Apple回の余韻とPivot出演で何が話せたか
今回のOff Topicは久しぶりの雑談回です。宮武さんによると、Apple回が5回にわたって4週間続き、その後にも4エピソードがあったため、雑談回は9〜10回ぶりになります。
草野さんは、Apple回について「みんなが知っている企業なのに、少し違って見えてくる」ところが面白かったと振り返ります。
まあ、仮説でしかなかったんですけど、もしそこまで全部つながりがあるのであれば、ほんとすごいですよね。
草野さんは、Appleがヘルスケアに注力していること自体は事実なので、今後の展開がさらに気になったと話します。宮武さんも、1つの企業を掘り下げるシリーズを今後もやるかは考えたいと応じています。
話題は、宮武さんが出演したPivot ── ビジネスやテクノロジーの最新動向を扱う日本の経済メディア。YouTubeなどで動画コンテンツを配信していますの動画へ移ります。宮武さんはそこで、Off Topicで話したFactory as a Serviceや、クリエイターエコノミー、クリエイタービジネスについて語ったそうです。
テクノロジーが作る格差の問題とか、その環境問題とどうバランスするのかとか。(そういう幅広い話が)できたのはすごい良かったかなと思いますね。
Off Topic Clubでは何をやっているのか
草野さんは、番組の最後に毎回宣伝しているメンバーシップ「Off Topic Club」の中身をあまり話してこなかったとして、ここで改めて紹介します。
Off Topic Clubでは、ポッドキャストの内容を記事としてまとめたものを毎週投稿しているほか、音声の先行配信も聞けるといいます。
宮武さんによると、1か月ほど前からは「Daily Memo」も始めています。平日に1日1回、今考えていることやニュースについて、1000〜3000字ほどの文章を投稿しているそうです。
コメントしてくださる方々もいるので、それはもちろん見ているんですけど、noteの機能としてどこまで読んでくれてるかわかんないじゃないですか。
宮武さんは、Daily Memoが掲示板形式の投稿で、記事のような閲覧数の指標が出ないため、どこまで役立っているのかがわからないと話しています。
サウスパークはChatGPTをどういじったのか
最近見たコンテンツを聞かれた宮武さんが挙げたのは、好きな番組であるサウスパーク ── アメリカの大人向けアニメ。政治や社会問題を過激な風刺で描くことで知られ、時事ネタを素早く取り入れる制作体制でも有名ですの、ChatGPTを扱ったエピソードです。
サウスパークのすごさって大体1週間でエピソードを作るんで。もう本当にリアルタイムで動けるっていうところだと思うので。
宮武さんは、この雑談回が公開される頃には、サウスパークがシリコンバレーバンクの話を扱っていてもおかしくないとも話しています。
エピソードの中身は、ChatGPTを変な使い方をする人が次々に出てくるというものです。宮武さんが説明した流れは、次のように連鎖していきます。
カップルのSMS
恋人からのメッセージに返信するのが面倒になった男性が、ChatGPTの回答をそのままコピペして送る
気づかない彼女
女性はそれに気づかず、関係はうまくいっているように見える
学校の宿題へ
生徒たちが宿題に使い始め、エッセイのトピックが急に複雑になる
先生も採点に使う
評価が面倒になった先生も、ChatGPTでフィードバックを返すようになる
もう虚無。何が起きてるのか、何のためにやってるのかがもうわからなくなってくるみたいな。
宮武さんは、異常なことが起きたらどうなるかを面白く見せるのがサウスパークらしさだと話します。一方で草野さんは、その異常な状況がすでに現実に起きていることでもあると指摘しました。
宮武さんは、サウスパークやデイリーショー ── アメリカの風刺ニュース番組。時事問題をコメディの形で取り上げ、政治や社会を批評するスタイルで長年人気がありますのような番組がアメリカで「ソーシャルコメンタリー」系と呼ばれていると説明し、そうした番組が個人的にすごく好きだと話しています。
映画『テトリス』は誰の物語なのか
草野さんが挙げたのは、Apple TV+で配信されている映画『テトリス』です。草野さんは先行上映を見に行ったそうで、いわゆる起業家ストーリーのビジネス映画とは少し違うところが面白かったといいます。
映画『テトリス』の主人公は、テトリスの開発者ではなく、ビデオゲームのセールスマンです。ロシアにいる開発者が作ったテトリスに、アメリカのCESで出会ったセールスマンが惚れ込み、日本で販売する権利を買い取ろうとする話だと草野さんは紹介します。
開発者や創業者を主人公にした創業物語
権利を売るセールスマンが主人公で、ゲームがどう世界に広まったかを描く
舞台がロシアと日本とアメリカで、いろいろ面白いんですけど。開発者の人の話じゃないっていうのが、逆に面白いなと思って。
宮武さんの「創業物語ではないということですよね」という確認に対し、草野さんは、テトリスがロシアからどうやって世界的なゲームになったかの話だと答えています。
パズルゲームのテトリスはなぜIPとして広まったのか
テトリスが好きでよく遊ぶという草野さんは、パズルゲームがここまでIPとして伸びたことに驚いたと話します。
マリオとかならわかるんですよ。キャラクターだし、世界観が。だから(テトリスのような)パズルゲームの中で世界観がこんなにあるってすごいなと思って。
草野さんによると、テトリスは言ってしまえば無機質なブロックなのに、色合いや音楽まで含めて世界観ができています。そうした世界観を守りながら権利を広めていくことの大事さを感じたといいます。
宮武さんは、キャラクターがブランドのように広まるのと比べ、テトリスはゲームのコンセプトそのもので伸びたものだと整理します。数年前に人気になったゲーム「Dots」も、ゲームメカニクス自体の面白さで広まった点で似ているのではと話しています。
草野さんは、映画の中で「鉄のカーテンの向こうで流行っているゲームがあるらしい」という文脈でアメリカで人気が出たと描かれていたことを紹介し、その意味では世界観は最初からあったのかもしれないと話しました。
草野さんは、テトリスがアパレルとコラボしたり、アメリカの回転寿司チェーンとテトリスの形の寿司セットを出したりした例も挙げます。形と色を見ればテトリスだとわかることのすごさが、こうしたコラボを可能にしているという見方です。
ゲームや映画の音楽はなぜ記憶に残るのか
草野さんは、映画『テトリス』の中でテトリスのメインテーマがさまざまなバージョンで流れることに触れ、ゲームにとって音楽は大事だと感じたと話します。
宮武さんは、音楽はゲームに限らず映画やドラマでも、その瞬間を思い浮かばせる力があると応じます。例に挙げたのは、ポケモンのアニメでサトシが主人公を卒業した際、最後に昔の音楽が使われたことや、アベンジャーズのテーマです。
そこの音楽の使い方って、ゲームもそうですし、エンタメ業界全体としてはめちゃくちゃうまいですよね。
話は再び映画『テトリス』に戻ります。草野さんは、作者ではなく権利を世界に売る「取りまとめる人」がいることが、テトリスが大きくなった鍵ではないかと話します。
最初に任天堂に行く時も、「任天堂で売らせてください」みたいな話をするんですけど、それも大きなディストリビューションを確保することだと思うんですけど。
草野さんによると、ロシアにいた開発者は任天堂のことすら知らなかったはずで、映画『テトリス』は大きな市場を見て売っていく人にスポットを当てた作品だといいます。
『サクセッション』はなぜビジネス的にも面白いのか
宮武さんがまだ見られていないと挙げたのが、最終シーズンとなるシーズン4が始まったドラマ『サクセッション』です。
宮武さんの説明では、『サクセッション』は巨大メディア企業を経営する一家の話です。社長である父親の跡継ぎを、長男にするのか次女にするのか、4〜5人の子どもたちの間で激しい争いになります。
アメリカのVCとかはよく見てる番組ですし、いろんな意味でビジネス的にも面白いですし。
草野さんに具体的にどこが面白いのかを聞かれた宮武さんは、戦略だけでなく、交渉の話や圧のかけ方などを挙げます。ただし、それを実際に参考にしているわけではないだろうとも付け加えています。
宮武さんによると、『サクセッション』はFOXで起きていることに似ているとよく言われています。番組でも扱ったLVMH ── ルイ・ヴィトンやディオールなどを傘下に持つフランスの高級ブランド複合企業。創業家による経営と後継者問題がたびたび話題になりますのようなラグジュアリーファッション企業でも後継問題は実際にあり、その裏側がダークなケースもあるので、それをドラマとして見るのが単純に面白いといいます。
忙しい宮武さんはいつドラマを見ているのか
宮武さんは、『テッド・ラッソ』も今シーズンが最後だと話しますが、こちらもシーズン2の終わりまでしか見られていないそうです。
草野さんに「いつも忙しそうなのに、いつ見ているのか」と聞かれた宮武さんの答えは、ご飯を食べている時です。
(ドラマは)大体40分から1時間ぐらいじゃないですか。一食分になるっていう。
ご飯を10分ほどで食べ終わるという草野さんに対し、宮武さんは、昼食や夕食の1時間の休憩時間にご飯を食べながら見て、その後また仕事をするのだと説明しています。
ただし、ハマりすぎることもあるそうです。宮武さんは『ストレンジャー・シングス』を19時頃から見始め、気づいたら23時を過ぎていたというエピソードを明かしています。
どちらかというと、リアルタイムで見ない番組の方が多いので、一気に見れちゃうんですよ。それも良くないかもしれないなって思ってますね。
お金持ちを小バカにするドラマはなぜ流行るのか
宮武さんは続けて、シーズン1と2を見た『ホワイト・ロータス』も挙げます。草野さんが「裕福な人たちが集まるホテルの話ですよね」と確認すると、宮武さんはいろいろな出来事が起きる、説明しづらいドラマだと応じています。
最近、そういうお金持ちをちょっと小バカにするドラマが流行ってるみたいな、トレンドがあるのかなって思いましたね。
草野さんがその理由を尋ねると、宮武さんは、今の社会的な考え方の表れではないかと答えます。お金持ちを嫌うことや、嫌うのがかっこいいとされる空気があるのではないか、という見方です。
話題はその後、草野さんがもう一度見たいという映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』や、宮武さんがまだ見ていないドラマ『The Last of Us』へと広がります。『The Last of Us』はホラーゲームの実写化で、『マンダロリアン』にも出ていたペドロ・パスカルさんが出演していると宮武さんは紹介しました。
(評判が)すごいいいらしいので、僕もまだ見てないですけど。なんか多いですよね。見ないといけないやつ。
『シュリンキング』のような癒し系ドラマは何というジャンルか
草野さんは、Apple TV+のドラマ『シュリンキング』も面白かったと紹介します。『テッド・ラッソ』の制作者が手がけた作品で、不幸な出来事が重なって落ち込んだアメリカのセラピストが、それでも頑張ろうとする「ほっこり系」のドラマだといいます。
すごくマインドフルネスなメンタルヘルス、なんていうか、主人公がなんか強くないし。
草野さんは、サスペンスやラブコメのような既存のジャンルとは違い、劇的な展開もなく、見ていて心が癒されるドラマが最近多いと感じたそうです。ただ、それはApple TV+だけの傾向かもしれないとも話しています。
宮武さんは、『テッド・ラッソ』のような作品を指す正しいカテゴリー名がない気がするとして、とりあえずコメディに分類されるのではないかと答えます。草野さんも、コメディでありつつハートフルな作品だと応じました。
完全無欠のヒーローはなぜ見なくなったのか
草野さんは、アカデミー賞では家族の話がトレンドだったと触れつつ、主人公にちゃんと弱さがある作品が多く、完全無欠のヒーローをあまり見なくなったと問いかけます。
宮武さんは、作品によるとしつつ、マーベルのヒーローはだいたい子どもの頃に悲劇に遭い、トラウマやコンプレックスを抱えていることが多いと指摘します。
そのうえで宮武さんが持ち出したのが、アメリカで「victim mentality」と呼ばれる考え方です。書き起こしでは「加害者メンタリティ」と話されていますが、英語の語からは被害者意識を指していると考えられます。
宮武さんの見立てでは、強くないと生き残れなかった昔は「強いのが正しい」という考え方が主流でした。それがキリスト教のように弱い者を守るべきだという価値観へと社会的にシフトし、アメリカではその変化がさらに加速しているのではないかといいます。
強くないと生き残れなかったため、強い者が正しいという考え方
弱い者を守るべきという価値観が広がり、アメリカではさらに加速している
その結果、こういうドラマとか、こういう映画とかがより人気になるのかなって思ったり。
宮武さんは、以前の雑談回で話した「ヒーローは計画的ではない」という話とも若干似ていると付け加えます。ただし、根拠があって言っているわけではなく、最近の傾向やドラマの流行を聞いてそう思ったという位置づけだと断っています。
まとめ
今回の雑談回では、サウスパークの風刺から映画『テトリス』、『サクセッション』や『シュリンキング』まで、最近のコンテンツが話題になりました。作品の面白さを、ビジネスの仕組みやアメリカ社会の価値観と結びつけて語るところに、Off Topicらしさが表れています。
- サウスパークのChatGPT回は、AIの使い方が連鎖して虚無に至る様子を描き、すでに現実でも起きていることを風刺している
- 映画『テトリス』は開発者ではなくセールスマンを主人公に、パズルゲームが世界的IPへ広まる過程を描いている
- 『サクセッション』は後継者争いを通じて、交渉や圧のかけ方などビジネス的にも面白い要素がある
- お金持ちを小バカにするドラマや、弱さを持つ主人公の作品が増えている背景に、宮武さんはアメリカの価値観の変化を見ている





