サステナブルな選択はなぜ広がらないのか
宮武さんは前回、サステナビリティやクリーンテック業界がようやく「AWS化」のタイミングを迎え、これから多くの会社が出てくるという話をしました。今回はその続きとして、サステナビリティの現状と、フードテックがサプライチェーンをどう変えるかを掘り下げます。
宮武さんの見立てでは、サステナブルな服や物を買う人は徐々に増えているものの、まだ価格にプレミアムが乗っています。そのため現状では、お金持ちの層がステータスとしてサステナビリティを使っている面があると感じているそうです。
(サステナビリティは)いわゆるグッチのカバンを買うとか、テスラを購入するとかと似たように、あるステータスシンボルとしてやってるのかなと。
宮武さんによると、そのステータスにあたる行動がオートリー ── スウェーデン発のオーツミルク(オーツ麦を原料にした植物性ミルク)のブランド。牛乳の代替として欧米で広く飲まれていますを飲むことや、フェアトレードのコーヒーを飲むことです。ただ、多くの人がサステナブルな選択をしているかというと、今はそうではないと話します。
宮武さんが挙げる理由は、収入の上がり方と食生活の関係です。各国の平均収入が上がると、人はまずカロリーをもっと取りたくなり、年収5万〜6万ドルあたりまではその傾向が続くといいます。
今までそのお肉を週に1回しか食べれなかった人たちが、収入が上がって週3回とか毎日食べるようになるとすると、まずそこ(普通のお肉)から行くじゃないですか。
一方で、実際にサステナブルな商品を買っている高所得層は、ヘルシーなダイエットをしていてカロリーをあまり取らなくなり、平均で見ると体重も落ちていると宮武さんは説明します。世界の平均収入は1万ドルほどなので、多くの人はまず普通のお肉を買う段階にあるという見方です。
ヘルシーな食生活でカロリー摂取が減っている。コストが高くてもサステナブルな商品を選ぶ
まずカロリーを取りたくなり、お肉を食べる回数が増える。プラントベースにはすぐ向かわない
代替品は「今より安く」作れるか
宮武さんは、人口の95%がアメリカや西ヨーロッパ以外に住んでいることを挙げ、すぐにみんながサステナブルな選択をするとは考えにくいと話します。そのうえで、企業がサステナビリティを掲げるときの落とし穴を牛乳の例で説明します。
例えば牛乳の業界を変えたいから、例えばプラントベースの牛乳を作りましたと。でも結局人口の5%しか牛乳を飲むのをやめなかった場合、業界的には変わらないんですよね。
宮武さんによれば、重要になるのは、プラントベースでもラボで作ったものでも、新しい牛乳が今の牛乳より安くできるかという一点です。そしてこれは技術的にとても難しい問題だといいます。
草野さんも、代替品は基本的に高く、今のものの方が食べ慣れていて安いので乗り換えるのは難しいと応じます。宮武さんは、だからこそClara、Perfect Day、Memphis Meatsといった会社が、どこまで安くできるかを徹底して考えていると紹介します。
何千年も変わらない肉の作り方を問い直す
宮武さんは、動物性タンパク質の作り方を改善したり別のものに置き換えたりするより、プロセス自体を一から考え直す必要があると話します。前回のエネルギーの話と同じく、根本を問い直すという発想です。
いわゆる動物に草を与えて、育てて、まあお肉に変えるというプロセスをただただスケールしただけなんですよね。今の人間の社会では。
宮武さんは、今の畜産は効率性を大きく高めてきたものの、エネルギー効率はそれほど良くないと指摘します。そこで重要になるのが合成バイオやバイオテックだといいます。
宮武さんの例えでは、ワインやビールが酵母を使って作られるのと同じように、チキンのDNAを酵母と組み合わせると、ごく簡単に言えばチキンをもっと作れるようになります。宮武さん自身、「そんなシンプルじゃないですけど」と断っています。
なので、酵母自体をうまく活用すると、いわゆるミニ工場ができるんですよね。
宮武さんはこれをバイオマニュファクチャリング ── 微生物や細胞を使って、食品・素材・化学品などを生産する製造の手法。バイオ製造とも呼ばれます、つまりバイオ製造と呼びます。うまくいけば、動物を育てずにレザーや卵、チーズを作れるようになり、タンパク質そのものをプログラミングできるようになるといいます。
酵母を使う
ワインやビールと同じく、酵母を発酵の担い手にする
DNAを組み合わせる
チキンなどのDNAを酵母と組み合わせる
ミニ工場になる
酵母がタンパク質を作る小さな工場として働く
動物を育てずに作る
肉、レザー、卵、チーズなどを生産できる
培養肉は5年で1万倍安くなった
宮武さんは、Memphis Meatsのように研究室でお肉を育てる取り組みの価格の推移を紹介します。研究室などで作るお肉はカルチャードミート ── 動物の細胞を体外で培養して作る肉。培養肉とも呼ばれ、動物を飼育・と畜せずに食肉を得る方法として研究が進んでいますと呼ばれます。
比較の基準として、宮武さんは2020年ごろの普通の牛肉が1キロあたり約9ドル、チキンが約7ドルだと示します。そのうえで、2015年のカルチャードミートの価格を草野さんにクイズとして出しました。
200ドル。もっと。
いやいや、いやいやいや。もっと、もっと、もっと。
正解は、1キロあたり230万ドルでした。宮武さんは、その金額では「絶対無理」だと振り返りつつ、そこからの下がり方がすごいと続けます。
2018年には4万ドル、2019年には80ドル、2020年には22ドルまで下がったと宮武さんは説明します。80ドルの段階で草野さんは「買えますね」と驚きます。
なので、本当に過去5年間で1万倍安くなったんですよ。
宮武さんによると、それでも普通のお肉より2〜3倍ほど高い状態です。ただ、このスピードを考えると、まだ下がる可能性があると二人は話します。
宮武さんは逆に、従来のプロセスで育ったお肉は値段が上がっていると指摘します。もしかしたら5年後かはわからないものの、両者の価格が逆転する分岐点が来るかもしれないという見立てです。
研究室で松阪牛が作れたら何が変わる?
培養肉が安くなった場合について、草野さんは、バイオ系の会社がお肉の業界を大きく握る存在になり、業界がガラッと変わりそうだと反応します。宮武さんも、本当にガラッと変わると同意します。
宮武さんは、相対的にリアルな牛の価値が上がる可能性も十分にあると話します。一方で、松阪牛 ── 三重県松阪地域で肥育される黒毛和牛のブランド。日本三大和牛の一つに数えられる高級牛肉ですを研究室で作れる時代になれば、誰でも食べられるようになって価値が下がるかもしれず、そこはまだ読み取れないといいます。
草野さんは、大阪大学で和牛を3Dプリントで作り、和牛のサシを再現しようとしているニュースを見かけたと話します。手軽にステーキをたくさん食べられたら、それはそれで面白いという受け止めです。
宮武さんは、環境面の利点も挙げます。研究室でお肉を作れば配送コストや配送で生まれるエネルギー消費がなくなり、さらに牛のゲップから出る温室効果ガスも場合によって大きく下げられるという話です。
宮武さんの説明では、お肉の業界はサステナビリティの面で悪かったりするので、そこを変えられるかもしれないことが培養肉の大きな意味の一つです。
The Production Boardとはどんな会社か
宮武さんが個人的にすごく好きだと話すのが、The Production Board(通称TPB)という会社です。社長のデイビッド・フリードバーグさんは合成バイオのビジョンに強く賛同している人物だと紹介されます。
宮武さんによると、TPBは今年300億円ほどをGoogleなどから調達しました。自社でバイオ系の会社を立ち上げるだけでなく、インキュベーターのように他の会社への投資や買収も行っています。
TPBはソイレント ── アメリカの完全栄養食ブランド。必要な栄養素を1本の飲料などで摂れることを掲げ、シリコンバレーで話題になりましたにも投資していますが、TPBの関連会社の多くは何をしているかあまり公開されていないと宮武さんは話します。今回紹介するCanaもサイトにほぼ情報が載っていない会社で、草野さんは「気になりますね」と返します。
家でドンペリも作れる?Canaのドリンクプリンター
宮武さんは、デイビッド・フリードバーグさんが最近話していた内容をもとにCanaを紹介します。Canaが変えようとしているのは、ボトル入り飲料の業界です。
宮武さんによると、ソーダやビール、ワインなどのボトル入り飲料の市場規模は約2兆ドルで、そのうち半分がビールとワイン、残りの半分がコーヒー、ジュース、ソーダです。
Canaのビジョンは、各家庭に3Dプリンターのようなデバイスを置き、そこで飲み物なら何でも作れるようにすることです。
で、めちゃくちゃ安く、ドンペリを飲みたければドンペリを飲めますと。
宮武さんが可能性を感じた理由は、飲み物の成分構成にあります。オレンジジュースを1リットル作るには、木に与える水などを含めて40リットル分の水が必要です。
しかしオレンジジュースの中身は93%が水、7%が砂糖で、質感・色・匂い・味を作っているのは全体の1%以下の物質だと宮武さんは説明します。ワインも88%が水、12%が砂糖で、ワインらしさを感じさせるのは1%以下の物質だといいます。
(1%以下の物質を)集められたら、それをプリンターに入れたら、あとは水で、自分の家の水で何でも作れちゃうんですよ。
草野さんは「やばいドリンクバーみたい」と表現し、価格破壊がたくさん起きそうだと反応します。宮武さんも、美味しいワインがいつでも飲めるなら価格帯がどうなるのかという問題はありそうだと応じます。
宮武さんがサステナビリティの観点で重視するのは、大量の水やワインを各地へ運ぶ必要がなくなる点です。選択肢は無制限に増え、エネルギーをかけず、コストも大幅に下がるとして、Canaに強く注目しているといいます。
米と小麦の代わりにキヌアは育つか
宮武さんによると、デイビッド・フリードバーグさんはキヌア ── 南米アンデス原産の穀物に似た植物の種子。栄養価が高く、米や小麦の代わりにサラダなどで食べられますの会社を買収したことでも知られています。フリードバーグさん自身、キヌアをとても面白いと考えているそうです。
宮武さんの説明では、今の人間のカロリーの50%ほどは小麦か米から来ていて、世界の農家の40%が米と小麦を育てるために存在しています。ただ、米や小麦は水や窒素を多く使うため、エネルギー効率はあまり良くないといいます。
キヌアは理論上、より効率的に作れるとされています。フリードバーグさんのプロジェクトは、米より安くキヌアを作れるかに挑んでいて、宮武さんによると今はまだキヌアの方が少し高いものの、安くなる予定だそうです。
宮武さんは、前回話した干ばつのように水が減っていくと、水を多く使う米は作りにくくなり、値段が上がるかもしれないと話します。そのときキヌアが役に立つという見方ですが、米が大好きな日本人には考えにくい話だろうとも付け加えます。
草野さんが、キヌアはサラダに豆などと入れて食べるイメージがあるとたずねると、宮武さんはアメリカでも同じ感じだと答えます。ベジタリアンやヴィーガンの人が、米や小麦の代わりに使っているそうです。
何でも作れる3Dプリンターはサプライチェーンを壊す
宮武さんは、50〜100年後の予想だと前置きしつつ、Canaのような3Dプリンターが将来はどの家にも、場合によってはどの部屋にもある時代が来ると話します。そこでは飲み物だけでなく、本当に何でも作れるようになるといいます。
食べ物もそうですし、例えば「腎臓が欲しい」って言えば腎臓を作ってくれるし、車が欲しいって言えば車を作ってくれるし。
宮武さんがこれを重要だと考える理由は、ローカルで物を作ることの価値です。ほぼエネルギーを使わずに安く作れるなら、全体のサプライチェーンモデルを壊せると宮武さんは話します。
草野さんは、今はお店に物がなかったりするサプライチェーン問題が起きていて、物の移動が激しいこと自体がサステナブルではないと応じます。家でなくても近所で作れれば十分便利だという声も出ます。
宮武さんは、ロケットの3Dプリンターを作る会社が資金調達したことや、バイオマニュファクチャリングの会社が増えていることに触れます。素材を集め、別の場所に運んで作るという概念自体が壊され、その世界を目指しているのがTPBだと説明します。
ある場所で素材を集め、別の場所へ運び、そこで作る。輸送にエネルギーがかかり、サプライチェーン問題が起きる
家や近所の3Dプリンターでローカルに作る。輸送が減り、エネルギーもコストも抑えられる
社名の由来、War Production Boardとは
The Production Boardという名前の由来は、第二次世界大戦中のアメリカにあったWar Production Boardです。宮武さんは日本語で「軍事生産委員会」のようなものだと説明します。
宮武さんによると、War Production Boardは、アメリカが戦争に勝つため、武器や飛行機を全国で安く早く作るサプライチェーンを、システムレベルで設計した組織でした。
1942年から1945年の間に、War Production Boardのもとで1830億ドル分の武器や物資が作られ、当時の世界の弾薬などの生産の40%を1つの国が担ったと宮武さんは紹介します。草野さんは「すごいですね」と驚きます。
国もwartimeのメンタリティーを持つべきか
TPBはWar Production Boardと似たアプローチを取ろうとしていて、フリードバーグさんはアメリカも国としてこのアプローチを持つべきだと話しているそうです。宮武さんは個人的に、日本もそうすべきだと考えています。
宮武さんが引き合いに出すのが、ベン・ホロウィッツ ── アメリカの起業家・投資家。VCのアンドリーセン・ホロウィッツ共同創業者で、著書『HARD THINGS』で経営の現実を語りましたさんらが語るwartime CEOとpeacetime CEOという概念です。戦時のような局面にいるのか、平時なのかで経営者の振る舞いが変わるという考え方です。
今のほとんどの国、まあ多分日本もそうですし、アメリカもそうなんですけど、peacetimeのメンタリティーなんですよね。で、それをwartimeに変えないといけないですと。
宮武さんは、中国との関係やサプライチェーン問題もあるものの、特に次のイノベーションを生むために、政府がかなりアグレッシブに動く必要があると話します。CanaやTPBのような民間企業があっても、その裏には必要なインフラがたくさんあるからです。
バイオリアクターのキャパは2000倍必要
宮武さんが例に挙げるインフラが、お肉などを作るための施設、バイオリアクター ── 微生物や細胞を培養して物質を生産するための装置・設備。発酵タンクなどがこれにあたりますです。
宮武さんによると、世界のバイオリアクターのキャパは約2500万リットルで、そのうち2000万リットルがワインやビールに使われ、残り500万リットルがその他の用途です。レンタルできるのは約100万リットル分だけで、多くのスタートアップはそれを使っています。
| 区分 | 規模 | 補足 |
|---|---|---|
| 全体 | 約2500万リットル | 世界全体のキャパ |
| ワイン・ビール | 約2000万リットル | ほぼ全体を占める |
| その他 | 約500万リットル | うちレンタル可能は約100万リットル |
新しいスタートアップは自分で施設を作るのが難しく、コストもかかります。そのため利用する人が増えるなかで、レンタルできるキャパを広げないといけないと宮武さんは話します。
フリードバーグさんらの計算では、500億リットルのキャパがあれば、今世界で作られている動物性プロテインをキャパの上ではバイオマニュファクチャリングで作れるようになるそうです。宮武さんは、技術が追いつくかは別だと断りつつ、今のキャパを2000倍ほどにする必要があると説明します。
その建設には1000億〜5000億ドルほどのお金が必要になると宮武さんは見積もります。草野さんは、規模がすごいとしつつ、今投資すれば最先端になれるので国が投資すべきところだと応じます。
インターネットのように国が先に動けるか
宮武さんは、インターネットやシリコンバレーも、政府が早めに動いてインフラを立ち上げ、その後に民間企業へ渡したからこそ生まれたと話します。同じことがバイオマニュファクチャリングで起きるかが重要なポイントだといいます。
草野さんの「日本頑張ってほしい」という声に、宮武さんも同意します。日本の科学者は世界トップクラスで、ブロックチェーン技術でも一時期世界トップに入り、AIはエンジニアリングで今もトップティア、バイオも強く、VRやARもエンタメの面で強い国だと宮武さんは挙げます。
なんですけど、結局勝ってないと。(事業的に見ると。)
宮武さんは、アメリカではインターネットのインフラが早めに整えられたからこそ今のシリコンバレーがあり、その技術投資がアメリカ政府に大きな利益をもたらしたと考えています。同じようにバイオテクノロジーに、アメリカ政府も日本政府もどんどん投資すべきだという主張です。
政府が早めに投資
バイオリアクターなどのインフラを立ち上げる
起業家に渡す
ロビー活動をする企業ではなく、低コストで成果を出す起業家に託す
人材と産業が集まる
施設がある国に人材が集まり、イノベーションが生まれる
経済的に報われる
2〜30年かけて、次世代の産業で利益を得る
宮武さんは、最終的には民間企業に渡すべきだとしつつ、渡す先はロビー活動をしている企業ではなく、本当に頭のいい起業家たちだと話します。起業家はもともと低コストで高いパフォーマンスを出す存在だからです。
なぜ今アメリカの政府がどんどんイーロン・マスクにトンネル作ってくださいとか、その国のインフラをもっと安く作ってくれないかってお願いしてないのがよくわかんないんですけど。
宮武さんは、場合によっては2〜30年のプロジェクトになるとしながらも、人材が集まり、日本にしかバイオリアクターがなければ日本に来るしかなくなると話します。草野さんの「いっぱい和牛作りましょう」に、宮武さんも笑って乗っています。
次の100年を決める技術に誰が張るのか
草野さんは、メタバースも含めてテクノロジーの転換期はまさに今だと感じていて、国も研究者も起業家も一緒に張れたらとてもいいと話します。
宮武さんは、1000億〜5000億ドルという額はソフトバンクでも出せないと指摘します。ソフトバンクは約1000億ドルのファンドを持っていたものの、全部を施設に投資できるわけではないので、ここで国の力が必要だと感じたそうです。
宮武さんは、日本では研究者が起業するイメージがあまりなく、そこを徐々に変えたいと話します。施設は国が作るとしても、イノベーションは起業家から来るケースが多いという考えです。
宮武さんによると、過去20年間でアメリカのVC業界から約2兆ドルがスタートアップに投資され、今のアメリカ市場では、かつての自動車や通信キャリアに代わってテック業界が圧倒的なトップにいます。それだけ価値を作れたという見方です。
宮武さんは、バイオテクノロジー、教育、クリプト、メタバースなど、次の100年を決めるテクノロジーがこれから生まれるタイミングだと話します。Off Topicとしてもそうした起業家を支援したいとし、この領域は今後もモニタリングしていきたいと語ります。
国という概念は20年後どうなるのか
最後に草野さんは、アメリカ産やカリフォルニア産といった産地の概念がなくなり、民間企業が生産を担うようになれば、国という概念自体も20〜30年後にはどうなっているかわからないと問いかけます。
宮武さんはこれをとてもいいポイントだと受け止めます。メタバースやクリプトのような分散化された世界でみんながデジタル世界に住み始めれば、国の概念は消えると考えていて、日本やアメリカに住む意味が今後あるのかとも話します。
宮武さんは、日本の歴史自体がなくなるような課題が生まれるかもしれないとし、デジタル世界で人間ではない形で生きるようになれば「人間ってなんだっけ」という問いも出てくると続けます。
草野さんは別の見方を示します。アメリカは人種も言語も多様なのに、アメリカ人であるアイデンティティはしっかりあり、自分がアジア人であるという意識も、前より出してもいい雰囲気になっていると感じているそうです。
なんか意外とそこ(アイデンティティ)って消えなかった、なんていうか、自分がアジア人であることの意識みたいなのって、すごく前よりは出てるのかなっていうか。
宮武さんも、帰属意識がいい方向に動くかもしれないと応じ、二人は「気になりますね」と話して今回を締めくくりました。
まとめ
今回の二人の話は、サステナブルな選択を広げるには「今より安く作れるか」が鍵であり、その答えとして培養肉、Cana、キヌアのようなバイオ製造が力を持ちつつある、という流れでした。宮武さんは、その土台となるバイオリアクターなどのインフラに国が早めに投資し、起業家に託すべきだと強調しています。
- サステナブルな商品は今は富裕層のステータスになっていて、業界を変えるには従来品より安くする必要がある
- 培養肉のコストは2015年の1キロ約230万ドルから2020年の約22ドルまで、5年で約1万倍下がった
- Canaは味や香りを決める1%以下の成分と家庭の水で、何でも飲み物を作るデバイスを目指している
- ローカルで安く作れる3Dプリンターやバイオ製造は、物を運ぶ前提のサプライチェーンを壊しうる
- 宮武さんは、バイオリアクターのキャパを2000倍にするような投資は国が担い、起業家に渡すべきだと話している




