小学5年からずっとD&Dと一緒だった
今回のテーマは、ダンジョンズ&ドラゴンズ、通称D&Dがケージくんに与えた影響です。
ケージくんがD&Dを始めたのは小学5年生の冬。お正月のお年玉で、ベーシックルールセットを買ったそうです。
当時5〜6千円ほどで、小学生にはかなりの高額の買い物でした。普段のお小遣いでは手が届かず、お年玉だからこそ買えた金額だったと話されています。
そこからずっと遊び続け、中学2、3年の時はクラブ活動にもなりました。毎週水曜の午後、2時間まるまるロールプレイングゲームクラブとして、ケージくんはダンジョンマスターを務めていたそうです。
文化祭ではコンベンションと呼ばれる形で、クラブ員以外の一般参加者を図書室に集めて開催したこともありました。
小学5、6年から中学3年間、生活の中心にあったと言っても過言ではないと振り返っています。
キャラクター作成で決める6つの能力値
D&Dのようなテーブルトークロールプレイングゲームでは、遊ぶ前にまず自分が動かすキャラクターを作ります。
キャラクターシートという紙に書き込んでいくのですが、最初に決めるのが6つの能力値です。
当時の日本語訳では、腕力度のストレングス、知性度のインテリジェンス、賢明度のウィズダム、素早さのデクスタリティ、耐久度のコンスティテューション、魅力度のカリスマの6つでした。
決め方は、6面ダイスを3個振ってその合計をあてる方式です。これを6回くり返します。最小が3、最大が18になります。
腕力度。力の強さ
知性度・教養。知力
賢明度・知恵。判断力
敏捷度。素早さ
耐久度。体の頑丈さ
魅力度。魅力
この6つのパラメーターで一人の能力を表すのが面白かったと話されています。小学生のケージくんには、学校の通信簿にも近い印象があったそうです。
国語や算数が1から5で表される成績表のように、キャラの能力が3から18の数字で決まっていく。それがとても面白く感じられたようです。
サイコロ3個の合計なので期待値は10.5。だいたい9から11が真ん中で、値が12以上だとプラス修正、3だとマイナス3という一番厳しい評価がつくルールでした。
能力値の高低から人を眺めていた小学生時代
何度もキャラを作っていると、すべての値が高い強いキャラもできれば、全部が一桁の弱いキャラもできます。ランダムなので当然のことです。
そこでケージくんは、実際の社会でもこれと同じだと気づいたと言います。
勉強もスポーツもできる、知性も腕力も敏捷さも高いような友達もいれば、そうでない人もいる。小学生ながら、周りをそんなふうに見ていたそうです。
カリスマ、魅力度。魅力度があの人は高いな、低いなとか、敏捷度が高いな、低いなとかいう感じで人を見ちゃう
ゲームなので、できた能力値が気に入らなければ最初から振り直しができました。弱すぎたら、これなしでもう一回、という具合です。
けれど、それをやりながら別のことも思ったそうです。
これゲームだからこんなことできるけど、実際の人生ではこんなことできないよな。気に入らないから振り直すとかできないよな
能力値の高低で周りを眺めると、少し怖いという気持ちも当時はあったと振り返っています。
能力値が高すぎるキャラはつまらない
もう少し遊んでいくと、ケージくんは別の発見をします。能力値が高すぎるキャラで遊んでも、あまり面白くないということです。
能力値が高いと攻撃も当たりやすく、ダメージも大きい。強いのは確かです。それでも、そのキャラで遊んでいるとだんだんつまらなくなってきたそうです。
この気づきは、後の演劇経験ともつながっていきます。ケージくんは小学校の演劇クラブに始まり、中学の市民劇、高校と大学の演劇部と、演劇を続けてきました。
演劇をやりだすと、キャラクターは弱いところがあるからこそ魅力や面白さが生まれると、後々気づいていったと話されています。
だから今D&Dを遊ぶ時も、何かしらの能力値が一桁のキャラの方が面白いと感じるそうです。
最近のルールは、4個振って上位3個の合計を採用し、好きな能力に自由に割り振れるなど、能力の高いキャラを作りやすい柔軟なシステムになっています。
一方、昔のルールは順番に振っていくシビアなもので、気に入るキャラができるまで何度も振り直したと振り返っています。
賢さは2種類ある。知識度と賢明度
6つの能力値のうち、インテリジェンスとウィズダムという2つは、どちらも賢さに関わるパラメーターです。ここが面白くも、少しわかりにくかったと言います。
インテリジェンスは知力や教養、ウィズダムは知恵や賢明度、今のルールでは判断力と訳されています。賢さを表す能力が2種類あるわけです。
ゲームのルールでは、インテリジェンスが高いと魔法使いに、ウィズダムが高いと僧侶に向いているとされていました。
ルールブックには、この2つの違いを説明する有名な例が載っていたそうです。
水が降ってきて、これは雨だってわかるのが知識。さあどうやってこの水を凌ごうって考えるのが、知恵とか賢明度
つまり知識度は、物事を知る力、本を読む力、覚えて引き出す力です。学者的な、勉強ができる人が高いとされます。
賢明度は、周りを見る力、心の強さ、直感や勘の良さ、得た知識をどう使うかを判断する力だと理解していたそうです。
物事を知る・覚える・引き出す力。魔法使いに向く
周りを見て、知識をどう使うかを判断する力。僧侶に向く
知識度と賢明度で周りの人を観察する
2つの能力が面白かったので、ケージくんは、知識度が高い人、賢明度が高い人とはどんな人かを考え、周りを観察していたそうです。
たとえば、学力テストでいつも良い点を取るのに、発言に棘があり、周りを不用意に傷つけてしまう人。そういう人を見ると、知識度は高いが賢明度は低いと見ていたと言います。
逆に、テストの点は必ずしも良くないのに、学級会でみんなが納得する発言をする人。そういう人は、知識度は低くても賢明度は高いと捉えていたそうです。
そんなふうに、2種類の賢さで世の中の人を眺めていたことをよく覚えているそうです。
最近ネットで調べたところ、D&Dのゲームデザイナーによる賢明度の説明記事を見つけたと話されています。
知的なキャラクターは、喫煙が自分にとって有害であることを知っているが、止める判断力がない場合がある。(筆者はこれに該当する可能性が高い、とも書いてありました)
タバコが有害だと知っているのが知識度で、やめる判断ができるのが賢明度だという例えです。これは小学生の自分でもわかったのにと、ケージくんは感じたそうです。
知識度が働く
タバコが自分に有害だと知る
賢明度が働く
だからやめる、という判断を下す
友達と一緒に、知識度とか賢明度ってどういうことなんだろうって語り合ってた時はすごい楽しかった
大人になって役立った正多面体のダイス
エンディングでは、大人になってD&Dをやっていて良かったと思う話が語られます。
D&Dはいろんな種類のダイスを使います。普通の6面に加えて、4面、8面、10面、12面、20面があります。
このうち10面をのぞく5種類は、すべての面が合同な正多面体と呼ばれる形です。4面・8面・20面は正三角形、6面は正方形、12面は正五角形が面になっています。
ケージくんは大学生の頃から10年ほど、中学受験専門の塾で受験算数を教えていました。そこでは正多面体の授業もあります。
正十二面体や正二十面体を黒板に描くのは面倒ですが、ダイスで慣れ親しんでいたケージくんには、図を描いて説明するのがとても楽しかったそうです。
授業の最後には、ポケットからいろんな種類のダイスを取り出して生徒に配り、振らせて毎回大盛り上がりだったと話されています。
正十二面体や正二十面体は普段なかなか見ません。それを数字入りで振れるので、生徒も自分も本当に楽しかったそうです。
最後に、10月31日から長野県塩尻市のゲストハウスきちで開くD&D初心者会の告知がありました。ダイスを振るだけでも楽しいので、気になる人は概要欄の応募フォームからどうぞと呼びかけています。
まとめ
ランダムに決まる6つの能力値と、知識度・賢明度という2種類の賢さ。ケージくんにとってD&Dは、ゲームであると同時に、人や自分を眺める視点を育ててくれた遊びでした。
- D&Dはキャラ作成でストレングスなど6つの能力値をサイコロで決める
- 全部高いキャラも低いキャラもできることが、人の見方の一つの視点になった
- 能力値が高すぎるキャラは、ピンチがなくてかえってつまらない
- 賢さにはインテリジェンス(知識度)とウィズダム(賢明度)の2種類がある
- ダイスに使われる正多面体の知識が、受験算数を教える仕事でも役立った
