リスナーからの質問「農薬に規制は必要?」
今回のお便りコーナーには、TikTokのみかんさんから初めての質問が届きました。
農薬に規制をかける必要はあると思いますか?実際にこの農薬は使いたくないなどはありますか?
川上さんはまず、自分の牧場での農薬との関わりを説明します。牧草地で牛の餌を作るタイプではないため、定期的に使うのは除草剤くらいだそう。
そのほか、牛の駆虫薬や殺虫剤なども、広い意味では農薬に含まれるのかもしれない、と話します。
そのうえで、農薬にはどうしても「危ない」「使っちゃ危険」というイメージがつきまとうと指摘。今回はその情報を整理して答えていきます。
テーマは3つ。日本の農薬の規制、農家は農薬をどう考えているのか、なぜ農薬が使われているのか。これをできるだけ事実ベースで話していきます。
日本の農薬は法律で管理されている
最初のポイントは、日本の農薬が法律できちんと管理されているということです。
日本には農薬取締法という法律があり、安全性・環境への影響・残留性などの評価を受けて国に登録されたものしか、販売も使用もできません。
さらに、農薬には使える作物、使用量、使用回数、収穫前に使える期限などが細かく決められています。
登録された使い方以外で使用することは、法律で認められていません。
農家は本当に農薬を使いたいのか
次は、よく誤解されるところ。農家は農薬を使いたがっているのか、という点です。
川上さんは、多くの農家にとって農薬は「必要な時に使う資材」だと話します。理由はシンプルで、農薬にはお金がかかるからです。
農薬はまず購入コストがかかります。お金がかかるんですよね。できれば使いたくない、お金は。
コストだけではありません。撒く手間もかかりますし、管理も本当に大変だといいます。
たとえば毒劇物にあたるようなきつい農薬だと、専用の保管庫や、毒劇物を扱う資格が必要になることもあるそう。
むしろ無駄に使うメリットはありません。これ本当に理解してほしいですね。
それでも農薬が必要な理由
では、なぜそれでも農薬が使われるのか。農業では害虫や病気、雑草が作物の収量に大きく影響するからです。
病気が広がれば収穫量が大きく減ることもあり、場合によっては全滅なんてこともあります。
だからこそ、必要な時に登録された農薬を適切に使うという形で作物を守っている、というわけです。
リスク
害虫・病気・雑草が作物の収量に影響する
被害
広がると収穫量が減り、最悪は全滅も
対応
必要な時に登録農薬を適切に使い作物を守る
規制は必要か、そして酪農との関係
質問への川上さんの答えは、安全のためのルールは必要、というものです。実際、日本ではすでに登録制度や残留基準、使用ルールで管理がされています。
安全のためのルールは必要だと思います。まあ当たり前ですよね。
そのうえで、農業は天候や病気など自然条件に大きく左右される仕事だからこそ、現場の状況を踏まえた制度であることも大切だと話します。
この話は酪農とも無関係ではありません。酪農でも牛の餌になる牧草やトウモロコシ、飼料作物が栽培され、それらも病気や害虫の影響を受けるからです。
「農薬を使わない」を選ぶなら消費者にも選択がいる
配信の後半、川上さんは少し踏み込んだ問いかけをします。もし本当に農薬を使わない農産物を求めるなら、消費者側の受け止め方も変わる必要がある、と。
虫食いがあっても、収量が少なくて形がふぞろいでも、畑のまわりが草ボーボーで野生動物や虫が湧いても、それでいいと言って支援してくれるなら、農家は使わずにすむ、という話です。
けれど現実には、きれいで虫食いのない野菜を求め、整えられた畑や田んぼを望む人が圧倒的多数。だから農家は農薬を使う選択をせざるを得ないのだといいます。
一方で、農薬の使用を減らす取り組みも、品種改良や技術革新で進んでいる部分があると補足します。
川上さんは、極論として培養肉や代替肉、栄養を錠剤でとるような未来にも触れつつ、そうした選択が欲しい人はその道を選べばいい、と話を締めくくりました。
まとめ
農薬は「危ない」というイメージが先行しがちですが、日本では法律で厳しく管理され、農家にとってはコストも手間もかかる「できれば使いたくない」資材でもあります。それでも作物を守るために必要とされる背景と、私たち消費者の選び方がつながっていることが見えてくる回でした。
- 日本の農薬は農薬取締法で管理され、登録された使い方でしか使えない
- 農薬はコスト・手間・管理が大変で、農家にとっては必要な時だけ使う資材
- 害虫・病気・雑草から作物を守るために農薬が必要になる
- 安全と食料生産のバランスをとる制度づくりが大切
- きれいな農産物を求める消費者の選択が、農薬の使用とつながっている
