NY・ノースカロライナ・LAの2週間、時差ボケはどうだった?
今回のOff Topicは雑談回です。前回は草野さんのリスボン旅行の話でしたが、今回は宮武さんが2週間ほどアメリカに出張した話が中心になります。収録は公開の1か月ほど前の出来事だと断りが入っています。
宮武さんのアメリカ訪問は、去年の終わり頃以来、約半年ぶりでした。行程はニューヨークに1週間、ノースカロライナに2日ほど、残りがLAで、LAでは草野さんと合流しています。
宮武さんによると、2週間のうち1週間半はニューヨークとノースカロライナという同じ時間帯の東海岸だったため、時差ボケはそれほどひどくなかったそうです。
当初の計画は、土曜の夕方にニューヨークへ着いてすぐチポトレを食べ、日曜に休んで月曜から仕事、というものでした。ところがフライトが遅れて到着は土曜の夜中になり、初日のチポトレは食べられませんでした。
初日のチポトレを食べれず。まあでも日曜は結構雨が降ってたっていうのもあるんで、あんまり外に行けなかったんですけど、まあその分休めたので。
雨で外出できなかった日曜にしっかり休めたことが、宮武さんの時差ボケが軽く済んだ大きな理由だったようです。
米国VCはAIに投資しているのか?
ニューヨークはVCが多い街で、宮武さんによると、アンドリーセンも1年半以上前から噂されていたオフィスをようやく作るそうです。宮武さんのニューヨーク滞在はミーティング中心で、起業家やVCと会い、リテール系のイベントにも足を運びました。
間の土日も、宮武さんは東京の仕事のキャッチアップに追われていたといいます。買い物もほとんどせず、仕事の一環でリテール店舗を見に行った際に少し買ったくらいだったそうです。
宮武さんが会ったVCは8〜9人ほどで、投資戦略や、実際にAIへ投資しているのかを尋ねたといいます。草野さんが「(AIに投資)してるんですか?」と聞くと、答えは意外なものでした。
めちゃくちゃAIのスタートアップを見てるんですけど、投資は実際してないっていう。やっぱりなんかいいVCほど実はそこまで投資してなかったり。
今のハイプサイクルでもあるので、めちゃくちゃ見てはいるんですけど、やっぱりなんかすごい優位性がある会社がなかなか見つからないっていう。
宮武さんの話では、AIスタートアップを熱心に見ながらも、優位性のある会社が見つからず投資を見送っているVCが多いということです。
VCが求める「ディストリビューションハック」とは
米国VCの間では、AIとは別に、ディストリビューションハック ── 製品をユーザーに届ける流通・集客の経路で、他社がまねしにくい強みを持っていること。ここではユーザー獲得の巧みなチャネル戦略を指しますを持つスタートアップに投資したいという声が多く上がっていたと宮武さんは話します。
具体例として宮武さんが挙げたのは、TikTokのオーガニック動画を作るのがとてもうまい、といった強みです。かつてのリテール業界なら、InstagramやFacebookの広告をうまく回せることが1つのハックでした。
InstagramやFacebookの広告をうまく回せること
TikTokのオーガニック動画づくりなど、うまいチャネル戦略を持つこと
草野さんは、商品やブランドが非常に多い中で口コミをどう広げるかは難しい、とリテールやソフトウェアの事情に共感します。宮武さんも、競争が激しくなっている今はより厳しい状況だと応じています。
ポケモンカードからセラノスまで、Rallyの博物館
宮武さんがニューヨークで面白かった場所として挙げたのが、Rally ── アメリカのスタートアップ。レアなコレクタブル品を1点ずつ会社化して株式を発行し、一般の人が少額から部分投資できるサービスを運営していますの博物館です。Rallyはポケモンカードやレアな車など、高価なコレクタブル商品に部分投資できるサービスを提供しています。
Rallyの博物館は基本的に週末しか開いていませんが、宮武さんはRallyに投資している知り合いのVCを通じてファウンダーと食事をし、その後に館内を案内してもらいました。
レアなポケモンカードもあれば、例えばマイケル・ジョーダンのサイン入りの靴があったりとか、モハメド・アリのグローブがあったりとか、ハリーポッターの初版の本とかあったり。
多くの展示品の中で宮武さんが最も驚いたのは、本物のTheranos ── 血液数滴で多数の検査ができると称した米国の医療スタートアップ。技術の実態がなく詐欺事件に発展し、ドラマ化もされましたのデバイスがあったことでした。
宮武さんの説明では、Theranosが調査を受けていた頃、デバイスを会社に持ち出していた人から電話があり、350ドル、日本円で4万円ほどで買えると持ちかけられたそうです。台数は2台で、もう1台は米国のVCが買ったといいます。
そもそも千台もなかったはずなんで、多分数百台だと思うので。実在してたので。実際に動くらしいので。
草野さんは、ドラマ化されるほど知られた事件とはいえ、欲しがるのはVCやスタートアップ界隈のマニアだろうと笑います。博物館は誰でも入れて、QRコードを読み取ればその場で投資もできる仕組みです。今は週末のみですが、平日も開けるよう拡大したいと話していたそうです。
ノースカロライナへ、ミスタービーストに会いに
草野さんの「ノースカロライナは何が有名なのか」という質問に、宮武さんはデューク大学や、モールを建て替えたEpic Gamesの本社があると答えます。そのうえで、今回ノースカロライナへ行った目的はMrBeastだと明かしました。
宮武さんは以前、日本でMrBeastのチームをアテンドしたことがありました。スタッフに「ニューヨーク行くから行けないですかね?」と聞くと「ぜひ来てください」と返事があり、1日半ほど滞在しています。
ただしMrBeastの拠点は空港から遠く、ローリー空港から車で1時間半ほどかかります。宮武さんはUberのドライバーに何度もキャンセルされたそうです。
なんかそのスタッフとやりとりをしてる中で、「住所教えてくれ」っていうのを聞いたら、「いや、ちょっと先にNDAサインしてくれ」って言われて。
宮武さんはNDAに署名したため、すべては話せないと前置きしています。しかも住所はいまだに知らず、スタッフの家に泊めてもらい、そこからスタッフと一緒にスタジオを回ったといいます。
ロゴもない巨大スタジオCの中身
MrBeastのメインスタジオは「スタジオC」と呼ばれています。宮武さんの話では、スタジオCはゲートで仕切られ、道路脇の細い道から入る必要があるうえ、MrBeastのロゴもどこにも出していないそうです。
やっぱり情報、なんか場所とかリークされた時にめちゃくちゃ人が来ちゃうらしいので。なんか特に親が子供を連れてきてくるらしいので。
スタジオCはオフィス兼スタジオの巨大なビルで、撮影スペースは倉庫並みの約4600平方メートルあります。もともと倉庫だった建物で柱が並んでいましたが、天井を補強したうえで柱をすべて取り払ったそうです。
宮武さんが訪れたときは、柱のない1つの大空間に大きなセットが4つほどあり、部屋もスタッフが自作していました。天井は防音仕様で、屋外にも小道具が多数あり、ゲーミングチャンネル用には別のビルや専用の部屋もあります。
なんかもう起業家っていうか、なんかハリウッドみたいな。
でも本当にハリウッド級のスタジオらしいです。
サーバー室と数百台のカメラ
スタジオCには、MrBeastが自社で持つサーバーの部屋もありました。宮武さんがとくに驚いたのは、備品エリアにあるカメラの台数です。
何でも。なんか本当に何百台ってカメラがあるので。なんか本当に撮影時に百台以上のカメラ使う時もあるらしくて。特に自分たちのセットでやる場合は。
宮武さんが例に挙げたのは、5歳から100歳までの人が競う動画で、それだけで1人1台、計100台のカメラが必要になったそうです。ドローンカメラも自社でカスタマイズし、そのための専任スタッフまで採用しているといいます。
スタジオAに残る、サイン10万枚の痕跡
スタジオCの翌日、宮武さんは初期の動画を撮っていたスタジオAと、TikTokチームが入る別名のスタジオも訪れ、計3つのスタジオを回りました。MrBeastは屋外撮影用も含めて土地を大量に買っており、スタッフが入りきらないほど成長しているため、スタジオCの拡大の話もあるそうです。
スタジオAでは裏話をいくつも聞けたといいます。セットはスタッフが何パターンも作り、ジミーさんことMrBeastの確認を受けますが、「もっとでかいものを作れ」と言われて7バージョンほど作り替えたこともあったそうです。
もう1つの裏話が、24時間以内にパーカーやTシャツを買った人全員の商品にジミーさんがサインするというチャレンジです。宮武さんによると購入は10万枚以上にのぼり、本当に全部にサインしたため、スタッフがそのための作業フローを練り上げたといいます。
企画
24時間以内に購入された商品すべてにサインすると宣言
殺到
10万枚以上の購入が集まる
効率化
スタッフがサイン用のフローを設計し、ジミーさんも改善を求める
数日がかりで完了
机にペンを押しつけた跡が残る
ジミーさんも途中でなんかサインするのを止めて、「これってなんかもっと効率よくできない?」みたいなことを言ったりとか。
サイン作業をした部屋には、ペンの跡が残る机がありました。スタッフが、ペンを一度机に強く押し込むとインクが出やすくなると発見し、全員がひたすらそうしていたためだそうです。
その部屋はもう使われておらず、半年ほど誰も使っていなさそうな部屋や、場合によってはビルまであったといいます。宮武さんは、成長しすぎてどこに何があるか分からなくなっているのでは、と推測しています。
ファンでも見えない舞台裏とケアパッケージ
草野さんは、そうした部屋を見られたのはファンとして嬉しいのでは、と尋ねます。宮武さんの答えは、部屋だけ見ても何に使ったか分からず、説明があって初めて意味がわかる、というものでした。
いや、でもあの、いわゆるスタッフの動きは見てないので。
セットは撮影後に壊すことが多く、昔は捨てていましたが、今は再利用できるよう改善を進めているそうです。宮武さんはスタッフに同行しながら、チャンネルの現状や、ジミーさんが今力を入れているFEASTABLES、BeastBurgerの裏話も聞いたといいます。ただし話せない内容が「圧倒的に多い」とのことです。
後日、LA滞在中の宮武さんのもとに、MrBeastのグッズやFEASTABLESの商品が入ったケアパッケージが届きました。一番嬉しかったのは「BeastCrew」と書かれたパーカーで、おそらく非売品だろうと話しています。
初LAの草野さんが感じた車社会とクリエイターの街
草野さんにとって、今回が初めてのLAでした。以前はサンフランシスコへ行く際のトランジットで立ち寄った程度だったそうです。
なんかサンフランシスコよりも暖かくて。なんか天気も良くて。なんかいいなと思ったんですけど、めっちゃ車社会だなっていうのはすごく感じました。
草野さんは時差ボケで体調を崩し、車酔いもしたそうです。店に行くにも次のミーティングに向かうにも車が必要で、ダウンタウンならまとまっているサンフランシスコやニューヨークとは違うと感じたといいます。
LAでは、洋服ブランドのSMARTHAPPYのかっこいいオフィスを訪ねたほか、ダンスコンテンツのチャンネルであるSTGSTUDIOなど、クリエイターにも会いました。宮武さんは、YouTuberを含むクリエイターはLAが圧倒的に多いと話します。
草野さんがその理由を尋ねると、宮武さんは「ハリウッドが大きかったと思う」と答え、いくつかの要因を挙げました。
ハリウッド
もともとそこへ行きたい人が多い
天気
撮影に向いた天候
セレブ
コンテンツにしやすい
エージェンシー
支える事務所がそろっている
チポトレ5回とJoe's Pizzaのマッシュルームカスタム
LAでは、草野さんがついに念願のチポトレを初体験しました。ブリトー好きの草野さんは美味しかったと満足していますが、宮武さんは「LAはタコスの街なのに」とやや複雑だったそうです。
宮武さん自身はこの出張中、ニューヨークで2回、ノースカロライナで1回、LAで2回の計5回チポトレに行きました。ニューヨークでは2回の日曜とも、昼はJoe's Pizza、夜はチポトレだったといいます。
宮武さんのおすすめはJoe's Pizzaのマッシュルームカスタムです。プレーンのチーズピザに大量のマッシュルームを乗せて焼いてもらうもので、なぜかタイムズスクエア店では作ってもらえないそうです。
ぜひジョーズピザを。あの、別にマッシュルームピザじゃなくていいんですけど、ぜひジョーズピザに。
カッツのパストラミサンドは何が違う?
宮武さんは今回初めて、ニューヨークの有名なパストラミ店カッツにも行きました。ライ麦パンにマスタードを塗り、残りはすべてパストラミという構成で、1個食べたら限界になるほどの量だったそうです。
宮武さんは、サンフランシスコの美味しいパストラミ店ワイズアンドザサンズと比べても「レベルが違った」と言います。違いを聞かれても、とにかくパストラミが美味しいとしか言えないほどだったようです。
カッツには、目の前でパストラミを切ってくれるカッターがいる独特のシステムがあります。宮武さんが勧める頼み方は次のとおりです。
切ってる間食べてくださいって。で、そこで食べた瞬間、あ、これはめちゃくちゃ美味しいやつだっていうのがわかるんですよ。
草野さんも、ニューヨークへ行く機会があればカッツに行ってみたいと話し、雑談回は締めくくられました。
まとめ
宮武さんの2週間のアメリカ出張は、NYでのVCとの対話から、ミスタービーストの巨大スタジオ見学、LAのクリエイター訪問、そして各地のグルメまで、ビジネスと旅の両面で濃い内容でした。
- 米国の優れたVCほど、AIスタートアップを熱心に見つつも優位性のある会社が見つからず、投資を見送っている
- VCの間では、TikTokのオーガニック動画のようなディストリビューションハックを持つスタートアップへの関心が高い
- Rallyのニューヨークの博物館には、本物のTheranosのデバイスまで展示されていた
- MrBeastのスタジオCは柱のない約4600平方メートルの空間に数百台のカメラを備えた、ハリウッド級の施設
- クリエイターがLAに集まるのは、ハリウッドを軸に天気、セレブ、エージェンシーがそろっているためと宮武さんは見ている





