ビットコインを「間違いない人」に聞きたい理由
この回は、これから実際にビットコインを買おうとしている種市さんが、加納さんに直接聞いていく形で進みます。
きっかけは、以前に収録した「種市さんがビットコインを買う」という会でした。小畑さんの周りには持っている人が多い一方、種市さんの周りには全然いなかったそうです。
これが出た後に、意外と買ったの?本当にいくら買ったの?とか、持ってる人はドヤ顔でDMでバンバンレクチャーしてきたりとか。
種市さんは、簡単にアプリを入れることに慎重でした。今はいろいろな詐欺の話があるからです。
自分で調べて入れるアプリがもう信用できなくて。だからリンクを送れって。ビットフライヤーのリンク送れって。
だからこそ、信用できる相手から直接聞いて買いたい。それがこの回の入り口になっています。
今まで聞いてまだ買ってないから、ここでもう買うっていう。
1枚100円だった頃の話
まず加納さんが、ビットコインの位置づけを振り返ります。波が激しく、加納さんが初めて見た時はごく安い価格だったといいます。今は1800万円ほどですが、その前に100円をつけた時期もありました。
波があるんですよ、ビットコインって。僕初めてビットコイン見た時(数万円)だったんですよ。今千八百万円とかだし。
加納さんがビットコインと出会ったのは、前職の証券会社でのことでした。外国人の同僚が教えてくれたそうです。
これが未来のお金だぜとか言って、コマンド打ってバーンってやると数字が出てくるんですよ。いやいや数字だろみたいな。ただの数字だよね、これってなって。
当時は「怪しい」と感じ、すぐには買いませんでした。かつてあった詐欺のスキームを連想したからです。
ただ、調べていくうちにブロックチェーンという技術に可能性を感じ、定点観測を続けます。
そして2013年頃、アメリカの中央銀行の関係者による前向きな発言を見て、加納さんは起業を決意します。2014年1月に起業したそうです。
なぜ大儲けしたのは「お金に興味がない人」だったのか
加納さんは、大きく儲けた人たちの共通点を語ります。それは意外にも、お金への興味の薄さでした。
お金にすごく興味がある人っていうのは初期メンバーになってない。初期メンバーってみんなお金に興味がないんですよ。
何十億、何百億になった人はテクノロジーが好きで、自由という夢を見ていた人だったといいます。
一方、投資として見ている人は、3倍ほどになると売ってしまう。バブルと言われ続けるなかで、怖くなって手放してしまうのです。
この対比が、この回全体を貫くテーマになっています。
投資として見ていて、3倍ほどになると怖くなり売ってしまう
テクノロジーと自由の夢を見ていて、大きく上がっても売らずに持ち続ける
なお、今の相場については、加納さんは立場上あえて語らない姿勢を貫きます。
これね、言えないんですよ。相場が動いてる時、それってやっぱり良くないと思うんですよね。だから言わないようにしてる。
そのうえで、投資は自己責任、長い時間で見た方がいい、と繰り返していました。
テレビ局が毎日来た2017年の「狂気」
小畑さんがbitFlyerに入社したのは、社員20番目ほどの頃でした。2017年の頭で、第一次クリプトブームの真っただ中だったといいます。
その1年でビットコインの価格は20倍ほどになりました。今のアップダウンとは違い、当時の空気は異様だったと振り返ります。
テレビ局が毎日来て、会社に。ビットフライヤーって取引量が一番多いので、結局ビットコインって何なんですかっていうのを加納さんに聞きに来る。だから僕は毎日机の掃除してましたね。
エンジニアの時間は貴重なので、取材はまずビジネスサイドが受ける。合間に仕事をすると机が散らかり、また片付ける。その繰り返しだったそうです。
エンジニアがとにかく大事だから。エンジニアの会社だってずっと言ってて。机の掃除はまずはビジネスサイド。
当時20人ほどだった会社は、今ではアメリカやヨーロッパも含めて400人弱の規模になっています。
あの狂気はもう来ないと思うよ。人生でそんだけ働いたことないじゃん。今思えばそういうのが人生の歴史の中で一箇所あるっていうのはいいこと。
儲けすぎて辞めていく社員たち
ブームのなかで、社員のなかにもビットコインを大きく持つ人がいました。経営者から見ると、社員がとても儲かってしまう状況が生まれます。
社員もさ、もう僕は十分にお金を稼いだんで引退しますとか言ってさ。俺も辞めるみたいな。
小畑さんの隣に座っていた人も、かなりの量を持っていました。それが周囲に知られていたため、日々「いくら儲かったんだ」と話題になっていたそうです。
めちゃくちゃ持ってて。彼のはバレてるからみんな見てるんですよ。おい、いくら儲かったんだとかって。
なお、社員も購入は可能でしたが、取り扱うコインの情報がわかる立場のため、一定期間は買えないなどのルールが整備されていったといいます。
規制と、若い世代のリスクの取り方
話は現在の見通しへ移ります。税制や法律が変わる可能性があり、より多くの人が使える機会は増えるのではないか、と加納さんは話します。
一方で、人が増えるほど顧客保護の議論も強まります。過剰保護だという声と、損したから責任を取れという声の両方があるのです。
投資は自己責任じゃなくて、儲かったら僕に言って、損したら当局に行くぞみたいな。そういう人がいるから、どんどん保守的になっていく。
加納さんは、国の発展やイノベーションと顧客保護のバランスを考えると、もう少し違う形の方がいいのではないかと述べます。アメリカは自己責任の色合いが強く、日本は過保護になりやすいという見方です。
自身の投資については個人情報として詳細を避けつつ、不動産やビットコインなどを持ち、個別株の売買はあまりしないと語ります。トレーダー経験があるからこそ、片手間では勝てないと考えているそうです。
そのうえで、リスクの取り方はライフステージによると話します。
若い人ってある程度資金作らないと次行けないじゃないですか。失っても若い人って時間があると思うんですよ。貯金なくなったとてやり直せる。
加納さん自身も、学生時代に奨学金を株にオールインした経験があるといい、リスク性向の高さがうかがえます。
夢中こそが人を動かす
最後に話は「夢中」というテーマに戻ります。ビットコイン長者とされる人ほど、見栄を張らないと加納さんは言います。
ビットコイン長者みたいな人って服もユニクロですよ。夢を買ってるから、そんなにお金に興味がないんですよ。
今成功している人ほど、当時は得体の知れないものにオールインしていた。うまくいったからこそ評価されているだけで、紙一重だったとも語られます。
種市さんは、アパレルの世界でも同じだと重ねます。元Jリーガーの友人が、知識がないままブランドを立ち上げ、夢中で作り続けて日本のトップブランドになった例を挙げました。
これぐらい売れたら何だとかっていうよりも、これがやりたい、これが作りたいんやみたいな、そういうパッションだけでやってた。夢中っていうのはすごい大事なんだな。
まとめ
ビットコインが「怪しい数字」から「未来のお金」になっていく過程を、取引所の内側から見た二人のリアルな記憶が語られました。共通していたのは、お金を増やすことよりもテクノロジーと自由に夢中になった人たちの姿でした。
- 大きく儲けたのはお金好きではなく、テクノロジーと自由に夢中になった人だった
- お金として見る人は3倍ほどで売り、夢を見る人は持ち続けるという対比
- 2017年のブームは、テレビ局が毎日来るほどの「狂気」の年だった
- 規制は顧客保護とイノベーションのバランスが問われ、日米で姿勢が異なる
- リスクの取り方はライフステージ次第で、若い世代は時間を武器にできる
