牛によって味も飼い方も千差万別
最初に取り上げられたのは、YouTubeネームのツキミさんから寄せられたコメントです。子牛の育て方を扱った配信への「牧場によって色々なんですね」という感想でした。
川上さんは、酪農家と一言で言っても、まったく同じ飼い方をしている牧場はまずないと話します。
共同作業やTMRセンターで似た餌を使うことはあっても、そこにいる牛は個性も含めて千差万別だといいます。
牛乳も各牛乳パック、いろいろ味同じかなって思われがちなんですけど、違いますからね。ぜひそこら辺も感じていただけたら嬉しいなと思います。
屠殺やアニマルウェルフェアは現場で常にアップデートされている
続いて、毎日コメントを寄せるメイプルさんから、日本のお肉と制度についての配信にコメントが届きました。
メイプルさんは自身も酪農に関わる立場から、牛に苦痛を与えないよう配慮が進んでいることを伝えています。
病気や事故で最期を迎える方が苦しいと思うのでね。私は元気に家畜舎でお別れすることを目標にやっています。
この現場からの声を受けて、川上さんは屠殺の方法がどんどん改良されていると説明します。
電気ショックや、弓のような器具で一撃で意識を失わせる方法など、牛に苦痛を与えないシステムが取り入れられているといいます。
一方で、こうした変化はなかなか知られず、昔の認識のまま語られてしまうことを気にかけています。
和牛は海外にも輸出されており、アニマルウェルフェアを守らない肉は食べたくないという消費者もいるため、基準は国際情勢の影響も受けながら更新されていくと話されています。
牛糞ロケットとメタンガス発電への期待
次は、牛糞由来のメタンガスとロケットを扱った配信へのコメントです。メイプルさんが「川上さんはロケットも飛ばすんですね」と書き添えていました。
話題は、十勝の大樹町で液化バイオメタンを燃料にするロケット開発が進んでいることでした。
この話をしてますけど、川上が飛ばすとは一回も言ったことない。本当に何回も言いますけど、一回も言ったことないんで。
川上さん自身はロケットを飛ばすわけではないと念押ししつつも、牛のうんちがロケットを飛ばすロマンには夢があると語ります。
同じ配信には、stand.fmのセイさんからメタンガス発電についてのコメントも届きました。
システムはともかく、原料となる一定の品質の有機物が集まる道筋ができていないのかもしれないです。
この点について川上さんは、原料が安定せず大量に必要になることや、牛糞の水分量が課題として聞いたことがあると話します。
ただし技術はどんどん進化しており、すでにロケット燃料にもなっていることから、実用化はあと数年ほどで進むのではないかと考えられると話されています。
酪農家と世間の「ズレ」はどこから生まれるのか
InstagramとTikTokには、酪農家と世間の感覚の「ズレ」を扱ったスライド投稿へのコメントが届きました。
多くの人は子育てや仕事、家族を生活の中心に置きます。一方で酪農家は、家庭でも仕事でも牛が中心になってしまうといいます。
川上さんは、そこにズレが生まれると指摘します。何世代も続く酪農家では、子どもの頃からそれが当たり前として染みついているためです。
こういうところを言語化しながら伝えていくっていうのを頑張ってやって、皆さんに理解していただいて、逆に酪農家さんも社会と違うんだなっていうのを理解してもらう。
お互いを理解し合うことで、酪農業界を目指す人が増えてくれるのではないかと期待しているそうです。
生まれたばかりの子牛が最初に飲むミルクとは
この回の中心となる質問は、海外発のプラットフォームSubstackで初めて届いた、お豆腐さんからのものでした。
生まれたばかりの最初のミルクはお母さん牛のお乳ですか?それとも最初から酪農家さんが牛さん用のミルクを作って飲ませる感じですか?
川上さんの答えは、大抵はお母さん牛から絞ったミルク、つまり初乳だというものです。
人間は胎盤を介して血液から母親の免疫を受け取りますが、牛は少し違います。
牛は、生まれたばかりの子牛がお母さんの初乳を飲むことで免疫を獲得します。これが牛の面白いところだと川上さんは話します。
そのため、まずはお母さん牛のミルクを飲ませるのが基本の答えになります。
ただし、お乳が出なかったり、事故や帝王切開で母牛を失うこともあります。その場合は、他の分娩した母牛のお乳を飲ませることもあるといいます。
川上牧場では、母牛の免疫成分を含む「粉末初乳」も常備しています。何が起きても対応できるようにするためです。
子牛が免疫を獲得できるのは生後およそ24時間まで、特に6時間ほどが重要とされます。だからこそ、なるべく早く初乳を飲ませることが現代では推奨されていると話されています。
まとめ
島根県の川上牧場から届いた日曜コメント返しは、屠殺の現場やメタンガス、酪農家と世間のズレを経て、子牛が最初に飲む初乳の話に着地しました。素朴な疑問の裏に、命を育てる仕組みが隠れています。
- 酪農家は飼い方も牛の個性も千差万別で、牛乳の味もパックごとに違うと話されています。
- 屠殺やアニマルウェルフェアの基準は、国際情勢の影響も受けながら現場で常に更新されています。
- 牛糞由来のメタンガスはすでにロケット燃料にもなっており、実用化への期待が語られました。
- 牛はお母さんの初乳を飲むことで免疫を獲得し、その与え方が育成の要になります。
- 子牛が免疫を得られるのは生後約24時間まで、特に6時間ほどが重要とされています。
