リスナーからの質問と、廃業が増える背景
この日の配信は、リスナーの「よりこさん」から届いた質問に答える回です。
倒産廃業になる場合、その後牛たちはどうなりますか?
川上さんは、中東問題やガソリン代の高騰といった話題に触れながら、こうした状況が続けば廃業は増えるだろうと話します。
だからこそ、廃業したときに牛の行き先がどうなるのかは、多くの人が気になるところ。とても大事な質問だとして、じっくり答えていきます。
1日どれくらい、2件か3件くらいのペースで酪農家が廃業しているのが、変わらず今もそんな感じなんですけども、ちょっと若干落ち着きましたかね。
規模は牧場によってさまざまで、家族経営なら100頭ほど、大きな企業がやっているところだと300頭や500頭になることもあるそうです。
牛は「資産」でもあるという前提
まず押さえておきたいのが、牧場の牛は家畜であると同時に、経営の資産でもあるという点です。
だから牧場をやめるとき、牛たちは基本的に売却されます。これは酪農業界ではごく一般的な流れなんだそう。
川上さんは、車屋さんにとっての車、飲食店にとっての在庫の食材と同じで、牛もまた資産なのだと、身近な例で説明します。
牛の3つの行き先
では実際に、廃業した牧場の牛はどこへ行くのでしょうか。川上さんは大きく3つのパターンを挙げます。
他の牧場へ行く
酪農家同士の売買や、家畜市場・家畜商を通して別の牧場へ移り、引き続き飼育される
肉牛として出荷
高齢の牛や乳量が少ない牛などは食肉として出荷されることもある
まとめて移動
規模拡大する牧場や新規就農する牧場が、まとめて引き取る・購入するケース
いちばん多いのは、他の牧場へ売られるケースです。酪農家同士でやり取りされたり、家畜市場牛などの家畜を売買するための市場。全国各地にあり、多くの生産者が集まって取引が行われます。や家畜商を通して別の牧場へ移っていきます。
一方で、生産性が低くなった牛は食肉として出荷されることも。これは酪農だけでなく、畜産全体の循環のなかにある流れのひとつだと話されています。
さらに、廃業する牧場の牛をまとめて他の牧場が引き取ることもあります。規模を広げたい牧場や、新しく酪農を始める牧場がまとめて購入するケースです。
資産であり、家族でもある牛
ここで川上さんが強調するのが、牛は単なる資産ではないという点です。
子牛から育てた牛も多く、長い時間を一緒に過ごした存在。だからこそ、廃業して牛を手放すのは、精神的にもとても大きな決断になると話します。
廃業が増える現状と、私たちにできること
最近は飼料価格の高騰や資材の値上がり、人手不足などの影響で、廃業する牧場も少なくありません。だからこそ、牛たちが次の牧場で大事に飼われることがとても大切になります。
川上さんは背景として、船が止まって物流が滞り、コンテナ貨物を運ぶための大きな箱状の容器。海運で使われ、これが動かないと輸入品が届かなくなります。が動かないことで牧草や酪農資材の輸入に影響が出ていると説明します。
国内の在庫はこれこれこうであって、次入ってくるのがわからないのでみたいなこと言われて。わからないってどうすりゃいいの、みたいな。
一方で、いまは牛の相場が高めに推移しているのも事実です。黒毛和牛は非常に高く、廃業牛も高めで、少し前には初乳牛が1頭100万円ほどで売れることもあったそう。辞めるにはいいタイミングでもあると話します。
廃業が決まった牧場では「もう売りたい」という状況になり、家畜市場での廃業セールなどを通して、余裕のある牧場がお買い得に買い取ることもあるといいます。
最後に川上さんは、廃業があっても業界のなかで牛が有効活用されることを知ってほしいと語ります。そのうえで、牛乳だけでなく国産のお肉を食べることも酪農家の応援になると呼びかけました。
まとめ
廃業した牧場の牛は「資産」として売却され、多くは他の牧場へ引き継がれていきます。生産性が低くなった牛は食肉になることもありますが、いずれも酪農という産業のなかで次の場所へつながっていく。飼料や資材の高騰で廃業が現実味を帯びるいま、牛乳と国産のお肉を選ぶことが酪農家の応援になる、という回でした。
- 牧場の牛は家畜であり、経営の資産でもあるため、廃業時は基本的に売却される
- 行き先は主に3つ。他の牧場へ移る、食肉として出荷される、まとめて引き取られる
- 子牛から育てた牛を手放す廃業は、酪農家にとって精神的にも大きな決断
- 飼料や資材の高騰、物流の停滞で廃業が増える可能性がある
- 牛乳だけでなく国産のお肉を食べることも、酪農家への応援になる
