なぜAppleとEpic Gamesの裁判に注目が集まるのか?
フォートナイトの開発元であるEpic GamesとAppleの裁判が始まりました。収録の1週間ほど前に始まったばかりで、草野さんは、全アプリ開発者やAppleと競合するプロダクトを作る人がみんな注目している出来事だと話します。
宮武さんが注目するのは、裁判という形になることで内部情報が表に出てくる点です。手数料をどう決めたのか、社内でどんなメールのやりとりがあったのか、会社の金銭的な状況はどうだったのかといった情報が明らかになります。
例えばAppleとEpicがお互い使った資料とか、裁判中に使った資料とかも結構アクセスできるようになっているので。
裁判資料は誰でもダウンロードできるといいます。宮武さんは、過去には見えなかったデータが見えるようになると期待を語っています。
背景として、アメリカ政府は数年前から、特に2016年以降トランプ氏が大統領になってから、Appleを含むビッグテックが独占禁止法に引っかかるかどうかを見始めていたといいます。直近で特に注目されているのがAppleのApp Storeです。
アメリカではApp Storeの手数料が「Appleタックス」、つまり税金と呼ばれるほど批判されがちだそうです。宮武さんは、その手数料を指摘する人が増えてきたと見ています。
30%の手数料は独占禁止法に当たるのか?
草野さんは、iPhoneが登場した当初はApp Storeにアプリを載せられる対価として手数料も仕方ないと受け止められていたものの、これだけ多くの人がiPhoneを持つようになった今、そんなに取るのかという状況になってきたと話します。
宮武さんによれば、アメリカの独占禁止法は定義がかなり限られています。独占禁止法が作られた当時はテック企業が存在しなかったため、Appleのような企業には当てはめづらいという事情があります。
Epic GamesやSpotifyが主張する論点の1つ目は、Appleが市場を独占しているかどうかです。ここでは「市場」をどう定義するかで、両者の言い分がまったく異なります。
スマホ市場全体で見ればAndroidの方が多く、アプリの数もAndroidの方が多いので独占には当たらない
iOSアプリという存在自体が1つの市場であり、そこではAppleが100%独占している
宮武さん個人は、Spotify・Epic側の主張は通りにくく、Appleの言い分の方が強いと考えています。
論点の2つ目は、競合を阻止する行為です。Appleが自社アプリを優先的に扱い、第三者のアプリをあえて拒否しているのではないか、というクレームが出ています。
宮武さんは、ここが難しいところだと話します。Appleはハードウェアを持っていて内部を一番理解しているため、自社ソフトウェアのほうがうまく統合されるのは一部仕方ない面もあるからです。
Apple側は、App Storeを完全にコントロールする理由としてプライバシーとセキュリティを挙げています。ただ、その説明にも「それは違うのではないか」という指摘が入っているといいます。
開発者たちはAppleに何を求めているのか?
Spotify、Epic、Matchなどの開発者側がAppleに求めていることには、複数のパターンがあります。
1つは、Googleと同じようにサイドローディング ── 公式のアプリストアを経由せずにアプリをインストールすること。AndroidではGoogle Play以外からのインストールが一定の条件で認められていますを認め、iOS上でAppleのApp Store以外のアプリストアを許可することです。もう1つは、決済の部分を開放することです。
今だとアップル経由でしかアプリ内だと払えないので。なので30パー絶対(Appleに)取られますと。
独占禁止法に当てはまると判断されれば、Appleにサイドローディングを許可させるといった判断になるかもしれないと宮武さんは見ています。ただし、その内容はレベル次第で変わるといいます。
宮武さんが例に挙げるのはAndroidです。AndroidではEpicもGoogle Play以外から直接ダウンロードできるものの、非常にやりにくくなっています。
なんで結果としてなんかオープンになってるって言ってるものの、オープンではないみたいな。
Appleが同じやり方をとれば、結果としてあまり変わらないという見方もあるそうです。どこまで制限されるかが焦点になります。
EUはAppleの音楽サービスをどう判断したのか?
宮武さんは、ここ数週間で3つの大きな出来事があったと話します。1つ目が、EUがAppleは独占禁止法に当てはまると判断したことです。まだ初回の判断で、Appleの回答次第で変わる可能性もあります。
EUが問題にしたのは、主に音楽サービスです。Appleの手数料によってSpotifyなどは高いコミッションを払わなければならず、その分を顧客が負担することになりました。一方でAppleは手数料を払わずに済むため、Apple Musicを安く提供できます。
この判断が通った場合、Appleは売上の10%を罰金として支払わなければならない可能性があるといいます。
宮武さんは、罰金だけでなく、ビジネスモデルを変える必要が出てくるかもしれない点も大きいと指摘します。EUがこの判断を出したこと自体が衝撃的で、Appleが変わる方向へ動き始めていると見ています。
草野さんが、Spotifyがスウェーデンの会社であることも関係あるのかと尋ねると、宮武さんは関係はあると思うと答えました。Spotifyがヨーロッパでプレッシャーをかけてきた影響が強かったのではないか、という見立てです。
アプリストア公聴会で政府側は何が変わったのか?
2つ目の出来事は、Epicの裁判のちょうど1週間ほど前に開かれた、アメリカ政府によるアプリストアについての公聴会です。これまでもFacebookの広告事業や選挙対応をめぐってビッグテックを呼ぶヒアリングはありましたが、アプリストアだけをテーマにした公聴会は特別だったといいます。
この公聴会はEpicの裁判の準備ではなく、別の動きです。宮武さんによれば、民主党にビッグテックを潰したいと考える人たちがいて、その影響が強いとみられ、たまたま裁判の直前に開かれたということです。
公聴会にはGoogleとAppleのほか、アプリ側からSpotify、Matchグループ、Tileが呼ばれました。YouTubeで公開されていて、2時間半ほどあります。AppleとGoogleの弁護士はZoomで参加し、SpotifyとTileとMatchは会場にいたそうです。
宮武さんが一番良かったと考えているのは、政府側が明らかに勉強してきていたことです。過去の公聴会はひどかったといいます。
例えばなんかある政治家がマークザッカーバーグに何かYouTubeについての質問をしたりしてたんですよ。
ほかにも、Facebookをなぜ無料で提供できるのかと聞かれたザッカーバーグ氏が、ニヤッとしながら「広告で賄っている」と答えた場面があったそうです。
フェイクニュースをめぐる公聴会では、はい・いいえで答えさせる質問が多すぎたといいます。ニュアンスの多いテーマなのに説明が許されず、Twitterのジャック・ドーシー氏は会の途中でTwitterの投票機能を使い、はい・いいえの質問への不満を示したそうです。
それに比べて今回は政府側がかなりリサーチし、技術的なノウハウを持っていました。Off Topicも参考にしてきたマシュー・ボール ── ベンチャーキャピタリスト・アナリスト。メタバースやメディア業界についての長文エッセイで知られていますさんの記事が、今回よく読まれていたといいます。
彼TWITTERで最近すごいワシントンDCから(の)この記事(への)アクセスめっちゃ来てるっていうの言ってて。
宮武さんは、公聴会を開いた人たちがこの記事を読んでいたのだろうと見ています。
Spotifyが証言した「脅し」とは?
公聴会で証言したSpotify、Match、Tileはそれぞれ具体的な事例を出しました。Spotifyは、Appleから30%の手数料を求められたことで、ユーザーへの料金を9.99ドルから12ドルに上げたといいます。
同じ頃AppleはBeatsを買収していました。Beatsは後にApple Musicになり、Apple Musicは月額9.99ドルでローンチされます。
手数料
Appleから30%の手数料を求められる
値上げ
ユーザー料金を9.99ドルから12ドルに上げる
競合の登場
Beatsを買収したAppleが9.99ドルのApple Musicを始める
Web課金へ
手数料を払わないWeb上での課金を決めるが、Appleから批判される
SpotifyがWeb課金へ移ろうとした際、Appleからはアプリを削除すると脅されたといいます。宮武さんは、自分の推測ではなく、Spotifyのチーフリーガルオフィサーが公聴会で語った内容だと強調しています。
SpotifyはWeb課金を実現しましたが、App Storeの規約上、アプリ内で「Webで課金できる」と案内することはできません。
いわゆるあのアプリ以外で課金できるっていうのを一切言ってはいけないんですよ。
アプリによってはアプリ内課金を提供しつつ、Webではもっと安く買えるケースもあり、Tinderや以前のNetflixもそうしていた可能性があるといいます。それをユーザーに伝えることすら禁じるのはおかしいというのがSpotifyの主張で、宮武さんは裁判長も同感するのではないかと見ています。
AirTagの発表前日に証言したTileの訴え
Tileが証言する前日、AppleはAirTagの発売を発表しました。忘れ物や落とし物を探すためのAirTagは、Tileとほぼ同じサービスです。
Tileは元々Appleと提携していましたが、Appleが自社サービスを出すために重要なソフトウェアやAPIへのアクセスを切られたと主張しています。さらに、Appleの類似アプリはデフォルトでオンになっている一方、Tileをオンにするには多くのステップが必要で、UXが落ちたといいます。
ハードウェアの面では、UWBチップ ── 超広帯域無線(Ultra Wideband)を使う通信チップ。電波の到達時間などから、物の位置を数十センチ以下の精度で測れるとされますが問題になりました。AppleはiPhone 12からUWBチップを搭載していました。
1〜2メートルほどの誤差があり、精度はそこまで高くない
どの枕の下にiPhoneがあるかわかるほど精度が高い
Tileは2019年からAppleにUWBチップへのアクセス権をお願いしていましたが、もらえませんでした。そしてAirTagはこのUWBチップを活用しています。
宮武さんは、iPhoneでTileが使えなくなるわけではないものの、精度やUXが劣るため、Tileが潰れてもおかしくないと話します。草野さんも「UX大事ですもんね、ああいうサービス」と応じました。
Matchが突きつけた「AppleのユーザーかSpotifyのユーザーか」
Matchは出会い系アプリを多く抱える企業で、日本ではペアーズを持っています。Matchは台湾の出会い系アプリで、日本のアプリ(おそらくペアーズ)の身元確認の仕組みをそのまま導入しようと申請しましたが、Appleに拒否されたといいます。
ユーザーを守るためなのになぜダメなのかと問うMatch側に対し、Apple側はプライバシーのためではないとしつつ、Matchの売上を全部取ってもおかしくない、という趣旨のことを言ったそうです。
だから、まあ少しちょっとでも売上お前たちがもらえるのであれば感謝するべきだと。
Matchはもう1つ、年齢確認の問題も挙げました。出会い系アプリには13歳以下を入れないよう、各アプリが確認やセキュリティの仕組みを入れていますが、Appleは子どもの年齢情報をApple IDで持っています。
Matchは、本当にセキュリティを意識しているなら、AppleはそのAPIを共有するのではないかと指摘しました。草野さんも、共有すれば両者にとってより安全になり、ハッピーになりそうだと受け止めています。
宮武さんは、こうした対立の根っこにある認識の違いを次のように整理します。
iPhoneのユーザーはAppleのユーザーであり、Spotifyのアプリを使っていてもAppleのユーザー
自分のアプリを使うユーザーはSpotifyのユーザー
草野さんはこのAppleの姿勢を「ジャイアンみたい」と表現し、「お前のものも俺のもの」だと笑いました。
公聴会では判断は出ませんでしたが、最後に政府側は、AppleとGoogleは明らかに間違ったことをしているとコメントしました。どんな法律が出てくるかは未定ですが、政府は何らかのアクションを起こす方向に向かっているといいます。
政府のテックリテラシーはなぜ重要なのか?
宮武さんは、テック業界の独占禁止法の問題で一番の課題は、政府側の理解が低すぎることだと考えています。FacebookやGoogleの広告モデルは複雑で、政府はおそらくそれほど理解していないといいます。
でもそれに対して何かしら判断をするのであれば、理解をしないといけないので、そこが今まで理解してなかったのが、ある程度キャッチアップできたっていうところはかなり大きなポイントかなと思っていて。
理解のないルールの例として宮武さんが挙げたのが、ある政治家が出した提案です。時価総額100ビリオンドル以上の会社には、業界を問わず買収を一切禁止するというものでした。
宮武さんはこれを馬鹿らしいルールだと批判します。会社が買収をする理由はさまざまで、良い結果も多く生まれているからです。
売上は基本的にゼロで、資金調達を続けないと生きていけない
Googleが開発コストを負担し、バイオテック領域でかなり進んだ取り組みをしている
買収を一律に禁止すれば、こうしたイノベーションが起きなくなってしまいます。宮武さんは、業界を理解した上で新しいルールを作れば、本当に業界が変わる可能性があると話しています。
Epic Gamesは裁判に勝てるのか?
3つ目の出来事がEpic対Appleの裁判です。宮武さんは、公聴会があったからこそ、この裁判を気楽に見られたといいます。裁判しかなければかなりきついと感じていた理由は、Epicは勝たないと考えているからです。
Appleの場合だと、やっぱりスマホ市場として見られた瞬間終わるので。
Epicは、プライバシーとセキュリティを強調するならApp Storeのレビューはもっと良いはずだと指摘しています。詐欺アプリやCalm ── 瞑想や睡眠をサポートするアメリカの人気アプリの完全コピーがレビューを通った例があるからです。
ただ宮武さんは、Apple自身も課題と認識していて、人間がやる以上完璧ではないと言える部分なので、そこだけを突いても勝てないのではないかと見ています。
この裁判の結果が重要なのは、Epicには同じ裁判長によるEpic対Googleの裁判が控えているからです。Googleは別のエコシステムで難しさも違いますが、Appleで負ければGoogleにもまず勝てないだろうと宮武さんは話します。
なぜEpicはこのタイミングで訴えたのか?
Epicが訴訟を起こしたタイミングにも意味がありました。社内メールからは明らかに準備していたことがわかり、Microsoftにも「8月にすごいことをやる」「花火を起こす」と伝えていたといいます。
Epicのティム・スウィーニー ── Epic GamesのCEOで創業者。ゲームエンジン「Unreal Engine」の開発者としても知られますさんは、このタイミングがとても重要だと語っています。
AR市場の成長
FacebookやAppleがARメガネを開発している
新しいアプリ経済圏
ARデバイスにもアプリのエコシステムが必ず生まれる
30%の固定化
デバイス発売後に訴えても、30%がすでに標準になってしまう
先手を打つ
だから発売前の今、訴訟を起こす
話を聞いた草野さんは「ちょっと勝ってほしい気もしますね」と話しました。宮武さんは、Epicはむしろ、Appleが特定のアプリを特別扱いしてきた点をもっと主張すべきだと考えています。
実際AppleはHuluなどに、他の開発者がアクセスできない特殊なAPIを提供していたといいます。また、Netflixはアメリカで以前アプリ内課金をしていて、Web課金への切り替えを検討した際、Appleは手数料の一部を使ってApp Store内でNetflixの番組をフィーチャーしたり、Appleの店舗でNetflixのローンチイベントを開いたりすると提案していました。
Netflixはその提案を受けずにWeb課金へ移りましたが、こうした特別扱いがあれば、なぜEpicには同じアクセス権を与えないのかとフェアさを問えると宮武さんは話します。
「Roblox はゲームではない」というAppleの主張
宮武さんが裁判で一番面白かったと話すのが、Roblox ── ユーザーが作ったさまざまなゲームを、1つのアプリの中で遊べるオンラインプラットフォームをめぐるやりとりです。Robloxはアプリ内でいろいろなゲームを遊べるため、Appleが完全拒否しているクラウドゲームと同じ扱いではないかという疑問が出ていました。
裁判長からはまず、なぜNetflixはOKでゲームはダメなのかという質問が出ました。草野さんも、Appleも映像をやっているのだから競合ではないかと感じたそうです。Appleがこの点を問題にするのはなぜかゲーム市場だけで、明確な理由は出なかったといいます。
なぜRobloxはOKでフォートナイトはダメなのかと問われたApple側は、Robloxはゲームではなく「体験」だと答えました。
ゲームは始まりと終わりとチャレンジが必要なんですよっていう話をしましたと。
この定義には穴がありました。App Store内でRobloxはゲームカテゴリーに入っています。Epicの弁護士は、始まり・終わり・チャレンジがあるTikTokチャレンジはゲームなのかと問い返しました。
さらに、オープンワールドのマインクラフトもゲームカテゴリーにあります。Apple側の証人は、映画やコンサートを楽しめるフォートナイトのパーティーロワイヤルを知らず、Epicはそれならフォートナイトも同じ扱いでいいはずだと主張しました。草野さんは「Appleらしくないぐらい変な言い訳」と評しています。
決済についても、ECアプリのカード決済とゲームのカード決済で安全性に違いがあるのか、なぜゲームアプリだけ扱いが違うのかと指摘されました。
Appleは手数料の引き下げを考えていた?
裁判では、多くの会社が昔からApp Storeのルールを批判していたこともわかりました。Facebookは2011年から揉めていて、ジンガ ── ソーシャルゲーム企業。Facebook上の農場ゲーム「ファームビル」が大ヒットしましたのファームビルが流行していた当時、FacebookのiOSアプリではそうしたゲームを遊べないようにしていたといいます。アプリ内がアプリストアのようになってしまうからです。
そもそもAppleは、App Storeで大きく儲けるつもりはなかったといいます。最初はApple自身のアプリだけで始まり、第三者のアプリを入れたときもスティーブ・ジョブズは、30%は運営コストを賄うためで、大幅に黒字化する予定はないと話していたそうです。
2011年ごろには、当時マーケティングのトップで現在はApp Storeのトップを務めるフィル・シラーさんが、1000億円の黒字になったら30%から25%、20%ぐらいまで下げる必要があるかもしれないと話していました。実際には下げていません。
なぜAppleはApp Storeを必死に守るのか?
宮武さんは、3つの出来事がAppleにとって重要な理由として、まず金銭的リスクの高さを挙げます。Appleの2020年の売上は大きく伸び、2021年1〜3月期も好調でした。
ただ、その伸びはコロナ禍でゲームのためや子どもに良い携帯を渡したいといった需要からiPhoneが売れたことや、5G対応スマホへの買い替えによるものです。2016年から2020年ごろまで見ると、iPhoneの売上はあまり伸びていなかったといいます。
iPhoneの購入は1回きりです。そのため今後Appleが売上を伸ばすにはサービス部門が重要で、なかでもApp Storeが大事になります。しかもApp Storeの売上の半分以上はゲームです。
Appleとしては必ず守りたいところです。なので、かなり必死にいろんなことをやっているんですけど。
国家並みの力を持つビッグテックをどう見るか
宮武さんは、ビッグテック全体の規模にも触れます。GAFAという呼び方はGoogleがAlphabetになり、Microsoftも入っていないため古く、今はFacebook、Apple、Amazon、Alphabet、Microsoftの「FAAM」と呼ぶのかもしれないといいます。
この5社の2020年の合計売上は1.2トリリオンドルです。宮武さんは日本の2020年のGDPと比べ、約4分の1にあたると説明しました。5社を1つの国にたとえると、世界のトップ15に入る規模だといいます。
宮武さんは、これだけの会社を作ったことはすごいとしつつ、それほどの権力を持っていいのかという疑問は持つべきだと話します。FacebookやTwitter、Googleはメディアをコントロールし、政治を変える力を持っているからです。
草野さんが、シリコンバレーの民間企業だけでもアメリカ政府並みの力があると言うと、宮武さんはそれが特定の人たちに集中し、しかも選挙で選ばれていない点を挙げました。
いわゆる何がFacebook上でコンテンツとして許されて許されてないっていうのは、コンテンツチームの数名が選んでるんで、場合によっては。
Epicが負けても法整備は進むのか?
宮武さんの予想は、EpicはAppleとGoogleのどちらにも負けるというものです。裁判は合計3週間ほどの見込みで、収録時点で1週間目が終わったところでした。
裁判でAppleの内部情報が出てくれば、アメリカ政府が動くかどうかが勝負になります。宮武さんが公聴会を前向きに捉えたのは、政府の理解度が上がり、良い質問ができるようになっているからです。
一方で一番怖いのは、ふわっとした法律ができることです。宮武さんは、App Storeは巨大な市場なので本来はアプリストアに特化した法律を作るべきだと考えていますが、実際にはビッグテック全般を対象とした法律に向かっているといいます。
草野さんの「いい法律が」という言葉に、宮武さんは「いい法律であってほしいですけど」と応じました。二人は、5月の動きをチェックしていきたいと締めくくっています。
まとめ
この回は、Epic GamesとAppleの裁判を、EUの判断と米国の公聴会と合わせて読むことで、App Storeの手数料問題がどこへ向かうのかを整理した内容です。宮武さんはEpicの勝訴には懐疑的ですが、裁判で出てくる情報と政府の理解の深まりが、バランスの取れた法律への道を開くと見ています。
- 独占禁止法はテック企業がない時代に作られ、「市場」の定義次第でAppleの独占かどうかの評価が変わる
- EUは音楽サービスでAppleが独占禁止法に当たると初回判断し、売上10%の罰金の可能性もある
- 公聴会ではSpotify・Tile・MatchがAppleの脅しやAPI制限を証言し、政府側の勉強ぶりが目立った
- 裁判ではRobloxを「ゲームではなく体験」とするAppleの説明や、手数料引き下げを検討していた過去が明らかになった
- Epicは負ける可能性が高いものの、明らかになる情報が政府の法整備を後押しすると期待されている


