているところだが、する予定だ」という返事が届いたといいます。午後に送ったDMに、その日の午後のうちに返事が来たそうです。
宮武さんは「そういうところですよね」と反応し、ユーザー体験まで含めたものがブランドの価値になっているという草野さんの見方に同意します。そのうえで、ブランドの作り方の例としてパタゴニアの修理サービスを紹介しました。
(パタゴニアは)ブランドとしてあのリペアって修理のビジネスをやってまして、彼らのお店にジャケットを、まああの壊れたジャケットをパタゴニアのジャケットを持っていくと、無料で修理してくれるんですよ。
宮武さんによると、パタゴニアの店舗の裏には修理ができる人がいるそうです。修理そのものはお金になりませんが、パタゴニアはブランドの価値としてそれをやると決めています。
宮武さんは、修理がパタゴニアの「いいところ」として認識され、顧客満足度も上がると話します。そうした取り組みをどう伝えるかまで考えるのがCBOの仕事だ、というのが宮武さんの整理です。
グロースハッカーはマーケターと何が違う?
次に草野さんが取り上げたのは、チーフグロースオフィサー(CGO)という肩書きです。草野さんは初めて聞いたといいますが、宮武さんによると、CGOそのものは多くなく、VPオブグロース(バイスプレジデント・オブ・グロース)やグロースチームという形のほうがよく見かけるそうです。
草野さんが「バイスプレジデントとチーフ◯◯オフィサーではどちらが上か」と尋ねると、宮武さんは両方がある場合はチーフ◯◯オフィサーのほうが上だと答えます。VPオブグロースが多いのは、グロースチームがCMOの下に置かれ、CMOに報告する形が多いからだといいます。
グロースを担う人は「グロースハッカー」と呼ばれることがあり、宮武さんは2、3年前に人気だった言葉だと話します。今もグロース担当者は健在で、アンドリーセン・ホロウィッツ ── 米国の有力ベンチャーキャピタル。a16zとも呼ばれます。グロースの専門家として知られるアンドリュー・チェン氏もパートナーを務めていますのパートナーには元Uberのグロースのトップもいるそうです。
グロースハッカー、まあグロースチームの人って、えー、マーケティングとプログラミング、まあエンジニアのハイブリッドなんですよ。
宮武さんは、ユーザー獲得の方法の違いで両者を説明します。マーケティングの人はチャネルやコンテンツを作ることを考える一方、グロースハッカーはA/Bテスト ── 2つのパターンをユーザーに出し分け、どちらの成果が高いかをデータで比較する手法やLP、バイラルファクターの設計に取り組み、プロダクト改善のエンジニアリングまで行います。
ユーザー獲得のために、チャネルを作ったりコンテンツを作ったりすることを考える
マーケティングとエンジニアのハイブリッド。A/Bテスト、LP、バイラルファクターなどをデータドリブンに設計し、ツールも自ら作る
APIがなくても作れた。AirbnbのCraigslist連携というグロースハック
グロースハッカーの強みを示す例として、宮武さんはAirbnbの初期の施策を紹介しました。Airbnbは早い段階で、米国の大手クラシファイド広告サイトであるCraigslist ── 米国の大手クラシファイド広告サイト。不動産、求人、売買などの情報を個人が無料で掲載できますとの連携を実現しています。
当時のAirbnbはまだトラフィックが少なく、ホストは自分の物件をCraigslistにも載せたいと考えていました。ただ、Craigslistに改めて情報を入力し直すのは面倒でした。
そこでAirbnbは、Airbnbの物件情報をもとにCraigslistへワンクリックで掲載できる仕組みを作りました。CraigslistにAPIがあったわけではなく、入力の手順をコーディングで自動化して実現したそうです。
課題
初期のAirbnbはトラフィックが少なく、ホストはCraigslistにも掲載したかった
障壁
Craigslistへの再入力が面倒で、しかもAPIがなかった
解決
Airbnbの情報を使って自動入力する仕組みをコーディングで作り、ワンクリック掲載を実現
結果
宮武さんの話では、何十ミリオンという規模でユーザーを広げることができた
当時だとAPIがないので、そこってエンジニアとして作れるって思わないとできないので、そこが多分マーケティングだけの人とグロースの人が違いがあるっていう。
宮武さんは、こうした施策はマーケティングのチームだけでは考えつかないと話します。「作れる」ことがグロースチームの強みだというのが宮武さんの結論です。
草野さんが、マーケティングとグロースの2つのチームが共存することも、マーケターがグロースの仕事をこなして1つのチームになることもあり得るのかと聞くと、宮武さんはどちらも十分可能だと答えました。
チーフハピネスオフィサーはスタートアップにも必要?
3つ目の肩書きとして宮武さんが挙げたのは、CHO(チーフハピネスオフィサー)です。草野さんは「かわいい」「ほっこりする」と反応し、宮武さんも「いい仕事だなって思いますよね」と応じます。似た肩書きにチーフハートオフィサーもありますが、宮武さんが見たのはIT系ではないコンサルティング会社の1社だけだそうです。
宮武さんによると、チーフハピネスオフィサーはもともとGoogleで取り組まれていたもので、社内の満足度を上げることが当初の目的でした。今では給料や職場環境の改善にとどまらず、仕事とプライベートの境界がなくなる中で、プロとしても個人としても満足でき、成長でき、それが報われる環境を作ることが役割になっています。
何があれば、この、このチームメンバーが、あの、もっとハッピーになるかっていうのを探して、できるだけそれを提供するっていうのが彼の仕事ですね。
チーフハピネスオフィサーは、ワークライフバランスに目を配り、メンバーの仕事上・個人的なニーズを聞く相談役でもあるといいます。草野さんは今の時代らしい役職だと感じつつ、大企業でないと置けないのではと尋ねました。
多分スタートアップとしても、あの、人をなくすっていうのが一番つらいことなので。
宮武さんは、スキルやパフォーマンスの高い人が変な理由で辞めるのは避けたいと話します。導入の時期について明確な答えはないとしつつ、30人から50人ぐらいで検討してよく、社長が全員を見切れなくなる段階、場合によっては100人から300人ぐらいかもしれないと述べました。
宮武さんは今後、人事とは別に、社員のハピネスやエンプロイーエンゲージメント ── 従業員が会社や仕事に愛着を持ち、自発的に貢献しようとする意欲や状態を指す人事・組織論の概念に集中する独立したチームが出てくるのではないかと見ています。
なぜAmazonはエコノミストを150人も採用したのか?
ここで話題は、肩書きから「既存の職業の人がテック企業に入ってきている」話へ移ります。草野さんが挙げたのは、エコノミストがIT企業に入っているという話です。
宮武さんによると、エコノミストは実はかなり前からテック企業にいましたが、最近さらに増えているそうです。たとえばAmazonは過去5年間で150人のエコノミストを採用していて、テック企業の中でもおそらく最も多いといいます。
Amazon以外にも、Alibaba、LinkedIn、Airbnb、Lyft、Microsoft、Netflix、Coursera、Facebook、Glassdoor、Coca-Colaなどが採用しているそうです。宮武さんは、C向け・B向けを問わず、大手テック企業のほとんどが採用しているのではないかと話しました。
草野さんは当初、エコノミストの役割を戦略部門のリサーチのようなものと想像していました。しかし宮武さんは、それは一部にすぎず、特にマーケットプレイス型の企業でエコノミストは非常にフィットすると説明します。
彼らエコノミストってサプライとデマンドの、あの、まあいわゆるそこの勉強をしているプロたちなので。なので彼らが一番そこのシステムを理解してるんですよね。
宮武さんが挙げたエコノミストの仕事は、Airbnbでの買い手と売り手のインセンティブ設計や価格設定、Uberでの混雑時に料金が上がるサージプライシング ── 需要が供給を上回る時間帯や地域で料金を自動的に引き上げる仕組み。Uberの代表的な価格戦略として知られていますの設計などです。さらにGoogleやYahooの検索広告でも、広告の順番や課金プロセスの仕組みにエコノミストが影響しているそうです。
| 企業・分野 | 設計するもの | 内容 |
|---|---|---|
| Airbnb | インセンティブと価格 | 買い手と売り手(需要と供給)のインセンティブ設計、プライシング |
| Uber | サージプライシング | 混雑する時間帯に料金が上がる仕組みの設計 |
| Google・Yahooの検索広告 | 広告の仕組み | 広告の順番や課金プロセスのアルゴリズム |
グロースチームとエコノミストの違いは「仕組みの根本」を作るかどうか
草野さんは、Amazonにはエコノミスト150人よりもっと多いグロースやマーケティングの人員がいるはずで、それぞれの役割がどう噛み合うのかは難しそうだと感じたといいます。宮武さんは、実際の組織の形はわからないとしつつ、エコノミストのほうがより根本的なところを見ていると答えます。
グロースチームって彼らが見るわけではなくて、それを使ってどうユーザーを獲得するとか、どうリテンションさせるかっていう話じゃないですか。
宮武さんの説明では、マーケティングやグロースのチームは既にある仕組みを使ってユーザー獲得やリテンションを考えます。一方のエコノミストは、Uber、Yelp、eBayなどのマーケットプレイスでレビューの仕組みそのものを設計します。
宮武さんが挙げたレビュー設計の論点は、評価を1から5にするか1から10にするか、3.5と見せるか3や4に丸めるか、数字ではなくA・B・C評価にするかといったものです。どのタイミングで出せば本音のレビューが集まるか、そもそもレビューを出すべきか、ドライバーだけを評価対象にするかまで考えるそうです。
草野さんが「それなら心理学者も面白いかもしれない」と言うと、宮武さんは、エコノミストが心理学を学んでいるかはわからないとしつつ、社会全体の動きを見ている点で近い部分があると答えました。草野さんがエコノミスト出身のVCも面白そうだと続けると、宮武さんは、今後アンドリーセン・ホロウィッツのようなVCにも入ってくるのではないかと話しています。
規制とロビー活動。テック企業がエコノミストやロビイストを抱える理由
宮武さんはさらに、エコノミストが社会の動きを見ているからこそ、法律や規制の分野も担っていると話します。特にUberのようなライドシェア企業は法律でトラブルを抱えやすく、国ごとに法律が変わりそうかどうか、どう対処すべきかをエコノミストが考えられるといいます。
草野さんはこれを受けて、AmazonやAppleなどのテック企業によるロビー活動 ── 企業や団体が政策や法律の形成に影響を与えるため、議員や政府関係者に働きかける活動。米国ではロビイストという職業として確立していますの資金が2018年に過去最高額になったというニュースを紹介しました。ライドシェア、ドローン、自動運転のように、法律や政治が動かなければ前に進めない事業では、この部分が重要なのだろうと草野さんは感じたそうです。
宮武さんは、日本ではこうした動きはあまり見ないと話します。ロビイストを使うのはお金がかかるため、スタートアップがその手を使う例も少ないといいます。
一方で草野さんは、調べた限りではメルカリのメルペイにロビイストがいるらしいと話します。宮武さんは、メルカリはマーケットプレイスなのでエコノミストも雇ったほうがよく、すでに雇っているのではないかと推測しました。
ポートフォリオマネージャーの正体。Airbnbの社内ヘッジファンド
次に宮武さんが挙げたのは、GoogleやMicrosoftなどでたまに見かける「ポートフォリオマネージャー」という肩書きです。その一部は企業内でVCを運営していて、SlackのSlack FundやAmazonのAlexaファンド、GoogleのGV(Google Ventures)などがよく知られているといいます。
ただ宮武さんによると、ポートフォリオマネージャーにはVCよりヘッジファンド寄りの人材が多く、社内にヘッジファンドを作っている企業が多いそうです。その例として宮武さんはAirbnbを挙げました。
宮武さんの話では、Airbnbは2年連続で黒字化していて、そのキャッシュを使って社内ヘッジファンドを運用しています。運用しているのはブラックストーン ── 米国の大手投資会社。プライベートエクイティや不動産投資などで世界最大級の規模を持ちますの元CFOで、Airbnbのバランスシートの資金で株や為替、国債などを売買しているといいます。
Airbnbの2017年のキャッシュフローを見ると、そのサイドプロジェクト30パー、実はそこから来てるんですよ。会社のキャッシュフローが。
宮武さんは、2017年のAirbnbの最終利益は約93ミリオンで、そのうち下手をすると60ミリオンがファンドから来ているのではないかと話します。ただし、これは実際の数字がわからないうえでの予測だと断っています。
メイン事業じゃないんですよ。
りんごの名前の謎のファンド。Appleのブラバーン・キャピタルと税金対策
宮武さんによると、Airbnbは比較的リスクの高い投資もしているものの、GoogleやMicrosoftなど多くの企業は国債などリスクの低いものに出資しています。その中で最も有名で、しかも秘密にされているのが、Appleが運営する「ブラバーン・キャピタル」ブラバーン・キャピタルだそうです。
草野さんが「なんで知ってるんですか」と驚くと、宮武さんは、名前自体は一度Appleの資料に書かれていたと説明します。宮武さんによるとブラバーンはりんごの品種の名前で、ファンドはアリゾナにあるものの、正確な場所は明かされていないといいます。
多分アップルなんで、あの誰一人従業員が明かしてないんですよね。自分がそこで働いていることを。
宮武さんの話では、このファンドは2012年に117ビリオン、約12兆円の資産を運用していたことが公開されていて、世界最大のヘッジファンドではないかとも言われているそうです。投資先は基本的に国債などで、失敗することはほぼないといいます。
宮武さんは、Appleがファンドを運営する理由を税金対策だと説明します。利益を多く出すと課税対象になるため、Appleは税金の低いアイルランドに拠点を置いて利益をそこで出すようにし、さらにキャッシュを投資に回すことで税金対策をしているそうです。
宮武さんは身近な例として、Facebook広告の領収書がアイルランドから届くことを挙げ、草野さんは気づかなかったと驚きます。2017年のAppleは20兆円ほどのキャッシュを持っていたとされ、宮武さんはアメリカ政府より多いと話しました。
巨額のキャッシュ
Appleは2017年に20兆円ほどの現金を保有
銀行では増えない
アメリカでは銀行に置いても利子がほとんど付かない
投資に回す
国債など低リスクの資産に投資し、運用益を得る
税金対策にもなる
利益として出すより投資に回すことで課税対象を抑えられる
なんでそこを投資して、そこで儲かりながら、あの税金対策にもなるっていう。
草野さんは、こうした話は普通のテックニュースを見ていても気づかないと話します。宮武さんも、TechCrunchにはあまり載らず、Bloombergに載る話だと応じました。日本にはここまでキャッシュリッチな会社は少ないものの、アメリカでは普通にやっている会社があるそうです。
28億円でYahooに売却した17歳は今? AirbnbのEIRと「Lyft上場」への期待
Airbnbの話から草野さんが思い出したのは、2013年に17歳でニュースアプリ「Summly ── 英国の当時10代の起業家ニック・ダロイジオ氏が開発したニュース要約アプリ。2013年に米Yahooに買収されました」をYahooに28億円で売却した人物の話です。最近どうしているのかが気になって調べたところ、AirbnbにEIRとして参加していたことがわかったそうです。
EIRはアントレプレナー・イン・レジデンスの略で、日本語では客員起業家制度と呼ばれます。草野さんの説明では、企業に属しながら起業の準備ができる制度です。草野さんによると、その人物は今では自分のスタートアップを運営しているようです。
宮武さんによると、EIRはアメリカではよくある概念で、スタートアップよりも大企業で見かけることが多いそうです。社内起業のほか、事業会社がファンドやコワーキングスペースを立ち上げるときにEIRを雇って運営を任せるケースもあり、VCでもスタートアップ側の意見を聞くために置くことがあるといいます。
最後の雑談で、宮武さんは出張が多いものの元気にしていると話し、ライドシェア大手LyftのIPO ── Initial Public Offeringの略。未上場企業が株式を証券取引所に上場し、一般の投資家に売り出すことが楽しみだと語りました。Lyftの上場で売上に対するマルチプルが見えれば、Uber、Grab、Olaなど同業の評価がどうなるかも見えてくるといいます。
まとめ
米国のテック企業に生まれている新しい役職や職業からは、企業が何を競争力の源泉と考えているかが見えてきます。ブランドの語り方、エンジニアリングを使った成長、社員の幸福、市場の仕組みの設計、そして手元資金の運用まで、それぞれに専門の担い手が置かれていることが、この回の話から浮かび上がります。
- AwayのCBOのように、ユーザーがブランドをどう見ているかを起点にストーリーやトーンを設計する役職が生まれている
- グロースハッカーはマーケティングとエンジニアのハイブリッドで、AirbnbのCraigslist連携のように「作れる」ことが強みになる
- Amazonが5年で150人を採用したエコノミストは、価格やレビューなどマーケットプレイスの仕組みそのものを設計し、規制対応も担う
- Airbnbの社内ヘッジファンドやAppleのブラバーン・キャピタルのように、巨額のキャッシュを運用し税金対策にも使う動きがある
- チーフハピネスオフィサーやEIRなど、人材の定着や社内起業を支える役割にも広がりがある



