ChatGPTと喧嘩して課金をやめた話
この回は久しぶりのゲストなし回。冒頭から種市さんが「本当に今聞きたかったこと」として、AIの話題を切り出します。
以前この番組でAIの話をしたのは、番組が始まって三、四ヶ月ほどの頃。ちょうど一年が経ち、状況は大きく変わっていると小畑さんは話します。
チャット君に課金してたわけよ、俺。課金してたんだけど、ものすごい喧嘩になって。沖縄行った時の夜の飯屋を探すやつで、俺課金してんのになんなんだよって思って。
その後、話題になっていたGeminiを並行して使い始めたところ、無料でも同じような答えが返ってくる場面があったといいます。GoogleMapとつながっている点も便利で、種市さんはChatGPTの課金をやめました。
ただGeminiにもうまくいかない時があり、他にClaudeなどいろいろ出てきている中で「今の最適化は何なのか」を知りたい、というのが種市さんの問いです。
種市さんの用途は、テキストの構成、請求書関係、古着や家具を写真で撮って「これいつのやつか」を照らし合わせること、クライアントワークのコンセプトの壁当てなど、幅広いものです。
なぜDecentierはほぼClaudeを使うのか
小畑さんの会社Decentierでは、今ほぼClaudeを使っているといいます。ビジネス文書やリサーチ、資料のアウトプットに加え、ソフトウェア開発のコードも書いている点が種市さんとの違いです。
Claudeを選ぶ理由として、小畑さんはまず精度の高さを挙げます。契約書やプレスリリースといった文書づくりで、かなり正確な出力が返ってくるといいます。
もう一つは「分からないことを分からないと言う」素直さ。ChatGPTやGeminiはその場を取り繕おうとする傾向があり、間違いを指摘すると謝る、という場面が起きやすいと話します。
ChatGPTとかGeminiはその場を取り繕おうとするんですよ。答えられないっていうのを言うなという風に教育されてるんです。Claudeは、分からないことは分からないと言うところが結構ある。
あーわかる。それでイライラする時ある。
さらにClaudeは、チャット画面とアウトプットの画面が分かれているのも使いやすさにつながると小畑さんは説明します。会話が延々と続くLINEのように遡らなくても、最新のものが右側で見られる構造です。
バイブコーディングとClaude Codeの衝撃
話は開発の領域へ。ここで登場するのが「Claude Code」というエンジニアリング用のアプリケーションと、「バイブコーディング」という言葉です。
バイブコーディング。バイブスでコーディングするんですよ。
小畑さんはエンジニアではありませんが、「作りたいもの」を言葉で伝えればAIと一緒にアプリを作れる、それがバイブコーディングだと説明します。
Claude Codeがすごいのは、AIがパソコン内のさまざまな開発ツールに直接アクセスできる点だと小畑さんは話します。従来のチャット型アプリだと、そのアプリの外に出られなかったのが大きな違いです。
たとえば、ブロックチェーンのニュースを大量に集めてURLを取り、内容を分析し、キーワードのランキングを図表にして毎日出す、といった横断的な処理を作れる、という具体例が挙げられます。
じゃあファッションの今こういう流れになってるってトレンドを、毎月どうなってるのか全部リストアップして出す、みたいなものがあったら、仕事上多少はね。
チャットだけでも一度なら実行できますが、「毎日七時にプッシュ通知を出す」といった継続的な仕組みは、アプリケーションを作らないとできません。そこがClaude Codeでできる部分だと小畑さんは整理します。
アプリ内で完結し、その外のツールにはアクセスできない
開発ツールに直接アクセスでき、複数のアプリを横断して処理できる
設計図が書けなくても、出来上がりのイメージを伝えればアプリが作れ、公開も販売もできる。「ソフトウェアを作ること自体に価値がなくなっている」という話は、こういうことだと小畑さんは言います。
「SaaS is dead」は本当か
誰でもアプリが作れるなら、同じものもすぐ真似される。そこから「SaaS is dead」「Software is dead」という議論につながります。
ただ小畑さんは「そんな簡単にdeadしない」と考えています。ツールは作った後もメンテナンスと改善が必要で、本業が別にある人にとってはそこが負担になるからです。
僕から見ると、この三千円を払うっていうことなのか、自分でやって三千円をゼロにするかって、このバーターなんで。そんなにdeadしないなっていう気はしてる。
請求書の話も同じ流れで語られます。手書きからExcel、会計ソフトへと進化し、今はiPhoneで口頭で言えば請求書が作れて送れる。その一年ほどの変化に種市さんも驚いたといいます。
くっついてるやつのとこ行って、それPDFして送ってて。わって思ったもん、この一年くらい。
Decentierが始めるAIエンジニアリング事業
ここで小畑さんは、Decentierが新しく始める「AIエンジニアリング」事業の話に移ります。これまでのブロックチェーン中心の案件に加え、システム開発の相談が来るようになったのがきっかけです。
従来のシステム開発は、要件定義から設計、コーディング、テストまで時間もコストもかかります。小畑さんたちはここにAИを使い、一年かかると見ていた案件を二ヶ月ほどで仕上げたといいます。
ポイントは、顧客の業務や課題を深く理解する上流工程には人がしっかり関わり、その後の開発は倍速でAIに任せるという分担です。
なぜ他社がすぐには同じことをできないのか。小畑さんは構造的な問題を指摘します。システム開発会社の多くは「人月商売」だからです。
たとえば五人が半年働くなら三十人月分を請求する。開発が四ヶ月から二週間に縮まると、人を多く抱える会社ほど売上構造を急に変えられません。顧客は安く早くを望むため、そこに利益相反が生まれます。
社内にエンジニアがいない会社は自力では対応できず、少数精鋭のDecentierはこの需要に合っていると小畑さんは話します。価値は「ソフトを作ること」より、その前段で課題を理解し技術まで通してやり切れるかにあるという整理です。
AIの料金と、これからのAIの評価軸
話は料金の疑問へ。種市さんは、ChatGPTは画像を数枚送るとすぐ課金を求めてくるのに、Geminiは無料で使える時があるのはなぜかと尋ねます。
小畑さんは、AI事業だけを見ると各社とも大きな赤字だろうと説明します。裏側で膨大なコンピューティングリソースを使っているためで、今後は値上げが進むと見ています。
一方でGoogleは広告などで収益を上げるビジネスモデルのため、事情が少し違うといいます。種市さんは、いろいろなツールとつながる大手が強いのではと感じています。
課金すると精度が上がるのかという問いには、Claudeでは基本的に容量が増えると小畑さんは答えます。そして開発現場では、AIの使用量そのものが評価指標になり始めているといいます。
このエンジニアは今月百五十万使いました、Claude、偉い、みたいになってる。人間やったらいくらかかると思う?こいつら寝るじゃん、体調崩すじゃん、文句言うじゃん、何もないからみたいな世界になってきてます。
トークンの使用量をKPIにする会社が増えている、という現場の変化で話は締めくくられます。半年ごとにでもこの話を続けたい、という約束で回は終わります。
まとめ
日常のAIの使い方から、開発現場や業界構造の変化までを行き来した回でした。種市さんの「イラっとした瞬間」を入り口に、Claudeやバイブコーディングが仕事の何を変えつつあるのかが語られました。
- Decentierは今ほぼClaudeを使っており、精度の高さと「分からないと言える」素直さが理由として挙げられました。
- バイブコーディングとClaude Codeにより、設計図が書けなくても言葉でアプリを作れる状況が語られました。
- 「SaaS is dead」という議論はあるものの、メンテナンスや改善が必要なため簡単には終わらないと小畑さんは考えています。
- Decentierは上流を人が担い開発をAIで倍速化するAIエンジニアリング事業を始め、人月商売との利益相反が他社の壁になると指摘しました。
- AI事業は各社赤字で今後値上げが進む可能性があり、開発現場ではAIの使用量が評価指標になり始めています。
