そもそも「良いもの」をどう選ぶのか
今回のテーマは、旅・食・服といったライフスタイルの領域で「良いもの」をどう選ぶか、です。
小畑さんは、ライフスタイルのラジオという番組の性格に触れつつ、良いものを選ぶときの視点を二人に尋ねます。
前職から本当に世界中行かせてもらって、ドバイやバスク、南仏、アメリカ、モロッコと、いろんなところを旅してたんですけど、よく「移動距離とアイデアは比例する」って言いますよね。あれは本当に嘘じゃないなと思ってて。
種市さんは、サーフィンの車中や飛行機の中など、できることが限られる時間にこそアイデアが落ちてくると話します。
洋服のディレクションでも、「かっこいいけどシワになって着れないな」といった気づきを旅先で拾っているそうです。
関口さんの基準は「自然」から始まる
関口さんは、良いものは人それぞれだと前置きしつつ、自分が何を良いと思うかを語ります。
その出発点にあるのが「自然が好き」という感覚です。自然は作れないし、強いのに弱いと話します。
日本だと北から南まで地域性もあって、フォーシーズンあるじゃない。すごい時限的なんだよね。ある場所の夏って言ったら、もうそこにしかない自然があるじゃん。それをサーフィンとスノーボードを通じて体験させてもらってる。
関口さんは、旅を選ぶ基準を「その地域かける季節かける自然」と表現します。
それを自分の趣味やアクティビティと掛け合わせると、行きたい場所が自然と決まってくると話します。
食に求めるのは「狙っていないもの」
二つ目の基準は食です。関口さんは、日本はミシュランの数が世界一多く、まずいものを探せないと言います。
コンビニだって多分美味しいんだよね。もう麻痺しちゃってるから。牛丼とか500円も出さずにマジでうまいじゃんっていう。うまいもの慣れしちゃってるから、別にまずいものが食いたいんじゃないんだけど、狙ってないものを食べたいんだよね。
関口さんは、地方の施設から「良いものを作りたい」と相談されると、決まって神戸牛のステーキという答えが返ってくる例を挙げます。
むしろ「私たちの地域だとこんなものしかない」という山菜などにこそ価値を感じると話します。
発酵文化とは、限られた食材を保存するために生まれた地域の知恵で、漬物や味噌など、その土地の気候や暮らしと結びついて発達した食文化を指します。
限られた食材をどう保存するかという地域文化と紐付いた発酵文化や漬物文化に、関口さんは「行きてえな」と感じるそうです。
作為がないもの。
そうそうそう、狙いがないっていうか。
そこに名物おじさんや名物女将といった人が関わることで、さらに行きたい場所になると話が続きます。
食こそリアリティ、旅の原動力
関口さんは、良いものを「本物」「嘘がない」「リアルである」と言い換えます。
この先100年経っても、3Dプリンターで牛丼を作る時代は来ないだろう、と関口さんは話します。
波や雪も自分では作れないもので、そのリアリティこそが旅の原動力になると言います。
不思議だよね。なんか自分が作れないもの。
種市さんは、関口さんが老舗や古いものを、その理由や雰囲気も含めて好むと補足します。
一方で、ただ古いだけで良いわけではなく、地方では「そこそこの体で作っているもの」にはあまり惹かれないという話にもなります。
web3が変える不動産と、日本の価値
話は、地方の街づくりがこれからどうなるのかへ移ります。種市さんは、良いものと小畑さんの仕事の紐付けができないかと問いかけます。
関口さんは、まず不動産の構造がすでに大きく変わったと説明します。
J-REITとは、不動産を証券化し、小口で売買・流通できるようにした投資の仕組みです。1棟まるごとではなく、小さな単位で不動産に投資できるようになりました。
1000億のビルは1000億で買うかどうかの現物取引しかできなかった
証券化と小口化で、利回りを基準に価値が作られる時代へ
関口さんは、web3的な権利形態のイノベーションが起きれば、商流がさらに変わり、言語や法律の壁も乗り越えていくと考えを述べます。
SNSの発達で日本の風景が可視化され、インバウンドも増えていると指摘します。
その象徴として、ニューヨークのアーティスト、トム・サックスさんが茨城に別荘を欲しがったという逸話が語られます。
トム・サックスとは、ニューヨークを拠点とする現代アートの作家です。既製品や日用品を素材に手作業で作品を制作するスタイルで知られています。
湘南は混んでるし、アメリカのサーフスポットもどこも混んでる。マリブに一軒家なんていくらかかるのかって世界。でも茨城なら別荘、1000万くらいで普通に建つと思うよって言ったら、「何ジョーク言ってんの、一億の間違いだろ」って。その人とのギャップなんだよね。
web3の技術で認知を広げ、NFTなどで権利形態を柔軟にできれば、日本を好む海外の人が入ってくる。関口さんは、地方の街づくりを「宝探しだ」と表現します。
ストーリーが宿る古着と、日本人の価値づくり
小畑さんは、日本の産業で時価総額のエンタメが自動車を抜いたという日経新聞の報道に触れます。
そのエンタメには不動産やホテル、食も入るはずで、日本はそこに強みがあると話します。
どういう人が持ってたとか、誰から誰に手に渡ったのか。それがある程度トラックできる技術だったり、コミュニティを作るのにもすごい向いてるので、ストーリーや文脈って観点で、Web3やブロックチェーンとすごい相性いいと思うんです。
種市さんは、ラグジュアリーが多様化し、心が豊かになることや、古着の一点物の味も価値になっていると話します。
関口さんは、古着の面白さを、その裏にある時代背景やディテールの理由にあると語ります。
一番分かりやすいのはリーバイスで、その時代の背景があるがためにこういうディテールになってるっていうね。それが面白いんだよ。作れないねっていう、そこに唯一無二性があるからさ。
種市さんは、アメリカ人がただの労働着と思っていたものを、年代や色を調べて価値化していったのが日本人だった点を面白いと言います。
種市さんは、その価値づくりが、関口さんが不動産で建物の魅力を見つけて価値化していく姿勢と重なると話し、対話を締めくくります。
まとめ
自然や文化、作為のなさというリアリティを基準にした「良いもの選び」は、旅・食・服のいずれにも共通していました。そのストーリーや唯一無二性は、可視化とトラッキングを得意とするweb3の技術と相性が良く、日本の隠れた価値を掘り起こすヒントになりそうです。
- 良いものは人それぞれだが、関口さんの基準は「地域×季節×自然」というリアリティにある
- 食では「狙っていないもの」、地域文化と結びついた発酵や山菜に価値を感じる
- 不動産はJ-REITで証券化され、web3による権利形態の変化がさらに商流を変える可能性がある
- 日本の良さを最も評価しているのは日本人ではないかもしれない、という視点が語られた
- 古着や不動産の価値づくりは、裏側のストーリーを見つける点で共通し、ブロックチェーンと親和性が高い
