リスナーからの質問と「過激な牛乳食パン」
今回はAWA(配信アプリ)のリスナー、ヤマさんから届いた質問がテーマです。水を使わずに作った食パンがとても美味しいらしい、という話題から始まります。
水を使わないで作った食パンがとっても美味しいらしいのです。過激な牛乳食パンという名前で千円で売られていました。
これくらい嘘みたいな名前で価格設定も強気な方がいいと思います。酪農家の方は、6次産業化する一番の目的は何になりますか?
発売元は千葉県の成田夢牧場(要確認: 成田ゆめ牧場)。川上さんもこの食パンは初めて知ったそうで、AIのディープリサーチで調べたうえで紹介していきます。
なぜ酪農家は6次産業化をやるのか
まず前提として、今の酪農は餌代も燃料代も上がっているのに、牛乳の価格は自分で決められない状況にあります。
自分が作ったものの値段を自分で決められない。これが酪農という仕事の大きな特徴だと川上さんは話します。
自分の作ったものの値段を自分で決められないという、そういう仕事ですね。
牛乳がよく売れている時なら安定した職業になりますが、世界情勢や人口減が進む今は、システムが破綻しかけているといいます。酪農家は価格の低下を受け入れる側になってしまうのが一番の問題です。
では6次産業化は何のためにやるのか。よく言われる所得アップや付加価値ではなく、本質は「価格決定権を取り戻すこと」だと川上さんは整理します。
牛乳を出荷すると組合などに値段を決められますが、自社で商品にすれば自分で値段を決められます。これができるだけで経営の自由度が一気に上がるというわけです。
組合などに価格を決められ、酪農家は価格低下を受け入れる側になりがち
自分で値段を決められ、経営の自由度が一気に上がる
「過激な牛乳食パン」がすごい3つの理由
ここからは、話題の過激な牛乳食パンの何がすごいのかを見ていきます。一斤約千円で、累計5万個以上売れているそうです。
ポイントは3つ。まず1つ目は「水を使わない」こと。普通のパンは水を入れますが、これは牛乳を100%で作っています。それだけで「どういうこと?」と興味を引きます。
2つ目は「名前が強すぎる」こと。高級食パンではなく“過激な牛乳食パン”という言葉で、「何が過激なの?」と消費者に思わせる力があります。
3つ目は「価格が体験になっている」こと。一斤千円は高いけれど、ご褒美やお土産、そしてネタになる。パンではなく体験を売っているのがポイントです。
真似するのは「考え方」
大事なのは同じ商品を作ることではなく、考え方を真似することだといいます。
たとえば素材を極端に使うこと。牛乳100%、まるまるの牛だけ、搾乳後24時間以内など、「やり過ぎ」が価値になる時代になっています。
ネーミングも重要で、人は意味ではなく言葉で動いて商品を選びます。さらに牧場の歴史や牛へのこだわり、地域との関係といったストーリーを売ることも鍵になります。
つまり、これからは牛乳そのものではなく、体験やストーリー、関係性を売る酪農家が増えていくのでは、というのが川上さんの見立てです。
6次産業化の落とし穴
一方で、6次産業化はいいことばかりではありません。落とし穴もあると川上さんは釘を刺します。
黒字化まで平均4年かかり、設備投資も重い。さらに牛乳という生鮮食品を扱うので、品質管理がとても大変です。
そして一番多い失敗が「商品を作って終わり」。売るところまでが仕事なのに、そこまで手が回らずうまくいかないケースが多いそうです。
川上牧場が6次産業化をやらない理由
最後に川上さんは、6次産業化はただのビジネスではなく「酪農ってかっこいい」と思わせる仕事でもある、と語ります。自分で価格を決め、価値を伝え、お客さんと直接つながることで、次の世代が入りたくなる産業になるからです。
その一方で、川上さん自身は「やらないんですか」とよく聞かれるものの、商品を売ることに熱量が出せないと正直に打ち明けます。
そのストーリーを売るっていうところがまずできないので、ちょっと自分にはできないんだろうなとか思っちゃったりしているところもあります。
さらに牛乳は毎日生産され、毎日売らなければいけません。酪農経営をしながらこれをやるのは本当に大変だといいます。
もう一つの懸念が価格競争。コンビニやスーパーには牛乳をたくさん使ったスイーツが並んでいて、小さな牧場では価格差で勝てないと感じているそうです。
また、過激さで勝つ流れにも冷静な視点を向けます。みんなが過激になれば、結局どれも売れなくなるのでは、という不安もあるといいます。
その過激っていうのを行き過ぎるとね、みんなが過激になっちゃって、結局どれも売れなくなったみたいなところがちょっとやっぱ見えちゃいますよね。
まとめ
今回は「過激な牛乳食パン」を入り口に、酪農の6次産業化の本質を掘り下げました。ポイントは、課題は価格決定権がないこと、そしてその本質はそれを取り戻すことにあります。あなたならどんな過激な牛乳商品を作りますか?
- 今の酪農は餌代や燃料代が上がっても牛乳の価格を自分で決められないのが大きな課題
- 6次産業化の本質は所得アップより「価格決定権を取り戻すこと」
- 過激な牛乳食パンは、水を使わない・名前が強い・価格が体験になっている点が成功の鍵
- 真似すべきは商品そのものではなく、素材を極端に使い、ストーリーを売る考え方
- 黒字化まで平均4年、品質管理も大変で「作って終わり」になりがちという落とし穴もある
