今回の質問「切った牛の角はその後どうなる?」
今回のお便りは、配信アプリのポポポから届いたポポポネーム「お豆腐」さんの質問です。
切った牛さんの角はその後何かに使ったりしますか?そのまま廃棄になりますか?
以前の配信で、牛の角を除去する処置について話したことがあり、その続きとして寄せられた質問だと川上さんは話しています。
この処置は、川上牧場では生まれたばかりの子牛のうちに行っています。除角牛の角を除去する処置。牛同士や人が角で怪我をするのを防ぐために、角がまだ小さい段階で行われることが多い。
そのため、取り除く角は非常に小さいものになります。川上さんは、親指の先っぽくらいの大きさだと表現しています。
結論は「日本では産業廃棄物」
まず結論から。日本では多くの場合、切り落とした角は産業廃棄物として処分されるのが一般的だと説明されています。
ほとんどの酪農家さんが、取ったらポイって捨てて、堆肥と混ぜてしまうっていうのがほとんどなんじゃないかなと思います。
理由の一つは、日本の酪農で処置するのが生後間もない子牛だからです。
角が小さすぎて、工芸品に使えるほどの材料にはならない。それが日本であまり再利用されない理由の一つだと川上さんは話します。
そもそも、日本には角を商品として利用する仕組みがほとんどない、という事情もあります。
海外では角が資源として使われてきた
一方、海外に目を向けると事情は違います。川上さんは、世界での角の活用例を調べてまとめてきたと話しています。
アフリカでは、牛の角を削ってアクセサリーや工芸品に加工する文化があると紹介されます。ボタンやネックレス、ブレスレット、ヘアアクセサリーなどが作られ、お土産として販売されている地域もあるそうです。
天然素材なので、一つ一つ色や模様が違うのも魅力だといいます。
ヨーロッパでも角は古くから使われてきました。イギリスやフランスでは、角を磨いて靴べらやナイフの柄、高級な櫛を作る伝統工芸があると説明されています。
プラスチックが普及する前は、とても身近な天然素材だったとのことです。
北欧では、角を磨いた飲み物用のカップが有名だと紹介されます。バイキングの時代を描いた映画で見たことがある人もいるかもしれません。バイキングおもに8〜11世紀に北ヨーロッパで活動した北欧の人々。角の杯のイメージは映画などで広く知られている。
ブラジルのマテ茶があるんですけど、あれも牛の角で飲むとマジうめえんですよね。ブラジルの知り合いから、これがうめえんだよって飲ませてもらいました。全然味変わるんで、こういうことなんだろうなと思ってます。
さらにインドでは、水牛の角を使った工芸品が数多く作られています。ランプシェードや置物、食器の持ち手など、地域産業として利用されている場所もあるそうです。
| 地域 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| アフリカ | アクセサリー・工芸品 | 色や模様が一つずつ違う天然素材 |
| ヨーロッパ | 靴べら・ナイフの柄・櫛 | プラスチック普及前の身近な素材 |
| 北欧 | 飲み物用のカップ | バイキングのイメージで知られる |
| インド | ランプシェード・置物・食器 | 水牛の角を使った地域産業 |
命を無駄なく使うという考え方
川上さんは、世界に共通する考え方として「命をいただいた動物をできるだけ無駄なく使う」という姿勢を挙げます。
角まで資源として活用してきた歴史がある、というわけです。
これはお肉になる牛にも当てはまります。皮は革製品、骨は肥料や食品原料、内臓も食材として、できるだけ無駄なく使われていると説明されています。
角一つを見ても、国によって価値や使い方が違う。そんな視点で牛を見ると、また違った面白さがあるかもしれない、と川上さんはまとめています。
リスナーとの掛け合いで広がる話
配信中には、リスナーからのコメントで話がさらに広がりました。
ダッフルコートのボタンやバッファローホーンのアクセサリーの話題が出ますが、川上さんは、それらの多くは海外からの輸入品ではないかと話します。
川上牧場の牛乳を使ってチーズを作っているブラジルのお店では、そういうの飾ってありますわ。まああれも、海外から輸入してるんじゃないかなと思いますね。
角を長く伸ばせる酪農ができるかどうかは国によるという指摘もありました。
日本では食品衛生上の理由から、原則として牧場で出たものはその牧場で処理する決まりがあると川上さんは説明します。角を外へ動かすことで病気が広がる可能性があるためです。
漢方に使われそう、という質問には、日本の酪農家で角を漢方に使っていると聞いたことはなく、これも輸入品が多いのではないかと答えています。
どんどん話が広がりますね。いいですよ、こういう配信がしたい。うちの角はこういうの使ってますよみたいなのがありましたら、ぜひコメント欄で教えていただけたら嬉しいです。
まとめ
日本では小さな子牛の角を処置するため、切った角の多くは産業廃棄物として処分されます。一方、世界では角がアクセサリーやカップ、工芸品として資源のように使われてきました。命を無駄なく使うという姿勢は日本も世界も共通しています。
- 日本では子牛のうちに処置するため角が小さく、多くは産業廃棄物として処分される
- アフリカ・ヨーロッパ・北欧・インドでは、角が工芸品やカップとして活用されてきた
- 日本には角を商品化する仕組みが少なく、市販の角製品は輸入品が多いとみられる
- 食品衛生上、牧場で出たものはその牧場で処理するのが原則となっている
- 命をいただく以上、使えるものは大切に使うという考え方は世界共通
