金曜の夜になると土を触りたくなる
加納さん回の第3弾は、自然の中での暮らしがテーマです。まず話題に上がったのは、加納さんが好きだという長野でした。
加納さんは東京生まれ、愛知育ち。田舎の感覚が今も体に染みついていると話します。
土触ってる時に俺生きてるみたいな感じになるわけですよ。都会のコンクリートジャングルの中で遊ぶのは、もう若い時にいっぱい遊んだから飽きて。
金曜の夜になると「東京脱出したい」「土を触りに行きたい」という感覚になるそうです。
山と海で悩んだ末に選んだのが長野でした。木に囲まれ、涼しく、そして何より車でサッと行けることが決め手だと言います。
山と海と悩んだけど、一旦山で木の中に囲まれ、涼しいし。飛行機で北海道や沖縄に行くのは移動が大変だと行かなくなっちゃう。車でサッと行けて、土があると。
休日もテトリスで埋めるスケジュール
加納さんは週末も海外やゴルフで動き回り、東京にいないことが多いと話します。「ボーッとしてられない」性格なのだそうです。
その徹底ぶりを象徴するのが、平日も休日もスケジュールをテトリスのように詰めるという考え方でした。
平日はテトリスで、休日もテトリスなんですよ。詰まってないと。四十五分空いてるじゃん、これテトリスもう入るじゃんみたいな。
では、土いじりをして気づいたら三時間経っている、というようなことはないのでしょうか。小畑さんがそう尋ねると、加納さんはむしろそれでいいと答えます。
土いじるっていうイベントを三時間やってるからOKなんです。目的があって、朝起きてから夜寝るまでちゃんと目的を持って土日も過ごしてる。
この姿勢は、天気次第でスケジュールを空けておきたい種市さんとは対照的でした。
種市さんは前職を辞めてから、サーフィンやスノーボードのために仕事をまとめ、フリーな時間を確保しているそうです。波や雪の状況が良くなったら、すぐ行きたいからです。
種市さんに三週間前から「この日打ち合わせしたいんですけど」って言うとすごい嫌がるんですよ。もう結構空けときたいと。
始めて四年でゴルフセット八セット
話題はスポーツへと移ります。加納さんはスキーがメイン、そしてゴルフには「中毒」と言うほどハマっていました。
その熱量を表すのが、始めて四年でゴルフセットを八セット買っているというエピソードです。形から入るタイプだと自認しています。
始めて四年なんですけど、ゴルフセット八セット買ってますから。
コースは月に数回、練習は朝ほぼ毎日という徹底ぶりです。二日練習しないだけで落ち着かなくなると話します。
朝六時からまず練習。二日練習してなくて、もう嫌なんです。握ってねえなみたいな。
さらに夜には水槽のサンゴの手入れもあるといいます。話し始めると尽きないため、この日は深掘りせずに次の話題へ移りました。
ワイングラスの拭き方まで完璧なUSスタイルBBQ
夏の楽しみはバーベキューです。加納さんには「秘密基地」があり、小畑さんも何度か訪れたことがあるそうです。
そのスタイルはかなりアメリカ流だと言います。骨付きの大きな肉をリブで焼き、ウェーバーというグリルを使うのが定番です。
バーベキュー用にガスの元栓まで設置し、最近もまたグリルを買ってしまったとのこと。ここでも没頭ぶりが顔をのぞかせます。
アメリカ人のこだわりについても話が及びました。「お前んところのバーベキューソースは何?」と聞くのが礼儀なのだそうです。
加納さんが一番驚いているのは、社長でありながらバーベキューの時は自分が一番働くことだといいます。ワイングラスを一つ拭くところから、すべて自分でこなすそうです。
先週も東京の家に社員を呼んでパーティーやってたんだけど、カトラリーがピカピカじゃないわけよ。これがまた気になるわけよ。全部回収してピッカピカに磨いて。
O型で大雑把なはずなのに、気になると全部回収して磨いてしまう。おもてなしへの徹底したこだわりが伝わってきます。
一方で、そのこだわりが社員には通じにくい一面も語られました。
俺は小畑が夜中にいて早く帰れっていう時はワイングラスをピカピカに拭いて合図を送ってるんだけど、蛍の光流れてるよぐらいの感じなのに、ピカピカにしてんのに全然帰んない。
世界60カ国を旅した先で出会った「真の静寂」
加納さんは仕事でもプライベートでも海外によく行きます。bitFlyerにはアメリカとヨーロッパに子会社があり、登壇イベントも多いそうです。
今年はタイ、アメリカ、北京、ジョージア、インド、シンガポール、そしてブータンなど、各地を訪れたと語ります。
ブータンでは国王と会う予定でしたが、急な予定が入って会えず、お詫びに松茸を送ってもらったという印象的なエピソードもありました。
幸せの国だけど、だんだん情報が入って、インターネットに皆つながるとだんだん不幸せになって。知らない方が幸せだって言って。
bitFlyerの会議室には、加納さんが旅した都市の名前が付いているそうです。共同創業者の小宮山さんと訪れた、良かった国の名前だといいます。
行った国はおよそ60数カ国、70弱。若い頃はバックパッカーとして世界中を旅していました。
なかでも忘れられないのが、エベレストのベースキャンプで体験した「真の静寂」です。標高5300メートルの世界には、鳥もいなければ音もありません。
もう静かすぎて、多分地球上でこんな静かな場所ってないなっていう。植物限界、動物限界を超えると岩しかない世界で、風の音がないと本当に何も音がない世界なんですよ。
空も青くはなく、宇宙に近いために黒く濃く見えると言います。日常では味わえない環境だと語られました。
行こうと思ったきっかけは、登山家だった前職の同僚の一言でした。
ベースキャンプまでだったらそんなに死なないし、年に一人か二人しか死なないから大丈夫だよみたいな。じゃあ行ってみるか。
アフリカで見た星空と、旅にまつわる危ない記憶
もう一つ心に残っているのがアフリカでした。ケニアとエチオピアを訪れ、星の眩しさが印象に残っていると言います。
ただし、その道中は決して穏やかなものではありませんでした。ケニアからエチオピアへ向かう手段が乏しく、野菜を運ぶトラックに乗ったそうです。
その途中に危険な人種がいて、軍隊が一緒に乗ってくるんですね。マシンガン持った人が外を見張って、野菜運ぶトラックに隠れてエチオピアに行ったんですよ。
種市さんは、この徹底したリスクの取り方こそ加納さんの起業家魂を表しているのではないか、と受け止めます。
新たな経験、プライスレス。ヤツの起業家魂を表してる。これ聞いてここまでできないと多分なれない。
若い頃はお金がなく、経験を積みたい一心でアルバイトも二、三十ほどこなしたと言います。格安航空券もない時代に、一人でアメリカへ渡るようなチャレンジを重ねていました。
アメリカでは、トイレで羽交い締めにされ、腹にピストルを突きつけられたこともあったと明かします。
トイレ行ってたら後ろから二人に羽交い締めされて、お腹にピストル。あ、これかみたいな。
いずれも語り出せば「五時間かかる」というほどの体験ばかりです。この日はプライベートな話としてここで区切り、また別の機会に、という形で締めくくられました。
まとめ
仕事も休日も「隙間を埋めたい」というテトリス的なスケジュール管理と、ゴルフやBBQへの徹底した没頭。その裏には、世界60カ国を旅し、真の静寂や危険な道中まで経験してきた加納さんの非合理な価値観がありました。
- 金曜の夜になると土を触りたくなる。加納さんは長野の自然に週末の軸を置いている
- 平日も休日もテトリスのように予定を詰め、目的を持って一日を過ごすのが加納さんのスタイル
- ゴルフは四年で八セット購入、BBQはワイングラスの拭き方まで徹底するUSスタイル
- エベレストのベースキャンプで出会った「真の静寂」や、アフリカでの旅は忘れられない記憶
- 若い頃のバックパッカー経験や危ない体験の数々に、起業家としてのリスクの取り方が重なる
